【完結】本栖高校吹奏楽サークル   作:小林司

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サブタイトル変更しました。

旧題 ツーリング出発。目的地は……『月』?



純一と綾乃の年始ツーリング
 ツーリング一日目 前編


 

綾乃とツーリングに出掛ける日の朝がやって来た。

 

『遠足前の何とか』で寝れないんじゃないか、と心配していたが、ちゃんと眠れたし、スマホのアラーム通りに起きれた。

 

しかし、案の定というか、綾乃は眠れなかったらしい。

 

「おはようございます……」

 

欠伸(あくび)をしながら起きてきた。

 

「おはよう。遅いぞ綾乃」

 

明日は5時に出ます、って言っていたのに、起きたのが5時だ。

 

「ゆっくり行きましょうよ。楽しみで寝れなかったのを察してください」

 

そうですか……。しかし、俺の予想通りとはねぇ。

 

 

 

 

荷支度は昨日のうちに済ませているので、身支度を整えて出発準備。

 

家を出て、ガレージでバイクの準備。

 

ヘッドセットを着け、スマホホルダーにセットしたスマホと繋ぐ。

 

ヘルメットを被り、シールドを下ろす。

 

そして、ビーノのエンジンを始動。

 

「綾乃、聞こえる?」

 

彼女も同じ様に準備してエンジンを掛けたのを確認し、ライン電話を繋いでから喋る。

 

『聞こえますよ。こっちは準備オッケーです』

 

「了解」

 

ふと、視線を感じで家の窓を見やる。

 

家を出るとき、朝早くまだ寝ているだろうと思って、綾乃のご両親には声を掛けなかった。

 

しかし、窓からお母さんが此方を見ている。俺が見たのに気付いたらしく、手を振っている。

 

『出発しますよ~』

 

俺もお母さんに手を振り返し、発進した綾乃に続く。

 

 

さて、どんな旅が始まるだろう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浜名湖沿いの道路を北上してゆく。

 

しばらく走ると湖畔を離れ、住宅や田畑が広がるのどかな風景のところを進んで行く。まあ、山梨の峡南に比べればまだ街中といった感じだ。

 

『エアパークですよ』

 

耳に前を走っている綾乃の声が届く。

 

「あれがそうか」

 

前方には、変わった形をした大きめの建物が見えている。

 

これが、一昨日軽く調べた中にあった 浜松基地広報館・エアパーク だろう。

 

『航空自衛隊で運用されていた、歴代の航空機も展示されているんですよ。自衛隊ファンには堪らない施設ですね。……まあ、今日はやってませんけど』

 

仕方ない、今日は1月3日。

 

しかし。

 

「綾乃、詳しいのな」

 

『いやいや。飛行機のことはさっぱりですよ。今日のプラン練るときに、一緒に調べました』

 

ということは……。

 

「もしかして、今朝寝坊したのって」

 

『はい……』

 

「そういうことね……。納得」

 

それで寝るのが遅くなったんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それじゃあ、もっと早く出てれば私もリンちゃんに会えたんですね』

 

交通量の多い幹線道路を走る。特にめぼしい物も無いので、話が弾む。

 

「ああ。ちょうど俺たちが駅で遊んでいるときに、鰻屋に行ったらしいからさ」

 

『会いたかったなぁ……』

 

「リンも同じ感じだったよ。まあ、また機会はあるだろうし、その時の楽しみにな」

 

いっそ、山梨へ来れば……。無謀だな。この話は止そう。

 

と言っても、山梨から浜松へ来た俺が言っても説得力皆無。しかも、これで二度目だし。

 

『いっそのこと、あたしも山梨行こうかなぁ……』

 

「無謀だぞ」

 

『それ、お兄さんが言いますか?』

 

俺が思ってても言わなかったことを明け透けと……。

 

「まあ、本当に来るんなら、事前に連絡しろよ。家に泊まれば良いから」

 

『お兄さんの家?』

 

「前に話しただろ? 俺ん家キャンプ場だから、部屋の心配はいらないし、綾乃から金取ろうと思ってないから」

 

『おお。それなら安心ですね』

 

これ、いつか本当に来るぞ……。

 

『あたし、富士宮に親戚住んでいるので、そこにも泊めてもらって、御殿場とか山中湖とか、そっちの方を回って、お兄さんのところまで遊びに行くのも良いなぁ……』

 

…………。

 

この子は一体誰なんだ? 綾乃ってこんなに距離感ガバガバだったっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

途中、休憩や給油を挟みながら進んで行く。

 

進む道は、いつしか見覚えのある景色に変わっていた。

 

天竜川。国道152号線。前に新城さんと走った道に行くらしい。

 

川を橋で渡り、トンネルを抜ける。

 

交差点を左折すると……。

 

前に走った道に入った。

 

「これ、何処向かってるんだ?」

 

気になって話し掛ける。

 

『まだナイショです。でも、面白い物が見れますよ』

 

「ふうん?」

 

天竜川の 夢のかけはし だろうか。それとも ワインセラーのトンネル か。

 

そういえば、リンが寄った掛川のお茶屋さんで、そのワインセラーで熟成されたお茶をオススメされたって言っていたな。

 

大人になったら、そこで寝かせたワインも飲んでみたいなぁ……。まだ先の話だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

左手遠方に船明(ふなぎら)ダムが見え、そろそろ天竜川沿いの道になる。

 

……天竜川が左手に見えてきた。

 

『お兄さん、トンネル手前を左に曲がりますよ』

 

ん? 船明隧道には入らないのか。

 

「了解」

 

トンネル手前を曲がる。

 

曲がる、と言っても実際はY字の交差点なので、減速してそれた。

 

『停まりますよ』

 

しかし、すぐに綾乃がそう言って停まった。

 

俺もゆっくり停止する。

 

『お兄さん、標識見てみてください』

 

停まるなり、綾乃がそう言って手で示す。

 

「標識?」

 

その先にあるのは、場所と距離が書かれている青い標識だ。

 

……?

 

書かれている地名は一つだけ。しかも一文字。

 

【挿絵表示】

 

「月まで……3㎞……?」

 

『そうです。これが一部界隈で有名な、月まで3㎞の標識です!』

 

なるほど。一部で有名なのか。

 

しかし、どういうことだろう? 遊びでこんな標識を設置することは有り得ない。意味があるはずだ。

 

『この先に 月 という地名の場所があるんですよ』

 

地名だったのか。

 

『と、いうわけで。これから月に向かいますよ!』

 

言うが早い。

 

走り去ろうとする綾乃においていかれないように、俺も追いかけて行く。

 

 

 

 

 

天竜川を渡り、川が右側に移る。木々の間を縫うように走って行く。一車線の狭い道だ。

 

俺たちはバイクだからたいして問題にはならないが、車で走っていて対向車が来たら離合場所に迷いそうな感じ。

 

まあ、こんな道は大型車が通ることは無いだろうけど……。

 

……えっ?

 

今、ワンマンバスの通行にご協力ください。って書かれた立て看板有ったんだけど!

 

でも、錆びているし、昔の話だろう……。

 

お! 木の間から少しだけ 夢のかけはし が見えた。

 

 

 

 

 

5分位走って行くと、綾乃が停まった。

 

「着いたのか?」

 

『はい。後方をご覧ください』

 

言われた通り、後ろを振り向く。

 

【挿絵表示】

 

 月橋 ここは浜松市月

 

そう書かれた標識がある。

 

月橋……?

 

「月に来てしまったのかぁ……」

 

わざと、驚愕 といった感じの声色で言ってみる。

 

『月ですよ。なでしこに送って自慢してやろう』

 

そう言い、バイクを降りて写真を撮りに行く。

 

俺はその様子を写真に撮った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに……。

 

綾乃は野クル部のグループラインには入っていないので、各務原(かがみはら)さんとは個人ラインでやり取りしていたらしい。

 

が、そこでのやり取りで慌てたのか、単に早とちりだったのか。

 

『ブランケット先輩とアヤちゃんが、月にハネムーンに行った~!』という内容の投稿がグループラインにあり、俺は他のメンバーから尋問されることになった。

 

まあ、各務原さんのキャラは皆知っているので、誤解を解くのは簡単だったけど。

 

 

 

 





浜松回が続いています。ゆるキャン△ 関係ないじゃん! と、言われそうな予感がしてます(汗)

それが理由か、最近 新規お気に入り登録・新規評価 が減ってます。UAは増えてるので、読んでくださる方は増えている筈なのですが……。山梨に戻れば増えますかね……?


それでも、完結まで逃げ出すつもりはありませんので、お付き合いいただけると有り難いです。
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