サブタイトル変更しました。
旧題 今後の話、高校卒業後の進路は……? 新城さんの家到着
お待たせ致しました。
本来の投稿時刻より半日遅れてしまいました。
理由としては、『お盆期間で執筆時間が取れなかった』のと『現在、京都・滋賀 旅行中』です。
……それではどうぞ。
温泉にゆっくり浸かり、食事処で夕食を食べた後は、休憩スペースで寛ぐ。畳敷きのお座敷で、ちゃぶ台が置かれている。
「お兄さん、ここ、そこの自販機でビールも売ってるんですね」
綾乃が自販機で買った缶片手に戻ってきた。俺が座っている向かい側に座る。
ビール? そういえば売っているな。ツマミになりそうなお菓子も一緒に。
「
「飲んだら飲酒運転で捕まるだろ。酔いさめるまで待つ気か? 閉館して追い出されるのがオチだぞ」
「いやいやいや。それ以前に未成年者飲酒で捕まりますよね?」
ごもっとも。というか、分かっててわざと言っただろう。
「それじゃあ」
「「乾杯~!」」
俺たち未成年は仲良く(?)炭酸飲料で乾杯。何の乾杯かって? 理由なんて何でも良いだろう。
プルタブを引くと小気味良い音を立て、缶が開く。
うん。外がどんなに寒くても、サイダーは冷えているものに限る。
「良いお湯でしたね。お兄さんの方は?」
「こっちも良かったよ」
ここの温泉は入れ替えがあるので、今日は一階のお風呂が男湯で、二階のお風呂は女湯だった。
「歩行浴とか面白かったな。あれでお年寄りには筋力トレーニングになるらしいよ。露天風呂は展望が良かった。もう少し暗ければ、星空が綺麗だろうな……って感じ。綾乃の方は?」
「こっちは二階だったので、外の景色が見えましたよ。まあ、もう暗くなってますから、そんなに視界良好! って感じではなかったのが残念でしたねぇ」
夕方だから、それは仕方ない。
「あーあ。お兄さんと一緒に入りたかったなぁ……。せっかく一緒にツーリングしてるのに、温泉が別とかつまんない……」
消え入りそうな小さな声だったが、俺には何を言ったか聞こえてた。思わず溜め息が出る。
「綾乃、それ何度目? 無理言っちゃダメだぞ」
混浴温泉か家族風呂でもない限り、一緒に入浴するなど無理な話だ。
この近辺には混浴の温泉は無いし、家族風呂は名前の通り家族が使うものだ。俺と綾乃はツーリング仲間であり、家族ではない。
「分かってますよ~。でも、つまんないです」
「そこ、
拗ねたり文句を言ったりしたって、『じゃあ、一緒にどうぞ』って温泉が許可を出すわけがない。
言うだけならタダだが、虚しいだけだと思う。
「さ、そろそろ行くぞ」
新城さんの家を知っているのは俺だけなので、ここからは俺が先頭を務める。
「準備オッケー?」
『オーケーですよ』
「それじゃあ出発するぞ」
道の駅を出発。
一旦国道153号線に入ってから、右折して国道257号線へ入る。
さっき走ってきた道を戻る感じだ。下ってきた坂道を今度は上って行く。
彼女とのツーリングで、俺が前を走るのはこれが初めてなので、時折後方を確認し、置いていかないように注意しながら走らせる。
しかし、リンのビーノとは違い、同じ速度で走れるからその心配はなさそうだ。
『お兄さん、あたしは気にしないで進んで良いですよ。ちゃんと追い掛けますから』
この調子だ。
「道に迷ったらどうするんだよ? 迷子になったら大変だぞ?」
『大丈夫ですよ。これがありますから』
確かに。これはライン電話を使っているから、極端な話北海道と沖縄ぐらい離れていても会話が出来る。しかし、
「この先圏外になる可能性あるけど?」
『はぐれてしまったら、最悪ネカフェや満喫に泊まります』
「こんな山中にあるとでも?」
そもそも、それが可能だったら新城さんのところに泊めてもらおうとは思わない。
『ある場所まで夜通し走ります』
「構わんけど、そうしたら俺とのツーリングはどうなるんだよ」
『あー。それは不味いですねぇ』
呑気だな。
この先、目的地までの間、コンビニ一軒も無いような山道だぞ……。
『でも、お兄さんと一緒なら、知り合いも多そうだから、泊まる場所に困りませんね』
おいおい。簡単に言ってくれるな……。
「これでも電話するときは心臓バクバクだったんだぞ。綾乃が一緒なのに野宿なんて訳にはいかないし、こんな山中じゃあ、他に泊まれる場所なんか無いし……。なのに綾乃はあてが無いって言うからさ」
迷った末の選択だ。友だちの家に 泊めて! って言うのとは訳が違う。
『それは。何というか……、ごめんなさい』
「まあ、何とかなったから良いけどさ」
道の駅 アグリステーションなぐら にて、トイレ休憩。
出発してからそんなに経っていないが、さっき言った通り、この先にはコンビニすら無い。言い替えるなら、公衆トイレは無いってことだ。
「ここから茶臼山に行けるんですね」
道の駅にある案内板を眺めていると、トイレから戻ってきた綾乃がそう言った。
「ああ。そこの道路を真っ直ぐ行けば、茶臼山高原だな。今はスキーの時期だけど、芝桜が綺麗なんだって」
「へぇ~。それなら今度芝桜の時期に行ってみたいですね」
えっと……芝桜。
スマホで簡単に調べてみる。
「芝桜のシーズンというと、5月から6月頃だな……。行くか?」
「行きたいです!」
即答ですか。嫌な気はしない。しかし、
「時間取れるかなぁ……」
問題はそこ。
「ゴールデンウィーク明けですからね。しかも、ちょうど祝日の無い6月」
……。
「そういう問題じゃないんだけどなぁ……」
俺が頭を
そういう反応をされると、腹が立つ訳でもイライラする訳でもないが、何となくもやもやする。
「俺、4月から三年生になるんだぞ。一応、受験生なんだよなぁ……」
「あ……!」
気付いてくれたらしい。
「お兄さん、高校卒業後のこと。何か考えているんですか?」
急に真面目な話になった?
「特には。
「何で疑問系なんですか?」
「まだ考えていない、ってことだよ」
ふと、この間会った
同時に、中世古先輩や吉川に加部も。
大学進学を期に京都へ戻るのもどうだろう……?
しかし、その場合父は一人になってしまう。何て言うだろうか……?
このまま家業を継ぐのも、一つの選択肢になり得るのかなぁ。
「どうしました?」
考え込んでしまっていた。綾乃が怪訝そうな顔で俺を見ている。
「いや、考え事。そういう綾乃は? なんか考えてるのか?」
「そろそろ行きましょう!」
って、話逸らされたんだけど!
新城さんの家に到着。
前に一回来ているが、表札で間違いないことを確認。
『新城』
インターホンを鳴らす。
少し間があってから玄関が開く。
あれ? 知らない顔だ。
俺と同じぐらいの背丈の女の子。どことなく新城さん……肇さんに似ている。
「誰?」
開口一番そう言い放ち、戸は開けたまま、覗かせていた顔を引っ込める。
えっと……決して怪しい者ではありません……!
「
「滝野……?」
すぐに言葉が出なかった俺の代わりに、綾乃がそう言ってくれた。
しかし、玄関の彼女は名前を聞くと考え込んでしまう。
困った。彼女がこの家の住人なのは間違い無さそうだけど、話が通っていない感じでは、
「純一くん?」
そうこうしていると、玄関口にマミさんが現れた。
「ごめんなさいね。ちょっと手が離せなかったのよ。
「えっ? この人たちが?」
何とか話が通じたようだ。
「驚きましたね」
「ああ。一瞬ヒヤッとしたよ」
簡単に
その先入観が強く、名前や電話した旨を伝えても、すぐに思い当たらなかったようだ。
「しかしまあ。勘違いされてしまいましたねぇ」
「それを綾乃が訂正せずに肯定したからだろ! 面倒なことになったじゃないか……」
綾乃が凪さんに『滝野です』と名乗ったこと、俺がそもそも『二人。泊めて欲しい』という話をしたこと。そして綾乃が普段から俺を『お兄さん』と呼ぶこと……。以上を踏まえた結果、俺たちは兄妹ということになっている。もちろん、マミさんと凪さんの勘違いだけど。
そのため、俺たちの寝る場所は同じ部屋……。一応、用意されていた布団は、離せるだけ離してある。
「
「誰がするか! 明日も早いんだし、さっさと寝るぞ」
同衾か……。綾乃が変なこと言うから寝付けない。
「綾乃、まだ起きてる?」
声掛けてみる。
「……はい?」
あ、返事があった。
「さっき言ったのって本気なのか?」
「……半分、冗談ですよ……」
「またそれ……」
本気にして襲い掛かったらどうするつもりだったんだ?
「綾乃。俺、一応男なんだけど」
「分かってますよ。……でも、お兄さん、そんなことはしませんよね……?」
まあ、確かに。
綾乃のご両親は信用してくれているし、だからこそこうして二人でツーリング(しかも長旅)が出来ている。お年玉まで貰ってしまった。
その信用・信頼を裏切るような真似はしない。
とはいえ、あんなことを言われると気になるのが男の
「綾乃は俺のこと、どう思ってるの?」
……。
「綾乃?」
…………。
返事がない。寝てしまったか……。
俺も寝よう。
ゆるキャン△は、恵那ちゃんが、声優さん繋がりで時々『からかい上手の斉藤さん』って言われることありますが、この調子じゃあ『からかい上手の土岐さん』ですね(滝汗)。