【完結】本栖高校吹奏楽サークル   作:小林司

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お待たせしております。初の挿入投稿になります。

お話は 年末のお話 ですので、時間軸が少し遡っています。

○印が付いていますが、視点は誰のものか。最後に判明しますのでお楽しみに……。




 ○酒の川本(年末のお話)

 

どうも。お初にお目にかかります。

 

僕は、酒の川本でアルバイトをしている大学生です。

 

僕はご覧の通り背が低いし力も弱いので、酒樽や瓶ビールのケースを持つことが苦手で、専らレジに座っています。自分で言うのも変な話ですが、看板娘ならぬ ()()()()? の如く頑張っています。

 

 

 

今は年末、書き入れ時です。とはいえ、そこまでお客様は多くありません。

 

「瓶ビール、大瓶1ケースですね!」

 

そんな店内に、元気な女の子の声が響きます。

 

彼女は、各務原(かがみはら) なでしこさん。

 

「いらっしゃいませ!」

 

そして、こちらは大垣 千明(おおがきちあき)さん。

 

普段からアルバイトとして働いている大垣さんが、年末年始の短期アルバイトとして連れてきたのが各務原(かがみはら)さんです。

 

同じ本栖(もとす)高校の同じ部活に所属しているらしいですが、各務原(かがみはら)さんは、まあ、見掛けによらぬ怪力というか、バカ力(かいりき)の持ち主です。

 

「はい。お待たせしました」

 

そう返事をして、お客様に頼まれた大瓶ケースを、軽々と持ち上げて台車へ載せました。あれ、25㎏はあるはずです……。*1

 

「お姉さん、力持ちだねぇ!」

 

「はい! 体力には自信がありますので!」

 

「じゃあ、大瓶もう1ケース買っちゃおう! 車への積込も頼めるかな?」

 

「承知しました。お任せください!」

 

あらま。瓶ビール1ケースだけ買う予定だったらしいお客様が、彼女の力に惚れて(?)、追加でもう1ケース買っていくよ……。

 

「レジお願いします!」

 

各務原(かがみはら)さんの声です。台車を押してレジへとやって来ました。

 

「はい」

 

お客様がお会計を済ませると、そのまま台車を押して店を出て行きます。車への積み込みも依頼されているからでしょう。

 

「ありがとうございました~」

 

彼女に続いて店を出て行くお客様を見送ります。

 

 

 

 

 

数分後、各務原(かがみはら)さんは別のお客様を二人連れて入ってきました。女性二人、お二人ともメガネを掛けています。

 

「いらっしゃいませ~」

 

大垣さんが元気良く返事をし、そっちの方を振り向きます。

 

「あ、どうもっす!」

 

知り合いらしいですね。

 

「千明ちゃん、頑張ってるわね~」

 

「なでしこが迷惑かけてない?」

 

「大丈夫っすよ! 頼もしい助っ人っすよ!」

 

「もー、お姉ちゃんったら~!」

 

話を聞いている感じだと、今のお客様は各務原(かがみはら)さんのご家族らしいです。どことなく、似ている気はしていましたが、読み通りでした。

 

「それで、お母さんは何を買っていくの?」

 

「そうねぇ。別に欲しいものはないんだけど、なでしこに捕まったからね」

 

そういうことでしたか。

 

「なら、私の酎ハイとお父さんのビール、お母さんの日本酒で良いんじゃない?」

 

そして、数分後レジを通過して退店して行きます。

 

「ありがとうございました~!」

 

その際、各務原(かがみはら)さんのお姉さんは、僕の顔を凝視していきました。あれは一体何だったのでしょう……。

 

 

 

 

 

昨年*2、酒税法改正で一部の酒類が値上げとなっしまい、買い控えがあったらしく、少し売り上げが落ちているらしいです。店長と副店長が話しているのを聞いてしまいましたし、レジに立っていてもそれは感じていました。

 

なのに、各務原(かがみはら)さんと大垣さんのお陰でメチャメチャお酒売れているんですが!

 

今はどちらかといえばお客様の少ない時間帯です。

 

しかし、ピークが訪れると大忙しです。レジには列が出来、店長がヘルプでレジに入り、店長がスキャン、僕がお会計をしてお客様を捌いたりもします。

 

えっ? もっと早く言えって?

 

……失礼しました。

 

別に、いつでも暇なわけではないのですよ。

 

 

 

 

「いらっしゃいませ! あ、先生!」

 

自動ドアが開き、入ってきたお客様に大垣さんが声を掛けました。

 

先生? ……ああ。『ぐび姉様(鳥羽先生)』ご来店~。

 

「あら、大垣さん。お仕事ご苦労様です」

 

しかしぐび姉様。前から有名人だったけれど、まさか高校教諭だとは……。人は見かけによらないと言いますが、その通りだと思いました。

 

「あ、鳥羽先生! いらっしゃいませ~!」

 

各務原(かがみはら)さんもご苦労様です」

 

しかも、それがすぐそこの本栖高校とは思いませんでしたよ。世の中狭いです。

 

「なでしこ。先生、いつもの奴はそれだ」

 

「あ、各務原(かがみはら)さん。今日はそれではなくて、こちらにします」

 

「分かりました!」

 

その後、ぐび姉様はいつものより少し高いビールを一ケースと、日本酒を数本お買い上げ頂きました。

 

「「ありがとうございました!」」

 

「それではお二人とも、お仕事頑張ってください」

 

「「はい!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は流れ、退勤の時間となりました。

 

「お疲れ様でした」

 

「おお。明日もよろしく」

 

「はい」

 

店長に声を掛け、タイムカードを打ち、着替えて帰ります。

 

各務原(かがみはら)さんと大垣さんは同時刻での退勤ですが、更衣室・ロッカーが違うので、お店を出るのまで同時、とはなりません。

 

僕は普段から車で通勤していますから、退勤時間が同じ日は、大垣さんを彼女の住むマンションへ送っていきます。時々犬山(いぬやま)さんという、彼女の友達も一緒だったりします。ちなみに各務原(かがみはら)さんは電車通勤なので、波高島(はだかじま)駅まで送ります。

 

 

 

 

車の運転席で、皆さんが来るのを待っていると、助手席の扉が開きました。

 

「お疲れ様です~」

 

それが当たり前。そう言わんばかりの感覚で、扉を開けて乗り込んできたのは犬山さんでした。

 

あ、別に嫌ではありませんよ。こういうの。

 

「お仕事お疲れ様です犬山さん。……他のお二人は?」

 

()()()()()()ちゃんは、別の用事があるとかで、遅くなるみたいです」

 

「そうですか。それでしたら、出発しましょうか」

 

「はい。お願いします」

 

そういえば、今日は何も言っていきませんでしたね。

 

というのも、先程、毎日当たり前のように送迎しているみたいに言いましたが、実は大垣さんから『帰り、お願いします』や『頼んます!』って言われているんですね。

 

送るのが当たり前すぎて気付きませんでしたが、今日は言われてませんでした。

 

 

 

 

波高島駅近く、犬山さんのお宅に到着です。

 

「それでは、ありがとうございました」

 

「いえ。お疲れ様でした」

 

犬山さんを降ろし、僕はそのまま帰路へ向かいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

10分程車を走らせると家に到着します。そうです、僕は実家暮らしなのです。

 

「ただいま」

 

玄関を潜ります。

 

「レン兄お疲れ~!」

 

「ミク、ただいま」

 

可愛い妹が迎えてくれます。まあ、時々怖い子ですが。

 

「ルカ姉から電話あったよ」

 

「うん? 何て言ってましたか?」

 

「明後日こっち来るって」

 

明後日……。大晦日ですね。

 

確か、年末年始はアルバイトがあるって言ってましたから、あまり長くは滞在できないでしょう。

 

でも、僕もルカ姉に会うのが楽しみですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おっと。申し遅れました。

 

僕の名は、可児 レンと申します。妹が(たぶん)お世話になってます。

 

 

 

*1
※労働基準法に触れます。重量物は一人で持たないように……。

*2
2017年6月1日





可児家の人々

可児 ルカ……長女(長子) 大学生(四年生) 愛知県の大学に通っていて、一人暮らし
流花は本人による当て字

可児 レン……長男 大学生(学年不詳) 桜と同じ大学、実家暮らし

可児 ミク……次女(末子) 本栖高校一年生 吹奏楽サークル所属






と、言うわけで、ミクの兄に登場していただきました。こういう場合、オリキャラがいると便利です。
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