お待たせしております。
滝野が コネ(?) を駆使し、本領発揮する場面です(大袈裟)。
余談を幾つか。
マックスバリュー下田店。平日の月曜日、朝に行ったら駐車場は満車でした。24時間営業だからですかね?
なので、最初はバイク組は別の場所で待機する話にしようかと思いましたが、駐車場とは別に駐輪場があるのでこれは不自然と思い、買い物する場面をカットしました。
爪木崎乗の件。はっきりした話は分かりません。ググってみた結果、出てきた噂をくっ付けてみました。
それと、私個人の話……。
先週ここにて記載した通り、現在運転免許合宿の真っ只中です。順調ならば、今日がいよいよ卒業試験……。頑張ります(滝汗)。
結果は、来週次話のこの場にて……。
金谷旅館を出て道なりに進むと、伊豆急下田駅が見えてきた。
『最初はここを待ち合わせにするつもりだったんだよね』
後ろの
『それを
『うん。ここまで来るんだと、一度熱海駅へ行ってから乗り換えるか、修善寺駅からバスで
「俺たちは先に帰ることになるから、どのみち凪と2人乗りすることになる。って訳で、修善寺駅に決めたんだ」
最低でも一回タンデムすることになる。一回やれば二回三回やっても同じ。
『なるほど。ところで凪、お兄さんの後ろに乗ってみてどう?』
は?
唐突に変なことを聞くな……。
『良く分かんない。でも、お祖父ちゃんの背中とは全く違うかな? 年季というか、厚さが違うというか……。木の年輪?』
「どんな例えだよ!」
そうこう話ながら走っていくうちに、待ち合わせ場所の道の駅に到着。
『どの辺に止めよう?』
この道の駅は海の前にあり、港の施設があって、道路を挟んで道の駅がある。建物が横に長い二階建てで、一階が半地下の駐車場だ。東側にも平面の駐車場はあるが、大型車優先らしい。
「すぐの所で良いだろう」
恐らく、先生は車を一階の駐車場に入れると思うから、駐車場の入口に近い所に停める。
「はい。到着」
ヘルメット・インカムを外し、凪に続いてバイクから降りる。
「下田到着~!」
「着いたぜ……」
凪、リンが続いて声を上げた。何というか、二人の性格を表しているような……。
「車組は?」
俺がそう尋ねるまでもなく、リンはスマホを操作していた。
「えっと……。あ。もうすぐだって。ここの看板が見えてきたってさ」
「了解。それじゃあ、そっちの道路に出て出迎えるか?」
「そうだね。リンも行く?」
「もちろん」
道の駅の建物の東端、丸ポストがある辺りで待機。
「へぇ~。リン途中までお祖父ちゃんと一緒に走ったんだ」
「うん。昨日の夜、スクリーン持ってきてくれて一泊して。すぐ出発したんだよ。しかも、昨日は甲府まで部品買いに行ってくれたんだよね」
凪とリンの話を聞いた感じだと、新城さんは昨日の昼過ぎに凪の寮に寄り、買ってあったスクリーンを回収。リンの家へと持っていき、ビーノに取り付けたスマホホルダーに不備があって、そのまま甲府まで一往復したらしい。
そして、一泊して今日の早朝、リンと共に家を出発、途中までツーリングして、何処かへと向かって行った。
「まあ、お祖父ちゃんあまりじっとしているタイプじゃないから」
「そろそろ歳なんだから、大概にして欲しいっていつもお母さん言ってるんだけどね」
「あ、それうちのお母さんも同じ!」
大変なんだな……と他人事*1のように思っていると、見覚えのある車がやって来る。
「あれだよ」
ナンバープレートで間違いないことを確認し、二人にそう告げる。
三人で手を振って迎えるが、当然ながら車は素通り。
「お兄さん、あの車って
「そうだよ。リンと
「道理で。見覚えあると思った」
あれ? 賽銭箱突っ込まれなかった。
四尾連湖での焼肉キャンプ。
あの話、今だからしてしまっても良いかな……? リンと俺が遭遇した、牛鬼の亡霊の正体を。
一瞬、そんな考えが頭をよぎったけど、あの話を今更蒸し返すのも
結局、ここに着いて起こされるまで全く起きなかった各務原さんに対し、犬山さんが姉妹でホラを吹くという三文芝居があったり、凪が他のメンバーに自己紹介をして、積もる話をしながらお昼御飯を食べたりして、道の駅を出発。
因みに、車組は河津桜の渋滞にはまって大変だったようだ。
渋滞で全然進まない中で、追突事故が起きてしまったらしい。事故処理に向かうパトカーも、後片付けを行うためのレッカーも、渋滞で中々到着せず。まさに地獄絵図。
お陰で、集合予定時刻より一時間も遅くなってしまった。
なお、一時間遅れ と言えば聞こえが良いが、車組も予定より一時間ほど早く進めていたため、先の渋滞に巻き込まれていたのは二時間だ……。
まあ、それ故に温泉に入れた訳だから、バイク組には『禍転じて福と成す』になったのかな?
とはいえ、巻き込まれた側はたまったもんじゃないだろう。
駐車場に向かってみんなで歩いて行く。
「リンが回ったジオスポが二ヶ所。で、あたしらが一ヶ所」
先頭を歩く大垣さんが戦果(?)確認。
残念ながら、俺と凪が巡った二ヶ所*2はジオスポではないのでカウントされない。
「全部はムリだけど、目立つところは回りたいよな」
「だね!」
「堂ヶ島のトンボロは明後日行くんだっけ?」
「あぁ。明後日の昼頃が丁度良いらしい」
「あおいちゃん『トンボロ』ってなんなん?」
「豚トロの仲間やで」
「へぇー。どんな味するん?」
『トンボロ』という単語を聞き、あかりちゃんはそれが何かを犬山さん(姉)に問った。
しかし、教えたのはウソだった。
「『息をするようにウソを教えるイヌ子』『そもそもトンボロを知らないこと自体がウソのチビイヌ子』。これがホラ吹き姉妹の騙し合いだ」
「恐ろしいねあきちゃん」
それを聞いて、脇にしゃがみ込み、ないしょ話をするように話す大垣さんと各務原さん。
「深読みしすぎだ」
突っ込むリン。
「ニヒヒ~」
因みに、トンボロの話をし終えたあかりちゃんは、俺の方に笑みを投げてきた。
まあ、その理由は追々。
まずは食料調達。伊豆急下田駅近くの、チェーン店のスーパーマーケットへ向かう。
今度は、俺・リン・恵那ちゃん三人のグループラインに凪を入れ、それを活用して車組と二台のバイクとの会話を可能にした。
『先生、そこの交差点を右折っす』
『分かりました』
『なーな、あおいちゃん。あれ、なんなん?』
『あれはロープウェイやな。
『ロープウェイは
『うちらは元旦に身延山のロープウェイ乗ったな』
『そういえばそうだったね』
『あの後は、アキちゃんが時間を間違えて酷い目にあったわ』
『それは……な?』
『でも、その
『実物見たかったわ~』
ラインの無料通話を使っているのと、スマホを持つ恵那ちゃんが三列シートの真ん中に座っているので、車内の会話は全て筒抜け。
『騒がしいね……』
凪の呆れ声。
「どうせ最後の方にはみんな疲れてグロッキーなんだから、最初ぐらい良いんじゃないか?」
『先輩の言う通りだな』
因みに、車列は前から、車・ビーノ・トリシティだ。
『トラ先輩! リン! スーパー、見えてきたぞ』
大垣さんの言う通り、最初の目的地が見えてきた。
スーパーでの買い物が終われば、次は干物屋へ向かう。
各務原さんが金目鯛の干物を使ってキャンプご飯を作るらしい。
干物を手にした彼女の宣誓に、犬山さんたちが拍手。
その傍ら、店内のイートインで干物を焼きながらお酒を呑むお客さんを見て、そちらへ向かおうとする鳥羽先生を捕まえる犬山さん(姉)。
大垣さんによる『エビ作戦』敢行のため、長い間禁酒させられている先生にとって、目に毒だ……。
とある二人の心配も杞憂に終わり、無事に先生に伊勢エビの干物を買ってもらい、買い出しが完了。
「それじゃあ、キャンプ場に向けて出発~!」
「「「お~!」」」
と、全員で意気込むも、
「あ。これから向かう場所はキャンプ場ではありません」
先生に出鼻を挫かれる。
「キャンプ場じゃないんなら、
「野営ですよ」
なるほど。
…………うん?
………………は?
「先生」
俺はあることが頭をよぎり、不安になってきた。
『一泊目は下田の浜辺』と言っていたのを思い出したからだ。
「野営って。まさか、浜辺でキャンプするつもりですか?」
「ええ。爪木崎で」
さも、当たり前のように……。
「滝野くんが言いたいのは、県条例のことですよね?」
県条例で、6月から10月迄の間、伊豆半島の浜辺はキャンプが禁止されている。期間外なら問題ない。
しかし、それはあくまで条例の話。
「いいえ。爪木崎は地主の意向で、数年前から通年でキャンプ禁止です。皇室の御用邸*3が近いからとか、マナー悪いキャンパーが係留していた船を薪にして燃やしたとか、諸説ありますが……。先生、何処かに確認取りました?」
「えっと……市役所には……」
「じゃあ、たぶん知らないんだと思います」
市役所は所詮、お役所仕事。現場を把握しきっているわけではない。まさに『事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!』だな。あれ? これ何のセリフだっけ……?
俺の言ったことに、先生がみるみる青ざめてゆく。それは周りのメンバーも同じ。
「と、とにかく行くだけ行ってみましょう。爪木崎はジオスポでもありますから……」
完全に凍りついた場の空気を変えようと思って言ったが、無意味のようだった……。
その後、爪木崎に移動し、俺の言ったことに間違いないことが確認出来た。
みんなは灯台や俵磯を観光、そんな中先生はキャンプ場探し。
「今、泊まれるキャンプ場探してますから……」
先生がそう言いながら頭を抱えている。
「先生、そんなに落ち込まなくても……」
いや、恵那ちゃん。先生の本音は『お酒』絡みだと思うよ……。
「でも、キャンプ場って当日予約なしで泊まれるものなの?」
「予約不要の所とか、無料の所なら大丈夫だと思う」
「要予約でも、空きがあれば行けるんじゃないか?」
それは場所によって異なると思う。うちは基本、予約限定だ。
「まあ、今冬だしそんなに混んでないと思うけど」
「せや! 早く見つけんと、管理人さん帰ってまうで! あの時みたいに……」
ああ。山中湖の時か。
呑気にしていたら、管理棟閉まってしまい、大変なことになりかけたやつ。
「確かに! 最悪車中泊ってことになるぞ!」
車中泊……。いや、九人居るんだが?
全員乗れないから野営通り越して野宿だぞ、それ。
「みんなで手分けして探そう!」
みんながスマホを取り出し、操作し始めた所で……。
「皆さ~ん! ちょっと落ち着きましょう!」
急に、腰に手を当てた凪が大きな声を出す。
「ど、どうした? 急に……」
あーあ。みんな驚いてるぞ。まだ凪がどんな子か分かっていない人が多いんだから。
「何慌ててるのかな? このお方が目に入らぬか!」
なんのドラマの真似だよ……って、俺を指してるのか!
「
さあ? 何方でしょうねぇ。とぼけてしまいたいけれど、そんな状況じゃないよね……。
「「「あっ!」」」
おお。みんな気付いてくれたようだ。
「先輩、お願いします!」
野クル部の部長として筆頭に立ち、俺に頭を下げる大垣さん。そこまで改まらなくて良いけどね。
さてと。
俺に出来ることは二つ。『顔の利くキャンプ場に問い合わせる』か『飯田さんを頼る』か。
前者は幾つかあるんだけど、確かどこも冬季休業を理由に、うちへ遊びに来ていた記憶がある。確実ではないから、この状況では後者の方が良いだろう。
……と言うことで電話。
『はい。飯田です』
「あ、美晴さんですか? 滝野です」
『ああ、純一くん。どうされました?』
「実は……」
事の経緯を説明。
『……というわけです』
「分かりました。今、父が問い合わせてますから、ちょっと待ってくださいね」
ん? もう電話してるんだ。スピーカーにでもしてたのかな。
『それにしても。急に電話が来たから驚きましたよ』
「スミマセン……」
『いえ。構わないですよ。久し振りに純一くんの声聞けましたし』
「あはは……」
何か恥ずかしい。
『伊豆キャンプ、良いですよね。此方には来られるんですか?』
「はい。山中湖の時のお礼に、あの時のメンバーと+αで伺います」
『なるほど……。あの時の皆さん、お元気ですか?』
「もちろん。みんな飯田さんたちにお会いできるの、楽しみにしてますよ。まあ、本命はチョコちゃんかもしれませんが……」
『チョコも待ってますよ。あ、父に変わりますね』
『純一くんけ?』
この声は飯田さんだ。
「はい。お久し振りです」
『久し振りー。早速だけどね。西伊豆町の黄金崎キャンプ場抑えたから、一回電話して? 番号はラインするから』
マジで! もう!
「分かりました! ありがとうございます!」
『わたしの知り合いがやっとるとこでね。海の近くの良いとこだで』
「助かります!」
『いいのいいの、純一くんの頼みだで。それじゃあ気を付けて楽しんで!』
「ありがとうございます。失礼します」
一度、電話を切る。
すぐにラインで電話番号が届いた。そこへ電話を掛ける。
『お電話ありがとうございます。黄金崎キャンプ場です』
「木明荘の滝野と申します」
『ああ。飯田さんから聞いてますよ。何名様ですか?』
「えっと、九人です。車両は、乗用車一台とバイクが二台です」
『九名様、車一台にバイク二台。……かしこまりました。お気を付けてお越しください』
「よろしくお願いします」
『はい。では後程……』
電話を切る。
みんなの方を向き、両手で頭上に大きな丸を作る。
「「「おお~!」」」
歓声が上がった。
「西伊豆町の黄金崎キャンプが取れました!」
俺の話を聞いて早速、大垣さんがスマホを操作。
「お。明後日行く予定の堂ヶ島が近いな。これなら、今夜はゆっくりして、明日の昼に行った方が良いな」
地図を確認しているらしい。
今の話を聞いて、みんなが回りに集まる。
「でも、それやとここのジオスポ、めっちゃ遠なるで」
俺も加わる。どれどれ……。
細野高原か。確かに堂ヶ島とは真逆だ。
当初予定が、下田→爪木崎。細野高原→カピバラ・大室山→飯田さんのところ→
「ちょっといい?」
迷っていたところに割り込んだのがリンだった。
「ならさ。ここのジオスポは今から行って、それからキャンプ場へ。明日は昼まで堂ヶ島でゆっくりして、達磨山へ向かう、ってのはどう? 明後日は大室山と飯田さんのところに顔を出す。って感じ」
おお。上手く
まあ、俺も同じことを考えたけど……。
「流石、リンちゃん!」
「志摩さん、旅慣れてますね」
彼女の提案に、周りのメンバーが感心している。当の本人は、少し恥ずかしそうだけど。
あ、飯田さんのところへ行くのが三日目になってしまったってことは、俺と凪は飯田さんに会えなくなったってことか……。
まあ、また機会はあるだろう。
あと、綾乃に予定変更のことをラインしておかないと。うっかり鉢合わせたら、サプライズが台無しだからね。
早速出発しようと車に乗り始める中、リンは大垣さんと恵那ちゃんを手招いて内緒話。これは俺が聞いても問題ない話のはずだ。
「こうすれば、明日は時間に余裕が出来るから、『エビ作戦』の準備に使えるだろ」
「なるほど……。流石リン」
「中々策士だなぁ……」
「言い出しっぺが言うか?」
そんなヒソヒソ話を見て、あかりちゃんが飛んできた。
「なーなー。何話しとるん?」
その様子を見て、三人が顔を見合わせる。
「この話、チビイヌ子にもしといた方が良いよな」
「『えびさくせん』って奴か?」
「「「は?」」」
しかし、そんな大垣さんの考えを知ってか否か。まさかの発言に、皆ぎょっとする。
「ニシシ~。お兄ちゃんから聞いとるよ」
そう。俺から全て話してある。サプライズだから内緒だよって。
ついでに、『トンボロ』の正体も。
「主役の二人には内緒にしとけばええんやろ?」
「トラ先輩~」
何か言いたげな大垣さん。しかし、俺は笑って誤魔化した。