【完結】本栖高校吹奏楽サークル   作:小林司

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お待たせしております。
なんとか、今月一杯は週一回の投稿を続けれました。

予告通り、来月からは不定期となりますのでよろしくお願いします。


さて。先日少しドライブに行ってきました。雨模様でしたけど。
自宅発着の日帰りで、家族でドライブです。

そのついでに、アニメ3期の聖地となった、愛知県豊田市の道の駅『どんぐりの里いなぶ』に寄りました。

そうです、本作47話・48話の聖地でもあります。先取りしていたんですよ……。

売店にはやはり、アニメに登場したカステラが……! 味のラインナップはアニメと現実で差異がありましたが、それはご愛敬。

店内のその売り場には、リンとなでしこの等身大POPも設置されてましたね。

そのPOPは撮ってないんですけど、外の自動販売機にはこんなポスター(貼り紙?)が。

【挿絵表示】

もちろん、二種類ある両方を購入しましたよ。まだ食べていないので、味については機会あればお話しします。

その後、何を考えたのか国道153号線を宮田村(長野県)まで北上し、300㎞を超えるドライブになった訳ですが、これは別の話です……。


前置きが長くなりすみません。本編どうぞ。



 伊豆キャン 二日目①~朝の出来事~

 

目が覚めた。

 

えっと……今何時だろう?

 

7時過ぎ。もうこんな時間か。少し寝過ぎたかもしれない。

 

とりあえず、テントから出てみる。

 

しかし、みんなまだ寝ている感じだ。

 

まあ、昨日は『今日は夜更かし祭りだぜ~っ!』みたいなことを言っていたし、昼まで寝ているつもりだろう。堂ヶ島に行くのも昼頃が丁度良いって話だったし。

 

とはいえ、あの時間に寝て、彼女らと同じ時間に起きてきたらそれは寝過ぎだから、これは仕方ない。

 

さてと。起きたはいいが、やることがない。

 

楽器……は持ってきてない。

 

何処かその辺を回ってくるかな……。

 

と思い、何気なく振り向くと……、

 

「リン?」

 

「あ、お兄さん。起きたんだ」

 

「うん。今起きたところ」

 

リンが立っていた。どうやら、何処かへ行って帰ってきたところみたいだ。

 

「何処行ってたの?」

 

「黄金崎を見てきた。馬ロックも」

 

なるほど。黄金崎にいるとはいえ、来たのは夜。それ故肝心な黄金崎は観光できてなかった。

 

「とりあえず、荷物まとめるか」

 

「だね」

 

俺の場合、テントは一人で使っているから、もう畳んでも良い。

 

シュラフ等を畳み、リンに手伝ってもらいながらテントを片付ける。

 

しかし、ものの数分で終わった。

 

まだ8時。何処か回ってくるのも良いなぁ。

 

と、思いリンを見ると目が合う。考えることは同じみたいだな。

 

 

 

 

ラインにメッセージを残し、リンに後ろに乗ってもらい、バイクを走らせる。

 

えっ? こういう時に二台走らせるのは非効率。2人乗り出来るんだから、一台で充分。

 

昨日の夕方来た道を南下して行く。

 

堂ヶ島を通過し、路地へと入る。

 

「あ、猫だ」

 

「猫? ああ」

 

車じゃ通れない路地から、ひょっこり顔を出す(?)と、脇にはこちらの様子を窺う一匹の猫が。

 

「どっち?」

 

「あの辺じゃない?」

 

「うん? そんな感じだな」

 

そんなこんなで目的地、沢田公園に到着。

 

 

 

 

 

温泉があるので、付近を軽く散策してから、受付でお金を払って入浴。

 

「朝から入る温泉も、爽やかでええ」

 

壁が薄いのか、隣の声が丸聞こえ。どうやら、男湯同様女湯も貸切状態らしい。

 

「年寄り臭い台詞は止めとけ」

 

「良いじゃん別に。誰も聞いてないんだから」

 

「まあな……」

 

そうやって油断していると、誰か入ってくることがあるんだよな。ここは公衆浴場だから。

 

「抜け駆け温泉、気持ち良すぎ……」

 

「景色も最高だな」

 

「あ、でもここ。堂ヶ島観光の遊覧船から丸見えらしいよ」

 

「えっ? 女湯もそうなってんの?」

 

「うん」

 

「マジか、すげぇな。こういう場合、女湯は目隠しがあると思ってた」

 

俺は今浴槽に浸かっているんだけど、すぐ海側は木製の簡単な柵(手摺)があるだけで、目の前は海だ。

 

「普通そうだよね。この壁だって海側への出っ張りが少ないから、覗けそうだよね?」

 

「確かに」

 

覗けそうではあるけど、無理して転落したら洒落にならない。裸だし。

 

 

 

「灯台、残念だったな」

 

「仕方無いだろ?」

 

この沢田公園の近くには仁科灯台という名の灯台があったのだが、2007年頃に撤去されて残っていない。

 

最初、リンが俺には何も言わずに灯台探しを始めたから、何を探しているか分からなかった。

 

だが、延々と探していて一向に見付ける感じがしなかったので、問い質してみたら灯台だった。

 

「でも、開口一番に『馬鹿には見えない灯台ってあると思う?』だもんな」

 

「仕方無いだろ。でも、お兄さんの返しが『リンは馬鹿ではないだろう?』だったよね」

 

「でも、その通りだろ?」

 

普段、放課後は図書委員として図書室での仕事をするか、アルバイトをして働いて、週末や長期休暇はキャンプへ出掛ける。そんなリンだが、成績は良い。俺は二年生の、リンは一年生の、それぞれ試験の学年順位は一桁だ。

 

いつ勉強しているんだろう? と、時折気になる。

 

「そういえばさ、お兄さん」

 

「なんだ?」

 

「お兄さんって、付き合ってる人いるの」

 

突然の爆弾発言が来た! え、これ地雷ですか? 起爆装置は何だろう?

 

「な、何でそんな話になるのさ?」

 

「冬休み、女の人バイクに乗せてたよね?」

 

あ? ああ。吉川(よしかわ)のことか……。

 

「あの人は、北宇治の吹部の部長だよ。俺は小学校から同じクラスではあったけど、ライバルだった時期はあっても恋仲ではないぞ?」

 

ってか、見られてたのか……。

 

「でも、わざわざ京都から来たんでしょう?」

 

「それはそうなんだけど……。話すと長くなるぞ」

 

「良いよ」

 

吉川が来た理由。

 

高坂(こうさか)(名前は出さない)から貰ったという使いかけの青春18きっぷを手に、何となく俺に会いたくなってやって来た。

 

「俺の知らぬ間に全国大会出場レベルの強豪校になったからな。そんな部の部長だから、俺には知り得ぬ苦労とかあるんだろうさ。俺が相談に乗ったところで何か解決するとは思えんけど、来た以上は無下にするわけにもいかんだろう?」

 

これを説明したところでリンは納得するかどうか……。

 

「その通りだな……。それで、相談に乗ってあげてどうだったの?」

 

「さて? でも、少しは楽になったんじゃないか?」

 

中川からのラインのビデオ通話で聞いた話だと、見て分かる程度には変化があったらしい。

 

 

というか、中川も慌ててたのか、普通にメッセージのやり取りで良かっただろうに、ビデオ通話を掛けてきた。

 

着信に応じてみれば画面に映ったのは中川の耳と、見覚えのある明るい色の髪。驚いたなぁ……。本人は普通の無料通話のつもりだったんだろう。

 

からかい気味に「え? これ誰の耳?」って言ったら「は、何言ってんの?」からの「えっ! これビデオ通話!」という驚きと共に、床へ落下した音と、画面に写るスカートの中……。黒かったけど、スパッツなどではなかった……。

 

あ、傘木(かさぎ)からも連絡あったんだっけな。

 

「ところで。そろそろ上がらないか?」

 

俺は逆上(のぼ)せそうだ。

 

「了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

温泉を後にし、二人でキャンプ場へと戻ってきた。

 

「あ」

 

丁度、先輩方三人管理棟から出てきた。出発する時間なんだろう。

 

「純一に志摩(しま)さん。何処か行ってたの?」

 

「ちょっと温泉に行ってました」

 

「温泉かぁ。どの辺り?」

 

「沢田公園です。ここから南に10分ぐらい走った所にあります」

 

「南か。逆方向だな。どうする、渋谷?」

 

逆方向ということは、北か東へ向かうということだろう。

 

「先輩方の今日のご予定は?」

 

リンが先輩方に尋ねた。

 

「ん? このまま戸田(とだ)まで北上して、そこから達磨山(だるまやま)まで上り、西伊豆スカイラインを走るよ。それで月ヶ瀬の方へ抜けて天城峠を越えて河内温泉に泊まる」

 

戸田(とだ)? ああ、戸田(へだ)だな。読めないよな、普通……。

 

「明日は?」

 

「河津桜見てから天城峠越えて、伊豆縦貫道で帰路」

 

「なるほど……」

 

予定を聞いてどうするつもりだろう? ああ!

 

「でしたら、先に予定通り西伊豆スカイラインを走って、その後月ヶ瀬ではなく此方側に抜けてください。それから沢田公園に寄って温泉へ入り、婆娑羅(ばさら)峠を通れば河内温泉に行けます」

 

なるほど。やはり、昨日野クル部の予定を立て直したの同様に、先輩方の予定も考えてくれたのか。

 

「良いね! それなら天城峠往復で通ることにならないし、ルートに無駄がないね!」

 

リン提案のルート。水谷先輩は気に入ったようだ。

 

「流石志摩さん、旅慣れてるね」

 

「うんうん。有り難いねぇ」

 

三人から褒められ、少し恥ずかしそうだ。

 

「優秀な後輩がいて、吹奏楽サークルも安泰だね」

 

…………うん?

 

「あの、渋谷先輩。勘違いしてませんか?」

 

「何さ?」

 

「リンは帰宅部です。図書委員ですが、サークルには所属してません」

 

水谷先輩の早とちりだ。リンも俺の言葉に頷いている。

 

「そうなんだ」

 

「私、楽器出来ませんよ」

 

「えー。フルートとか似合いそうだけど」

 

まさかのメタ発言!

 

「まあまあ……。そろそろ出発するよ」

 

「それでは先輩方。どうぞ」

 

「「お気を付けて!」」

 

リンと二人で出発して行くのを見送る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先輩たちの車が視界から消える。

 

それまで一緒に見送っていたリンだが、不意に俺の顔を覗き込む。

 

しかし、そうはいっても背が低いので、自然と上目遣いとなるのだが。

 

「お兄さん」

 

「どうした?」

 

「私、吹奏楽サークル入った方が良いですか?」

 

先輩に感化されたか……。その気持ちはありがたいんだけどさ。

 

「別に良いよ。『野クル部』にも誘われてるんだろう? 大垣さんに何言われるか……」

 

「だよね……。だからって野クル部に入るのは遠慮したいし……」

 

それで良い。俺はそれで構わないし、変に部員が増えると五月蝿(うるさ)い奴が居るんだよなぁ。

 

「水谷先輩には前に言ったけど、当分の間可児(かに)と二人で頑張るよ」

 

「だな。頑張れ」

 

軽いな……。

 

そういえば、野クル部も新入生の部員争奪戦に加わるんだろうけど、『野クル部』という名前で人が集まるだろうか。

 

まあ、俺が気にしても仕方ないか。

 

 

 

さてと。みんなが起きるまであとどれ位だろう……。

 

 

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