【完結】本栖高校吹奏楽サークル   作:小林司

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 エピローグ あとがき

 

3月も半ばを過ぎた某日。

 

俺はテントやシュラフを積んだビーノに乗り、県道414号線を走っている。

 

夜明け前の今、気温は一桁、まだまだ寒いが空は快晴、ツーリングには最高の天気だろう。

 

久那土郵便局を過ぎ、学校へ向かうときは右折する交差点を直進、その先のトンネルを抜ける。

 

道なりに進めばそろそろ見えてくるはずだ。

 

 

 

リンの家が見えてきた。

 

「あ、先輩~!」

 

玄関先には咲さんの姿が。俺に気付いたのか、こちらに手を振っている。

 

咲さんの前にバイクを止めた。

 

「おはようございます」

 

「おはよう。リンなら先に行っちゃったわよ」

 

は?

 

いつもビーノが止まっている場所に目を向けると、その姿はない。

 

「買い忘れたものがあるらしいの。先輩には、道の駅とみざわ で待ってるって伝えるように言われたのよ」

 

なるほど……。

 

「とみざわですね……分かりました」

 

ならば長居は不要、エンジンを始動。

 

「あ、ちょっと待って」

 

出発しようとしたら咲さんに呼び止められる。

 

「これ私から。少ないけど使って」

 

封筒を差し出された。

 

『少ないけど使って』と言ったということは、お金が入っているのだろう。

 

「良いんですか?」

 

「勿論よ。何か美味しいものでも食べてきたら?」

 

「じゃあ……。いただきます」

 

落とさないように鞄に入れ、バイクを発進させる。

 

「気を付けて行ってらっしゃい~!」

 

 

 

 

富士川沿いの県道10号線を南下し、富士山を渡って国道52号線へ。

 

すぐに目印の たけのこタワー が見えてきた。

 

「おはようございます」

 

駐輪場にバイクを入れると、リンと彼女のビーノの姿が。

 

「リン、おはよう」

 

俺もビーノを止め、エンジンを切ってヘルメットを取る。

 

「今日はどうするんでしたっけ?」

 

今日は綾乃、リン、各務原さんと四人で大井川キャンプをする日だ。

 

「大井川沿いを北上して、自家用車で行ける最北端の畑薙湖。険道を進む予定だよ」

 

「険道って……アヤちゃん大丈夫なんですかね?」

 

「いやいや。提案してきたのは他ならぬ綾乃だぞ」

 

最初は大井川下流の方にあるキャンプ場が良いと思っていたら、険道……もとい、大井川の北の方へ行きたいという綾乃の声を反映して、電車で参加する各務原さんが行きやすい所のキャンプ場に決まった。

 

各務原さんとはキャンプ場で待ち合わせ。俺たちが険道ツーリングを楽しんで、キャンプ場に着く前に、先に行っている各務原さんに火起こしをしてもらう予定。

 

「リン、焚き火グリル渡してあるよね?」

 

それがなければ始まらぬ。

 

「はい。というか、それを忘れてたから、渡しに行ってきたんだよ」

 

なるほど……。

 

「ルートはこのまま52号南下して、1号から362号で良いかな?」

 

「ルートはお兄さんに任せるよ」

 

「それじゃあ、綾乃との待ち合わせ地点、千頭(せんず)駅へと出発しようか」

 

綾乃と合流するまでが、俺とリンの二人でツーリング。綾乃と合流すれば三人でのツーリング。

 

各務原さんと合流したら四人でキャンプ。

 

楽しいことが目白押し。

 

「お兄さん、トイレ大丈夫ですか? 私は先に済ませておいたけど」

 

「……。行ってくる」

 

旅はまだ始まってもいない。まだまだ先は長い。

 

 

 

 

トイレを済ませ、出発準備を整える。

 

「リン、準備出来た?」

 

『大丈夫』

 

インカムを繋いだので、スピーカー越しのリンの声が耳に届く。

 

「俺に付いてこれるかな? なんちゃって」

 

『止めてよ? お兄さんが本気で走ったら、私着いていけないんだけど』

 

原付のリン、原付二種の俺。制限速度が違う。

 

「冗談だよ。ちゃんとリンでも走りやすい道選んだから」

 

国道1号を西へ走り、島田から国道473号か県道64号を北上する方法もあるけど、そこに至るまで1号を走る距離が長い。それに、途中に自動車専用道があるため二人とも通れない。

 

「それでは、大井川ツーリング&キャンプ。出発しますか」

 

『了解』

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※上のイラストは、出町柳 彩都 様(X @es8000exptd)に描いていただいたものです。

 

 

 


 

 

 

 

本栖高校吹奏楽サークル

あとがき

 

 

本編……この物語は如何でしたか? 小林 司と申します。

 

2年とちょっとの間、お付き合いいただきましてありがとうございます。

 

私のプロフィールにある通り、『自分の書きたいものを自由に書いて』いますので、ここまで皆さんにお読みいただけるとは思ってませんでした……。有り難いです。

 

私が、

 

キャンプ

バイク

吹奏楽

 

未経験で本作を執筆しているため、どこまで皆様に伝わる話が書けたかは分かりません。

 

総合評価順で31位(※25年3月10日時点)です。ゆるキャン△二次創作が59作品(※同)なので、

 

……お察しください。

 

 

 

私が密かに 響け!ユーフォニアムの滝野 純一 を推していることもあり、前作(君へ捧げる物語)同様に主要キャラクター……主人公として大活躍してもらいました。

 

コンクールAメンバーに選出されていますし、彼のトランペットの実力はそこそこのものだと思うので、ちょっと脚色してそれなりの技術を持っていることにしました。

 

しかも、転校当初の下宿生活の頃は勉強かトランペットしかやることがなかった、という設定にして成績も優秀という……。

 

原作の本人が聞いたら、腰抜かしそうな設定ですね(汗)。高三になった時点で親から『そろそろ本気で勉強しろ』と迫られているわけですから……。

 

 

 

作中、クリキャン や 年始ツーリング などで数回触れていますが、冬の屋外 で 吹奏楽の楽器を演奏する のは、大変難しいことなんですね。

 

ブラスバンドという言い方がある通り、金管楽器は『ブラス(真鍮(しんちゅう)*1)』で作られています。この真鍮が熱を通しやすいんです。

 

楽器は冷えていると音が出にくいのです。

 

つまり、寒いところだと楽器も冷え、音が出しにくい ということです。

 

もちろん、木管楽器でもひび割れなどの問題が生じやすいので、金管・木管問わず、「寒いときには吹かない!」というのが楽器を労る最善策だとか……。

 

YouTubeで『競馬 ひどいファンファーレ』と検索してみてください。私の言ったことが良く分かると思います。

 

同時に『滝野や可児は化け物か!』と思うことでしょう……。

 

 

 

 

本作執筆に当たり、山梨県の取材を兼ねた聖地巡礼にも行ってきました。

 

その様子を ○印のあとがき で綴っていましたが、それが書き終わるまでに、本編が終わってしまいました……。

 

取材(聖地巡礼)に行ったのは、山梨県の身延町界隈、静岡県は伊豆半島と浜名湖周辺と天竜川沿い、大井川周辺ですね。

 

前に書いた通り、一部を除き本作でのツーリングルートは、私が走ったことのある道を選んだので、滝野たちには少々ハードな行程を走っていただいた形になります。

 

 

全くの余談ですが、本作執筆中に北宇治高校のモデルである、莵道高校やその周辺の聖地巡礼にも行っています。

 

 

あまり長々と書いても、書きたいことが洪水を起こしてしまいそうなので、この辺りで終わりにしようと思います。

 

 

最後に。今書いた通り、取材(聖地巡礼)について書いていた話が中途半端になっているので、それを書き上げて終わろうと思います。

 

 

本作完結を以て、執筆は当面お休みしようと思います。

ただ、本サイトの 広告スキップ が無効にならない程度には、もう一つの作品の方は書こうと思っていますので、筆が乗ったら ゆるキャン△ も書こうかな……って感じです。

 

もしかしたら、本作にも追加するかもしれないので、通知が表示されるように お気に入り登録 は外さないことをおすすめします。

 

 

 

ありがとうございました。

 

 

2025年3月18日 小林司

 

 

 

*1
黄銅 とも。五円硬貨の原料として有名





〈2025年7月15日追記〉

あとがき内の日付を1年間違えていたので訂正します。
(訂正済)

正……2025年3月18日
誤……2024年3月18日
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