読者さんに伝わってるか心配です
「貴様が凛音 真命だな?」
短縮授業が終わり、自宅に帰還し、母親からメールを受け取り買い出しに行って欲しいと頼まれた。
メールで打たれたモノを買い揃えると、レクイエムが誰かにつけられていると言われ、できるだけ迷惑がかからないよう山の中へ移動した。
目の前にいるの三体は恐らく呪霊であろう。住宅街を通っていく時、何人かの人とすれ違ったが、誰も気づかなかったのが証拠だ。
一体は全体的な風貌は筋骨隆々な大男。白い肌に黒い紋様が枝葉のように走っており、
頭部は鉄兜と頭蓋骨を合わせたような様相で、本来眼球があるべき穴からは角のように2本の枝が伸びている呪霊だ。
もう一体はフードを被ったタコのような姿をしており、芋虫のような足を引きずって動いていて言葉が喋れないのか「ぶふぅー」と鳴いている実に可愛らしい呪霊だ。幾ら動物好きの母さんでもこれを見たら発狂してしまうだろうな。
そして俺の名を呼んだ一体は単眼で頭部が火山のようになっており、歯はお歯黒のように黒い。喋り方から見てこの呪霊が一番の年長者に見える。
「どうして、俺の名前を知ってるの?」
「それを答える義理などない。我々の目的の為、貴様には死んでもらうぞ!!」
──火礫虫!
先に攻撃を仕掛けてきたのは漏瑚。
漏瑚から出てきたのは尖った口に小型の羽のついた虫だ。
それがいっせいに襲いかかってくる。
ゴールド・E・レクイエム!!
無駄ダァッ!!
レクイエムが現れ、向かってくる虫に対して拳を叩き込む。精密動作もなしなのでどれほど正確なのか分からないが、スタープラチナ以上かもしれない。
ひとつひとつの動きに無駄がなく、1匹1匹に拳を叩き込む。
『ッ!?』
「馬鹿なッ!火礫虫は触れた途端、奇声を発して爆発する筈……ッ!何故爆発しない!?」
レクイエムの能力である「真実に到達させない」能力が発動し、「奇声を発し爆発する真実に到達しない」事象が発生する。
「はなみ~」
『えぇ、私と漏瑚が時間を稼ぎます。その間に陀艮は!』
「こうなれば接近してぶちのめすのみ!」
隻腕とはいえ、仮にも特級呪霊である花御は得意の近接攻撃を用いて真命を殺さんと攻撃する。
だが、その攻撃全てをレクイエムが防いでくれている。
『(なんですかこれは!?見えない何かがこの人間を守っているッ!?……防御の術式?いや、そもそもこの人間からは呪力が感じられない)』
「(一体何の術式だ?攻撃が当たろうにも当たらん!)」
レクイエムの姿はスタンド使いである真命にしか認識できない。その為、花御と漏瑚にとっては見えない壁によって防がれていると認識している。
「オ"ロロロロロ"ロ"ロ"──ッ!!」
攻撃を防いでいる最中、もう一体の呪霊「陀艮」が突如として嘔吐し始めした。
しかも吐き出されたものは全て人骨ばかりだった。一体この呪霊は何を食っていたかすぐに検討がついたが、考えたくもなかった。
『時間稼ぎはここまでです。さぁ、一気にカタをつけましょう。漏瑚、陀艮』
どうやら俺との闘いは時間稼ぎだったらしい、何の時間だったのか分からないが、次の瞬間それが分かるようになる。
「助かったぞ。花御・漏瑚……これで漸く戦える」
「気にするな。しかしその姿になったからには必ず奴を殺すぞ」
「当然」
さっきまで可愛らしい姿をしていたタコの呪霊が脱皮し、人のような手足を持つ筋骨隆々の形態に変貌を遂げた。
成程、時間稼ぎってのはそういう事だったのか。あのタコ呪霊が進化するまでの間、この大男呪霊が相手をしてその隙に進化する手順を踏んでいたという訳だな。しかも、普通に言語話してるし
これからが本番だと言わんばかり、進化したタコの呪霊は虚空から大量の水を放出してきた。
「(タコだから、水属性か)」
戦っている場所が広いとはいえ、押し寄せてくる水の高さは2mという大きさだ。幾ら溺れないとしても足を取られては元も子ない。
近くの木の上にぶら下がり、押し寄せてくる大量の水から避難する。
下を見ればそれは洪水とも言える光景だ。運が良かったのか俺が乗っていた木は頑丈であったが、その他の木は倒れそのまま流れ落ちていった。
陀艮は人が海を畏怖する感情から生まれた特級呪霊。水を発生源とする呪霊であることからか、大量の水の生成する術式や水棲生物を模した式神を召喚する術式を持つ。
──術式開放・死累累湧軍
術式を発動させると、陀艮の周りには水棲生物の式神が湧き出てきた。
「海は 万物の生命 その源」
無数に具現してきた水棲生物達は一斉に襲いかかろうとしたが、その水棲生物は突如として消える。
「(水棲生物が消えた!?透明になる技でも持ってるのか)」
あんなに沢山の水棲生物が消えた事により警戒を解くことなく試みた。
『漏瑚!』
「分かっている!」
タコの呪霊ばかりを気にしていたせいか、2体の呪霊を全く意識していなかった為、左右両方に回り込んでいたのだ。
漏瑚は右から、花御は左から回り込んで左腕と右腕で呪力を込めた殴打をそれぞれ放った。
スペックが特級呪霊でもある為かそこらの並大抵の呪術師、2級・準1級だろうとまともに食らってしまえばまず、致命傷になりかねない。
仲間である陀艮に気を配り過ぎていた真命の隙をつき入ったと確信したが、2体は吹っ飛ばされた。
『グゥッ!?』
「へぶぅッ!?」
「漏瑚!花御!?(だが、いいぞ!奴はもう手遅れよ!)」
真命は回避しておらず、そこに突っ立っていただけであった。レクイエムの能力により『2人の同時攻撃が真命に直撃する』という真実に到達しなかった事により互いの拳が顔を殴り合ってしまい吹き飛ぶ形になったのだ。
しかし、呪霊達の攻撃はまだ終わらない。陀艮の「死累累湧軍」がまだ残っている。
死累累湧軍は凶悪で鋭利な牙を持つ巨大な水性生物の式神を無数に具現化して攻撃させる術式であると、説明したがもうひとつ厄介な特徴を持っている。
それは対象に当たる寸前まで出現しないようにもできるという厄介な性質というものだ。
漏瑚と花御で挟み撃ちにし、避けられるか、動きを防ぐかの二択の策で実行していたが、両方が吹き飛ばされるという予想外の出来事が起きてしまったものの、気を逸らせればそれでいいと踏んでいた。
死累累湧軍は既に射程範囲に入っており、幾ら強くて素早かろうが、出現場所は真命の目の前だ。
回避は出来ないはず……
「馬鹿な!?何だこれは!?何故、当たらない!?」
目の前に出現した水棲生物の式神は命中する所か、まるで彼を避けているかのような結果になってしまった。
これもレクイエムの能力により、『命中する真実に到達しない』という事象が起きている。
陀艮は特級呪霊の中でも強大な呪力量の持ち主でそれを合わせる事で無限に湧き出る性質を持っている。
しかし、どれだけ数を増やそうと真命には命中しない。
「一体…ッ!何が起きている!?」
「まぁ、簡単に言えば君達の攻撃は効かない……って言えば分かるかな?」
「そんな出鱈目な事ができるか!人間の分際で!」
吹っ飛ばされた漏瑚と花御が戻ってきており、花御に関しては覆っていた白い布を取っており蕾の生えた黒い左腕が露になっている。
『できる事ならば使いたくはなかった。しかし、これだけの力を行使しても貴方は我々に対抗できる。ならば、即刻に排除しなければならないッ!』
蕾は芽が出て膨らんで赤い花が咲く。しかもその中心に眼球を備えた奇怪なものでエネルギーのようなものが集中している。
『貴方がここに連れて来たのが返って仇となりましたね。この辺は植物が多い、これならば本領発揮できる!』
「(あれが五条悟さんが言っていた呪力ってやつか)」
──供花
それは花御の奥の手である。
本来、花御自身の性格の関係で積極的に使う事はまずないが、場所が場所であった事と凛音 真命が余程危険と感じたのだろう。
自分達は殺す気でやっているのに対して向こうは無傷だ。本能で早々に消さないと不味いと感じたのだろう。
赤い花から膨大な呪力を集中させて放つ渾身の砲撃が放たれた。
まともに喰らえばまず助からないとみていい。
しかし、真命は地面を思い切り叩きつけた。
ゴールド・E・レクイエム!
産まれろ…生命よ…新しい命よ!
レクイエムの腕と同化させ、地面に叩きつけることで素早い成長速度で大樹が生える。
『(木が生えた!?何と優しい能力……しかし、それを扱うのが人間とは残念ですッ!その程度では貴方諸共吹っ飛びます!)』
放出したソーラービームが真命の産まれさせた大樹に命中した次の瞬間……
『え?』
一体自分の身に何が起きたのか分からないまま、花御の身体は風船のように弾け爆発し、物凄いスピードで粉々になっていく最中、最後に映ったのは手を差し伸べてくる陀艮と漏瑚の姿だった。
特級呪霊・花御
花御
レクイエムの生まれさせた大樹を攻撃したことにより、反射を受けてしまい死亡
肉体が弾け飛んだ理由は「供花」を森の中で使った事と膨大な呪力を集中させた攻撃してしまった為、肉体が耐え切れず、爆散