リュウダが冥子の母親の手により正式な冥子の助手となってから数日後。リュウダはゴーストスイーパーの依頼を受けた冥子に同行していた。
「それで冥子先生。今日の依頼はどんな仕事なんですか?」
「今日はねー、昔からのお友達のお手伝いをー、しに行くのよー」
「友達? 美神さんですか?」
「ううんー。令子ちゃんとは別のお友達よー」
送迎用リムジンの中で冥子に今日の依頼について質問したリュウダは、彼女の言葉に首を傾げる。
「美神さんとは別の友達、ですか?」
「そうよー。なんでもー、自分のせいで藤沼クンくらいの男の子がー、スッゴい怖い悪霊に取り憑かれちゃったらしくてー、その除霊を手伝ってほしいらしいのー。……あっ、藤沼クン。ここからは歩いて行くわよー」
「えっ。分かりました」
冥子に言われてリュウダがリムジンから降りて彼女の後をついて行くと、冥子が向かった先は小さな神社で、神社の前には三人の見知った顔があった。
「あら、冥子じゃない? 何、貴女も呼ばれたの?」
「あっ! 藤沼じゃねぇか?」
「お二人とも、お久しぶりです」
神社の前にいたのは美神と横島とおキヌちゃんで、三人の姿を見た冥子を笑顔となって美神に話しかける。
「あー! 令子ちゃん、久しぶりー」
「そうね。それより冥子、最近調子が良いみたいじゃない? 式神を暴走させずに依頼を何件も達成しているそうね?」
「エヘヘー。藤沼クンが頑張ってくれたお陰よー」
これまでの冥子は除霊「だけ」は信頼できるが大きな被害を出すという爆弾のような扱いであったが、リュウダが来てからは被害を出さずに除霊を出来るようになったと少しずつだが評価を上げていた。その事を美神が言うと冥子は照れた表情を浮かべてリュウダを見て、美神達も彼に視線を向けた。
「へぇ……。他の助手はすぐに冥子から逃げていったのに中々根性あるじゃない。それに加えてかなり優秀な霊能力者みたいだし……ふむ?」
美神はリュウダの顔を見てしばし何かを考えた後、冥子に顔を近づけて話しかける。
「ねぇ、冥子? 貴女のところの藤沼クンとウチの横島クン、交換しない?」
「ちょっ!? 美神ザーーーン!」
「えー? それはーちょっとー」
美神の言葉に横島は半泣き、冥子は困った表情となり、このままでは話が進まないと思ったリュウダが皆に話しかける。
「あの、そういった冗談はともかく、仕事の詳しい内容を聞いていいですか? 俺、合同で悪霊を退治するとしか聞いていなくて……」
「あれ? 藤沼は知らんのか?」
リュウダの質問に答えたのは、令子でも冥子でもなく意外そうな顔をした横島だった。
「どういうことだ?」
「いや、その悪霊に取り憑かれたってのが……」
「おお、来てくれたか」
横島が何かを言おうとした時、神社の方から女性の声が聞こえてきた。リュウダ達がそちらを見ると、美神や冥子と年齢が近くて、非常に整った顔立ちとグラマラスな体型をした巫女の姿があった。
「ああっ!? 美神さんや冥子ちゃんとはまた違った美しさの美女! しかも巫女さん! ここで会ったのまさに運命! とゆー訳でボクと「何が、とゆー訳じゃ!」……ぶっ!?」
「……………!?」
巫女の姿を見た横島が反射的に巫女に抱きつこうとしたのだが、それより先に巫女の拳が横島の顔を殴り飛ばした。そしてリュウダは巫女が横島を殴り飛ばした光景……というより巫女の顔を見て絶句していた。
「全く……! 『アヤツ』といいコヤツといい……最近のガキはこんなのしかおらんのか?」
「あっ! 『サクラ』ちゃーん! お久しぶりー。元気になったのねー」
「本当……! 電話で健康になったと聞いた時は信じられなかったけど本当だったのね。良かったじゃない、サクラ」
地面に倒れて気絶している横島を見下ろして巫女がため息を吐くと、冥子と美神が巫女の名前を呼ぶ。
サクラとは「うる星やつら」に登場するキャラクターの一人で、本職は巫女なのだが後にあたるの高校の保険医となって、あたるを中心とトラブルに巻き込まれたり逆にトラブルを起こしたりするようになる。まさかここでうる星やつらのキャラクターと出会うとは思っていなかったリュウダは、内心の動揺を悟らせないよう何でもない顔で冥子に質問する。
「あの冥子先生?」
「どうしたのー、藤沼クン?」
「冥子先生は前に、俺と同じくらいの男の子が悪霊に取り憑かれたって言いましたよね? ……もしかして悪霊に取り憑かれた男の子って、諸星あたるって名前じゃないですか?」
「あらー? そうだけどーどうして分かったのー?」
「……………ウソだろ?」
サクラの顔を見て悪霊に取り憑かれたという人物に心当たりができたリュウダが冥子に聞くと、彼女はそれに頷き彼は思わず頭を抱えそうになった。