それはさておいて、今回の話では個人的にダークソウルで一番セクシーで印象的だと思ったキャラが登場します。
病み村の近くにはデーモン遺跡という名の溶岩地帯があり、そこにはかつて爛れ続けるものという巨大な異形のデーモンがいた。
爛れ続けるものは全身から高温のマグマを流すが自身には高温に対する耐性が無く、そのことを哀れに思った魔女から与えられた熱に対する耐性を得られる魔法の指輪もすぐに失くしてしまい、高温に苦しみながら身体からマグマを流しデーモン遺跡をマグマの海にしていた。
しかしその爛れ続けるものは、最近になって現れた不死人の呪術師リュウダの手によって退治されてマグマの海はなくなり、今ではマグマの海に沈んでいた遺跡が姿を現していた。そしてその遺跡の奥に、無数のトゲが生えた全身鎧を着た騎士、カークの姿があった。
カークは巨大な門の前に立っており、自分の手を門の先にいれようとするのだが、門は目に見えない力で守られておりカークの手は弾かれてしまう。
「チッ! 大王グウィンの結界……本人はすでに『薪』になってもやはり健在か……!」
『………?』
見えない力で守られている門を見てカークが舌打ちしていると、何者かの思念が彼の元に届き、カークにしか聞こえない声となって語りかける。
「お前か……。ああ、俺だ。今、『イザリス』に入る門の前にいるのだが、グウィンの結界で入ることができん。全く、忌々しい……」
『………。………?』
「フン。この程度、無茶でも何でもない。俺はお前に仕えることを誓った騎士だ。お前の元へ行くためなら何だってやってやるさ」
姿なき謎の声の主にカークはどこか優しさが感じられる声で答えると、一つあることを思いつく。
「そうだ。グウィンの結界がなんとかなったら、お前も病み村にいる姉達の所へ行ってみないか? 今、病み村は中々賑やかになっているぞ」
『………?』
「そうだ。最近中々愉快な後輩が病み村にやって来てな。色々と引っ掻き回してくれている。……そうだな? 例えば後輩があのクラーナに出会っていきなり抱きついて告白した時なんかは中々笑えたぞ?」
『………!? ………!』
カークが言う愉快な後輩というのはリュウダのことであり、そのリュウダがクラーナと出会っていきなり抱き告白した時のことをカークが話すと、謎の声の主は明らかに驚いた反応をみせた。
「ハハハッ! 本当だとも。他にも楽しそうなことをやっていたぞ。例えば……」
声の主の反応に楽しそうな笑い声を上げてカークは、これまでリュウダが病み村で行った出来事を話すのであった。
デーモン遺跡でカークが姿の見えない相手と楽しそうに話していた頃、その話題となったリュウダはというと……。
「待てゴラァッ! 今回という今回は絶対に許さん!」
「……………!?」
病み村で一体の亡者を鬼のような形相で追いかけ回していた。
リュウダが追いかけているのは、他の亡者と比べると小柄で全身に木の枝などをつけて手には吹き矢の筒を持っている「蓑虫亡者」と呼ばれる亡者であった。この蓑虫亡者は周囲の景色に溶け込んでから侵入者に向けて吹き矢を放ち、しかも吹き矢には猛毒になる効果があるという、厄介な敵である。
今回リュウダはいつものようにソウルを稼ぐために病み村のモンスターと戦っていたのだが、その最中で蓑虫亡者に吹き矢で攻撃されて邪魔された挙句猛毒になってしまい、以前から蓑虫亡者に邪魔されてきたリュウダの堪忍袋の尾が切れたというわけでだった。
「いい加減止まりやがれ! 今止まったら発火と大発火を合わせた炎の二十四連撃だけで許してやるぞ!」
「……!」
『『…………………………』』
現在リュウダがいるのは病み村の前半。複数の木製の床や梯子で構築された高低差が激しい場所で、ここで普段生活しているモンスターでも足を滑らせて転落死することも珍しくない。
そんな高低差が激しい上に複雑に入り組んだ場所を、リュウダと蓑虫亡者はまるで佐助なスポーツ・エンターテイメント番組みたいな勢いで駆け巡っていき、それを見ていた他の亡者達は全員こう思った。
即ち「何あの動き? 人間の動きじゃないじゃん。キショ……」と。
それからしばらくリュウダと彼に追われている蓑虫亡者は病み村を下から上、上から下と何度も往復していき、やがて病み村の最深部である毒の沼地がある方から何発もの爆発音が連続で響き渡り、それと同時に発生した光によって常に暗闇に包まれている病み村がほんの少しの間だけ明るくなった。
病み村の亡者達は突然生じた爆音と光に最初は何事かと下の方を見るが、すぐにいつもの最近現れた奇妙な不死人の奇行だと納得して興味を無くした。
「ハァ……! ハァ……! 全く手こずらせやがって……!」
病み村の最深部、毒の沼地でリュウダは炎の呪術で灰にした蓑虫亡者を見下ろしながら荒い息を吐いた。もう使える呪術の回数も尽きたし、今日のところはもう篝火で休んで現実世界に戻ろうと彼が思った時、「彼女」は現れた。
「え……? 彼女は……」
リュウダの前に現れたのは、頭にずだ袋を被ったほとんど裸の格好をしている女性。その格好は確かに魅力的かつ特徴的だが、それ以上に目についたのは彼女の右手に握られている、まるで料理に使う包丁を巨大化させたような凶悪な刃物であった。
リュウダは突然現れたその女性を知っていた。いや、あそこまで特徴的な格好の女性なんてそうそう忘れられるはずがない。
「ミルドレット……。『人喰いミルドレット』……」
気がつけば冷や汗を流しながらリュウダは自分の前に現れた女性の名前を呟いた。