(いよいよこの日が来たか……。思ったより早かったな)
ダークソウルの世界でカークと話をした数日後。リュウダは空港の中にいた。
今日リュウダが空港にいるのはゴーストスイーパーの仕事で、彼の隣には冥子が楽しそうに空港の様子を眺めている。そしてリュウダはこれから起こる未来を知っていた。
「極楽大作戦!!」の話に、地中海のとある孤島で大昔に封印された強大な力を持つ魔物が復活しようとしており、美神とその仲間であるゴーストスイーパー達がそれに立ち向かうという話があった。その美神と一緒に孤島へ向かうゴーストスイーパーの一人が冥子なのである。
実際に今日、冥子は自分達以外にもゴーストスイーパーが何人もこの空港に来ると言っていて、それが美神達なのだろう。
「六道さん! 藤沼さん!」
「あっ! ピートくーん! こっちよー」
リュウダと冥子がしばらく空港で待っていると、彼らの元にまるでモデルのような顔立ちが整った外国人の青年が駆け寄ってきて、冥子が手を振ってみせる。
ピート。
彼も「極楽大作戦!!」の登場人物の一人でフルネームはピエトロ・ド・ブラドー。その正体は吸血鬼と人間ととの間に産まれたヴァンパイア・ハーフであり……そして、今回の仕事で戦う「魔物」の息子であった。
「ようこそ来てくれました。お二人で最後です。他の皆さんはすでに専用機に乗っていますので、どうぞこちらに」
目的の孤島は通常の飛行機では行けないので専用機に乗る必要があり、ピートの案内でリュウダと冥子が専用機に乗ると、そこにはリュウダが予想していた面々、つまり「極楽大作戦!!」の登場人物達がいた。
「あら、冥子と藤沼クンじゃない? 貴女達も来たの?」
「ゲッ!? 冥子!」
専用機の中にいた美神がリュウダと冥子に気付いて声をかけると、その隣にいた褐色の肌で黒髪の女性が悲鳴の様な声を上げる。
小笠原エミ。
美神と冥子の二人と同期のゴーストスイーパー。日本でトップクラスの腕前な上に、呪術だけで言えば間違いなく日本一の実力者。美神とはライバル関係であるため、これまでに何度もゴーストスイーパーの仕事で争っていたりする。
ちなみに冥子と同期ということもあって、美神と同じくらい冥子の式神の暴走に巻き込まれてきた人物でもある。
「落ち着きなさいよ、エミ。最近の冥子の活躍は貴女も聞いているでしょ? そこにいる藤沼クンのお陰で式神の暴走も大分減っているから安心しなさい」
「そ、そうね……。そうだったわ。それでおたくが噂の藤沼なワケね? 私は……」
「小笠原エミさんですよね。お名前は聞いています」
冥子の登場に動揺していたエミであったが、美神の言葉に落ち着きを取り戻すとリュウダの方を見て名乗ろうとするが、それより先にリュウダが話しかける。
「あら? おたく、私のことを知っているワケ?」
「はい。日本でトップクラスのゴーストスイーパーで、同時に日本一の呪術師。それに冥子先生や美神さんに負けないくらいの美人となれば噂を耳にしますよ」
「へぇ……。嬉しいことを言ってくれるわね。これからも冥子の手綱をちゃんと握っておいてほしいワケ」
前世から「極楽大作戦!!」の中では好きな方のキャラクターで、しかも「呪術師」という繋がりあるためリュウダがにこやかに挨拶をすると、エミも小さく笑って彼に握手をする。すると……。
「ほう。どうやら仲良くなれたようじゃな。それは良かった」
聞き覚えがあるが、この場では絶対に聞こえるはずのない声が聞こえてきた。
「っ!? ……チェリー殿! それにサクラ先生まで! い、一体どうしてここに……!!」
リュウダが声が聞こえてきた方を見ると、そこにはチェリーとサクラの姿があり、思わず驚きの声を上げる。
「何、お主達と同じで拙僧達も呼ばれたのじゃよ。今回の件は中々に厄介な要件のようじゃからの」
「うむ。そういうことじゃ」
チェリーの言葉にサクラも頷き、リュウダはそんな二人を見て内心で冷や汗を流した。
(参ったな……。いきなり話の流れが変わってきたぞ……これはいよいよ『切り札』を使う時が来たのか?)
リュウダの言った「切り札」はダクソプレイヤーなら必ず知っているものです。