数分後。リュウダ達が乗る専用機は空港を離陸して原作の通り、地中海にある孤島へと向かう。
専用機の中で他の皆はリラックスしていたが、これから先の展開を知っているリュウダは気が休まる暇がなかった。
(あ〜、ついに離陸したか……。原作通りだとこの専用機、墜落するんだよな……。とりあえず『あの二人』の暴走は止めないとな……)
リュウダは心の中で呟くと、後ろの座席に座っている老人とその隣に座る女性に視線を向けた。
ドクター・カオス。人造人間マリア。
ドクター・カオスはかつて「ヨーロッパの魔王」と呼ばれた天才錬金術師で、自らが編み出した不老不死の秘術によってすでに千年以上生きている。「自分と他者の精神を入れ換える秘術」を開発して、強くて若い美神の肉体を奪おうと来日してきたが呆気なく撃退され、それからは故郷に帰れず日本で借金生活を送っていた。
そしてマリアはドクター・カオスが作り出した人造人間、ロボットで、外見は普通の女性に見えるが実際は身体に銃火器やロケットパンチなど装備した歩く兵器なのである。
リュウダがドクター・カオスとマリアを警戒している理由は、今乗っている専用機の墜落にこの二人が大きく関わっているからだ。
原作ではこの専用機はコウモリの大群に襲われて深刻なエンジントラブルを起こす。それをドクター・カオスと飛行ユニットを装備したマリアが解決しようとするのだが、マリアはドクター・カオスごと専用機の機体を突き破って飛び立ってしまい、それがトドメとなって専用機は墜落するのであった。
「藤沼クン? 一体どうしたのー?」
これからの展開を知っているためかリュウダは自然と緊張した表情となっており、そんな彼の様子に気づいた冥子が話しかけてきた。
「冥子先生……。いえ、ちょっとこれから先のことが気になって……っ!?」
冥子に返事をしようと彼女の方を見たリュウダは驚きのあまり声を失った。何故なら……。
冥子の後ろにダークソウルに登場するダークレイスの幻が見えたからである。しかも横チェキで。
あまりにも予想外の光景にリュウダが思わず周囲を見回すと、機内にいる全ての人の隣にダークレイスの幻がポージングをとっていて、恐る恐る振り替えるとリュウダの後ろにもダークレイスの幻がサムズアップしていた。
「な、なんて不吉な……。この飛行機、今すぐにも墜落するんじゃないか?」
「藤沼もこの不吉な気配に気づいたか……。左様、この飛行機は呪われておる。ナンマイダブナンマイダブ……」
「お、おい! 藤沼もチェリーも止めろよな!」
リュウダの呟きを聞いたチェリーが両手を合わせて念仏を唱え始めると横島が立ち上がって二人に呼び掛ける。この時の横島は顔色を青くして不安そうであったが、横島の姿を見たリュウダはもっと不安であった。何故なら……。
他の人はダークレイスの幻が一人取り憑いているだけなのに、横島の後ろにはダークレイスの幻が五人取り憑いて◯ニュー特選隊のポーズをとっていたからである。
「……横島。お前、この中でブッチ切りで不吉だぞ? 今日あたりで死ぬんじゃないか? ……わりとマジで」
「拙僧もそう思うぞ。横島よ、お主にはこれより逃れられぬ不幸が訪れるじゃろうて」
「だから止めろって! ……っ!?」
不吉すぎる横島を見てリュウダとチェリーがかなり真剣に横島の命を心配し、それに対して横島が大声を出そうとした時、「それ」は起こった。
突然、専用機の前方の海に火山が噴火したような水柱が起こり、その中から巨大な影が姿を表した。
水柱から姿を現したのは「一つの胴体に八つの頭を持つ巨大な大蛇」で、それを見たリュウダは我が目を疑った。
「あ、あれは……!?」
「『ブラドーの竜』!? もう目覚めていたのか!」
リュウダが何かを言うより先にピートが専用機の窓から八つ首の大蛇を見て声を上げる。
(ブラドーの竜って何だよ!? こんなの原作になかったぞ! いや、そんなことよりも、アレが俺の知っているモンスターだったら……!)
ピートに問い詰めたい気持ちはあるが、それよりも先にすべきことがあると判断したリュウダは、隣にいる冥子に声をかける。
「冥子先生! 『緊急召還・参』です! 急いで!」
『ーーーーーーーー!』
リュウダが冥子に向かって叫んだ瞬間、八つ首の大蛇の口からそれぞれ高圧の水流が放たれ、八つの水流はリュウダ達が乗る専用機は一撃で撃墜させた。
この小説、「うる星やつら」と「極楽大作戦!!」だけじゃなく、「ダークソウル」も混じっておるんじゃよ……。