その後。リュウダ達は無事、目的の島に到着したのだが、そこは原作通り島民が一人もいない無人の島となっており、仕方なく民家の一つを借りて一晩過ごすことにした。
そして現在、民家の食卓には一流のレストランとまではいかないが店に出るレベルの料理が並んでおり、これにはほとんどの者が驚いた顔をしていた。すると驚いていた者の一人である横島が、このプロレベルの料理を作った料理人のリュウダに、皆の代表として疑問をぶつけた。
「なあ、藤沼? 何だよ、この凄い料理は? お前いつからこんなのを作れるようになったんだ?」
「いつからって……。料理自体は前からやっていたんだが……最近、六道家の人達が色々教えてくれるんだよ」
「冥子ちゃんの家の人達が?」
「そうだ。六道家の使用人の人達が掃除の仕方やら本格的な料理やら礼儀作法やら丁寧に教えてくれるんだ。この前は代々六道家に仕えているって言う執事長とメイド長が、六道家の歴史とか会社の経営を教えてくれたけど……何で会社の経営?」
横島の疑問にリュウダが馴れた手つきで給仕をしながら答え、それを聞いた美神とエミが顔を見合わせる。
「(ちょっと令子? あれってもしかして……)」
「(そうね、エミ。私もそう思うわ。……六道家は全力で藤沼クンを狙っているのよ)」
真剣な表情となって小声で話すエミに、美神もまた真剣な表情となり小声で答える。
六道家がリュウダを狙っているという美神とエミの予想は特に的外れでも大げさでもない。
平安時代から続く式神使いの当主であり大企業の社長令嬢でもある冥子は、その血筋と家を終わらせないためにいつかは婿を取る必要がある。
しかし世間知らずな上に、少し動揺しただけで式神を暴走させ周囲に多大な被害を出す冥子の伴侶となり、公私ともに支える人材なんてはたしているのだろうか?
これまでに冥子は式神の暴走を一回、あるいは二回させる度にゴーストスイーパーの助手に逃げられてきた。それが夫婦になれば一回や二回どころの話ではない上、私生活でも式神の暴走の危険に気を使わなくてはならない。
そのためこれは冥子も知らない話なのだが、六道家は様々な方面から冥子の婿となってくれる人物を探しているが、冥子の名前が出た途端に「まだ死にたくありません! 許してください!」と泣きながら土下座をされて断られるのだった。
これには六道家も流石に頭をかかえて悩み、そんな時に現れたのが藤沼リュウダなのである。
冥子とそれほど歳が離れていない男で、
ゴーストスイーパーの仕事に耐えれて冥子を守れる霊能力を持ち、
庶民ではあるが厄介な経歴は一つも無い家の出身で、
何より式神の暴走に巻き込まれても逃げない!
これだけ好条件な人材は中々おらず、六道家はリュウダを冥子の婿、それが駄目なら専属の護衛になるよう教育しようと考えたのだろう。
「(でもまあ、それって私達にとって悪い話どころか良い話ってワケ)」
「(そうね。もしそうなれば暴走の被害も減るし、怪我しない程度に応援しときましょう)」
そこまで考えた美神とエミは、自分達にとってもわるい話ではないと判断し、冥子とかいがいしく彼女の世話をするリュウダに暖かい目を向けるのであった。