その日、日本だけでなく世界はリュウダが知る原作通り、大きな騒ぎとなった。
諸星の自宅の上空にいきなり虎柄の巨大な宇宙船が現れたかと思ったら、世界中に緊急ニュースが報された。
ニュースの内容はこの地球は今、宇宙人の侵略対象となっており、地球人と宇宙人の戦力差は圧倒的で侵略が始まれば地球側に勝ち目は万の一つも無いらしい。
しかし宇宙人側は地球侵略において一つの条件を出してきた。それは宇宙人側の代表と地球人の代表がある一つの勝負をして、地球人の代表が勝利すれば、宇宙人は侵略を取り止めて宇宙に帰るとのことだった。
そしてその地球人の代表として選ばれたのが諸星あたるで、勝負の内容は「鬼ごっこ」。
あたるが鬼役となって明日からの五日間、朝から夕方まで鬼ごっこをして、あたるが一度でも相手を捕まえたら勝利という内容だ。
諸星あたるは地球人代表として勝負を受けることを承諾して、インタビューでは真面目な顔をして正義感から地球を守るようなことを言っていたが、原作とあたるの本性を知るリュウダには白々しいとしか思えなかった。
原作でも勝負が殺し合いではなく子供が遊ぶ鬼ごっこで、対戦相手が虎柄のビキニ姿の美少女であるラムだと知って、後先考えずに引き受けていたし、今回もそうなのだろう。
「まあ、もし負けて地球が侵略されても困るし、一応は応援しといてやる。諸星、頑張りなよ」
家のテレビで緊急ニュースとあたるのインタビューを見ていたリュウダは、これから苦労するであろうに小声で応援すると、ダークソウルの世界に向かうべく自室で眠ることした。
……しかし、苦労するのはあたるだけでなくリュウダも同じであった。
「クラーナ師匠。昨日は申し訳ありませ「また来たか! この変態がぁ!」あー!?」
眠りにつきダークソウルの世界に来たリュウダは、病み村にいるクラーナにまず昨日いきなり抱きついた件について謝罪しようとしたのだが、話しかけた途端に呪術の炎で昨日同様に骨まで灰にされてしまった。
どうやら先日の件で完全にクラーナに変質者と認定されてしまったようで、この日からリュウダの誤解を解くために苦労する日々が始まったのである。
YOU DIED
一日目。
ラムを何の力もないただの非力な女性だと思い込んで楽勝だと考えていたあたるだったが、試合開始直後にラムが空を飛ぶ超能力を披露。結局今日はラムが制限時間いっぱい逃げ切って終了となった。
そしてリュウダの方はというと、一応離れた場所からクラーナに話しかけたのだが、問答無用で焼かれて灰となってしまった。
YOU DIED
二日目。
ラムが空を飛べると知ったあたるは最初から全力で走って彼女を追うのだが、やはり空を飛べる彼女には追いつけず制限時間が終了した。
リュウダは昨日の反省を活かしてクラーナに燃やされる前に話しかけようと、身を隠しながら彼女に近づいたのだが、モンスターの襲撃と勘違いされたクラーナに昨日以上の火力の炎で燃やされた。
YOU DIED
三日目。
生身の足では追い付けないと判断したあたるは、原付を使い速度だけならラムに追い付いたのだが、空を飛ぶ彼女に気を取られ過ぎて壁に激突。そのまま気絶してその日は目覚めることはなかった。
リュウダは武器やアイテムだけでなく装備も外したボロボロのパンツだけの姿で、こちらに戦意がないことを示そうとして話そうとしたのだが、悲鳴を上げたクラーナに一瞬で灰にされた。
YOU DIED
四日目。
恋人の三宅しのぶに「勝負に勝てば結婚してあげる」と言われてやる気に満ちたあたるは今までにない気迫でラムを追走。そのかいもあってラムに肉薄したが、その時あたるが出した手が彼女のブラジャーを奪ってしまい、怒り狂ったラムによって高所から地面に叩き落とされ気絶してしまう。
リュウダはクラーグの時にも使った必殺技(?)ジャンピングローリング土下座でクラーナに話を聞いてもらおうとしたのだが、大きく跳躍したところをクラーナの呪術の火球で撃墜された。
YOU DIED
五日目。
ついに勝負の最終日。あたるは昨日偶然剥ぎ取ったブラジャーを餌にしてラムを引き付けると、ついに彼女を捕まえることに成功。
これで地球は救われたのだが、途中であたるがしのぶに対して言った「結婚しよう」という言葉を聞いたラムがプロポーズされたと勘違いして、原作通りあたるとラムにしのぶの奇妙な三角関係が始まったのであった。
そしてリュウダの方はというと……。
「う〜む。一体どうすればクラーナ師匠に話を聞いてもらえるのだろうか……?」
リュウダは病み村にある篝火でクラーナと話す方法を考えていた。
「どういうわけか、もう完全に俺はクラーナ師匠に変質者扱いされてしまったようだ。このままだとただ近づいても灰にされるだけ……。手紙でも書いて送ってみるか? でも俺、この世界の文字書けないしなぁ……」
「一体何をしているんだ? お前は?」
篝火の前でリュウダが頭を抱えながら考えていると、背後から呆れを含んだ声が聞こえてきた。後ろを振り返るとそこにはこの数日間、何度も彼を燃やして灰にしたクラーナの姿があった。
「クラーナ師匠!?」
「そこまで! そこから動くな」
クラーナの姿を見てリュウダが立ち上がると、彼女は炎が灯った右手を見せる。それを見てリュウダが動きを止めると、クラーナが話し始める。
「全く……お前は一体何なのだ? 私の姿が見えたかと思えば、いきなり抱きついてきたり頭のおかしいことをしてきたり……。先程からお前は私のことを師匠と呼んでいるが、お前は変質者なのか? それとも私の弟子志望なのか?」
「いや、その……。いきなり抱きついた件はすみませんでした。それで俺は変質者ではなく、クラーグ姉さん達の従者です。あっ、もちろんクラーナ師匠から呪術も教えてほしいですけど……」
「……何?」
リュウダの口から出たクラーグの名前に、フードに隠されて彼からは見れないがクラーナの表情が変わった。
「お前……クラーグ達の従者だと言ったな? どう言うことだ? 全てを話せ」
「は、はい……」
黙秘や虚言は許さんとばかりに右手に灯った炎の勢いを強めてクラーナが言うと、彼女に気圧されながらもリュウダは自分がクラーグ達の従者になり、クラーグの命令でクラーナを探しに来たことを説明した。
まだまだクラーナの疑いは晴れておらず、一歩間違えばまた燃やされてしまうくらい警戒されているが、それでもなんとか彼女と話すことに成功したリュウダであった。
VICTORY ACHIEVED
続かない?