「……そろそろ私も覚悟を決めるか」
リュウダが小竜姫の修行を終えて妙神山から帰ってきてから数日後。彼がいつも通り、ダークソウルの世界の病み村でクラーナから呪術の修行を受けていると、クラーナが小さく呟いた。
「? クラーナ師匠、覚悟を決めるって何の話ですか?」
「お前を信用してクラーグ達がいるという場所へ向かう話だ」
「ああ〜。その話ですか……って!? 本当ですか!?」
呪術の修行中であったため一瞬クラーナの話を軽く流してしまいそうになったリュウダであったが、彼女の言葉を理解すると驚いた顔となってクラーナの方を見た。
「うむ。最近大量のソウルが集まったせいか、お前の呪術の火は限界まで強化されたし、私が知っている呪術もお前は全て習得した」
「全ての呪術? あのクラーナ師匠、俺まだ不死の魅了を習っていないのですが?」
「いい加減しつこいぞ、お前? あれは封印する。お前にだけは絶対に教えん」
「そんな殺生な!?」
不死者を魅了して一時的に味方にする呪術、不死の魅了。それを習いたいというリュウダの言葉をクラーナが即座に否定すると、リュウダは目に見えて落ち込むが、クラーナはそんな彼を無視して話を進める。
「話を戻すが、私の呪術の全てを習得したお前の努力からお前を信用することにしたのだ。……それで、リュウダ? 本当に私をクラーグ達の元へ連れて行ってくれるのか?」
「……っ! はい! もちろんです! それでは早速向かいましょう!」
「リュウダ!? ちょ、ちょっと待たんか!? まだ心の準備が……!」
不死の魅了を習えないことは心底残念であるが、いよいよ悲願であるクラーナ達姉妹の再会が見られると考えたリュウダは即座に機嫌を治すと、クラーナをお姫様抱っこの状態で抱き上げて、クラーグ達がいる洞窟へと向かうのであった。
「ついにここまで来たか……。もうこの道を通ることはないと思っていたのだがな……」
クラーグ達がいる洞窟、クラーグの住処に到着するとクラーナは周囲を見回してどこか懐かしむような声で呟き、それを聞いたリュウダは納得する。
(そうか。この先にはクラーナ師匠達の故郷であるイザリスがある。ということはクラーナ師匠はここを通って病み村に来たってことか)
それからしばらくリュウダとクラーナは無言で洞窟を進んでいき、やがてゲームでクラーグと戦った広場に着くと、そこには上半身は美女で下半身は蜘蛛のような怪物という姿をした女性、クラーグが一人待ち構えていた。
「まさか本当に……クラーナ姉さんを連れてきてくれるだなんて……!」
「……! クラーグ……!」
クラーナの姿を見てクラーグは驚きと喜びが混ざった顔をした感極まった声を出し、それはクラーナの動揺であった。
「クラーナ師匠、これを」
「これは?」
リュウダは自分がつけていたクラーグ達の言葉を理解する力を持つ指輪、老魔女の指輪をクラーナに手渡す。
「クラーグ姉さん達の言葉が理解できるようになる魔法の指輪です」
「っ!? 借りるぞ!」
老魔女の指輪の効果を聞いたクラーナは、リュウダからひったくるように老魔女の指輪を受け取り自らの指にはめた後、恐る恐るクラーグに話しかける。
「く、クラーグ……。私の言葉が分かるか……?」
「ーーー」
「……! ああ! クラーグ!」
「ーーー!」
老魔女の指輪がなくなったことでクラーグの言葉が分からなくなったリュウダだが、それでもクラーナとクラーグの言葉が通じ合っていることは分かった。
そして何百年もの時を経て再会した二人に姉妹は涙を流して抱き合い喜びあい、その二人の姿にリュウダも喜びで胸がいっぱいとなり涙を流した。
「クラーナ師匠。クラーグ姉さん。二人共本当に良かった……! 後はこの光景を守る……って! そうだ!」
自分の悲願であり使命が達成されたことを確認したリュウダは、この時自分が次にするべきことに気づくのであった。