病み村よいとこ一度はおいで!   作:兵庫人

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第50話

(なるほど……。今回はこの話なのか)

 

 リュウダは横島を引きずり込んだという古い机を見ながら前世の知識を思い出す。

 

 この世界の原作の一つである「極楽大作戦!!」には、魂をもった古い学校の机が「自分も人間の学生のように学校生活を送ってみたい」という思いから様々な時代の学生を自分の中の異空間に取り込んで学校の真似事をして、そこに横島と美神も巻き込まれたという話があった。

 

 原作では学校に霊能力を持っている人間がいないために横島の上司である美神が呼ばれたのだが、この友引高校には原作とは違って霊能力を持っている職員がいることを思い出して、リュウダはしのぶに話しかける。

 

「そういえばサクラ先生には連絡したのか?」

 

「それが……。サクラ先生は急用が入ったみたいで今日学校にいないの……」

 

「それじゃあ、チェリー殿の助けも期待できないってことか……」

 

 しのぶが残念そうに答えると、リュウダは思わずそう呟いた。

 

 これは最近本人達から聞いて知ったのだが、サクラは病魔に取りつかれて体が弱かった頃、チェリーに色々と世話になったため、今はチェリーの悪霊退治をたまに手伝っているらしい。だからサクラが急用で学校を休んだということは、まず間違いなくチェリーの悪霊退治の手伝いをしているため、二人の協力を得ることはできないとリュウダは理解した。

 

「それで少し前に先生達が横島君のアルバイト先に連絡をしたの。ほら、横島君のアルバイト先ってゴーストスイパーなんでしょ?」

 

(ようするに今のところ原作通りに話が進んでいるってことか)

 

 リュウダはしのぶの言葉を聞いて納得し、それからリュウダを含めた教室の生徒達は遠巻きに邪を引きずりこんだ古い机を見ながら時が経つのをまったのだった。

 

 そしてそれから十数分後。教室のドアが開いて、四人の男女が入ってきた。

 

「ここがそうです」

 

「へぇ……。ここが横島君の教室ね」

 

 教室に入ってきたのは、友引高校の校長にリュウダ達のクラスの担任である英語教師の通称「温泉マーク」、そして美神とおキヌであった。

 

「ああっ!? 以前会ったゴーストスイーパーのお姉さん! あの時はどうもありがとうございました! お礼がしたいのでどうかお名前と住所と電話番号を……あばはぁああっ!?」

 

「ダーリン! 浮気はゆるさないっちゃよ!」

 

 以前自分が悪霊に取りつかれた時、そのお払いに美神も協力してくれていたことを覚えていた諸星は、美神に礼を言うついでにナンパをしようとするのだが、その直後にラムの怒りの電撃を受けてしまう。

 

「……っ!? か、彼女がニュースに出ていた宇宙人? 霊力は感じないし、空を飛んでいるのも宇宙人特有の超能力ってやつ……って、え?」

 

「そうですよ。そして宇宙から来たラムさんも美しいが、貴女もそれに負けないくらい美しい」

 

 ニュースでラムのことは知っていたが実際に見るのは初めての美神がラムの電撃に驚いていると、いつの間にか面堂が彼女の手を取って口説こうとしており、それを皮切りに教室の男子生徒のほとんどが美神に話しかけようと押し寄せてきた。

 

「な、なんて美しさ……!? お、おねーーさまーー! 俺も! 俺も助手に雇ってつかぁさい!」

 

「そうだ! 横島でいいのだったら俺だって!」

 

「犬と呼んでください、お姉さま!」

 

「だーーー! 横島クンといい、この学校はこんなのしか量産しとらんのか!?」

 

「い、いや、その……」

 

「何分皆さん若いですからね」

 

 押し寄せてくる男子生徒達を追い払いながら美神が叫ぶと、温泉マークと校長が目を逸らして苦い口調で返事をする。いくつもの原作が混じり合ったこの闇鍋のような世界でも、この展開は同じように起こるみたいである。

 

(やっぱりこうなったか。しかし皆、緊張感がないんじゃないか? 今は横島を助けるのが先決……っ!?)

 

 美神に群がる諸星や面堂を初めとする男子生徒達を見て呆れていたリュウダであったが、その時彼は教室のすみにあったはずの古い机がなくなっていることに気づく。慌ててリュウダが教室の中を見回すと、古い机は手足を生やして天井に張り付き、美神を見ていた。

 

「美神さん! 上です!」

 

「上? しまっ……!?」

 

 リュウダの声で美神も古い机の存在に気付くのだが時はすでに遅く、美神は古い机の引き出しから伸びてきた舌に絡めとられて、そのまま飲み込まれてしまう。そればかりか……。

 

「お姉さん! 危ない!」

 

「ダーリン!」

 

「今助けます!」

 

 美神が古い机に飲み込まれる瞬間、諸星と面堂が美神の足にしがみつき、更にはラムも諸星の服を掴んで、三人も美神と一緒に古い机に飲み込まれてしまった。

 

「ああっ!? 面堂さんが! それに諸星君やラム、ゴーストスイーパーのお姉さんも! ふ、藤沼君! どうにかならないの!?」

 

 美神達が古い机に飲み込まれたのを見て、しのぶが半ばパニックになってリュウダに声をかけるが、話しかけられたリュウダはというと……。

 

「あ~……うん。多分大丈夫だと思うよ?」

 

 美神達が古い机に飲み込まれるのを目の当たりにしてもリュウダは冷静……というか、呆れたような顔でそう言い、それを聞いてしのぶは意外そうに彼の顔を見る。

 

「? 藤沼君、面堂さん達が心配じゃないの?」

 

「……俺の予想が正しかったら皆無事ですぐに出てくるよ。それまで待っていよう」

 

 リュウダがそう言って古い机を見ると、しのぶ達クラスメイトも古い机の様子を見ることにした。するとそれから五分後。

 

「……!?」

 

『『うわーーーーー!?』』

 

「た、助けてください!」

 

(やっぱりか……)

 

 突然古い机が震えだしたと思ったら、次の瞬間引き出しから横島と美神、諸星とラムと面堂が引き出しから、まるで吐き出されたかのように出てきた。そして古い机の異変はそれだけでは終わらず、古い机から古い女学生が出てきたと思ったら泣きながらリュウダ達に助けを求めてきて、それを見てリュウダは内心でため息を吐いた。

 

 その後、古い机から出てきた女学生に事情を聴くと、彼女は古い机に宿った魂で、リュウダの知る原作と同じく様々な時代の学生を攫っては、自分の中の異空間で学校生活の真似事をしていたらしい。

 

 そして横島の後に美神達を自分の異空間の学校に招いた古い机は、美神を先生にして授業を始めたのだが、授業の途中で横島と諸星が美神にちょっかいを出し、それにラムと面堂も加わったことで校舎が壊れかねない大騒ぎになったらしい。それに耐えかねて古い机は横島達ごと、今まで捕えていた学生達を開放して今に至るそうだ。

 

 ここまでの展開をリュウダは予想していた。「うる星やつら」の原作では、諸星とラムを中心とした騒動で何度も校舎が破壊されており、そこに横島と美神が加わったとなると、尚更ただで済むはずがないのだ。

 

 こうして横島達は無事に現実世界に戻り、古い机は原作通り教師達に気に入られ、リュウダ達のクラスメイトの一員となったのだった。

新人不死者のエリナ、育てるならどんなビルド?

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