病み村よいとこ一度はおいで!   作:兵庫人

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第55話

 筋力40のエリナに抱き潰されて気絶し、一度ダークソウルの世界に行ったリュウダであったが、すぐに篝火で休み現実世界に戻るとエリナの頭に拳骨を一つ落として彼女の腕から抜け出した。

 

「うう〜。酷いですよ、師匠……」

 

「うるっさい! 酷いのはそっちだ。こっちは身体中の骨が砕けて死ぬかと思ったんだぞ」

 

 拳骨を落とされた頭を手で押さえて言うエリナにリュウダが反論すると、ラムが変身した姿のままのエリナを興味深そうに見ながら話しかける。

 

「へぇ〜? お前もリュウダのように変身できるんだっちゃね?」

 

「はい! 私も師匠と同じダークソウルですから!」

 

 エリナが元気よくラムに答えると、ダークソウルについて知らないラムと諸星と面堂が首を傾げる。

 

「ええっと……? エリナさん、ダークソウルっていうのは何ですか? それに何故藤沼のことを師匠と呼んでいるのですか?」

 

「はい! ダークソウルっていうのは……その……?」

 

 次に質問してきた面堂に答えようとするエリナであったが、上手く答えられず代わりにリュウダがダークソウルについて説明をする。

 

「ダークソウルっていうのは、眠ったり気絶すると魂が異世界に行って、そこで手に入れた武器や技術を使える能力者のことだ。それで俺とエリナは最近ダークソウルの異世界で知り合って、そこで戦いの基本を教えたから彼女は俺を師匠と呼んでいるんだよ」

 

「へぇ……。やっぱりそうだったのね」

 

 リュウダの説明を聞いて美神が納得したように頷いて冥子の母親を見ると、彼女もまた頷いて見せた。

 

「そうね〜。これはやっぱり〜予定していた通りに〜した方が〜いいかもね〜」

 

「お母様ー? 予定ってー、何のことー?」

 

 自分の母親の言葉を聞いて冥子が聞くと、それに美神が代わりに答える。

 

「エリナの身体に現れた黒い輪っかのアザと能力から、彼女がダークソウルだって予想はついていたわ。それで今日エリナがダークソウルだったいう確証が得られたら、彼女を冥子の下につけて藤沼クンと一緒に行動させようって、エリナの両親と話をしていたのよ」

 

「ええー!? そんなー? どうしてー?」

 

「そうですよ! どうしてエリナちゃんを藤沼なんかと一緒に行動させるんですか!?」

 

「まったくですよ、美神さん! エリナちゃんが霊能者ってんなら、美神さんの下につけて俺と一緒に行動することにしてもいいじゃないっスか!?」

 

「うるっさい! アンタら二人は口を挟むな!」

 

 勝手にエリナを自分の助手にすることを決められた冥子が自分の母親と美神に抗議すると、そこに諸星と横島も加わるのだが美神はそれを一喝して黙らせると説明を続ける。

 

「ダークソウルの藤沼クンとエリナは眠る度に危険なダークソウルの世界に行ってしまうわ。でも娘をダークソウルの世界に一人だけでいさせるのは流石に不憫だというのが彼女の両親の考えなの」

 

「なるほどのう……」

 

「確かに可愛い娘が殺伐とした世界に一人でいると言うのは、親として心配でしかないからの」

 

 美神の言葉にサクラとチェリーが頷き、これには諸星とラム、面堂と横島も同意して頷きのであった。

 

「それでエリナの話によるとダークソウルの世界で彼女は『師匠』と呼んでいる人と一緒に行動していたそうだけど、それって藤沼クンなのよね? だからエリナがダークソウルで藤沼クンがその『師匠』だったら、出来るだけ一緒に行動させることで生活リズムを同じにして、ダークソウルに行くタイミングを一緒にしたいのよ。それにはエリナも冥子、貴女の助手にした方が手っ取り早いってことなの」

 

「ううー……。それはー、分かったけどー……」

 

「師匠! 私達、どうやらこっちでも一緒に行動できるみたいです! これからよろしくお願いします!」

 

「わ、分かった! 分かったから抱きつこうとするな!」

 

 もはやエリナが冥子の助手になるのは決定事項で、その理由を聞いた冥子がどこか納得できていない表情となってエリナの方を見ると、エリナは現実世界でもリュウダと一緒にいられることに喜び彼に抱きつこうとしていた。

 

「むー……」

 

(よしよし……。冥子、自分では気づいていないけどヤキモチを焼いているわね)

 

(ええ〜。そのようね〜)

 

(これはいい傾向ですね)

 

 リュウダに抱きつこうとするエリナと、それから逃げようとするリュウダ。二人を見ている冥子はどこか面白くなさそうな表情をしており、そんな冥子の表情を見て、冥子とリュウダをくっつけたい美神と冥子の母親と面堂は、冥子がリュウダに意識していることを確認できて満足そうな笑みを浮かべるのであった。

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