病み村よいとこ一度はおいで!   作:兵庫人

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第61話

 城下不死教区に捕らわれていたロートレクと共に行動することとなったリュウダとエリナとソラールだったが、ロートレクが捕らわれた時に負った傷は予想よりも酷かったらしく、しばらくの間ロートレクは火継ぎの祭祀場で傷を癒すことにした。

 

 そしてロートレクが傷を癒している間、リュウダはエリナの特訓に付き合い、ソラールは時折エリナの特訓を手伝いながら自分もまた「太陽のように大きくて熱い男」になれるように訓練をするのであった。

 

(ロートレクが動けない間に何とか奴の対策を考えないとな……)

 

 火継ぎの祭祀場の篝火で身を休め、現実世界に戻ったリュウダは難しい顔をしながら考える。

 

 ゲームのダークソウルでのロートレクは、後に火継ぎの祭祀場である事件を起こしてプレイヤーの敵となる。そんな未来を知っているリュウダは何としてもロートレクが起こす事件を未然に防ぎたいのだが……。

 

「……いや。今はダークソウルの世界よりもこっちの世界の問題の方が先か。……ハァ」

 

 どうやらこの現実世界でも何か悩みの種があるらしく、リュウダはロートレクについて考えるのを一旦後にするとため息を吐くのであった。

 

 

 リュウダがダークソウルの世界から現実世界に戻ってから数時間後。学校の授業を終えたリュウダはエリナと一緒にゴーストスイーパーの冥子の助手として隣町に来ていた。

 

 リュウダ達が今いる街は悪い意味で日本で最も有名な街で、リュウダは雇い主である冥子と弟子扱いとなっているエリナに危険が及ばないように絶えず周囲を警戒しているのだが、当の冥子はそんなリュウダの心配を余所に相変わらず脳天気な様子で周囲を見回しているのだった。

 

「へぇ〜? 噂だととっても怖い街だって聞いてたけどー、案外普通の街なのねー? 『米花町』ってー?」

 

 米花町。

 

 冥子が今口にしたのが今リュウダ達がいる街の名前であり、サンデーでも大人気な超長寿ミステリー漫画「名探偵コナン」の活躍の主な舞台となる街の名前でもある。

 

 ミステリー漫画の舞台と言うだけあって米花町では毎日のように殺人事件が起こるだけでなく、年に数回は大規模なテロ活動と思われる大事件が起こる。

 

 そんな物騒極まりない街に冥子がリュウダとエリナを連れて来た理由は、もちろんゴーストスイーパーとしての仕事のためだった。

 

 しかしゴーストスイーパーとしての仕事のためと言っても、今日はいつものように悪霊を退治するのではなく「殺人事件の被害者の霊を呼び寄せる」という仕事内容である。

 

 霊という存在が世間一般に知られておりゴーストスイーパーという悪霊を退治する職業が存在するこの世界では、殺人事件の調査で霊能者が被害者の霊を呼び寄せて直接事情を聞き出すという方法も珍しくない。冥子が米花町に呼び出されたのも、殺人事件の調査で殺された被害者の霊を呼び寄せるためであり、この方法を使えば殺人事件の真相の解明は容易いかと思われるが実際はそうではなかった。

 

 名探偵コナンを一度でも読んだ人間なら皆知っているだろうが、この世界で殺人をする人間はまるで手品かと思うほど複雑な手順で殺人を行い、その殺人トリックによって惑わされるのは調査に来た警察だけでなかった。そう……。

 

 名探偵コナンの殺人トリックは、警察官だけでなく被害者の霊も騙すための犯人による偽装工作なのである!

 

 そしてこのことを知ったリュウダは思わずこう思った。

 

 ふざけるな、と。

 

(本当にふざけているよな、この世界の殺人犯達は……! そんなくだらない殺人をするためにプロのマジシャン顔負けの完全計画を考えるくらいだったら、株とか仕事とかで儲かる方法を考えることに頭を使えっての。その方が人も死なないし、経済も回って皆喜ぶだろうが?)

 

 事件解決のためにゴーストスイーパーを雇って被害者の霊を呼び出そうとする警察も問題があるかもしれないが、事件を起こした挙句に罪から逃れるために霊すら騙す完全犯罪を計画する犯人はもっと問題があると考えたリュウダは、せめてこれ以上厄介事が起こらないでほしいと祈るような気持ちで思うのであった。

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