うたわれるもの 琥珀の軌跡   作:ななみ

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死水

 ベナウィが投獄された経緯は、(オゥルォ)の機嫌を損ねた――(オゥルォ)に楯突く発言をした、という単純な理由である。

 諫言ではなかった。感情に任せた、暴言であったと。暗い石畳の上で振り返る度に、確認する数日。他に返す言葉があったではないのか、焼き討ちの報告は――なるべく防ぐように努めていたが、残念ながら――日常と化していたのではないか。何故あの機に、あの場所で、聖上のあの表情を、民を蔑ろにする発言を拝見した時に声を荒げたのか。

 多くの民が犠牲になっているであろう現在に、である。

 後悔、という単語が口を伝ってこぼれ落ちそうになり、ベナウィは息を吸う。

 自身の言葉に後悔は無い、曲げる気も取り消す気も無い。自分の……自分の立場だった者が声を上げなければ、より多くの、戦とは関係の無い、罪のない國民が犠牲となる。

 しかし。現在の自分は、あまりにも無力である。

 叛軍の進軍を阻止すべく軍を動かす事も、その作戦を立案する事も、はっきりとした國内の情報を入手する事も、(オゥルォ)に奏上する事も。一人でも多くの者が犠牲にならぬようにと、この國を()()()()()ための行動ができない。その一点においては、悔いがあるのかもしれない。

 では。あの時、どのようにするべきだったのだろうか。不毛ともいえる問答を、冷たい部屋の中でひたすら行うこと数日。獄内において、緊張感のない会話が聞こえるようになる。

 獄司達がお喋りなことは感心しないが、ベナウィは彼らを咎めることなく聞き耳を立てる。この國はもう駄目だ、という声が彼らの会話の大半であるものの、時折流れてくる事実らしき情報を木簡に認めつつ、現在の國内の状況を整理していく。

 叛軍の勢いは止まらず、ここ皇都を包囲しつつある事。つい先日、各地の豪族達が叛軍に寝返った事。皇都に入ってくる食糧が少なくなりつつある事、等々――最後の部分にベナウィは同意しつつ、先程渡された食事に目をやる。口をつけていないものの、器には三分の一しか中身が入っていない。

『で、例の囚人が此処の牢に来るらしい』

『げ。また増えるのかよ……こっちはお偉いさん一人で精一杯だってのに』

『ば、馬鹿っ! そんな大きな声だと聞こえるだろっ』

 遠く、地上と牢獄を結ぶ入口付近に立つ獄司達と、男の視線が重なる。ひどく怯える彼らを一瞥し、ベナウィは何も聞いていないかのように筆を動かすと、二人は安堵のため息をつき、会話を再開する。

『で。例の囚人ってのは――』

 ベナウィの鋭い視線が二人の方へと向けられる。

 誰かが牢に入れられる、出される度に交わされる彼らの会話。ベナウィにとってみれば、國内の情報に比べればさほど興味の無い内容であることがほとんどであるが、聞き覚えのある単語が彼らの口から発せられるや否や筆を置き、器を持ったまま耳を立てた。

 嫌な予感、面倒なことが起きる予感しかしない。一通り話し終えた会話の感想を心中で漏らした直後、ベナウィの手から空の器が離れた。

 盛大な音が廊下へと響き、同時に獄司達の体と表情が石のように固まる。やがて双方が小言をぶつけあい、一方が器を拾うベナウィのところへやって来る。その足取りは非常に遅く、ぎこちない。

「も、申し訳ありません。こんな夜遅くに騒いでしまい」

 こちらこそ申し訳ありません。と謝罪したベナウィと目が合った獄司は、何度も頭を下げ始めた。何故そうも恐縮するのかと疑問を抱きながらも器を隅に寄せ、ベナウィは一つの質問をする。

「その囚人はいつ此処へ?」

「あー……」

 聞いていましたか、と獄司はがっくりと頭を下げた。

「明日の朝か、夕刻になるって聞いております。向かいの牢に入る予定です」

 お嫌でしたら、違う牢に囚人を移動させますが? との言葉に、ベナウィは静かに首を振り、獄司へ背を向けた。

 

 

 

 

 

 翌々日。やはりあの時、彼に頼んでおくべきだっただろうか、とベナウィは溜め息を吐いた。かといって、断った手前もあり手続きが非常に面倒なことや、自身のわがままに彼らを付き合わせることが何よりも許せないため、今更願い出る気はない。

「と、いうわけです」

 自分が此処へ来る経緯を簡潔に話し終え、ベナウィは牢の向かい、しつこく訊ねてきた相手を睨む。

 格子に押しつける傷のない顔と墨色の両目は、廊下にある発光石よりも明るく輝く。首元には三本の古傷、薄着一枚の下から覗く手足や胸元には切り傷と火傷の痕が多数あり、数カ所は膨れ上がっている。

 よほど楽しいのか、茶色の長い尻尾をパタパタさせつつ、じっと見つめてくる相手に、ベナウィの眉が上がる。

「……。何か?」

 はっとした表情で耳を上げた後、にこにこした顔で相手は答える。

「いえ。天下の貴方がついにお払い箱に、と思うと。この光景を目に焼き付けなくてはと思いまして」

「嫌味でしたら結構ですよ。間に合っていますので」

「まさか。嫌味を口にする時間さえ惜しいです。すごく、すごく素敵ですよ、そのお姿」

「…………」

 具体的に理由を力説し始めた相手から目を離し、ベナウィはこめかみに手を当てる。

 長年共にやってきた部下達の言葉を借りるのであれば、こういう鬱陶しくて堪らない状況を『うざい』または『うざったい』というのではないだろうか。視界から相手を追い出すように強く墨を摩り、光を放つ発光石の皿を引き寄せつつ心中で吐いた感想を見透かしたように、おや、と相手は目を丸くする。

「たった今、うざい、と思いませんでしたか? あぁ、うざいの意がお解りになりますか?」

「鬱陶しいと自覚しているのであれば、少し黙りなさい」 

 むっとした表情で相手は黙り、木簡の上に筆を滑らせる男の背中を見続け始める。

 水のように冷たい沈黙が張り詰め、墨を摩る音が真上を滑っていく。複数の吐息が聞こえる程の沈黙が続き、筆が木簡と硯が数往復した頃。墨を置き、ふっと口を開いたベナウィを遮るように相手は答える。

「自分の経緯につきましては、そちらの方々からお聞きになったのではありませんか」

 船を漕いでいる獄司達を一瞥し、先程とは異なる淡々とした声で、相手はベナウィを見据える。

「――"常世(コトゥアハムル)の番人"」

 落潮を滑らせる筆が止まる。口を固く結んだベナウィに苦笑し、わざとらしい語り口調で、相手は一昨日に行われた獄司達の会話を要約し始める。

 十数年前。チェンマに住む当時の村長(むらおさ)の姪が、ちょっとした奇跡が起こせるという噂が広がった。不治の病を治す、個人の寿命を予知する、戦が起こる時期を予測する――噂で出回った奇跡と呼ばれる具体的な内容はどれも如何わしい物だったが、当時は疫病が頻発していた事や戦が絶えない時勢が起因して、様々な者が大陸中からチェンマへやって来たという。ある者は娘の病気を治して貰うために、またある者は単に奇跡とやらを見るために、またある者はその奇跡を手に入れるべく娘に縁談を持ち込んだ。そんな彼らに告げる彼女の言葉は、ほとんどが凶事、死に関する内容であった。病気を患った己が、家族がいつ死ぬのか――特に今期以内の命だと言われた者は、死因は様々であれど、全員予知通り死んでいった。病気とは無縁の者も、例外はなかったという。また、該当する者の親族(ウタル)一人の死後に齎される一族没落の未来や、近隣諸國同士の戦の勃発とその場所を正確に予知したこともあり、やがて人々は彼女のことを、恐れを持ってこう呼んだという。

 "常世(コトゥアハムル)の番人"――死後の世界への扉を開ける門番だと。

 何故禍日神(ヌグィソムカミ)と称されなかったのかは、未だに疑問ですが。と相手は笑う。その笑顔は、気味悪さを抱く程に乾燥している。

「……その彼女が身に着けていたという琥珀(コゥーハ)の指輪。それを盗んだというのが、一応の罪状のようです。あの時、あの場所でチェンマに居たことも含め、関係者ではないか、と」

 妙だ、という顔をしたベナウィの正面で、全くです、と相手は同意する。

「その娘が自分であることを、何故か皆様は認めてくださらない」

 彼女の特徴である首の傷を見せても、と相手は――コゥーハは胸元を開き、古傷を掻く。

「まず。自分を女性であると認めて頂くまでが大変でしたね。長い尻尾を持つ殿方など、ごく稀だというのに。何故か皆様、胸で判断しようとされる」

 あり得ないと思いつつ、ベナウィはコゥーハの首下を一瞥する。コゥーハの胸は、確かに同年代の女性の平均的な胸の大きさを遙かに下回っている。しかし、服を脱がされれば誤魔化しようもないのではないのではなかろうか。

 何も言わず、ただ一点を見つめるベナウィに、コゥーハの低い声が掛けられる。

「……ほう。貴方も大きい方が」

 目を逸らしたベナウィを睨み、意外でしたよ、と服を正しながらコゥーハは腕を組む。

「入隊するときも同じ扱いを受けましたよ。書類を書き直せだの、女だと主張しても女と誤魔化そうとすることが女々しいだのと説教され、挙げ句は化粧道具と間違えられて薬師(くすし)の道具は没収されますし……名前と所属は覚えておりますので、此処を出られた暁には、是非とも件の上官を左遷して頂きたく思います」

 私情は受け付けないが、コゥーハの性別詐称の件はきっちり対処する旨を相手に伝え、ベナウィは他の疑問を投げた。それに対して、ああ、とコゥーハは小さくした肩を更に竦める。

「チェンマにて自國の兵士を殺めた件ですか」

 彼の地に行ったのか、という問いに、ええ、とコゥーハは笑う。哀愁漂う墨色の瞳で、己の手の平をじっと見つめながら。

「赤い……そう。赤かったですよ。家も、平原も、ヒトも己の両手も」

 彼の地がどうなったのか知っているのかという問いに肯定し、ベナウィは相手の手をじっと見つめる。

 軽く曲げられたコゥーハの指は、苦労を知らない豪族の娘のような繊細さも、家族のために毎日家事を行う女性の趣さも無い。しかし、働く男性のような力強さも持ち合わせている訳でもない、不思議な手である。過去にそう呟いた際、全く同じ表情でコゥーハはこう返した事をベナウィは思い出す。

 この手には黒色をした油みたいなモノが塗られていて、触ったものは汚れ、掴んだものは全て滑り落ちていくのだと。

「また……滑り落ちてしまいました」

 吐息よりも小さなコゥーハの声に、ベナウィは息を呑む。

 しばしの間迷った後、彷徨わせていた視線を戻し、極力冷静な声で質問した。

「お二人は」

 ベナウィの問いに、コゥーハは笑って首を横に振る。彼女らしい仮面のような笑みを浮かべ、まるでそう話すように言われたかのように、高い声で滑らかに言葉を打つ。

「お人好しなカナァン様とムィルが、自分達だけ逃げるというのは考えにくいとは思いませんか? むしろ一人でも多く皆を逃がす知恵を巡らせ、目的のために恐怖を投げ捨て最前線で指示を出すでしょうし、殺されそうになった者がいれば、それこそ身体を張り――」

 声高なコゥーハの声が止まった。直後、コゥーハは相手に背を向け、長い尻尾で石畳を一回叩く。

「…………」

 垂れ下がった茶色の両耳、縮こまった背中が、コゥーハが点した発光石の光の影に隠れる。

 小さな背が、沈黙の中に混じる微かな息遣いが、質問に対して明確な答えを言わない事が――おそらく再度問えば、はっきりと答えるのだろうが、コゥーハの一連の言動が『問うな』という意思なのだろう、とベナウィは口を閉ざす。

 石畳の上を冷気が流れる中、重い沈黙が続くのかと思われた獄内であったが。変なのですよ、とコゥーハは相手に背を向けたまま話し始める。

「皆様、他國の方かと思われるくらいに、相当お喋りでしてね」

 不安なのでしょう、とコゥーハは小さく息を吐き、尚も顔を見せることなく姿勢を正す。

「此処の獄司には、自分の罪に関して……チェンマが焼き討ちに遭い、全滅したことさえ、知らないようでした。管轄が違うだとか、知る必要がないとか言って教えてくれないそうで。そうでなければ、こうも自由でいられる訳がありません」

 恐ろしい侍大将のいる目の前では誰も脱走しないと思っているのかもしれませんが、と付け加え、コゥーハは背伸びを始めた。

「そう。もう一つは、自分がこうして息をしている事。……集落は全滅し、生き残りはいない。全員殺すように命を受けていたそうなので。上の報告では、そう伝えられている。実際に、命令をした貴方ではない侍大将が、そう(オゥルォ)に奏上したとか」

 コゥーハはすっと深呼吸をし、様々な感情を押し込めるように俯いた。

 冷たい風が二人の髪を揺らし、僅かな静寂が訪れる。その空気の底で、コゥーハの低音が、強い断定が響く。

「カナァン様もムィルも決して馬鹿ではありませんので、少なからず生き残った者はいると思います。しかし――」

 長い尻尾を丸め、震える声でコゥーハは呟く。

「しかし、皆のほとんどが亡くなりました。養母も、養弟も。他にも大勢の方が。だというのに――」

 相手の名を口にしたベナウィの声は、コゥーハの吐露に塗り潰されていく。

「"アレ"に抗いたいと家を出たのに、結局縋って。そして何もできなかった自分が、自分を目の上のこぶだと思っていた養弟に救われ。挙げ句"アレ"で築いた名声に助けられている」

 本当に、擦れた声が静かな獄内に満ちる。

「何をしているのでしょうかね」

 コゥーハが呟いた一言が、ずっと問い続ける言葉が、ベナウィの心を深く抉る。

「全くです」

 前髪で目が隠れたベナウィの側、表面のみが白いたまり水に、天井から水滴が落下する。澄んだ音の後に綺麗な曲線が発光石に反射し、やがて別の水滴が起こした波とぶつかり、底にある暗闇が混じった歪な模様を作り出す。

 ひた、ひたと。やけに響く音の中、くすくすと苦い笑いを滲ませた顔をコゥーハは相手に見せる。からかうような声を発するその表情に、涙はない。

「慰めで頂けるのですか?」

「まさか。そのような暇はありません」

「では。自分が慰めて差し上げましょうか」

 コゥーハは笑いつつ、人差し指で頬を当てる。その仕草は、コゥーハに時折見られる、嘘を言うときの癖だと、ベナウィは眉を寄せる。

「今日は、やけに饒舌ですね」

 うざったい笑みを向ける相手から目を離し、再び筆を執るベナウィに、お酒を頂きましたから、と頬に指を当てながら、コゥーハは即答した。

 微かに入り込んできた風が、彼女の髪を撫でる。散り際の花のように変化した笑みと共に。

「まあ。あれです。この生活続けると、後……ざっと推測して七日程なので」

 どういう意味かというベナウィの問いに、みなまで言わなくともお分かりになるでしょう、とコゥーハは発光石を皿から持ち上げる。

 尤も、と振り返ったコゥーハの強い言葉が、暗闇の中心で穿つ。

「それまでに叛軍が攻めてくれば、流れが変わるかもしれませんが」

「……」

 そっと息を吐き、正座をし直したコゥーハの様子が一転する。暗がりで見えにくいものの、明らかな変化はベナウィの瞳に焼き付く。

「あの光は」

 口元は震え、小さく息を飲んでは吐く。躰を小さく丸め、尻尾を両足の隙間へ押し込む。薄暗い中で揺らぐ両目は、力に怯える、力なき子供のそれによく似ている、とベナウィは口を結ぶ。

 やがて、言葉を絞り出すようにコゥーハは続ける。

「あの金色は……眩しい。眩しすぎて、時に恐ろしい。煌々とした光は全てを暖かく包み、自分の纏う黒を祓うでしょうが。やがて彼のモノの内に抱くもの、自身を含めて此の地全てを、その熱で焼き尽くすかもしれない。そんな気がするのですよ」

 ふふふ、と腕を組んで笑うコゥーハの顔は引き攣り、非常に弱々しい、とベナウィは思う。少なくとも冗談を並べ立て笑う、生き生きとした表情ではない。黒い瞳は質の悪い墨のように濁り、底の無い沼のように発光石の光を吸い込んでいく。

 何時かに出会った、何処かで見かけた、薄暗い闇に溶け込む表情。

(……)

 ベナウィは自身の丈を掴み、くっと唇を噛む。 

 コゥーハの話した"光"というのは十中八九、コゥーハにしか見えないという"アレ"である。しかし、"アレ"について口にするコゥーハの言葉は疑問であった。コゥーハが余命を口にした者が短期間の間に確実に死に、言葉にした場所で正確に戦が起こるという事実が多少の信を生じさせるが、"アレ"を感じることのできない自身の躰と具体的な日時の的中率の低さからくる疑が圧倒的に大きい。大きいと判断していたはずだが、己が内にある信が想像以上に存在している。焼き討ちを容認する(オゥルォ)の考え、次に遭う集落の予想が全く推測できず、しかし罪なき民が焼き討ちに遭う事は防がねばならないと、藁にも縋る思いで"常世(コトゥアハムル)の番人"を訪ねている事が、その証明であるのかもしれない。

 そして。コゥーハは"金色の光"が誰から、あるいはどの様な集団、または組織であるかを断定していない。しかしベナウィには、それが誰の者、どの様な集団であるのか理解できた。

 理解した瞬間、彼女の言葉が『その者』を侮辱したように捉え、不快感を露わにする己に動揺し、嫌悪した。

 自覚はある。しかしそれは、この國の侍大将として在るなら()()()()()()()()()ものである。認めた瞬間、不透明な水が己の全てと周囲を跡形も無く壊し、腐った果実や集る蟲が澄んだ水と共と混じり、押し流してしまう。

 自分のやってきた事全てが無に帰すような気がする。その事を恐れ、恐れた事に吐き気が出た。

 軽く咳き込んだ後、ベナウィは墨池を覗く。

 何時かは迎える崩壊。確実に放出されなければならない溜まり水。しかしそれは現在であってはならない。そう抑えつけるものの、焼き付いた微笑みが、コゥーハの吸い込まれそうなほど深く黒い墨色の瞳が、抱いた想いを自身の言葉として具現化させようと誘う。全てを瓦解させる誘いは、任を解かれたベナウィにとって非常に辛く、甘かった。

 とある兵士が言った、当時は不謹慎だと感じた叛軍へ寄せる想いが響き、濁った水面に落ちて波紋を作る。非常に美しい一滴が、ひどく綺麗な波を。

(期待。ですか)

 ふっと湧いた単語は、外部からやって来た波に儚くも消え去った。笑えない彼女の冗談という波によって。

「一回は焼き尽くされた方が――いえ。失言でした。お許しください。ベナウィ様」

 ベナウィの手元にあった筆が真っ二つに折れた瞬間、コゥーハは平謝りした。

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