平野
操作系念能力「
ロープに念を込めて操ることができる。
単純な拘束から攻撃まで、幅広く使うことができる。
操作系能力のため攻撃力が高くないが、放出系と相性がよく中距離からの攻撃や撹乱に長けている。
平野は常に体にロープを這わせており、そのロープであれば手足のように操る事ができ、動きを指定して設置しトラップとして活用することも可能。
いざという時に使う奥の手があるが、蓮以外はその能力を知らない。
「クックック♣」
ホテルの一室。
田所が窓際に腰掛けて見るのはガンボリア宮殿。
そこが見えるホテルを選んでいた。
これから始まる戦争。それによって生じる
衝突。生と死。快楽と後悔。
その一大イベントに心踊らずにはいられなかった。
きっと木村と三浦はきているだろう。
新庄というA級指名手配犯もきているらしい。
神奈はいろいろなところで傭兵として功績を立てている。
体の奥底からワクワクがとまらず、思わず笑いが溢れ出る。
「畜生!」
その時、扉が開いて中に竹野内が入ってきた。
入るや否や、手に持っていたアタッシュケースを放り投げて、どかっと椅子に座ると、ひじを突いて頭を抱えた。
「組長や側近があんなレベルだったなんて……畜生!」
ドンっと肘置きに拳を叩きつける。
「お疲れ様」
竹野内の怒りなど全く気にせず、田所は声をかけた。「大変だったね。まあ、君の能力は彼がいなくても強力さ。引き続きよろしくね」
「あぁ? よろしくなんてしねぇよ、ほら」
竹野内は床に落ちたアタッシュケースをけって、田所の方へ飛ばした。「1919万、あんたからもらった金だ。もういい、こっちはコンビもやられてもうこの仕事も続けられない。あのレベルの連中とやり合うのもうんざりだ。俺は降りるぜ。じゃあな」
席を立って、部屋から出ようとした瞬間、
「だめだよ」
その言葉に竹野内は足を止めると、ゆっくりと振り返り、田所をにらみつける。
「なんだと?」
「返したお金は受け取らない。だから行かせない。もしこの場をさるのであれば、君はお金を奪ったことになるけど……当然、僕はそれを許さない」
竹野内は返答なく、視線は田所へ向けたまま沈黙。
その刹那、腕を上げて田所へ手を向ける。
「キャンセーー」
そこまで言った瞬間に、すでに手に『バンジーファック《伸縮自在の腸液》』がまとわりつき、指をさせないことに気がついた。
「指差されたら終わりなんだ」
即座に、田所がトランプを指にはさみ、接近する。「当然、無力化するでしょ」
「待った!」
トランプが竹野内の首に触れた瞬間、声が響き、田所は手を止める。
触れたトランプの側面から、血が一滴したたる。
「彼の能力は貴重です。今殺すのは惜しい」
そういったのはずっと部屋の角にもたれかかり、その状況を静観していた男。
その体は黒く焼けているが、田所とは対象的に細く、横に長いサングラスをかけていた。
「別にいいんじゃない。もういらないし。ほんとは組長の一人ぐらい殺してもらって、混乱させてほしかったんだけど、それも無理そうだし」
「邪魔を入れず、
3秒ほど、考えているのかそうでないのか、なんとなく右上の方をみて、
「ふーん、そう」
興味なさげに田所は返答し、トランプを首元から離すと、硬直していた竹野内の体から力が抜けてその場で手をついた。
「まあ、その辺は君に任せるよ。あとはよろしく~」
田所はトランプを振って血を払うと、ドアへ向かってあるき出した。
「どちらへ?」
「ちょっと会場を見てくる。木村君たち、久々に見たくなっちゃった」
「今はまだ見られぬように。最高の瞬間のため、潜んでください」
「りょうか~い」
軽く手を振って部屋を出た田所を見送ると、男はうなだれる竹野内のそばに寄った。
「竹野内さん。そっちの事情もわかるが、もうあなたは彼と契約してしまった。途中で抜けるなんてことは、あの人は許さない。別にこのまま逃げてしまってもいいですが、それはオススメしません。そんな事したら、彼はきっと、あなたを追い詰め、あざ笑い、殺すでしょう。虫の命をもてあそぶ子供のように」
竹野内はうめき声を上げて、頭を床に落とした。
そのさまを見て男はーー
「命が惜しいなら、彼の指示に従うべきです……まあ、それでもいいならご自由に」
その昔、彼はレイパーであり、迫真空手家だった。
木村たちの元同僚。だが今は、明確な敵である。