別れを告げて 作:あいす
「ふんふふ〜ん」
阿孋と望未との出会いから3日後。珍しく両親から外出の許可が下り、やましい気持ちを一切抱えずに人里へ出歩ける事となった阿孋。快晴の空の下で阿孋が歩を進める度、人里は少しづつ表情を変えていく。一昨昨日とは、また違った人里を見て、阿孋の気分は段々と高まっていく。余りの上機嫌ぶりに、思わず阿孋の周りに「ルンルン」と擬音が見えてしまう程だ。ご機嫌に鼻歌交じりのスキップで道を進んで行く阿孋。暫く人里を散策していると、ふと声が聞こえた。
「お花の髪飾りはいりませんか……?」
小さく弱々しい少女の声。しかし、その中に通っている強い意志を阿孋は感じた。阿孋はその少女の所へ向かい、優しく話しかける。
「ねえねえ、髪飾りが欲しいんだけど見せてくれる?」
「は、はい。これ……です……」
そう言って少女が見せてくれた髪飾り。白色が、仄かに色付く桃色とのコントラストが美しく、黄色の筒状花との色合いがまた可愛らしい。デージーの髪飾りだった。
「可愛い髪飾りね。この髪飾りを1つ買いたいんだけど、いくら?」
「はっはい。1銭銅貨…です……!」
阿孋は少しだけ悩んでしまう。と言うのも、阿孋にとって、一銭と言うのはかなりの大金なのだ。金銭感覚をしっかりと養えているという事ではあると思うのだが、厳しすぎるのではないかと言った声も阿孋の家の者から聞こえてくる。
阿孋は、少しだけ悩んだ後少女にお金を渡す。
「はい、これで大丈夫?」
「はい……!ありがとう……ございます……!」
少女はお金を受け取った後、嬉しそうな声色で阿孋にお礼を言い、髪飾りを手渡した。阿孋は、髪飾りを大事に受け取り、その場を後にしようする。
「ありがとうね。髪飾り、とっても可愛い。」
「こちらこそありがとう……ございます……!」
「それじゃあ、私はそろそろ行くね。また来るわ」
「はい!ありがとう……ございました!」
たどたどしい敬語で一生懸命話す少女を見て、阿孋は微笑ましい気持ちになる。そんな少女に手を振り、阿孋はその場を後にした。そういえば、阿孋が最初に少女の事を見つけた時、少女は悲壮感に押し潰されている様な表情をしていた。もしかしたら、何かがあるのかもしれない……深読みし過ぎかもしれないが。だが、阿孋はどうしてもそう考えずには居られなかった。まあ、そんな事を考えていても仕方がない。阿孋は一旦考えることを辞め、人里を再び散策する事にした。 幸い、まだ時間はたっぷり余っている。阿孋は、何処に行くかを考えながら、歩を進め始めた。
ところで、世の中にはこんな現象がある事を知っているだろうか。