ダンジョンにシカクイ奴が居るのは間違っているだろうか   作:taimanman

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 おはようございます。会えない時のためにこんにちはこんばんわ。
 皆さんお久しぶりです。taimanmanです。因みにこの作者名は怠慢男という意味です。決して一対一の殴り合いを想起させるような意味の言葉の方ではありません。まあこの上なくどうでもいいことですが。
 下らない前話はここまでにして、今話行ってらっしゃい。


忘れていたその興奮を

 「sate、dokoniikuka(さて、何処に行くか)

 

 ベルを送り出したはいいものの自分が何をするかは決めていなかったな。

 今日は冒険者は臨時休業となったわけだし特にやるべき予定もない。とはいえやりたいこともないわけで、どうしたものか。

 ここオラリオについてはベル以上に疎い為どんな娯楽があるかもよくわからない。その為何をしたいという望みもなかなか出てこないのが困りどころだ。何ならこの世界についてすらまだ5日分の知識しか無いわけだし、どうしようもない。

 いっそこの街について知るためにひたすらぶらぶらとさまようのも良いかもしれないな。

 それかこの時間を使ってホームの地下室増築に着手するか。前々から考えていたことではあるわけだし、丁度良いかもしれない。さてさてどっちにするか。

 

 「......aidawototte(間をとって)tikasitsunozouchikusizai(地下室の増築資材)atsumeniurotsukuka(集めにうろつくか)

 

 どっちかをとるのではなく両方を同時にすれば解決する問題だった。

 

 「naahitotsukikitaindakedo(なあ、1つ聞きたいんだけど)konohendemokuzaiutteru(このへんで木材売ってる)basyottenaika(場所ってないか)?」

 「木材......ですか」

 「aa(ああ)

 「それならばあちらの道を真っ直ぐに行くと商人の集まりがありますので、そこならば売られている可能性は高いかと」

 

 まだ店の前に居たリオンさんに話を聞けば良い情報をくれた。商人の集まりか......

 良いものが売っているといいんだが。

 まあ何はともあれ、まずは行ってみるかね。そう思いながら情報をくれた彼女に礼を言い、言われた場所に足を向けた。

 

 

         ○●○●○●○●○●○●

 

 

 商人達の集う市場。ここには古今東西からのさまざまな品物が並ぶ。流石は世界の中心と言われるだけの事はあるのか、世界中からやって来た数多くの商人達が選りすぐりの物品を揃えている。そんなわけでさまざまな国色の珍品が並んでおり、何処に行ってもその物珍しさに目を奪われた。

 これだけの品揃えならばどこかには木材も売っているのではないかと期待が高まる一方で逆にこんな場所には建築材等売っていないのではないかという考えも沸き上がってくる。しかしそんな憂いは意外と簡単に晴らすことができた。

 

 「kore、matsuka(これ、マツか)

 

 道行く途中、とある露店にて薄く黄色がかった木材を見つけたからだ。マツの木。かなり固めの木であり建築用には良いかもしれない。

 

 「koretteikurada(これっていくらだ)

 「ん?ああ、それなら......」

 

 気に入って値段を聞いた時だった。頭のなかで何かが気になった。特に何も異変の無い現状には適さない、強烈な違和感。ふと感じたなにかが頭のなかで形になるその寸前、スティーブの後ろで地面が爆ぜた。

 

 「!?」

 

 慌てて後ろを振り向く。吹き飛んで粉々になった石畳の破片が舞い降り視界が悪いなか、煙の奥に何かが居た。やがて煙が晴れていき、徐々に表したその姿は、異様なものであった。

 薄黄緑色の体躯は植物の物であり、その頭には醜悪な顔付きの花が。ニタリとミカヅキ型に割ける口からは、花の可憐さなど欠片も伺えない。間違いなくモンスターであると言える不気味な植物が街に出現した。

 

 『キ......キャーーーーー!?!?』

 

 当然、いきなり街中に現れたモンスターに辺りの人々は慌てだす。無我夢中でモンスターから離れ、たちまちこの市場は混沌とした様子に陥った。

 それを見てスティーブが思ったのはマズイという考え。人集りで皆が一斉に同じ方へバラバラに動けば多くの危険が生まれる。より危険な状況を作りかねない。

 このままでは辺り一体が大混乱に陥りかねない為やりたくはないが闘うしかない。なにより後ろにある木材には手を出されるわけにはいかないのだ。

 そう意気込み一歩踏み出したスティーブに対して、鞭のごとき腕による絶死の一撃が放たれた。

 

 

         ○●○●○●○●○●○●

 

 

 さっき感じた違和感、その数倍の危機感を感じた瞬間(とき)、全力で地に身体を放り投げていた。全身が地面に近づくなか、視界に写っていたのは花のモンスター、その後ろで振りかぶられている鞭腕。直後、頭上で強大な風が吹いた。直ぐ様跳ね上がって距離をとる。その間心臓は常に鳴りっぱなしだ。

 洒落にならない。見えなかった。今の一撃は俺の視界には写らなかった。それはつまり今の自分では見てからどうこうするという事が決して許されないということであり同時に一撃喰らうだけで体はぐちゃぐちゃに粉砕されるという威力の程を物語ってもいた。

 もし今ここに居たのが俺じゃなくてベルだったなら、もうこの世には居なかっただろう。

 

 「kusottare(クソッタレ)!」

 

 叫んでどうにかなる問題ではないと分かっていても叫ばずにはいられない。

 見てからでは回避不可能な上に一撃当たれば掠っただけでも即死の攻撃がデフォルト設定の敵ってなんだよ。しかも相手の体の硬度は分からず最悪一切攻撃が効かないかもしれないとかどんなクソゲーだ。これでもし再生能力持ちとかだったら目も当てられない。

 そのあまりの難易度にもう一度心の中でクソッタレと呟き、そして再び向かっていった。

 正直なところ別にこのモンスターを相手にする必要性はどこにもない。周りにいる人は誰一人として知らない存在であり、そんなやつらが何人死のうと知ったことじゃない。ベルならばきっとそんなことを理由に立ち向かえるのだろうが俺にはそんな感性はない。

 強いて言うならば木材だけは大事だがその為に命を懸けるほど俺は馬鹿じゃない。ならば闘う理由はここにはないはずだった。だけども。

 

 「musisitekaerunomokibungawarui(無視して帰るのも気分が悪い)

 

 残念ながら知らないやつが死ぬのはどうでもいいが目の前で死なれるのは気分が悪い。だから帰ることはできなかった。

 はぁ、運がない。

 そんなことを考えていると、また鞭腕の一撃が来た。

 先読みして腕の下を潜り、前に出る。

 

 「haa、hontoniunganai(はぁ、本当に運がない)

 

 

         ○●○●○●○●○●○●

 

 

 闘いを見る誰もが驚いていた。死を簡単に幻視させる鞭腕の苛烈な連撃を最小限の動きだけで避け、その男はモンスターに近づいていく。一歩間違えれば軽く吹き飛ぶ体は、するすると攻撃の側を通り抜け決して敵の鞭腕に当たりはしない。

 恐ろしいほどに的確な体捌きによって、スティーブは一度も足を止めず敵に近づいていた。

 所々に窺える一見無駄だらけに見えるような動きは次の攻撃を避けるのに最適な位置取りをするため。一撃が体の横を通りすぎる頃には既に次の攻撃がどう来るかを見切っていた。

 故に当たらない。決してその体を衝撃が撃ち抜く事はない。あまりにも見事な動きによって敵のすべてを捌ききっていた。

 誰も、逃げようとしない。今いる場所から遠ざかろうとはしない。モンスターを前に愚かすぎるこたとであると解りきっていながら、彼らは動かない。いや動けなかった。この闘いに見惚れていたのだ。

 抱いていた恐れは衝撃に、その衝撃は驚愕に変わった。

 もとよりここは英雄の地オラリオ。そこに住む者達は皆誰しもが1度は憧れたであろうものが今ここにある。誰もが憧れ、敬い、待ち続けた存在。世界がこの地に求める英雄(存在)を前に、その闘いを前に、背を向けるものは居なかった。

 抱く想いはただ1つ。

 『どうか、彼の勝利を』と。

 

 

         ○●○●○●○●○●○●

 

 

 見る。見る。見る......全て見透かすまでひたすらに見続ける。相手の動きを、次の挙動を、敵の弱い部分を、探し続ける。

 一撃一撃が絶殺なら避ければいい。見てから避けれないなら見る前に避ければいい。敵の動きは複雑ではない。ならば幾らでも避けられる。

 敵の動きを見続けろとつい最近ベルに教えたばかりだ。教えた本人ができないでは笑い話にもならない。

 あらゆる動きを見透かして、あらゆる動きを封じ込めろ。動きに着いていけないのなら、動きの前に待ち構えろ。相手が速くても力強くても普段とやることは決して変わらない。

 相手の動きを読み切り、隙を作ってそこを突く。結局やることはそれしかない。

 そんな闘いの中でいつもと違うことがあるとすればそれはこの胸の高鳴りだろう。

 昔からずっと闘い続けてきた。その中で数えきれないほど危ない場面には遭遇してきたし、何度もぎりぎりで潜り抜けてきた。そのどの闘いでも感じていた胸の高鳴りが、最近は無くなっていた。

 最後にその高揚感を抱いたのはエンドラと闘った時だったか。あの日以来一度も感じたことのないこの感情を思いだし、闘いの目的はすっかり変わってしまっている。

 そうだ。忘れていた。ずっと求めていた闘いを、死が横を通りすぎる感覚を、その闘いの高揚感を。

 そういえば初めての闘いは死が怖くて、その次の闘いからは最初の闘いの興奮を、それに勝った喜びを求めて闘っていたのだったか。

 強くなっていくにつれて味わえなくなっていた感覚を、久しく忘れていた興奮を、今再び味わわせてくれているこの敵に感謝しよう。この世界ではまだまだ弱いことを、教えてくれたことに感謝しよう!また、闘いを楽しませてくれる目の前の存在に、感謝しよう!!

 だから、全力で闘わせてもらう。

 振りかぶって払うように繰り出された横一閃の閃撃を、跳び上がって回避。当然宙に浮いたままの体に喜んで攻撃してくるが、当たるつもりはない。

 足元に手を伸ばして、取り出すのは剣と土のブロック。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 今まではできるわけがなかった空中設置。横に何もない場所でブロックの設置ができるようになったのはつい最近、大乱闘に呼ばれたときのことだった。

 強すぎる相手に心躍り全力で身につけたその技は、滞空時の致命的な隙を消し去る。

 置いた地面を蹴り上げて地面に戻るやいなや剣を突きだし一直線に敵との距離を駆け抜ける。

 想像できるわけもないその避け方に対応できず、硬直する敵の体は、あまりにも隙だらけで、だからその一撃は、吸い込まれるように相手の胸に届いた。

 剣を通じて、確かに魔石を貫いた感覚が伝わってくる。それからまもなくして、モンスターの体は灰となっていく。

 

 「アリガトウ」

 

 最後に感謝の礼を伝えた時、その体は完全に崩れ落ちた。

 

 『――――――――――――――――!?』

 

 その瞬間、静まりかえっていた世界に音が戻った。

 普段なら煩い(うるさい)と思っていただろうこの歓声も、今だけは心地よい。ここを離れるのはもう少し待ってからでもいいか。

 そう思っていたスティーブの体は、群がってくる群衆に呑まれて、消えていった。




 さあ始まりました。『このくだらなき駄作に説明を』のお時間です。早速説明に入っていきましょう。
 先ず最初に前話の流れからいくならばベルの死闘どこいったと思うでしょうがこれに関しては飛ばしました。
 だって原作と全く同じなんだもん。書いても意味ないというかあの原作の素晴らしい描写に泥塗りたくないんだもん。まあそれに書くのめんどぅぅぉおっっほんんんんんなんでもありません。
 まあ真面目な話今まだ原作一巻のままで全然話進んでないのでそろそろちょっと進めたいなと思って飛ばしました。じゃあもっと更新早くしろよというツッコミはやめてください。
 え~次にこの前感想でスマブラに行って技を習得した的な話をしてましたがそれが今回の空中設置ブロックです。しょっぼ、て思うかもしれませんが考えればえげつない技です。用はこれ立体起動ができるってことですから。
 しかも酷いのが自分だけじゃなくて仲間の足場にもなるという点がぶっ壊れと言うに相応しい壊れっぷりです。ただし地面からめっちゃ離れた場所には置けませんが。
 最後にスティーブの性格についてですがベルのように誰彼構わず助けに行くようなお人好しではありません。彼からすれば知らない人なぞどこでどうしていようが心底どうでもいいことであり一切合切興味が持てないことだからです。でも目の前で誰かが倒れたりしている場合は放っておけません。それは傷ついていると知っているからであり無視すると目覚めが悪くなるからです。つまりはとても素直でないめんどくせえやつってことですね。因みに最後のアリガトウは念話ではなく言葉にして口から出しています。念話だと無粋とか考えているわけです。
 それでは以上、『このくだらなき駄作に説明を』のお時間でした。また今度~。
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