ダンジョンにシカクイ奴が居るのは間違っているだろうか 作:taimanman
しかして其早々と得られるものに非ず
故に我力尽きゆその日まで
我が詩を書き連ねる也
ああ、本当文章力欲しいなぁ
そこはダンジョン15階層。
例の牛君も出てくるこの場所には、1人の角々野郎が居た。
もうダンジョン掘り掘りには飽きたのか今はモンスターを探しているようだ。
この光景を見たものは一見普通の光景に見えるだろう。1人の冒険者がダンジョンを探索している。至極当たり前の光景だ。珍しいところと言えば普通より男の背が高いくらいだろうか。
しかし、この光景を冒険者が見た場合、意見が180度回転することだろう。
なんせこの男、何一つ防具を着けていない。
ダンジョンでそれも15階層で防具なし等あり得ない。よっぽど気が動転していてなにも考えられないときでもなければ冒険者は誰だって無意識にでも防具を着ける。それ以外で着けない奴は死にたがりか死のスリルを楽しもうというとち狂った奴だけである。
とある都市最強ですら手甲と胸当てを着けているというのだ。この男がどれだけバカかがわかるだろう。
まあ15年前にはゴスロリ姿でダンジョンに潜る伝説の女『ゴスペル・ウーマン』が居たらしいが。
そんな特例を除けば皆ダンジョンには防具を着けていく。
魔道士等の後衛職ならば衣類を纏っている場合もある。しかし彼は何をどう見ても1人であり剣を持っている時点で明らかに前衛だ。
そもそも衣類を纏っている場合もだいたいは防刃性能等が着いた歴とした防具である場合が多い訳で。その点この男が纏っている服はヒラヒラとした明らかなる私服である。どうあがいても刃等跳ね返せはしない。
やはりとんでもなく狂気的な光景であった。
ましてや、もうひとつある情報を知っているものが見れば、この男が
そう、この男が所属するファミリアの名は、【ヘスティア・ファミリア】。Lv.1が2人だけの、新興ファミリアだ。
つまり、この男はLv.1にしてダンジョン15階層に
きっと彼は頭がおかしいのだろう。
実はダンジョンに潜るの自体初めてだという情報は頭がおかしくなるのでもう要らない。
ダンジョンにキチガイを求めるのは間違っている。はずだ。
○●○●○●○●○●○●
そんなこんなでとち狂っている彼の前に、探していたものが来た。
『オオオオオオオオオオオンッ!』
それは黒い犬だった。両の眼は赤く輝き、こちらを凝視している。その迫力は飼い犬が餌を前に待っている時のあの凄みを優に越える。
まあ飼い犬が殺気なんか出してたまるかって話ではあるのだが。
それにこの犬はもうひとつ飼い犬とは異なる点がある。今にも噛みついてきそうな口元からは、煌々とした灯りが漏れでている。
この犬の名は『ヘルハウンド』。別名『
その炎は並みの防具を一息で溶かしつくすほどであり、位階を昇華させたLv.2をも何度も屠ってきた。
13,14階層での死亡者のほとんどがこいつによって作られている。
そんな危険な犬ちゃんを前に、この男がとった行動とは果たして......
ゴクゴクゴクゴクゴクっ!
懐からだした怪しげな薬品の飲用だった。
それ飲んで大丈夫なのかと思うほど鮮やかなピンク色の液体。飲んだ後には彼の体から変なモヤが漂い出してくる。実に不思議な光景である。
しかして効果はあったらしい。ゴォゥと勢いよく吹き出された炎を真っ向から受けている。その体には焼け跡ひとつない。他の冒険者が見れば全員から総ブーイングをくらいそうな光景だ。
そのまま炎の中を一直線に突っ切ってヘルハウンドの前に躍り出る。
「ヴゥヴッ!?」
やはり己の代名詞とも言える炎の中を突っ切って来るとは思わなかったらしい。
剣を振りかぶった体勢の男にひどく驚いていた。が、そんなことをしていれば当然そのまま剣を振り下ろされる訳で。
一撃、二撃、三撃と次々に剣で斬られ続け、そのまま倒れ伏すことになる。
勢いそのままに他のヘルハウンドに襲いかかった男が群れを全滅させるまで、そう時間はかからなかった。
○●○●○●○●○●○●
あの後、しばらく15階層を荒らしまくっていた男は、己のスキルを使用する。
脳内で緑色の横に細長いゲージを確認。その上に小さな字で10と書かれているのを見ると、途端に肩を落とした。
どうやら彼の期待していた何かを満たすことは出来なかったようだ。
しばらくして気を取り直したのか、その場を離れ出す。そろそろお帰りのようだ。
未だお昼時だが、初めての探索である事を加味すれば妥当なところであろう。
尚、初の探索にしては少々深く潜りすぎている件に関しては無かったこととする。
ーーところで、ここでひとつ問題がある。この男、行きはただ地面を掘ってきただけなので簡単だったが、帰りは全くわからない。
垂直直下法の欠点である、ここどこ?を見事に体現させていた。
こういう場合、彼は普段斜め上に掘り進んでいくという方法をとっていたのだが、今回はそれができない。何故ならここダンジョンの上には、迷宮都市オラリオがある。当然ながら辺り一体には家が立ち並んでおり、そんな中に出てしまおうものなら彼は一瞬にしてオラリオのお尋ね者に早変わりだ。
川に出る方が未だましである。
もし女性の着替えなんかに出くわしてしまった日には生命はないと考えた方がいいだろう。
怒り狂った女性など想像したくもない。
というか今一瞬頭に浮かんでしまった。絶対に上方斜め45度移動はしないでおこう。
しかしそうなると必要なのはダンジョンの地図情報である。が残念ながら彼の脳内にダンジョンオートナビ機能は搭載されていない。故に彼は今右に行けばいいのか左に行けばいいのかもわかっていない訳だ。
こうなるともうどうにもならんな。奴最大の弱点だ。
そう、この男、喋らないのである。
別に生まれつきの持病で、とか。成長途中に患った病気で、とか。そういう何かしらの理由で喋れないのではない。
この男、単純に話すことがめんどくさいという理由で、全く喋っていないのだ。
なので当然ギルドに所属ファミリア登録に行った際も全く喋らず、結果ダンジョンについて何一つ情報のないまま今ここにいる。
というわけで、この男はしばらくダンジョンをさ迷い続けることとなる。
その事について、書き連ねる事も吝かではない。それはそれは面白い波瀾万丈の事態が何度も巻き起こっていたからだ。
しかし、残念ながらその件に関しては一身上の都合により書くことができない。許されていないともいう。
そう、決して、書くことがメンドクサイとかいう理由で書かないのではない。ましてや夜であり眠くて何も書くことが思い浮かばない等といった理由では決してないのだ。
まあともかく、彼は今ダンジョン11階層まで上ってきていた。
幾度も道に迷いながら、それでもいろいろ工夫して、なんとかこの階層まで上がってきたのである。
そんな彼の前に最後の壁が立ち塞がったのは、同じ通路をループしだして6回目の時だった。
『インファント・ドラゴン』。11,12階層に出現するモンスターで唯一の竜種である。
その力は他の同階層モンスターとは一線を画し、下級冒険者のパーティーをことごとく全滅させてきた実績を持つ。
『
階層主とは簡単に言えばダンジョンの中でも特定の階層にのみ出現する超強力なモンスター。
それに匹敵するとまでは言わないが、迫るほどの力を持つという時点でその恐ろしさはハッキリと伝わる。
こんなモンスターに出会ってしまった不幸を、彼はどう捉えているのか。その頭の中を覗いてみると......
(
ーーなんか喜んでいた。
やっぱりこいつは頭がおかしかったらしい。
四角い頭部のせいで脳がうまく働いていないのかもしれない。
重ねて言うが彼はLv.1である。初めて【ステイタス】を得た日は今日である。
そして『インファント・ドラゴン』とはまかり間違ってもLv.1に倒せる相手ではない。
ない、のに......。
ーーお目眼キラッキラで剣を構える。その姿はまるで己が勝つことを疑っていないようで。
大部隊ゆえにある程度ゆっくり進軍していたとあるファミリアの勇者が、己の指のうずきに何かあると判断し後ろから見守ることを決めるぐらいには、その姿は大きく見えた。
......まあ、ただ彼の背が高いだけの事かもしれないが。
○●○●○●○●○●○●
結論から言えば、その戦いは彼の勝ちであった。
大きな黒曜石を前に並べ、自分と相手の間に壊せないバリケードを造った後、相手の飛び道具である炎のブレスを先ほどの謎の液体で無効化したうえで一方的にTNTと書かれた爆弾を相手に投げつけることを戦いと呼ぶのであれば、間違いなく彼が戦いの勝者であった。
ーー脳内で緑色のゲージを確認し、15になっていることに喜んでいる君。
ーーこれで良い経験値稼ぎの相手を見つけれたと喜んでいる君。
ーーしかし使ったTNTの量に比べると得られる経験値の量は決して多くないと気づき、肩を落としている君。
後ろの【ロキ・ファミリア】の皆様の生温い目線に気づいていますか?
彼らは今起きた事を、決して戦いとは呼ばないと、そう、考えていますよ......。
ーーその後彼は、迷子である事を開かし、無事【ロキ・ファミリア】に地上まで送っていってもらいましたとさ。
ダンまち世界のモンスターは倒してもマイクラの方の経験値はほとんど手に入りません。
ので中層のモンスターを大量虐殺してもたったの15です。
後【ステイタス】の経験値とマイクラのエンチャント用の経験値は別物です。