ダンジョンにシカクイ奴が居るのは間違っているだろうか 作:taimanman
多分長過ぎてルビを振り切れなくなったんだと思いますがどうかお許しください。
追記:頑張って直しました。
「遅い......」
ここはヘスティア・ファミリアホーム。
多くの人で賑わうメインストリートから外れた郊外に建つこの教会は、普段と違い鬱屈とした雰囲気に包まれていた。
「遅い......」
つい先程まで今日できたばかりの二人目の新入団員について楽しく話していたのにも関わらず、今はお通夜一歩手前の雰囲気が出来上がっていた。
理由に関しては言うまでもなくその新入団員である。
ずっと初の探索からの帰還を待っていたのにも関わらず、未だに帰ってこない。
本人はダンジョンがどのような場所であるかを確認した後すぐに帰ってくると供述していたため、ベルが帰ってきてからすでに三時間、本人がホームを出てからは実に四時間も経過している現状はどう考えてもおかしい。
実態はただ迷子になっているだけであるが、そんなことを知らない二人からすればこの現状は不安で仕方ないことであろう。
まあ詰まるところ......
「おすぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおいっ!?」
門限破りをした息子を待つ心配で仕方ない母親と同じ心境になっている訳である。
「一体いつになったらあの子は帰ってくるんだいっ!」
「おかしいですね......。いくらなんでも遅すぎます。神様の言う通りならその人は早めにダンジョンから引き上げて来るんですよね?だとすると一時間ぐらいで帰ってきてもおかしくないはずなのに」
「ああそうさっ。本来ならとっくに帰ってきていてもおかしくないはずなんだ。なのにあの子は一体どこで何をしているんだいっ!」
「ダンジョンに行ったんならこのくらいの時間が経つことはおかしくないですけど......。心配ですね。危険な目に遭ってないといいんですけど」
「どうだかね。ひょっとしたら道に迷っているだけかもしれないけどね」
「か、神様、それはちょっと......」
こんな事を言っているヘスティアだが、内心はベルと同じで心配しまくっている。
慈愛の女神である彼女からすれば己の子が知らぬ場で死にそうな目に遭っているかもしれないと言うだけで心臓停止ものであり、口では文句ばかり述べているものの早く帰ってきてほしいという気持ちでいっぱいであった。
授けた己の恩恵は2つとも感じられることから、まだこの世界で生きていることに関しては疑いようもないが、それで危険に遭っていないという訳ではない。
ひょっとすると一秒後には恩恵が一つ消滅するかもしれない状況は変わりなく、心臓はテンポ良く
「神様、僕もう一回ダンジョンに行ってきます」
「えっ?」
「僕がその人を助けられるかは分かりませんけど、今ここで何もしないでいるよりはいいと思うんです」
「い、いや、行っても会えるとは限らないぜ?もしかしたらすれ違いになるかもしれない」
「わかってます」
「そもそも広いダンジョンの中で会える可能性のほうが低いんだし、そんな君が行く必要は......」
「それもわかっています」
「じゃ、じゃあ......」
「でも、やっぱり行くべきだと思うんです」
その目は、曇りなく開けられていた。
まっすぐ己のなしたいことを捕らえた目であった。
故に止められない。
スキルを加味すればおそらくは目の前の少年より強いであろう新団員。その彼ですら危険な状況に陥っているのだとすれば目の前の少年が向かったところで焼け石に水となるのは明らかだ。
しかしそんな思考を迷わせるほどの意志が、この少年からは伝わってくる。
行かせたくない。止めたい。しかし己に少年を止める術もなければ権利も無い。
それにもうひとりの眷属に関しても、失いたくないというのは本当なのだ。
ならばそんな己に出来る事は二人の無事を祈るくらいであろう。
こういう時ほど己が神でなければと思うときはない。
何もできぬ身である事を強く呪いながら、彼女は一つ少年に願う。
「わかったよ。君は多分どれだけ言っても意見を変える気はないんだろう。だから今回はもう止めない。でも一つだけお願いだ。決して死なないでくれよ。必ずここに戻ってきてくれ。まだ僕は一人になりたくはないんだ。」
ーーそれが今からダンジョンに行く最低条件だ。
そう願う彼女は少年にすべてを託した。どうか、彼を連れ帰ってきてくれと。もしそれが叶わなかったなら君だけは帰ってきてくれと。
その思いだけは譲る気のない彼女の気持ちは、果たして少年に強く刺さった。
彼も己一人置いていかれることの苦しさを味わったことがあり、もう二度と味わいたくないと感じたその気持ちは良く理解できた。
故に己の主神を一人にはしないと誓う。
「必ずここに戻って来ます。絶対に神様を一人にはしません」
それが聞けた彼女に、もう言うことはない。
後は頼んだと、目で伝える。
「ダンジョンまでは僕も一緒に行くよ」
「......わかりました。一緒に行きましょう」
本来ならそこまで行く意味はない。
むしろ共に行くことで却ってベルがダンジョンに行くのを遅らせることになる。
しかしこれは譲れなかった。
ダンジョンまで共に行き、彼が出てくるまでその場でずっと待っている。
そうすれば少年の帰る理由の一つにはなるだろう。
それに、もし二人が帰ってきたなら、初めに合うのは自分であってほしかったからだ。
やがてベルの準備が整う。
きっちりといつもの軽装を身に纏い、気合も十分だ。
さてではいざ行こうと、二人して扉の前に立ち顔を見合わせる。
そのままヘスティアが扉を開けようとドアノブに手を伸ばして。
「ーーぶぎゅ!?」
見計らったかのように四角形の板が動いた。
流れるようにヘスティアの顔面に近づき強打!!
同時に胸が「むぎゅ!」と悲鳴をあげ圧潰!
ヘスティアの信仰値が100上がった!
顔面を抑えながらうずくまるヘスティアは声にならない呻き声をあげる。
「か、神様ぁーー!!」
慌てて駆け寄る少年と、事情がよく分からず首を傾げる角々とのコントラストは実に鮮やかであった。
○●○●○●○●○●○●
「で、要するに君はギルドで道を聞かずテンションアゲアゲでダンジョンに突入したはいいモノの帰り道がわからなくなって帰れなくなったが故にこんなに帰るのが遅れた、と」
そうおっしゃるのは御年
さてそんな彼女、今猛烈に困っていた。
「
「頼むよ?こんなことを繰り返されたら僕の心臓は止まってしまいかねないからね」
「
とは言ったものの、これで終わりとなると振り回された側としては納得がいかない。
あれだけ心配させられたのだ。一言二言いや三言いやいや四言ぐらいは言ってやらなければ気が済まない。
しかしそれでは言おうとなると、それはそれで問題がある。
なんせそもそも心配していた事についてはこちら側が勝手に勘違いしてしていたことだ。
それに関して既に謝罪されている状態でグチグチ言うのもどうかと思ってしまう。
そもそも先に早めに帰ってくるだろうと述べていたといってもあくまでそうであろうという予想でしかない。
人生では己の推測通りに征かぬ時が往々にしてあり、また今回に至っては『
むしろダンジョンから無事に帰ってきてくれた事を喜ぶべきであろう。
さらに言うならば、彼はダンジョンでベルの命の危機を救ってくれていた。
この事実に関しては、手放しで感謝すべきことであり、余計に何も言えなくなってしまっている。
「今度ダンジョンに行くときはギルドで地図を貰ってから行くんだね」
しかし、それでも感情は不満を貯めており、故に彼女はジト目と共に小言を言うのであった。
まあ、それも彼が素直に「
○●○●○●○●○●○●
その後、改めてベルが助けてもらった事について感謝の言葉を述べ、男がそれを受け取ったことにより話は変わる。
そのまま自己紹介に移ると、どうやら彼の名前はスティーブというらしい。
互いに名前が分かったところでベルが気になっていたことを聞きだした。
「答えたくないことなら無理に話してもらわなくていいんですけど、スティーブさんは何で喋らないんですか?あと頭に言葉が伝わってくるのは何なんですか?」
「
「そうだったんですか」
「
「そうなんですか神様」
「ああうん。確かにスキルにも出ていたよ。
「へぇー。生まれつきの能力ってなんだかすごいですね!それでそのアレックスさんって言う人は何処に居るんですか?」
「
「へぇー。......へぁ?」
いきなり、何でもない話かのように、爆弾が投げ込まれた。
やっべぇそういえばまだアミッドさん直接は出てねえ。
そろそろ出したいんっすがもうちょとかかるかもしれません。
でも一応2話で薄っすらと出てるからタグ詐欺ではないハズ。
それと実はスティーブは一度も喋っていません。
今まで喋ってるっぽかったのは実はスキルで脳内に直接語りかけてますね。
全く喋れないわけではないんですが喉がうまく動かせずモゴモゴとした声になります。
なので本人喋る気は一切ありませんね。