ダンジョンにシカクイ奴が居るのは間違っているだろうか 作:taimanman
お前が何か喋るたびこっちはabcd打ってくのメンドクセーンだよ!!
おまけに少しずつルビ振ってかなきゃいけないしよ!
もうなるべく喋んないでくれ!!
「え?何?異世界?」
「驚くのも無理はないよ。ボクだって初めてスティーブ君から聞いた時は驚きでうっかり手に持ってた針を落としそうになったよ」
話を聞くにどうやら【
もっと別のタイミングがあっただろうとも思いはするが、雑談感覚で話したのだろうか?
それとおっちょこちょい駄女神。君は元からよく針を落としそうになっているだろう。
何己がしょっちゅう起こしているベルへの地味な虐待を無かったことにしているのかね。
「
「空に飛ばされた!?」
「ああうん。ボクもビックリしたよ。なんせ歩いてたら空からギィェエエエエエエエエエエってすごい声が聞こえて、上向いたら君が降ってきたんだから」
なるほど、二人の出逢いはラピュタ式だったと。
物語にはいろんな出逢いかたがあるがここは奇をてらってベランダに干されている等するより空から降った方がいいとの判断のようだ。
基本を押さえておりなかなか悪くないのではないか。
ただし降ってくる方が男なのがいただけないが。
ひょっとすると彼ヒロインだったのだろうか?
それならばかわいらしい声でないにしてもせめて枯れたがらがら声をどうにかして欲しいものだが。
普段から喉を遣っていないからそうなるのだ。
「
「シュルカー?コーラスフルーツ?」
「
「転移!?転移ってあの転移ですか!?」
「
「す、すごい。凄すぎますよ。そんなアイテムがあるなんて」
「
「そうなんですか。ちょっと残念ですけど、まあそれでスティーブさんが助かったんならよかったです!」
「
「い、いえ、元々そのアイテムはスティーブさんのものなので僕がどうこう言う方がおかしいというかむしろ偉そうなこと言ってしまって申し訳ないというか」
「
「あ、それもそうですね。僕他の人と一緒に闘ったことが無くて。少し浮かれすぎちゃってました」
「
「はい。あの、ちょっと子どもみたいで恥ずかしいんですけど、いつかこうやって同じファミリアの人と話したりすることに憧れてまして。それが叶ったのが嬉しくって」
それは、今時とても珍しい超絶純粋な気持ちであり、彼の性根をよく表していた。
少し照れた顔でそう話す少年のなんと眩しいことか。
あまりに純粋すぎるその笑みはどこぞの幼女女神が見れば可愛さのあまりに失神しそうなほどである。
いや。実際少年の隣で鼻血を噴き出しながら倒れていった。
女神を一撃でノックアウトに追い込んだ笑顔。
もはや凶器と言って相違ないそれは、男が出す類いのものではない。
これぞ将来『男性冒険者に《お姉ちゃん!》って言われたい』
巷では天使と称されるこの技に対抗できる存在が六人も居る等とはとても信じられない。
七人揃ってしまった日にはどうなってしまう事やら。
まあ未来の事は未来に考えよう。今はただ、目の前の事に凡てを。
なんてカッコつけたところでどのみち今日は明日の打ち合わせしかすることがないのだが。
まあそれはそれで大事なことなのでしっかり取り組むらしい。
どちらが前に出るかから
最初から細かすぎても実戦では成功しないだろうということで、指を指した方向に「己が出る!」という合図だけを取り決めるとあとは「相手が灰になるまで決して構えを解いてはいけない」、「闘っている相手だけを見たりせず
○●○●○●○●○●○●
「
「あ、はい。分かりました。頑張ってください」
その一言と共にスティーブは部屋の端に寄って何か四角い殻のようなものを弄くり出した。
あれが先程言っていたシュルカーの殻とやらなのだろうか?
二つ取り出してパカパカしているところを見ると、手馴れている印象を受ける。
何度もものづくりをしているらしいことは明白だった。
もくもくと作業を続ける男を見ていると幾つも聞きたいことが浮かぶ。
しかしそれらに関してはまた別の機会に聞けばいい。
だが一つだけ、ベルにはどうしても聞いておかなければいけないことがある。
それは......
「
「っ!な、何で!」
「
「えっ!僕そんな顔に出てましたか?」
「
「あはは......」
どうやら言わなくてもすっかり見透かされていたみたいだ。
ちょっとだけそれに恥ずかしさを感じながら、それなら尚更どうしたいのかと言外に問う。
その眼差しを受けて、男は少しだけ作業を止め瞼を閉じた。
向こうにやり残したことがあるかと問われれば正直何もないと言える。
村々の安全の為、ゴーレムを置き。作物の栽培法を確立した。
多くの動物を見つけ村に連れ帰り、村人達と可愛がった。
できる限りの装備を揃え、エンドにすら行き巨大なドラゴンを倒しまでした。
もうやれる事はやり尽くしたと言ってよく、何か気を引かれる物ももう恐らくはないだろう。
そもそも向こうに帰れるかも分からない現状だ。
ならばこの新しい地で非日常に浸かっている方が己にとって良い人生と言えるのではないか?
そのような思考に入り、しかしそれでも脳裏に浮かんでくるのは向こうに居る知り合い達の顔である。
ならば己の居たいと思う場所は決まっていたのだろう。
結論を得て眼を開ける。姿勢そのままに前を向いたまま隣に居る少年に答えを返した。
「
「そう......ですか」
正直に返した本音は、少年の心を揺さぶる。
祖父との別れから誰かと離れることに強い抵抗がある彼には、本音を言えば悲しませてしまうであろう事は分かっていた。
それでも、自分にとって居たい場所は向こうで。だからこそ嘘をつくことはできなかった。
出会いがあれば、別れがくる事は必然であり、ならばどのみちこうなるのは避けられない事なのだ。
だがそれでも人は人と関わる。今はその意味を教えなければならない。
「
「えっ?」
最初はいきなり何を言われているのか分からなかったのだろう。少し呆然としていた。
しかし、だんだんと何故こんな話をしだしたか理解し出し、あわてだしてくる。
「い、いえ。お祖父ちゃんともスティーブさんとも会っていたいです」
「
ーーそのときまでに二人で多くの
それだけのことなんだと、伝えた。
ちゃんと伝わっただろうか?
ああでも。
「はい。......はいっ!!」
この顔を見れば、多分大丈夫だろう。
そう、思える顔つきをしていた。
「こらこらこらーー!ボクをおいて何を話しているのかな?当然、ボクも居るんだぜーー!」
「ご、ごめんなさい神様。でもさっきまで寝てましたよね?」
「ああ、ベル君のかわいーい照れ顔でうっかり天界に還りそうになってしまったよ。あれはとっても強烈だったね。ってそうじゃなーい!!」
「うわっ!ちょっ神様っ!」
「君たち二人だけで何感動的な雰囲気作ってるんだい。ボクだって君たちと一緒に居るんだからね。忘れるんじゃない!」
「
「はいっ!!」
「ああ!」
一緒に、笑っていこうと、そう誓った。
だから、帰れるようになったその日まで、この光景を、守り合うんだ。
○●○●○●○●○●○●
澄み渡った青空が広がる。そんな中その二人は天まで届かんばかりの長大な白亜の巨塔の前に居た。
「
「大丈夫!行けるよ」
「
「うんっ!」
これから始まるのは、二人の物語。そこには多くの人が重なって、互いに絡み合っていた。
多くの笑いがあり、涙があり、試練があるだろう。
けれども二人はそれらを乗り越えていく。
果ては黒き竜まで続いていくその物語は、多くの人々に語り継がれていく。
これは、その第一歩。誰にも知られないであろう始まりを、二人は踏み出した。
これは、女神が記す
あっれー?何でこんな真面目な話になってンだー?
俺こんなの書くつもりなかったのになー
でもまあいい機会にはなりました。
原作の方でも思ってましたがベルは別れることを怖がりすぎてるんですよね。
それを指摘してあげる事でちょっとだけ成長してくれたかなと思います。
こんな感じでどんどん成長してくれたらなと、そう思います。