ダンジョンにシカクイ奴が居るのは間違っているだろうか   作:taimanman

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スティーブ!喋るな(頭に直接)スティーブ!
お前が何か喋るたびこっちはabcd打ってくのメンドクセーンだよ!!
おまけに少しずつルビ振ってかなきゃいけないしよ!
もうなるべく喋んないでくれ!!


別れるときにゃ笑っていよう

 「え?何?異世界?」

 「驚くのも無理はないよ。ボクだって初めてスティーブ君から聞いた時は驚きでうっかり手に持ってた針を落としそうになったよ」

 

 話を聞くにどうやら【神の恩恵(ファルナ)】を授けていたときに異世界について聞かされたらしい。

 もっと別のタイミングがあっただろうとも思いはするが、雑談感覚で話したのだろうか?

 それとおっちょこちょい駄女神。君は元からよく針を落としそうになっているだろう。

 何己がしょっちゅう起こしているベルへの地味な虐待を無かったことにしているのかね。

 

 「maanotokihaoremobikkurisitayo(まああの時は俺もびっくりしたよ)nanseendni(なんせエンドに)shulkernokaratoriniitte(シュルカーの殻採りに行って)kaerinoportalnottara(帰りのポータル乗ったら)ikinarisoranitobasaretakarane(いきなり空に飛ばされたからね)

 「空に飛ばされた!?」

 「ああうん。ボクもビックリしたよ。なんせ歩いてたら空からギィェエエエエエエエエエエってすごい声が聞こえて、上向いたら君が降ってきたんだから」

 

 なるほど、二人の出逢いはラピュタ式だったと。

 物語にはいろんな出逢いかたがあるがここは奇をてらってベランダに干されている等するより空から降った方がいいとの判断のようだ。

 基本を押さえておりなかなか悪くないのではないか。

 ただし降ってくる方が男なのがいただけないが。

 ひょっとすると彼ヒロインだったのだろうか?

 それならばかわいらしい声でないにしてもせめて枯れたがらがら声をどうにかして欲しいものだが。

 普段から喉を遣っていないからそうなるのだ。

 

 「iyaabunakatta(いや危なかった)shulkeryouni(シュルカー用に)chorusfruitmotteteyokattayo(コーラスフルーツ持ってて良かったよ)

 「シュルカー?コーラスフルーツ?」

 「aawakaranaika(ああ分からないか)shulkerttenohamonsternokoto(シュルカーってのはモンスターのこと)chorusfruithataberuto(コーラスフルーツは食べると)tikakunoasibanitenisuruitem(近くの足場に転移するアイテム)koreganakattarasindetane(これがなかったら死んでたね)

 「転移!?転移ってあの転移ですか!?」

 「donotenikawakaranaikedo(どの転移かわからないけど)maatabunsonotenidane(まあ多分その転移だね)shunkanidosurutenida(瞬間移動する転移だ)

 「す、すごい。凄すぎますよ。そんなアイテムがあるなんて」

 「toittemotukaikittesimatte(と言っても遣いきってしまって)mounaindakedone(もう無いんだけどね)

 「そうなんですか。ちょっと残念ですけど、まあそれでスティーブさんが助かったんならよかったです!」

 「hahaha!(ハハハ!)sorehadoumoarigatou(それはどうもありがとう)kimihayasasiindane(君は優しいんだね)

 「い、いえ、元々そのアイテムはスティーブさんのものなので僕がどうこう言う方がおかしいというかむしろ偉そうなこと言ってしまって申し訳ないというか」

 「sonnakotonaitoomoukedone(そんなこと無いと思うけどね)maasorehatomokaku(まあそれはともかく)sorosorokonohende(そろそろこの辺で)konohanasihaoete(この話は終えて)majimenahanasiniuturoka(真面目な話に移ろうか)asitahatomonitatakaunodakara(明日は共に闘うのだから)utiawaseguraisiteokanaito(打合せ位しておかないと)

 「あ、それもそうですね。僕他の人と一緒に闘ったことが無くて。少し浮かれすぎちゃってました」

 「ukareru(浮かれる)?」

 「はい。あの、ちょっと子どもみたいで恥ずかしいんですけど、いつかこうやって同じファミリアの人と話したりすることに憧れてまして。それが叶ったのが嬉しくって」

 

 それは、今時とても珍しい超絶純粋な気持ちであり、彼の性根をよく表していた。

 少し照れた顔でそう話す少年のなんと眩しいことか。

 あまりに純粋すぎるその笑みはどこぞの幼女女神が見れば可愛さのあまりに失神しそうなほどである。

 いや。実際少年の隣で鼻血を噴き出しながら倒れていった。

 女神を一撃でノックアウトに追い込んだ笑顔。

 もはや凶器と言って相違ないそれは、男が出す類いのものではない。

 これぞ将来『男性冒険者に《お姉ちゃん!》って言われたい』順位(ランキング)七位にエラバレシモノの必殺技『白兎の無邪気笑(ベル・スマイル)』。

 巷では天使と称されるこの技に対抗できる存在が六人も居る等とはとても信じられない。

 七人揃ってしまった日にはどうなってしまう事やら。

 まあ未来の事は未来に考えよう。今はただ、目の前の事に凡てを。

 

 なんてカッコつけたところでどのみち今日は明日の打ち合わせしかすることがないのだが。

 まあそれはそれで大事なことなのでしっかり取り組むらしい。

 どちらが前に出るかから入れ替え(スイッチ)のタイミングにその合図のサインまで念入りに話していく。

 最初から細かすぎても実戦では成功しないだろうということで、指を指した方向に「己が出る!」という合図だけを取り決めるとあとは「相手が灰になるまで決して構えを解いてはいけない」、「闘っている相手だけを見たりせず恒に(つねに)視野を広く保たなくてはならない」等絶対にやってはいけないことの確認だけして打ち合わせを終えた。

 

 

         ○●○●○●○●○●○●

 

 

 「soreja、imakaraoreha(それじゃ、今から俺は)itemsakuseigaarukara(アイテム作製があるから)

 「あ、はい。分かりました。頑張ってください」

 

 その一言と共にスティーブは部屋の端に寄って何か四角い殻のようなものを弄くり出した。

 あれが先程言っていたシュルカーの殻とやらなのだろうか?

 二つ取り出してパカパカしているところを見ると、手馴れている印象を受ける。

 何度もものづくりをしているらしいことは明白だった。

 もくもくと作業を続ける男を見ていると幾つも聞きたいことが浮かぶ。

 しかしそれらに関してはまた別の機会に聞けばいい。

 だが一つだけ、ベルにはどうしても聞いておかなければいけないことがある。

 それは......

 

 「motonosekainikaeritakunainokatte(もとの世界に帰りたくないのかって)?」

 「っ!な、何で!」

 「soryaandakesinpaisounakaosaretarane(そりゃあんだけ心配そうな顔されたらね)

 「えっ!僕そんな顔に出てましたか?」

 「un(うん)mitetemettyawakariyasukattayo(見ててめっちゃ分かりやすかったよ)

 「あはは......」

 

 どうやら言わなくてもすっかり見透かされていたみたいだ。

 ちょっとだけそれに恥ずかしさを感じながら、それなら尚更どうしたいのかと言外に問う。

 

 その眼差しを受けて、男は少しだけ作業を止め瞼を閉じた。

 向こうにやり残したことがあるかと問われれば正直何もないと言える。

 村々の安全の為、ゴーレムを置き。作物の栽培法を確立した。

 多くの動物を見つけ村に連れ帰り、村人達と可愛がった。

 できる限りの装備を揃え、エンドにすら行き巨大なドラゴンを倒しまでした。

 もうやれる事はやり尽くしたと言ってよく、何か気を引かれる物ももう恐らくはないだろう。

 そもそも向こうに帰れるかも分からない現状だ。

 ならばこの新しい地で非日常に浸かっている方が己にとって良い人生と言えるのではないか?

 そのような思考に入り、しかしそれでも脳裏に浮かんでくるのは向こうに居る知り合い達の顔である。

 ならば己の居たいと思う場所は決まっていたのだろう。

 

 結論を得て眼を開ける。姿勢そのままに前を向いたまま隣に居る少年に答えを返した。

 

 「sonotoinituitedaga(その問いについてだが)kangaetemirutohusigito(考えてみると不思議と)nouriniukandekurunoha(脳裏に浮かんでくるのは)mukounokaoburebakarinanda(向こうの顔ぶればかりなんだ)dakarakittooregaitaitoomounoha(だからきっと俺が居たいと思うのは)mukounandatoomou(向こうなんだと思う)

 「そう......ですか」

 

 正直に返した本音は、少年の心を揺さぶる。

 祖父との別れから誰かと離れることに強い抵抗がある彼には、本音を言えば悲しませてしまうであろう事は分かっていた。

 それでも、自分にとって居たい場所は向こうで。だからこそ嘘をつくことはできなかった。

 出会いがあれば、別れがくる事は必然であり、ならばどのみちこうなるのは避けられない事なのだ。

 だがそれでも人は人と関わる。今はその意味を教えなければならない。

 

 「naaberu(なあベル)ikiterukagiriwakarehakanarazukuru(生きてる限り別れは必ず来る)sositesittenotorisorehatotemoturai(そして知っての通りそれはとても辛い)naitenaitenakimakurukotoninaru(泣いて泣いて泣きまくることになる)kedo(けど)datosurunaraomaeha(だとするならお前は)sohuniawanakattahougayokattaka(祖父に逢わなかった方が良かったか)oretoawanakattahougayokattaka(俺と逢わなかった方が良かったか)?」

 「えっ?」

 

 最初はいきなり何を言われているのか分からなかったのだろう。少し呆然としていた。

 しかし、だんだんと何故こんな話をしだしたか理解し出し、あわてだしてくる。

 

 「い、いえ。お祖父ちゃんともスティーブさんとも会っていたいです」

 「souka(そうか)narabawakarebakarinimewotukenaide(ならば別ればかりに目をつけないで)korekaranokotowosouzousitaradouda(これからのことを想像したらどうだ)oretowakarerumade(俺と別れるまで)doredakearukahawakaranai(どれだけ在るかはわからない)kedosonotokimadetasikani(けどそのときまで確かに)orehatonariniirundakara(俺は隣に居るんだから)。」

 

 ーーそのときまでに二人で多くの記憶(おもいで)を残せれたなら、それでいいんじゃないのか。

 それだけのことなんだと、伝えた。

 

 ちゃんと伝わっただろうか?

 ああでも。

 

 「はい。......はいっ!!」

 

 この顔を見れば、多分大丈夫だろう。

 そう、思える顔つきをしていた。

 

 

 「こらこらこらーー!ボクをおいて何を話しているのかな?当然、ボクも居るんだぜーー!」

 「ご、ごめんなさい神様。でもさっきまで寝てましたよね?」

 「ああ、ベル君のかわいーい照れ顔でうっかり天界に還りそうになってしまったよ。あれはとっても強烈だったね。ってそうじゃなーい!!」

 「うわっ!ちょっ神様っ!」

 「君たち二人だけで何感動的な雰囲気作ってるんだい。ボクだって君たちと一緒に居るんだからね。忘れるんじゃない!」

 「hahaha!(ハハハ!)soremosoudana(それもそうだな)jaakorekarahasanninisshoni(じゃあこれからは三人一緒に)

 「はいっ!!」

 「ああ!」

 

 一緒に、笑っていこうと、そう誓った。

 だから、帰れるようになったその日まで、この光景を、守り合うんだ。

 

 

         ○●○●○●○●○●○●

 

 

 澄み渡った青空が広がる。そんな中その二人は天まで届かんばかりの長大な白亜の巨塔の前に居た。

 

 「junbiokaykibunokay(準備OK気分OK)sottiha(そっちは)?」

 「大丈夫!行けるよ」

 「souka(そうか)jaa......ikuka(じゃあ......行くか)!」

 「うんっ!」

 

 これから始まるのは、二人の物語。そこには多くの人が重なって、互いに絡み合っていた。

 多くの笑いがあり、涙があり、試練があるだろう。

 けれども二人はそれらを乗り越えていく。

 果ては黒き竜まで続いていくその物語は、多くの人々に語り継がれていく。

 これは、その第一歩。誰にも知られないであろう始まりを、二人は踏み出した。

 

 これは、女神が記す二人の眷属の物語(ファミリア・ミィス)




あっれー?何でこんな真面目な話になってンだー?
俺こんなの書くつもりなかったのになー
でもまあいい機会にはなりました。
原作の方でも思ってましたがベルは別れることを怖がりすぎてるんですよね。
それを指摘してあげる事でちょっとだけ成長してくれたかなと思います。
こんな感じでどんどん成長してくれたらなと、そう思います。
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