十六夜咲夜の交友関係   作:紗懋尼

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※作者の自己解釈が多分に含まれます。キャラ崩壊等も起こりうるかも知れません。それでも良いという方は是非どうぞ。
※キャラクター毎により良い解釈等有ればご意見宜しくお願いします。
※十六夜咲夜の解釈に重きを置いています。


プロローグ
—眠らない館の主—


 ()る日の昼下がりのこと、悪魔の館に(とばり)が下りた。吸血鬼はもうおねむの時間だ。そう、その筈なのだが……

 

紅魔館当主、レミリア・スカーレットはベランダで優雅に紅茶を(すす)っていた。レミリアは吸血鬼にしては珍しく、昼間から精力的に活動するタイプであった。彼女にとっては昼夜など関係無く、その瞬間、自分がそこに居る事の方が大切なのだろう。

 

 只の紅茶にしてはほんのりと(にじ)んだ赤色をしたそれを啜ると、彼女は眼下に広がる中庭に目を向ける。

 中庭では館で雇っているメイド妖精達があくせくと自らの業務に従事していた。いや、よく見ると少し違う。気紛れな妖精達はあちらこちらで談笑していたり陽の光を浴びて涼んでいたりと好き勝手に行動していた。勿論、妖精達の中にはしっかりと働いているものも居る。

 まぁ、妖精達は自然に生きる事が生まれ持った業務と言ってしまえばそれまでだが…。

 

 そこかしこに目をやっていると、目の前で剪定(せんてい)に失敗したのか植木の枝がポキリと折れた。

 はぁ…この調子では終わるものも終わらない。メイド妖精の(しつけ)がなっていないなぁ。咲夜でも呼ぼうか。そう思った瞬間

 

 

 

 

 

「如何されました?」

 

 

 

 

 

 と、背後から声が響く。この紅魔館唯一の人間にしてメイド長である、十六夜咲夜だ。

 

 

 

「あら、気配も無く急に背後に立つなんて……マナーがなっていないんじゃなくて?」

 

「それは…失礼しました、次からは正面に現れますわ」

 

 うーむ。やはりこの人間は少し周りからズレた所が有る。レミリアは一人ごちる。

 にしても、何処からか此方(こちら)の思考を読み取って即座に移動をして来るとは…覚妖怪(さとりようかい)か何かなのかしら、コイツは。

 まぁいい。声を上げる手間が省けた。

 

 

 

「ねぇ、咲夜。貴女近頃植木の剪定をしたかしら」

 

 ここは当主たる威厳を持った声音で…。立っている咲夜に目線を合わせながらレミリアは言葉を掛ける。

 

「いえ、近頃はやっていませんわ。(もっぱ)ら館内の家事をしておりましたので」

 

「そう…メイド妖精はどう?業務を上手にこなせているかしら」

 

「いえ、彼女達はまだ仕事を回す事に慣れていない様で…私が直に指揮を執って業務にあたらせて居ます」

 

 

 咲夜は顔色を変えずに淡々と言葉を紡ぐ。何を考えているのか、その表情からは読み取る事が出来ない。

 ふむ。まぁたわいのない普段通りの会話ね。そろそろ本題を切り出しましょうか。レミリアは中庭に目をやりながら続ける。

 

 

「ところで、さっき中庭の枝が折れてしまったのだけれど…気付いていたかしら」

 

「えぇ、洗濯物を干していましたので…異音にはその場で気付きましたわ。そちらの植木であれば、お嬢様の元に辿り着く前に整え直してあります」

 

 

 

 …!?気が付かなかった、いつの間に。そうしてレミリアは先程の妖精の方に目を向けるが、そこには折れた枝はおろか、植木が崩れた跡さえも残っては居なかった。

 

 

 

「そ、そうなの…それならいいのよ、全く。えぇ、全く」

 

 

 目を丸くしたレミリアの顔を見て、アフターケアもバッチリなメイド、十六夜咲夜はキョトンとした顔をする。

 あら、お嬢様ったら…世間話が少々(くど)いではありませんか。言いたい事が有るなら言ってしまえばいいのに。と、そんな事を思いながら。

 

 

「咲夜、勿論妖精には指導をするんでしょうね」

 

 レミリアは紅茶を啜り、咳払いをしてから落ち着いた様子で言った。

 咲夜は小さく微笑んで言葉を返す。

 

「はい、あの子の額に、後で私の自室に来るように…とメモ書きを貼り付けておきました」

 

「中々恐ろしい事をするのね、貴女。妖精に恐れられていても文句は言えないわよ」

 

(おそ)れ敬われるくらいが丁度いいですわ」

 

「そういうものかしら…」

 

 

 

 そう言って思慮に耽るレミリアと残り僅かとなった紅茶を見つめ、十六夜咲夜はその場に静かに(たたず)む。10秒…20秒…。

 あ、そうだ。そろそろお嬢様のお茶菓子を作らなくてはいけない時間だわ。咲夜はふと気付いた。

 

 

「お嬢様、御用件は以上でしょうか」

 

 視界に入る様に動いてから声を掛ける。

 

「ん…えぇ、それだけよ」

 

「でしたら、咲夜はお嬢様のお茶請けをお作りいたしますので…失礼致しますわ」

 

 そうして、深々とお辞儀をした後、十六夜咲夜はベランダを離れていく。

 

 

 うーん、特別なお茶に合う茶菓子…何にすればいいかしら。厨房に向かって歩を進めながら咲夜は考える。

 実の所、彼女の頭は行商から買い受けた特別なスパイスの事で頭が一杯であり、主人と話している最中もその事を頭の片隅で考えていたのだった。

 

 今回は調合を変えてみたのだけれど…お嬢様に気に入って貰えるかしら。試しに飲ませた妖精達はその場で倒れたけれど…ま、大丈夫よね。

 足取りは軽く、鼻歌を歌いながら咲夜は業務に戻って行った。

 

 

 

 一方、レミリアは残った茶葉で運命を占おうとポットを持ち上げていた。持ち上げたが…先程まで切れていたポットの中身は満たされ、タプンと指に重くのしかかってきた。驚いてすぐさまその場に置く。

 

 …咲夜か。替えを作ってくれたのなら一声掛けてくれてもいいのに。不器用なんだから。そこまで考えてレミリアはふふっと笑みを(こぼ)す。

 十六夜咲夜という人間は、昔から手際は良いのだが何処か抜けている。機械的に見えて人間臭い。この館で最も人間らしい様で居て、別にそうでも無い。まぁそんな彼女だからこそ、この館のメイド長に相応しいのかもしれないが。

 

 そんな事を考えつつ、ポットの紅茶をカップに注いでいく。…先程より少し青みがかった様な気がするが気の所為だろう。

 何処を切り取っても美しい彫刻の様に見える一連の所作を行いながら、レミリアはカップに口を附けた。

 

 ゴクッ。

 

「…………!!!!!!!」

 

 

 

 

「咲夜特製トリカブトティー、楽しんで頂けているかしら」

 

 ナイフを片手に呟く少女。

 これから始まるのは、そんな彼女のたわいもない日常の小話である。




文字書きは初心者なので不安ですが、こんな感じで大丈夫でしょうか。
個人的に咲夜さんは、主従関係が合っても偶には砕けた話し方をすると思います。対戦よろしくお願いします。
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