【書籍化決定】とある男子高校生のラブコメ観察日記 作:サラダよりは肉が好き
知的ミステリアスな感じのボクッ子と一緒に青春を送りたい人生だったぜ……( ˘ω˘ )
UA15万達成してました。本当にありがとうございます。
G月のラブコメ模様 前編
G月〇日
夏休みが明けてから数日が経過した。夏休みボケが抜けずにだるい……ということは無く、相も変わらず私はラブコメ観察に精を出していた。
榊原ハーレムも相変わらず……かと思ったが、休み前とは様子が違っていた。教室で露骨なイチャイチャが無くなってしまったのだ。無くなってしまったのだ!!!(重要)
ここにきてラブコメ成分の圧倒的消失ッ……!私は何を糧にして生きて行けばいいのか……。
と、考えていたのもつかの間。昼休みにいつものように屋上で昼食を食べ教室に帰る途中、榊原と高城が階段の影でなにやら話しているところを発見。すぐさま身を隠し様子を伺った。
どうやら……高城は、改めて榊原を好きになった理由を語っていたらしい。そうだ、イチャイチャ成分が無くなったわけではなかったのだ。ただしっかりと人目を考慮して、より濃くラブコメ的交流が行われていたのである。そしてそれに気が付かなかった私は大マヌケということである……クッ!
そうして高城が語り終わった後、最後に榊原に向かって微笑みその場を去って行った。榊原は顔を赤くして放心している様子だった。榊原よ、お前が向けられている愛はお前が思っているよりも重く、甘いものだぞ。頑張れ。
と思っていたら今度は放課後の教室。私がトイレに行ってから忘れ物を取りに戻った時である。城波が榊原とふたりきりになっていた。そして案の定、城波がどうして榊原を好きになったのかについてを語っていた。やること為すこと同じだった。仲良しかよ。
二人きりになった状況から察していたのか、榊原は終始顔を赤くしていた。
こういう光景を立て続けで見ると、本当にラブコメハーレムに一区切りがつきそうであるということを感じさせられる。ラブコメ創作物の世界ではハーレム状態のまま作品内時間が年単位ですぎることも割とあるが、現実はそうはいかないらしい。
見つかる前に急いでその場を離れ、ダッシュで帰宅した。さぁ、この先どうなることやらである。楽しみに文化祭までの日々を過ごそう。
G月△日
とうとう正式に、担任の蒼柳先生から文化祭の話が持ち上がってきた。文化祭は来月に行われる。内容としてクラス毎の出し物、部活ごとの出し物、有志によるステージ発表。そしてミスコン。そう、ミスコンだ。ラブコメお約束イベント代表、あのミスコンである。
こういうのは大体ヒロイン組が勢揃いして参加するのがお約束だ。別パターンとして、主人公が女装して参加していいところまでいく、というものがある。残念ながら榊原に男の娘属性はない。まぁそこはいいか。
という訳で、クラスの出し物を決めることとなった。色々と案が出てきたが、纏めると以下の通りだった。
・コスプレ喫茶系(佐々木を筆頭に多数の男子から提案あり)
・お化け屋敷
・占いの館
・演劇
大体こんな感じである。コスプレ喫茶に関しては、メイドとかチャイナとかナースとか、メイドの中でもクラシック系とかオタク系とか色々案が乱立したのでいっそのことコスプレ喫茶で纏められた感じである。是非もなし。
結果は順当にコスプレ喫茶となった。見た目が映える人が色んな衣装を着て接客するという、これまたラブコメのベッタベタな出し物だ。グッジョブ。
クラスのモチベが高いのか、誰が何の衣装を着るかも決まった。いつものメンバーで言えば
・メイド服→高城
・チャイナ服→城波
・ナース服→海原
・貴族風の服→榊原
・執事服→佐々木
・黒子→私
である。どうして黒子のコスプレが存在しているのか、どうして私なのか。そして黒子をしながら調理等もこなさないといけないことになってたりと色々不満はあるが、中々面白いチョイスになっていたので甘んじることにする。サポートする能力において、私の右にでる者はあまりいない。当日はその力を発揮するとしよう。
この日は大枠を決めるだけ決めて解散となった。そろそろ文化祭準備期間となる。いつもは勉学に励んでいる時間をそのまま準備に当てられるのだ。私もたまには高校生らしく行事にはしゃぐとしよう。
と、書いていて気が付いたが、高校に入ってから割と全部の行事ではしゃいでいるな。所詮私も一人の男子高校生ということであった。
G月□日
どうして私は衣装の作成まで手伝っているのだろうか。中学時代に身に着けた謎の裁縫スキルが露見し、衣装作成係に回されてしまった。いつもの榊原ラブコメンバー以外にも衣装を着るクラスメイトはもちろんいるので、そちらにも着手せねばならない。
無論私ひとりではなく、家事スキルが高い高城や教えればなんでもできる便利な万能主人公榊原を筆頭に、何名かで取り組んではいる。だがまだ文化祭までは先だというのに、鬼のような忙しさになってしまった。
仕方がないので、腹いせに榊原をちょっとしたラブコメイベントに放り込むことにした。ぶっちゃけていえばスリーサイズの測定である。自然な流れで採寸係を榊原に押し付けることに成功したのだ。
その間に、私は野郎どもの衣装を仕立てるのだ。いたずら心で、佐々木の服には紐を引っ張ると上半身の服がはじけ飛ぶ細工をしておいた。きっといい仕事をしてくれるだろう。多分。
そして本日より、ミスコンの登録受付が行われていた。この機会を逃す私ではない。トイレに行くと見せかけ、すぐさま生徒会室へとダッシュである。
生徒会室に行くと、なんだか久しぶりな大和透華生徒会長が居た。ミスコンの受付をする旨を伝えると、「まさか君がでるのか……?」と本気で驚かれた顔をされた。なわけないやろがい。
出るなら生徒会長だろうという旨の返答をすると、なぜか生徒会長は顔を赤らめて
「……そこまでいうなら…」みたいなことを言っていた。そういうのは榊原でやってくれ……私が生徒会長を攻略しているみたいじゃないか……。
ミスコンには、ツインキャッスル、海原、天霧を推薦しておいた。そう、このミスコン他薦でも参加可能である。後からなんとかごり押して参加してもらおう。そうしよう。
一仕事終えて満足した私は、結局下校時間まで衣装作成に精を出した。一日ですべてが終わる訳はないが、ずっと集中していたから割と進んだだろう。そう思いたい。短いが、今日は疲れた為日記を閉じることにする。
G月×日
今日も今日とて文化祭準備だ。そしてなぜか私は家庭科室へ足を運んだ。どうやら、榊原が「彼結構料理できるよ」とぽろっと零したらしかった。腹いせに一発肩パンを入れておいた。
何をしたのかと言えば、もちろんコスプレ喫茶メニューの試作である。女子たちに交じりながら、あぁでもないこうでもないと言っている時間は控えめに言って気まずいものがあった。
このクラスはイベント事に対して熱心だ。意見の相違で結構言い合いに発展しそうになっていた。例えば、クレープの種類を増やすべきか、クレープの種類を絞って他のメニューを追加すべきかといったものだ。客観的に見れば、そんなことでヒートアップするのかとも思わなくはないが、当人たちはいたって真面目だ。どちらも文化祭を盛り上げたいからこそ熱が入るというもの。
この例題に対しては、材料をある程度統一することによって、クレープの種類とメニューの追加を両立させることで結論とした。まぁ提案したのは私で、争いごとになるのが面倒だったので色々とまくし立てて半ば強引に案を通したのだが。
それを見ていた担任である蒼柳先生は呆れ顔だったが、大人から見て些細なことでも当事者から見れば重大な問題であり、それだけ全力だということだ。その旨を蒼柳先生に伝えると
「呆れてるのはお前にだぞ。人生二週目か何かかってくらい大人な丸め込み方してるしな……」
とのこと。失礼な。私はぴちぴちの高校一年生である。ぴちぴちとはあまり聞かないが。
ともかくとして、こうしてメニューの大枠が決まったのだった。
・クレープ数種類
・オムライス
・プリン
・パスタ数種類
・ドリンク
・サンドイッチ
となった。なんだかんだ種類が多い気がするが、パスタは茹でた後タレと絡めたりするのみ。クレープとサンドイッチはある程度材料を共有し、プリンは前日までにある程度作っておく。ドリンクはまぁお手軽にできるように準備をする。それでもなかなかの仕事量にはなりそうだが、このクラスのモチベならなんとかやっていけるだろう。
そして意図せずに色々関わってしまったため、文化祭当日は私も厨房に入ることになってしまった。仕事が増えた……。ラブコメを観察しなければならないというのに。
最近は帰って来てからこうして日記を書くと、すぐに疲れて眠くなってしまう。ラブコメ観察をする暇もない。このままでは本当に普通に青春しているだけである。明日以降こそはなんとかラブコメ成分を摂取しなければ…。
G月☆日
今日はいいことがあった。そう、ラブコメ成分が十二分に摂取できたのである。最近は衣装作成にメニュー考案など労働に勤しんでいたため、ここでようやく回復できた。
具体的には、私が疲れ果てて机に突っ伏してダウンしていたところに、見かねた榊原が気晴らしに買い出しにと誘ったところから始まった。榊原が行くということでツインキャッスルが付いて来たのだ。買い出しに4人もいるのかと聞いたところ、布やら木材やらペンキやら結構一気に無くなってしまったそうだ。本当かどうかはわからない。榊原が気を効かせてくれただけかもしれないが、私は快諾して買い出しへと同行した。ひとまずは作業から目を離したかったのだ。
買い出しへと外へ出ると、さっそくツインキャッスルが榊原の両脇を固めた。普通の男子目線から見れば、目の前で美少女二人が別の男子とイチャイチャしながら歩いているなんて拷問以外の何物でもないのだが、私は歴戦のラブコメウォッチャーだ。一歩引いて隠れてスマホのカメラでパシャリするまでにそうそう時間はかからなかった。
榊原はなんだか気まずそうな顔でこちらを何回か見ていた。それもそうだろう。本来私の気晴らしのつもりで連れ出したというのに、自分がストレスの元に成ろうとしているのだから。
女子二人が離れたタイミングで、榊原が「何かごめんな……」と、捉え方次第では嫌味みたいなことを言ってきたが、私は本当に気にしていないどころか感謝していたので、その旨を適当に伝えた。榊原からは何故か笑われたが。解せぬ。
まぁ榊原とはそれなりの付き合いである。聖人…は言い過ぎかもしれないが、基本的には善意で出来ており、その善意を戯言で終わらせない精神性と行動力を有している人間であることはわかっているつもりだ。最初はただのラブコメ主人公としてしか見ていなかったが、今ではただのクラスメイトであり、友人であり、立派な観察対象である。
今まで時間を共に過ごして来た者達も同様だ。高城も、城波も、佐々木も、海原も、生徒会長も、天霧も、龍地も、蒼柳先生も、榊原姉も、この日記に記していた者、そうでない者達至るまで、私の高校生活を語る上で欠かせない存在である。
買い出しは無事に終え、学校へ戻る。その間も榊原とツインキャッスルはイチャイチャしていた。腕を絡めていたり、榊原の耳元でASMRのように会話していたりである。どうやら学校でなければ割とはっちゃけてコミュニケーションを取っているらしい。私はなるべき気配を消しながら、その光景をとりあえず動画に撮った。後日榊原を思いっきりからかってやろう。
戻って来てから、私は今日帰っていいと言い渡された。今まで、ずっと便利だから私を色々駆り出してしまったので、今日くらいは早めに帰って休んで欲しいとのことだった。あまりにストレートに言われてしまったので思わず声に出して「おいおい」と言ってしまったが、好意はありがたく受け取ることにした。そのため、今は十分に風呂につかり、ちょっと奮発して寿司の出前を頼んで食べ、動画を流しながら日記を書いている。仕事帰りの社会人のような過ごし方をしているが、こういうのが幸せだったりするのだ。
しっかりと休んで、また文化祭に向けて頑張るとしよう。
完結したらXのアカウントでも作ってみましょうかね( ˘ω˘ )