【書籍化決定】とある男子高校生のラブコメ観察日記   作:サラダよりは肉が好き

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少し目を離していたら感想やら評価やらがやたら飛んできてビビっています。

本当にありがとうございます。返信できていないのはビビり散らかしてるからです。ありがとうございます。ありがとうございます(大事なことなので2回)。




B月
B月のラブコメ模様 前編


B月〇日

 

今日一日中、私のクラスはどこか浮き足立っていたように感じる。しかし、これは無理もない事だ。

なにせ明日から俗に言う大型連休が待ち構えているのだから。

 

教室のあちこちで、遊びに行く計画を立てたり、どれだけゲームをやり込むかなどの話しに花を咲かせている。そして、この私も例外なく、しかし例年よりも何倍も、連休を待ち望んでいる節があることは否めない。

 

何故ならば、私の隣の席に鎮座するラブコメ主人公(私印)、榊原 章とそれを取り巻くラブコメヒロイン(私印)である、高城 愛、城波 ドロシー。ついでに友人枠(私印)である佐々木 幸助といった、約束されたラブコメユニット達が居るからだ。

 

大型連休といえば、ラブコメ序盤には欠かせないシチュエーションが盛りだくさんである。

例えば、ヒロインが主人公に実質デートのような誘いを持ち込んだり、主人公とヒロインが街で偶然出くわしなし崩し的にデートみたいになったり、あるいは複数人で遊びに行った時にふとした瞬間に2人きりになりドキマギするイベントが起こったりと、大型連休とはラブコメをするには十分すぎるきっかけになりうるのだ。

 

私はそんなラブコメチックな瞬間をこの目で見たい。その為ならば割とどんな手でも使う自信がある。鋼の意思というやつである。

 

幸いと言うべきか、残念ながらと言うべきか、この日は一日中ずっと高城と城波が榊原を誘おうとして、結局勇気が出ずに何も言えないという時間が続いていた。つまり現時点で何もフラグは立っていない。恐らく榊原が家に帰った後、各々SNSか何かでデートにでも誘うのだろうが、それは私が直接目にすることが出来ないのであまりよろしくない。

 

自分で日記を書いていて、正直かなりアレな思考だとは思ったが気にしないことにする。

 

何とかラブコメを加速させるため、私は放課後、連休中にみんなで遊びに行かないか、という提案をした。

まず乗ってきたのは榊原、高城、城波である。ここは予想通り。榊原は普通にノリがいいし、榊原がいいねといえば他2人もいいねという。気分は漁師である。大漁大漁。

 

意外にも、乗ってこなかったのは佐々木であった。少し考えてみれば理由は明白で、榊原が女子を総取りしてく構図について行きたくない雰囲気であった。本人は言葉にしていなかったが、表情とシチュエーションで何となく把握した。

だが、友人枠もラブコメに欠かせない要素のひとつである。そこで私は神の一手を言い放った。

 

せっかくだし、海原さんも誘ってみたら?と。

 

海原さんもとい海原 星という女子。宿泊研修で昼食を共にし、佐々木とは悪くない雰囲気で会話していた。

 

佐々木は狙い通りに気力を取り戻し、早速海原を遊びに誘いに行った。ちょろいな。私的にはラブコメが見られれば満足だが、海原がヒロインレースに参戦してきても面白いなと思ってしまった。許せ佐々木。

 

海原の了承を得、私を含めた計6人のメンツが揃った訳だが、ここで榊原が変に気を利かせたのか、生徒会長を誘わなくていいのかと言ってきた。どうにも、好みの女子についてという話題から逃れるために、生徒会長の名前を使って以降、榊原と佐々木は私が生徒会長のことを好きであるという勘違いが生まれてしまっているらしい。

しかもヒロインズ+αがいる前で榊原がこの話題を出したせいで、どうやら女子陣も同様の勘違いをしてしまいそうだ。

私は榊原からのフリに対し、「人数が多い方が楽しそうなのは確かだが、普通に受験生を誘うのは申し訳ない。」と返した。悪いな榊原。ラブコメを見るのは好きだが自分はその渦中に行きたくない。せいぜい困り果ててラブコメを謳歌してくれ(ゲスの極み)。

 

紆余曲折の末、遊びに行く先は少し離れた遊園地に行くことになった。提案者は佐々木。クーポンがあるだとか、今からパスを取れば安いとか、なんやかんや理由をつけてはいたが、恐らく一番の理由は『別行動しやすいから』だと思う。海原と2人きりになりたいのだろう。頑張るなぁ…。

 

特に異論が出ることもなく、日にちを決めその日は解散となった。遊園地なんて小さい頃に親と数回行ったっきりだが、私の興味はそんなところには無い。

遊園地という場所は、ある意味ラブコメを観察するにおいて適しているからである。人が多いために隠れて行動しやすい。榊原達のラブコメをこっそり観察するにはうってつけだ。そういった意味では、佐々木に感謝するべきなのかもしれない。友人枠の恋物語もラブコメには必要なスパイスであるため、心の中で佐々木を応援しておくことにする。

 

とりあえず双眼鏡を探し出してから、本日は眠りにつくことにしよう。

 

 

B月△日

 

遊園地当日である。双眼鏡を見事見つけ出した私は、サイフとか水筒とか必要なものを適当に詰め込んだカバンを背負い、待ち合わせ場所まで赴いた。割と時間に余裕を持って出たのだが、私が着いた頃には既に佐々木が来ていた。目の下には隈。相当楽しみにしていたであろうことが伺えた。

五分ほどして、両手に花、いや城(高城と城波)を携えた王子様こと榊原が到着していた。佐々木は血走った目で男の嫉妬を放っていたが、私は両手に城の状況を、ダブルキャッスルと言うべきか、ツインキャッスルと言うべきかで悩んでいたため、ここでの会話は実はあまり覚えていない。それとなく佐々木にこの話を振ってみたら「独特だなお前のネーミングセンス……」と言われた。解せぬ。

 

最後に、ちょっとオシャレをした海原が到着。意外と服装に気を使うタイプだったらしい。佐々木は顔を赤くしていて褒めちぎっていたし、榊原も驚いた顔をしていた。私も割と驚いていたが、表情が変わりにくいせいか、ノーリアクションに見えたらしい海原は少し残念そうな顔をしていた。何故か申し訳ない気持ちになりつつも、私の脳内は既にラブコメを観察するモードに切り替わっており、そんな気持ちも直ぐに吹き飛んでしまっていた。

 

バスでの移動を経て、無事に遊園地に到着。事前に予約していたパスを買い、堂々と遊園地入場した私たちは、まずは普通に遊園地を堪能した。ジェットコースターやコーヒーカップ。ゴーカートなどである。

ゴーカートでは全員を巻き込んだ勝負になった。意外とドラテクが唸っていた佐々木が1位で、榊原は2位。海原が3位で、運転するものに慣れていない高城と城波が5位6位で、私は4位だった。全力でやったが普通に真ん中だった。ちくせう。

 

そして昼、昼食を摂り、各々別行動を取ることになった。

提案者は勿論私だ。このまま一緒にいて、ラブコメチャンスを狙うのも有りだが、午前中の結果を踏まえると、普通にみんなで遊園地を楽しんでしまう可能性が出てきてしまった。普通ならそれでもいいのだが、今日の私は遊園地に遊びに来ているのではなく、ラブコメを観察しに来ているのである。

試しに、お土産を見に行きたい、と言ったら、これをチャンスと捉えたのか、高城と城波のツインキャッスルが榊原を攫って行き、佐々木は海原と食べ歩きに出かけたという感じだ。しめしめである。ナチュラルにハブられている気もするが好都合だった。思い出したら少し悲しくなってきた。

 

私は予定通り榊原組の方へこっそりついて行った。

案の定色々とラブコメシュチュエーションを見ることが出来た。

片方が良い雰囲気を作ろうとすれば、もう片方が割って入り、その様子を見てドギマギしながらも苦笑いの榊原。

これぞハーレムもののラブコメである。この光景のために遊園地に来たようなものだ。双眼鏡を構えながら、少し離れた所からその光景を見ていた。

最も印象深かったのは、3人が別々のクレープを買った時、高城と城波が同時に榊原にアーンしようとてた所だろうか。美少女2人同時に正面から迫られるのはクるものがあったようで、榊原は終始顔を赤くしていた。

いいぞ、もっとやれ。

 

ひとしきり満足した後、つけていたことを悟られないように遠回りして集合場所であるカフェへと戻ることにした。

 

戻ってみると、海原が既にカフェに到着していた。佐々木の姿が見えなかったので聞いてみると、張り切りすぎるあまりに先行してしまい、人混みに飲まれてはぐれてしまったそうだ。哀れ。

他のメンツが来るまで、海原と雑談をして過ごした。今思えば、海原とはほとんど話したことが無かった。彼女は気さくで話しやすい部類の人間であると、この時初めて認識したのだった。

 

そうして10分くらいは話していただろうか。

海原が突然「あなたって、実は面白い人だったんだね」と言い出した。

その時の彼女の笑顔は、ある意味妖艶とさえ言えた。少なくとも、みんなで行動していた時には見られなかった表情である。

その後も海原が何やら話していたが、私はその内容を覚えていない。何故ならば……

 

 

海原が、「小悪魔系ヒロイン」であった事実にテンションが上がっていたからだ!

 

普段は普通な女子を演じながらも、ふとした瞬間に見せる色気のある表情。そのギャップと色香で主人公を惑わせる小悪魔枠。

榊原のハーレム(仮)には、健全なお色気が足りないとは薄々思っていたのである。

彼女が榊原のハーレム(仮)に加われば、よりラブコメは加速し面白いものになるであろう。佐々木には悪いが、私が見たいのはラブコメなのである。別の子を頑張って探してもらおう(ゴミの発想)。

ヒロインの1人を友人キャラが好きになってしまう……というのもラブコメではまぁ無いことは無いのだが、私が好きなラブコメは、あくまでコメディ色が強いラブコメなのだ。色々絡まってくるタイプのラブコメは好きでもないが嫌いでもない、程度なのである。

 

というようなことを考えていたので、海原に対して適当な相槌をし続けてしまったことは申し訳なく思った。集合時間になるかならないかまで話していたが、そういえば海原の顔が赤くなってた。風邪をひいていなければいいのだが。

 

そんなこんなで最後は無事に全員集まり、無事に帰宅するに至ったのだった。色々収穫のある日だった。今後も私を楽しませるような出来事には期待できそうである。

 

 

 

B月‪✕‬日

 

遊園地から2日ほど経った今日。私は昼頃まで普通に怠惰を謳歌していた。朝起きてゲームをし、動画を見て寝落ち。そして昼に目を覚ます。楽しすぎか?

 

しかし、そんな平穏が一瞬で崩れ落ちる出来事が起きてしまった。

結論から言えば来客だ。それも母である。それだけなら良かったのだが、なんと何故か生徒会長も居るでは無いか。

私の脳内は疑問符で埋め尽くされた。とりあえず機械的に家にあげリビングまで通す。お茶を出し終わったところで、私は単刀直入に、家まで来た要件と生徒会長が何故ここにいるのかを母に問い詰めた。

その答えはこんな感じだった。

 

・本日朝、母の姉、つまり伯母が母の家に遊びに来る。

・その伯母が生徒会長の母親で、生徒会長もその時着いてきていた。

・ひょんな事から私の存在が発覚。母は私に支援物資(食材など)を届ける気でいたため、従姉弟ということでついでだから挨拶に生徒会長が着いてきた。

 

面と向かって言えなかった分、日記にツッコみを書かせて欲しい。

 

 

 

そんなラブコメ展開は榊原のとこでやれ!!!!!!

 

 

私がそんな状況下におかれても混乱するだけなんだよ!!!!特に特別な気持ちも抱いてないしなんならさっさと榊原ハーレムに加わってきてください300円あげるから!!!!

 

正直生徒会長が家にいる時は生きている心地がしなかった。微笑みを浮かべて私を観察するように見てくるのである。まるで動物園のパンダになったような気分だ。パンダに恐れ多い例えを書いてしまった。

 

会話もしたが、内容そのものは至って普通だった気がする。偶然だね、とか。好きな食べ物は?とか。お見合いか。

 

2時間ほどして、母と生徒会長は我が家を後にした。とりあえず、あまり来て欲しくは無いので心の中で塩を撒いておいた。ラブコメよ、榊原のとこへ飛んでいけ!

 

そうしたらつい先程、榊原から連絡が来た。

「コンビニに買い物に行ったら生徒会長と遭遇した!お前のこと聞かれたから持ち上げておいたぜb」である。イベントに恵まれるのはラブコメ主人公(私印)として喜ばしいことなのだが、余計なことはしないで欲しかった。

 

それにしても、高校生になってから割と退屈はしない。休み明けも近づいてはいるが、不思議と気分は重たくならない。休みが明けると中間試験も近い。しかしそれすらも、ラブコメにはイベントとなりうるのだ。

 

さて、ワクワクした気持ちを抑えるためにもとりあえず今日の日記はこれで閉めることにしよう。

 

 

 

 




書く時間ができれば続きます。
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