【書籍化決定】とある男子高校生のラブコメ観察日記   作:サラダよりは肉が好き

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覚えてる方はお久しぶりです。色々忙しかったり気力が無かったりしてかけてませんでした。
続きではありませんが完成したので投稿します。


別視点 B月の裏側

B月の裏側 海原 星の視点

 

B月△日 遊園地にて

 

今日は遊園地に来ている。もちろん1人って訳じゃなくて、何かと話題の榊原くん。榊原くんにゾッコンな高城ちゃんと城波ちゃん。わかりやすいくらいにアタシに気がある佐々木くん…そして、何を考えてるのかいまいち分からない無表情な彼だ。

 

宿泊研修で一緒になって、みんなと一緒にご飯を食べたことがあったけど……彼だけがとても異質に見えたんだよね。だって無表情なのにやたら気は利くし、話もちゃんと聞いてる。

正直アタシは彼が苦手だ。わからないものは往々にして怖いんだもの。想像して見てほしい。コミュニケーション能力は高いのに、それが全て無表情で行われているっていう……。まるでロボットと会話してる気分になる。……せっかくオシャレして待ち合わせ場所まで来ても、彼の表情は変わらなかったし。

 

遊園地は楽しかった。ジェットコースターに乗ったり、ゴーカートしたり。色んなアトラクションをみんなで楽しんだ。彼はしきりに双眼鏡で榊原君を見ていたけど……もしかしてソッチ系なのかなぁ……?

 

お昼時になって、無表情な彼から提案があった。

 

「午後は少し自由行動しよう。好みは人それぞれ違うしな。俺もちょっと家族へのお土産を見たいんだ。2時間後くらいにこのカフェに集合で。どう?」

 

彼がそう言い放つと、佐々木くんがアタシを食べ歩きに誘ってくれた。前にここの遊園地の限定メニューが食べたいと言っていたことを覚えていてくれたらしい。榊原くんは高城ちゃんと城波ちゃんに両脇を固められていたし、了承してその場を離れた。

……この時、彼を置いていってしまったけど、苦手だし、ある意味ちょうどいいと言えばちょうど良かったんだよね。酷い事だとは分かっていても、アタシは安心してた。

 

途中までは楽しく食べ歩きしてたんだけど……人の多いところに捕まっちゃって、佐々木くんとはぐれてしまった。佐々木くんが人ごみを移動するスピードについて行けなかったのだ。無理に進もうとすると危なそうだったから、佐々木くんにメッセを送って、集合場所であるカフェに戻ることにした。これなら間違いなく合流できるし。

 

しばらくすると、無表情の彼が到着した。内心「げっ」って思ったけど、空気を悪くする訳にもいかないので、色々お話することにした。

 

……アタシは、この時人を第一印象のみで判断したことを後悔することとなった。だって、彼は面白かったのだ。

無表情なことには変わりないけど、時々質問をしてみたり、相槌を返してくれたり、顔に似合わない上手いこと言うな的な返しをしてくれたり……ついつい、アタシも喋りすぎてしまうくらい、彼は聞き上手だったのだ。10分経つ頃にはもう苦手意識なんて払拭されていて、思わずに

 

「あなたって、実は面白い人だったんだね」

なんて言っちゃったりして。

 

すると彼は

 

「海原こそ、実は話しやすい人だったんだな。ついつい俺も聞き入ってたよ。俺あんまり自分から話振るの得意じゃないからさ、話を振ってくれる人は結構好きだぜ。」

 

と、ほんの少し、本当にほんの少しだけ口角を上げて返してきたのだ。

その仕草が、あまりにも様になっていて、思わずちょっと見惚れてちゃってた。

もしかして、彼は無表情というより、表情の変化が分かりずらいだけ……?

 

なんて考えながら、見惚れた自分を隠すように、皆が集合するまでお話してた。

退屈することはなく、話題がなくなっても脈絡もなくふざけ合ったり、楽しい時間だったなぁ……。

 

もうちょっと、彼のことを知りたいと思った、そんな1日だった。

 

 

B月β日 勉強会にて

 

勉強会をするからと、榊原くんの家にお呼ばれした。メンツは遊園地の時と同じだ。

相変わらず榊原くんの横をツインキャッスル(無表情の彼がそう名付けたらしい)ちゃん達が固め、アタシの隣に佐々木くん。そしてお誕生日席に彼が居た。

佐々木くんと勉強しながら彼を眺めていると、彼は榊原くんとツインキャッスルちゃん達を時々見ているようだった。本当にソッチ系の人なのかな……?

 

その後ゲームをしたり、榊原くんのお姉さんが襲来したりして時間を過ごし…流れで榊原くんの家に泊まることになった。

 

お姉さんに対して立ち向かった?時の彼は凄かった。

 

「いやいや違うんです決して騙すとかしらばっくれたとかそういう訳じゃなくてですねやましいことも何もありませんしその証拠にほら普通に勉強して遊んでただけですよ榊原も無事だし女の子に汚されてないからえ女の子じゃなくてもお前が汚してるんじゃないかってそんなわけねぇだろどこをどう見たらそう見えんだよ目が腐ってんのか腐女子だけにって腐女子じゃない弟と結婚するのは私だってどんだけだよってなんでもないですとにかく神とかなんかそこら辺のって神はアテになんねぇわとにかくなんかに誓って何も無いです榊原は捧げるので許してください」

 

「結局俺売られてない!?」

 

良くあんなに言葉がペラペラ出てくるなぁと素直に感心しちゃった。

それから…榊原くんのお姉さんがいなくなってから、公共交通機関が止まるくらい天気が悪くなって泊まることになったんだよね。

 

鍵がかかる榊原の部屋に女の子組で集まって、お話をしたりして過ごした。

 

……そしてその流れで、気になる男子の話になった。正直恋愛とかはあんまり考えては居ないんだけど、思わずポロッと、無表情の彼のことについて話してしまい、そのまま問い詰められる形で彼の話になった。

 

まぁ彼とは知り合って間もないしそんなに話す内容も無かったんだけど、無性に顔が熱くなったなぁ……恋バナとか実は慣れてないからかも。というか彼が好きかと言われれば首を傾げるんだけどね。その後はツインキャッスルちゃんが思い出を語って、何だか恥ずかしい雰囲気のまま眠りについた。

朝起きた時に恋バナしてたのを思い出して、女子組で顔を赤くしちゃったな……。

 

でもこういうのも、青春って感じで楽しいかも!

 

 

 

B月の裏側 大和 透華

 

B月‪✕‬日

 

それは偶然だった。私の母の姉妹である叔母が、あの無表情な少年の母親だったという、あまりにも私にとって都合がいい展開に、思わず高笑いしてしまいそうだった。

 

少年の母は、無表情な少年と違い感情豊かな人物だった。そんな彼女に連れられやって来たのは、あろう事か彼が一人暮らしをしているマンションの部屋だ。

 

部屋を尋ねると、彼は無表情な顔のまま、慌てて色々準備をし始めた。

お茶菓子と紅茶まで用意し、席に着くと自身の母親と会話を始める。

どうやら叔母はイタズラ好きらしく、私が来ることも伝えていないみたいだった。顔の表情は変わらないが、年相応に反応する姿に思わずクスリと笑を零してしまう。

しかし、相も変わらず彼からは具体的なイメージが伝わってこない。

とりあえず彼に質問をする事にした。好きな食べ物や趣味など、彼の情報を少しでも集められれば……っと、これではまるで恋する乙女だな。恋愛的な感情かどうかは定かでは無いが、私は間違いなく彼という存在に興味を抱いている。

 

どうやら、彼の好きな食べ物は鶏の照り焼き、趣味はラブコメ系の漫画や小説を読み漁ることらしい。趣味に関しては彼は読書としか答えなかったが、本棚を見れば一目瞭然だった。

 

……なるほど、彼が榊原と交友を持ったのは彼なりの狙いがあるのかもしれないな。

 

少しだけ彼のことを知れた私は、その1日を上機嫌のまま過ごすことが出来たのだった。

 

 

 

B月の裏側 蒼柳先生

 

B月γ日 ラーメン屋

 

教師とは多忙を極める職業だ。休みも多いとは言い難い。

 

……そんな独身美人教師ことワタシ、蒼柳が趣味としていること、それは休みの日に食べ歩きをすることだ。

今日も、気になる店へと足を運んでいた。前から目をつけていたラーメン屋である。

 

メニューも決め、いざ注文しようとしたその時……担当しているクラスの中でも気になる生徒に偶然出くわした。

 

彼は表情に乏しく、感情が読みづらい。しかし社交性はむしろ高い方であり、クラスメイトからも悪い話は聞かない。チグハグな印象を受ける生徒だ。

彼を呼び止め、奢りだと言って席につかせる。……冷静に考えて、彼ほどまでに表情に変化が無い人間はそういない。何か抱えているならば、少しでも力にはなりたい。

だが、話を聞く限りでは彼の育った環境には何も問題はなさそうだった。隠しているような素振りもない。得られた情報と言えば、彼の幼なじみが美少女であると言うくらいだ。

仲の良い友もいるようだし、あまり心配する必要も無いのかもしれないが………。

 

過去の経験から、どうしても彼のような生徒には神経質になりがちだ。だから、最後に説教じみたことを喋ってしまった。

 

「……ひとりで抱え込むなよ。これは経験則だが、ひとりで何とかしようとすると、自分の力を超えるような場面に直面した時何も出来ない。ワタシもそうだったし、多分君もそうだ。……困ったら、無理に話してくれなくても良い。少しだけでもそういう素振りさえ見せてくれれば、いつでもワタシは力になるよ。」

 

彼はワタシの言葉を聞くと……ほんの少しだけ、寂しそうな顔を見せたような気がした。

 




今年中に完結させれたらいいなというのを目標にしております。
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