【書籍化決定】とある男子高校生のラブコメ観察日記   作:サラダよりは肉が好き

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お久しぶりです。色々忙しくて書いてませんでした。

楽しみにしてくださってた方がいるなら申し訳ないです。

それでは続きをどうぞ。





C月のラブコメ模様 後編

C月β日

 

体育祭前最後の練習が行われる日。

この日私は、今までの過酷な練習の日々……

もとい、榊原にヒロイン(候補を含む)をけしかけた日々を思い返していた。

 

海原と榊原が話してる時に、榊原の背中を偶然を装って軽く押して壁ドンさせてみたり。

 

天霧と榊原が二人三脚の練習をしている時に、天霧にそれとなくわざとぶつかって榊原に受け止めさせてみたり。

 

白組である生徒会長がなぜか私に声をかけてきた時に、榊原のことを話題に出してやたら持ち上げてみたり。

 

これまた白組である副会長が私と榊原を凝視してる時に、副会長の魅力(佐々木調べ)を榊原に熱弁してみたり。

 

またまた白組である高城と城波のツインキャッスルが榊原に接近してきた時に、空気を読んで遠くに離れてみたり。

 

色々である。半分くらい強引な気もするが気にしないことにする。

 

本番への仕込みは滞りなく完了だ。あとは当日、榊原が体育祭でやったらめったら活躍するだけである。我ながら自分のラブコメ誘導の才能が怖い。

私の当日の仕事と言えば、ラブコメをひたすら観察することと、榊原に無理やり巻き込まれた最終種目のリレーに出場するのみだ。正直脚に自信なんてありはしないが、走ってみるのも一興だろう。

なお、走順はトップバッターを希望して譲らなかった。主役である榊原はアンカーにねじ込んでやった。これで最初だけ走ればあとはラブコメ観察に注力できることだろう。

 

あと特別変わったことと言えば、体育祭の前に、紅組1年生の親睦を深めようという名目で、佐々木が榊原、天霧、海原、私に声をかけてカラオケに行ったことだろう。ツインキャッスルも無理やり着いてこようとしたが、意外なことに榊原が申し訳なさそうに断っていた。あまり人と出かけない天霧さんに気を使っての行動らしい。イケメン系ラブコメ主人公は、気遣いもイケメンだった。これは天霧さん落ちたな。ラブコメ作品らしくなってきた感じがする。

更に意外だったのは、天霧さんが滅茶苦茶歌うまだったことだ。ラノベのアニソンで97点~100点を連発していた。

そのままアニソンを歌う流れになり、榊原は相変わらず上手くなんでも歌いこなし、佐々木はハイテンションなコメディ系アニソンを、海原はスポーツアニメのアニソンを歌っていた。私はラブコメのアニソンを歌っていたが、周りにやはり爆笑された。解せぬ。なぜ笑うのか佐々木にその場で聞いてみたら

 

「真顔で「恋のトキメキ止まらない~」とかそんな感じの歌詞を感情こもった声で歌われるとシュールがすぎるんだよ!」

 

と言われた。ギャップってやつらしい。解せた。

 

その後、家が同じ方向の海原と佐々木、そして榊原と天霧と私に別れて帰宅することになった。正直先に帰るとか言って榊原と天霧を2人きりにさせた所を尾行した方が面白そうだったのだが、ついつい時間いっぱいまで歌ってしまった。迂闊だった。

 

この後、他愛もない雑談をしながら帰宅している最中、お腹が痛くなった私は近くのコンビニに駆けだしたのだが、戻ってきた時に天霧が榊原の前で顔を赤くしていた……ラブコメ現場を見逃してしまったのか…………思い出しても悔しさが晴れない。この鬱憤は体育祭でラブコメ観察をすることによって晴らすとしよう。

 

 

 

C月ω日

 

体育祭当日だ。今日は本当に色々あった。笑いあり涙ありの壮絶スペクタクルである。 順を追って書き起こして行こうと思う。

 

榊原率いる愉快なラブコ面子は、やる気に満ち溢れていた。

 

ツインキャッスルこと高城と城波は、敵である紅組の榊原の前でいい所を見せようと、味方同士である白組にも関わらずバチバチしていたし

紅組の佐々木は海原にいい所を見せようと張り切っていたし

同じく新ヒロインこと紅組である天霧は、運動が不得意にも関わらず、なぜかやる気満々だった。榊原がいるからだろう。いい傾向である。

 

なお生徒会の会長と副会長は、運営などでやる事が多かったらしくあまり競技には出ていない。榊原にけしかけようとしていた作戦の何パターンがパーになってしまった。解せぬ。

 

そんなこんなで体育祭が始まった訳である。午前中は共通種目の消化。100m走とか大縄跳びとかそこら辺である。正直午前中はあまり面白いイベントは起きなかった。

 

ただ流石と言うべきか、榊原は……というか、いつものラブコ面子はかなり目立っていた。俊足を見せつける榊原と佐々木。揺れる胸を見せつけるツインキャッスル。爽やかにトラックを駆ける海原……活躍する度に声援が上がっていた。私もそれに交じって声援を送りながら共通科目をこなして行った。特に声援は無かった。そりゃそうだ。

 

そういえば、中学時代の友達である龍地が来ていた。学校は別れてしまったが、時々連絡はしている。

 

「君が楽しそうに話す友人たちのことを見に来たんだよ。」

 

だそうで、榊原ハーレムメンバー(私印)に挨拶をしていた。見た目はやたら良いから注目が集まってたな……。妙に大人びているし、謎の色っぽさがある。中学時代には「龍地様に見下され隊」なんて謎のファンクラブが存在していた程だ。今思い返してみると中々にやばい連中だったな……。

 

私を蚊帳の外にして色々話し込んでいたようだが、丁度トイレに行きたくなって席を外していたため、内容は聞き取れなかった。戻ってきたあとに龍地に聞いてみたが

 

「もちろん君のことについてだけど?後は……宣誓、みたいなものかな。」

 

とか言っていた。宣誓……つまり誓い……愛の誓い……という超理論から、お前も榊原ハーレムに入らないか?と誘ってみたらいい笑顔で断られた。まぁ龍地はラブコメ作品というよりは探偵モノの登場人物感がある。ミステリアス系ヒロインという枠もあるが……ねじ込んでみるのもありか……?今度龍地と榊原単体を引き合わせてみよう。今度遊ぶ約束もしたし、誘うこと自体は簡単だろう。

 

まぁそんなこんな午前の部が終わり、午後の部。ここで壮大なドラマが巻き起こった。

 

始まりは二人三脚。榊原と天霧がセッティングを完了し、いざよーいドンするその瞬間である。

 

 

 

結論から言えば、天霧は転んで捻挫した。隣のペアが思いっきりぶつかってきてしまったためである。

 

 

もちろん身も心も超イケメンの榊原、しっかりと受け止めようとしたのだが、バランスの崩し方がいけなかったのだろう。ぶつかった衝撃でバランスを崩した天霧さんは、その時点で足首を捻挫してしまったのである。スケジュール的にも競技をやり直しする訳にもいかず、そのまま最下位。ぶつかって来たペアは競技が終わってから謝りに来たものの、あまり真剣味は感じられなかった。

 

 

そして、テントに戻ってきた天霧は、好奇の視線に晒されてしまった。表向きは心配する声がほとんどだ、だが、楽しい気分になっているところに起こったハプニングは、場の空気を変えてしまうものである。

天霧さんは、やり切れない思いがあるのか泣き出してしまった。

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

と、繰り返し謝罪を繰り返し、その場を後にしたのだ。

 

……ここからがドラマの始まりだった。

 

榊原が、天霧を追いかけた。その近くにいた私も反射的に追いかけてしまった。

 

天霧さんは、人目につかないところで膝を抱えて泣いていた。保健室に行くこともせず、ただただ、自分の無力を嘆いていたのだ。

ショックが大きいのも当然だ。天霧は運動が得意な方では無い。しかし、一生懸命な努力家ではあったのだ。

一緒に練習していた私達は知っていた。ひたむきに練習する彼女の姿を。榊原に甘えることを良しとせず、話すことが苦手であるにも関わらず、苦手な体育の先生にコツを聞きに行ったりしていたことも。

そしてその努力の理由が、榊原に惚れていたからだけでは無く、やるからにはみんなの役に立ちたいという健気な想いにもあったことを。

 

榊原は天霧に近づいてこう言った。

 

「一緒に最後まで頑張ろう。天霧さんの力を貸してほしい。」

 

慰める訳でも無く、榊原は天霧さんと体育祭を乗り切る道を選んだ訳である。ラブコメの主人公かよ。ラブコメの主人公だったわ。流石私印。

 

怪我をした天霧さんが競技に参加する訳では無かった。しかし彼女は、誰にも負けない声で紅組を応援した。大きな声なんて出したことの方が少ないだろう。それでも、自分に出来ることを精一杯やろうと足掻いていた。

 

そこからの榊原の勢いは凄まじいものだった。参加する全ての競技で1位。鬼気迫る動きに周りは気圧されていた。

 

「たかが体育祭なのに、どうしてそこまで必死になれるのか」そう思う人も少なからずいただろう。だが、天霧さんの想いを無駄にしないために、榊原は全力を出し続けていたのだ。

 

かくいう私も、榊原が声をかけた後に天霧に何か声をかけた気がするが実はあまり覚えていない。そもそもの始まりが私のラブコメ策略(笑)から始まっているような気もして罪悪感が半端なかった上、紅組がヒートアップしてしまって私も限界以上の運動能力を酷使し続けていたため、疲労がマックスだったのである。サポート特化が前線に出張るものでは無いと強く思った。

 

体育祭は大盛り上がりを見せ、最終種目であるリレー。順位しだいでは、どちらの組が勝ってもおかしくない点差。

 

トップバッターである私は、緊張を解すために龍地へと話しかけに行った。すると龍地は

 

「……君でも緊張することなんてあるんだね。」

 

と目を見開いて驚いていた。一体人をなんだと思っているのだろうか。

 

そりゃ緊張もする。私のスタートダッシュが上手くいかなければ、この後繰り広げられるであろうラブコメイベントのクライマックスの盛り上がりに支障が出るのだ。そう正直に話したら

 

「君にまともな感性があると一瞬でも思ったボクがバカだったよ……頑張れ、親友。」

 

と送り出してくれた。罵倒されたのか激励されたのか若干悩んだが深く考えないことにする。

 

 

位置につき、パァンと乾いた音と共に走り出す。正直私はそんなに速くは無い。そしてリレーとは、足の早い人達の見せ場。結果的に何が起こったかと言えば、開幕早々私は最下位になった。

 

しかし、これはラブコメイベントの一幕。怪我をした少女(天霧)の想いを繋ぎ、主人公(榊原)まで繋ぐワンシーンなのだ。

離されすぎる訳にも行かないと決心した私は、なんとか私の目の前を走る選手に食らいつき、走り続けた。人生で1番本気を出したと言っても過言ではない。過言かもしれないが、それくらい頑張った(当社比)。

 

なんとかスムーズに次の人へとバトンを繋ぎ、そのままトラックから掃けて座り込んだ。正直この日記を書いている今でも脚がガクガクである。

 

私が頑張った甲斐があったのかどうかは定かでは無いが、初手の私から2番手、3番手とバトンが繋がれ、アンカーの榊原が走り出す頃には2位にまで上がっていた。

 

ゆけ。我らがラブコメハーレム主人公榊原。そんなこと思いながら、私は最後の戦いを目に焼き付けていた。

 

 

 

 

そして、ゴールテープを切ったのは……言うまでもなく榊原だ。途中靴紐がちぎれ失速したが、高城と城波、海原、そして天霧の声援があったからか、靴を脱ぎ捨て全力疾走。見事に1位になった。途中失速してるのになんで靴なしで1位まで走れたのだろうか。望んでいた展開にはなったものの、若干引いた。何だあの超人は……主人公か……主人公(私印)だった。

 

かくして、見事に紅組は勝利を収めた。天霧は大号泣、ついでに佐々木も大号泣。

 

榊原が天霧に近づいて

 

「天霧さんが頑張っていたのを知ってたからこそ、紅組は頑張れた。だからこそ応援が力になった。ありがとう。」

 

と、殺し文句を言ってた。何度思い返しても、これは“堕ちた”と言って差し支えないシーンだろう。

私は心の中で盛大に拍手を送っていた。

 

その後榊原が何故かこっちを見てきた。釣られるように天霧もこちらを見てきたため、何か言う流れなのだろうなと思って、その場のテンションで何かを言ったような気がするが、ほぼほぼ思いつきの脊髄反射的な何かで言葉を紡いでいたため、実はあんまり覚えてはいない。何か、周りを巻き込んで煽るようなことを言ったような気もする。

 

細かいことは兎も角として、体育祭は無事に終了した。その後、高城、城波、佐々木、海原、天霧、榊原、私、そして他校の生徒なのに何故かついてきた龍地。このメンバーで、ファミレスにて打ち上げをした。

 

体育祭終了の熱に浮かされてか会話が弾んだ。

体育祭での出来事でもそうだが、意外にも盛り上がったのが私の中学時代の話だった。そんなに私の昔の話が面白いのだろうか……謎である。龍地め……。

 

そんなこんなで、激動の一日だった。

色々と充実していた。細かいことを書き起こせばいくらでも書けそうではあるが、疲れたのでこの辺で日記を閉じるとする。




名前の読み方についての質問があったので


榊原 章(ラブコメ主人公)→さかきばら あきら
高城 愛(黒髪ロング)→たかしろ あい
城波 ドロシー(金髪ロング)→しろなみ どろしー
佐々木 幸助(友人枠)→ささき こうすけ
海原 星(小悪魔枠?)→うみはら せい
大和 透華(生徒会長)→やまと とうか
天霧 すみれ(文学少女)→あまぎり すみれ
蒼柳先生(担任の先生)→あおやなぎ
龍地(日記主の友達)→りゅうち

あとは多分名前が出てないです。きっとめいびー。

続きが出来れば続きます。

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