【書籍化決定】とある男子高校生のラブコメ観察日記 作:サラダよりは肉が好き
感想や評価有難うございます。全部に目は通しています。チキンなので返信はできていませんが、感謝の気持ちで胸が爆発しそうです。
D月のラブコメ模様 前編
D月○日
今日も今日とてラブコメ観察に精を出していたが、ホームルームにて一大イベントの発表があった。そう、夏休みについてのお知らせだ。今月から、夏休みに突入する。
夏休み、それは高校生にとってのパラダイス。家でゴロゴロするのもよし、バイトや部活に打ち込むのも良し、そして何より、そう、ラブコメイベントが目白押しな時期なのだ。
普段とは違う場所へと赴き、主人公がヒロイン達の意外な一面を垣間見る。そうして縮まる心の距離……そんな甘酸っぱい青春を、私は観察したいと思っている。
そして案の定、我らが超主人公榊原率いるラブコメハーレム軍団は、さっそく夏休みの予定を立てる相談を始めていた。今までの友好関係が功をそうしたのか、私もその遊ぶメンツに入り込むことに成功している。待ってろよ、余さず観察し尽くして見せるからな…。
今日のうちに決まった予定は以下の通りだ。
・海水浴
・夏祭り
・肝試し
夏といえば、というイベントが大量である。海水浴は、ツインキャッスルの金の方こと城波ドロシーの親戚がホテル経営をしているそうで、近くのホテルに格安で部屋を取り2泊3日の旅行である。金持ちっぽいと思ったら普通に金持ちだったみたいだ。
海水浴に行くのは、榊原、高城、城波、海原、佐々木、私といった割と恒例になったメンツと、体育祭で見事?ヒロインに昇格した天霧というメンバー……そして、その話をどこからか聞きつけた榊原姉が保護者枠として同行することに。そりゃそうだ。ヤンデレ枠?の榊原姉が、見逃すはずもない。南無南無……。
海水浴のための買い物も行くことになり、夏休みは退屈することもなさそうだ。榊原よ待っていろ、私が必ずハーレム王にしてやる……。
家に帰ってから、珍しく龍地の方から連絡があった。直接会って話をしたいらしい。特に断る理由もないので了承。早速近日中に会うことになりそうなので、ちょっと楽しみである。
私は高校以前の交流関係がそんなにない。中学時代は龍地と大体一緒にいたし、もっと前だとソラちゃんという美少女(重要)幼馴染と遊んでいた。龍地はすぐに会えるからいいが、ソラちゃんに至っては本名は覚えていない。幼稚園から小学校3年生くらいまで一緒に遊んでいたが、私の方が転校してしまったのである。特に連絡手段もなく、転校してからそれっきりだ。今は何をしているのだろうか。まぁ美少女だし、きっと元気にやっているだろう。
D月△日
色々と楽しみなことはあるが、今日は夏休み初日。今日は龍地と会う約束をしていたため出かけることになった。
近くのカフェで待ち合わせ時間10分前に行くと、既に龍地が足を組んで優雅にコーヒーを飲んでいた。顔もルックスもいいのでやたらと絵になっていた。
久しぶりにゆっくりと話をした。
龍地は中学時代の大体を共に過ごした友達だ。当時からそのミステリアスな雰囲気とルックスから人気があった。交流の最初は、確か私が声をかけたんだったか。当時の私は探偵モノのラブコメにハマっており、その登場人物にそっくりだったため面白そうだと思い声をかけた。龍地は一人で居ることが多かったから、声をかけること自体は難しいことではなかった。
今でこそキザな口調で話す王子様系だったが、当時は人と関わるのがあまり得意でなかったのか、口数も少なく、暗い表情をしていることが多かった。付きまとっているうちに今のようになっていったのだ。何かきっかけがあったのかは定かではないが、面白くなったのは確かである。
高校が別れてからは龍地がなにやら忙しかったみたいで、SNS上での連絡がほとんどだったのだが、どうやら落ち着いたようで龍地の方から会おうと提案があったのである。
龍地とは色々な話をしたが、まず開口一番デコピンを食らった。解せぬ。どうやら言い分としては
「君がボクに何も言わないで一人暮らしなんてするからね。これくらいする権利はあると思うけど?」
とか言われた。やはり解せぬ。確かに龍地とは別の高校に行くことくらいは言っても良かったかもしれないが……そもそも中学3年は龍地本人が忙しそうにしていたからあまり会っていなかったから仕方ないというのに……。
その後は私の話を聞きたいというので、私が観察してきたラブコメな出来事についてそれはもう熱く語った。龍地は私のラブコメ好きを知っているため、苦笑いをしながらもしっかりと聞いてくれた。その感想はまぁ
「相変わらずというかなんといういか……」
と呆れるような感じだったのだ。相変わらずというのがどういう意味か理解しかねるが、存分に語れたので良しとする。
あとはしきりに生徒会長と海原、あとは天霧についても少し聞きたがっていた。この前の体育祭でなにか気になることでもあったのだろうか。
この後は龍地が私の家に行きたいというので招待してゲームをしたり、のんびりとした時間を過ごした。途中10分ほど寝てしまったが、概ね楽しい一日だったと言えよう。
あと、夏休みの予定を聞いた龍地が海水浴や夏祭り、肝試しにも同行することになった。いつの間にか(多分私が寝ている間)私のスマホを奪い取り榊原達と交渉したらしい。相変わらず油断も隙も無い奴だ。
D月×日
今日は海水浴に行くための買い出しの日だった。バーベキューをするらしいのでその準備、あとは水着を買うメンツもいるらしかった。私もその一人である。海水浴へ行くメンバー全員(龍地も来た。榊原姉は仕事)でショッピングモールへと出かけた。
さて、ラブコメの海水浴といえば、そう、ラブコメの主人公がヒロイン達の水着を選ぶこととなり赤くなりながらも水着を選ぶことになるというアレである。最早お馴染みの我らがラブコメ主人公榊原は、案の定女子たちの水着選びに巻き込まれていた。これを見逃す私ではない。自分の水着は早々に選び、気配を消してその様子を観察していた。
まず高城、持ち前の黒髪とは対照的な白い三角ビキニを用いて榊原を攻撃する。榊原は赤面しながら小さく似合っているという旨の言葉を告げてノックアウト寸前。勝負が決まったかと思われたがこれで終わりがなかった。既に限界であろう榊原に追い打ちをかけるように、城波が情熱の紅いホルターネックの水着を着用する。金髪も相まってより煌びやかに見えるその様子に、榊原も完全にゆでだこ状態。
流石にこれ以上は無いかと思われたその時、真打が登場した。天霧である。天霧はなんというか、こう、着やせするタイプだったらしい。露出が少ないタイプのワンピースタイプの水着ではあったが、胸部の装甲がそれはもう恐ろしい大きさだった。これにはその場にいた全員が息をのんだ。そういえば天霧を背負って運んで行ったこともあったが、あの感触の良さの正体が判明したな……。結局選ぶどころの話ではなくなり、最初に着た水着を購入したらしかった。
水着を買わない組らしい海原はどうやら龍地と仲良くなったのか、談笑する姿が多く見られた。女子は仲良くなるのが早いなと思った。
榊原の観察が終わった後は昼食を摂る話になり、大所帯になったため、ファミレスで2組に分かれてテーブルへとつくことになった。8人いるので半々に別れることに。適当にグーとパーで合った人という奴で別れた結果。私、榊原、天霧、龍地のメンバー。佐々木、高城、城波、海原のメンバーで別れることになった。微妙な別れ方をしたが、榊原と天霧の距離間を見るのにちょうどいいかもしれないと感じた私は早速行動に移した。
話題として、私は体育祭の話を提供した。この間会った時龍地も知りたがっていたし、体育祭の練習風景も含めて順序だてて話を進めていった。話をしている最中、天霧は恥ずかしそうにしていたし、ちらちらと榊原の方を見ていた。これは間違いないな。ちゃんと異性として意識している。私の努力がちゃんと実っていたみたいで安心である。まぁ榊原は私を見ていたのだが。助けを求めても無駄だというのにな。はっはっは。
龍地も興味深そうに話を聞いていた。時々ジト目で見られていた気がするが、龍地は私のラブコメジャンキーっぷりを知る人間である。大方、榊原に天霧をけしかけようとしていたことがばれてしまったのだろう。くっ、お前も榊原ハーレムにぶち込んでやってもいいんだぞ……。
別テーブルでも何やら楽し気にしていたため、そちらの会話を聞き取れなかったことが心残りである。盗聴器をとりつけることも考えたが、そこまですると犯罪チックなのであきらめたのだが。
ファミレスを出た後は、バーベキューのための買い物である。人数がそこそこいるため食材を大量に買い込んだ。当日の調理係は高城と榊原、そして私となったため、三人で話し合いながら購入していった。因みに基準は消去法である。料理に慣れているのがこのメンツ。他のメンツは簡単な手伝いや当日の荷物運びなどをしてもらうことになった。どうやら高城の料理は榊原曰く絶品らしいので、当日が楽しみである。調理している間に繰り広げられるであろう榊原と高城のイベントはもっと楽しみである。
やんややんやとした一日が終わり、夕方ごろに解散となった。帰り道が途中まで一緒だからか、榊原と二人きりになってしまった。私は榊原にヒロイン達全員を送っていくように仕組もうとしたのだが、榊原に腕を引っ張られそのまま一緒になってしまったのである。おのれ榊原。当日覚えてろよ……。
どうやら話したいことがあったらしく、龍地について色々聞きたいとのことだった。なんだこいつ龍地に気があるのかと思ったのもつかの間。どうやら体育祭の時、アイツは変な宣言をしていたらしい。
まず、どうやら私をよろしく頼むとかなんとか。まぁ中学の時龍地以外とはあまり深く交流したわけじゃなかったので、榊原達に私と仲良くしてやってくれとかなんとか。まるで私の保護者である。どっちかと言えば龍地の方が心配なのだが。
そして、後はこんなことを言っていたらしい。
「学校は違うけど、彼の相棒はこのボクだ。君たちには彼と仲良くはしてほしいけれど…彼のことを譲る気は…無いよ」
とかなんとか。まるで人を物のように言う奴だ。確かに、中学色々なことに巻き込まれた(巻き込んだ)結果、大体は行動を供にはしてきたが、私は譲るとか譲られるとかそういう大層なことをした人間ではないというのにな。不思議なものだ。
という旨を榊原に伝えると、呆れた表情で「俺も相当だけどお前も相当だよ…」と言われた。呆れられる要素がどこにあるのかわからん。解せぬ。
とにもかくにも、疑問を残したままこの日は帰路についた。日記も結構書いたしここら辺で〆ることにしよう。
前編はちょっと短め。
中編から長くなりそうです。