ドールズフロントライン ~Night Blade~   作:弱音御前

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気が付いてみれば今年もあと2ヵ月ほどに迫った今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか?
どうも、弱音御前です。

45救出作戦、本日は第3話になります。
囚われているであろう地下営倉へと降りてきた2人は、無事に45を発見できるのでしょうか?
と、無駄に煽っていくスタイルで本日もごゆっくりとどうぞ~


Night Blade 3話

「45! 聞こえるか、45!」

 

 指揮官の呼びかけに、営倉内の人影、45が反応する気配は無い。

 壁に背中を預け、力なく項垂れ座る彼女の両脚と片腕は無く、意識があるかどうかすらも定かではない。

 

「45姉がいるの? こじ開けるから、そこ退いて!」

 

 扉に食いついている指揮官を9が押し退ける。

 ブレイカーと呼ばれる携帯型の解錠機を設置する9を前に、ただ立ち尽くすだけの指揮官。

 ここは敵拠点だということを忘れ、頭に血が昇りすぎた事を猛省。

 呼吸を整えることで気持ちを少しずつ静めていく。

 キィン、という軽い金属音が響き、解錠が成功する。

 扉を開け、45の元へと真っすぐに駆け寄る。

 

「45! 45!」

 

「そんな・・・45・・・ね・・ぇ」

 

 膝をつき、45の身体を抱き寄せる指揮官。

 9はそんな指揮官の背後で、ショックのあまり言葉を失っている。

 

「助けにきたぞ。一緒に逃げよう。だから・・・頼むから目を覚ましてくれ」

 

 指揮官の懇願にも45は反応を示さない。

 開いたままの眼は虚ろで、全く力の入っていない身体は糸が切れた人形かのよう。

 コアを傷つけられている様子は無いが、手足を切断され、全身至る所にいたぶられたような跡がみられる。

 一見して分かる致命傷ではないにしても、再起不能に相当するダメージとも読める。

 あわよくば、指揮官の声に気づいて目を覚ましてくれる可能性に賭けたかったが。

 

「わ、わたし・・・私のせいで45姉が・・・あ・・・あぁ・・・・・」

 

 取り乱している9の声に釣られ、指揮官の心にも段々と焦りの色が浮かんでくる。

 

(ダメだダメだ、落ち着け。敵部隊の真っ只中でパニくる馬鹿がいるか。こんなとこで死んだら、それこそ45に示しが付かないだろう。だから・・・)

 

 もう、諦めるしかない。

 完全に壊れてしまった45は置いて、9を連れてここから脱出する。それが、誰でも簡単に導き出せるこれからの行動の最適解だ。

 時間は無い。なので、これで最後。

 45の頭をそっと抱き寄せる。

 こんなに傷だらけにされたのに、麻色の髪は細くしなやかなで撫でていて相変わらず心地良い。

 髪を梳く度に、仄かに甘い香りが指揮官の心をくすぐって、これまで一緒に過ごしてきた時間を思い起こさせる。

 こうして、45を抱き寄せていた時はいつもそうだ。耳元で幸せそうに笑みを零し、指揮官の

耳元にイタズラに口づけをしてみせる。

 ・・・まさに、今、そうしてくれているように。

 

「・・・・・・へ?」

 

「ふふ・・・油断しすぎよ、お馬鹿さん」

 

 驚き、顔を離してみればそこには、してやったりといった表情を浮かべている45の姿。

 彩を失っていた筈の瞳には、今やしっかりと輝きが戻っている。

 

「4・・・」

 

「45姉ぇ~! 45ねぇえぇぇえぇ~~~~!」

 

 指揮官が言葉をかけるよりも早く、9が45に泣きつく。

 

「置いていっちゃってゴメンなさい、45姉ぇえぇぇ~~!」

 

「いいからいいから。アナタは間違ったことはしていない。だから泣かないの、ね」

 

「ふぅええぇぇぇえぇぇぇぇぇぇ~~~~ん!」

 

 大号泣の9を45は片腕で抱き寄せ、ナデナデして宥める。

 仲睦まじい姉妹のやり取りはいつまで見ていても良いくらいの和やかさだが、残念ながらそういうわけにもいかない。

 

「意識はしっかりしてくれたみたいでよかったよ」

 

「ええ、アイツ等しつこいからスリープモードに切り替えて死んだフリしてたの。隙をみて目覚めて、奴らに一泡吹かせてやろうと思ってたんだけどね」

 

 完全なスクラップだとみなされて廃棄処分されるかもしれない、という考えはなかったのだろうか? 我が部下ながら、思い切った事を考える人形である。

 

「その脚じゃあ歩けないよな。何か、運ぶのにちょうどいいものは・・・」

 

「私、探してくる。すぐ戻ってくるから待ってて!」

 

 涙をぐしぐしと拭い、それで完全に気持ちを切り替えたのか9は踵を返し、部屋から飛び出していった。

 

「あの娘、いっちゃった?」

 

「ん? ああ、45の事となるとスゴイ勢いだよな」

 

 まさに、忠犬さながらのその勢いに、思わず笑みが零れてしまう。

 壁にもたれている45の位置からその光景は見えないだろう、勿体なく思える。

 

「そっかそっか。それじゃあ・・・」

 

 果たして、45は何を言うつもりか?

 その言葉の続きを待つ指揮官。45はそんな彼の胸倉を掴むや。

 

「んぅ!!?」

 

 力一杯に引き寄せると、指揮官の口を目掛けて自分の唇を押し付けた。

 

「はむ・・・ん、ちゅ・・・んにゅ・・・ぅ」

 

 唐突の事に目を白黒させる指揮官の事などお構いなしに口を啄み、舌を這わせ、存分に甘えてみせる45。

 敵拠点のど真ん中だし、時間だって無いんだし、こんな事している場合でもないし、と様々な

考えが一瞬のうちに指揮官の脳内を巡り巡る。

 確かに、危険な状況であることは間違いない。だが、まぁ、こんなお誘いにノらないのは男としてどうなのよ? という事で結論付け、指揮官はちょっとだけ口を開いてみる。

 そこへ間髪入れず舌を滑り込ませる45。戦闘にしろなんにしろ、見つけたチャンスは即ゲットというのが彼女信条なのである。

 

「はぁ・・・しきかん、んむ、くちゅ・・・しゅきぃ、しゅきかん」

 

 口内を貪りながらの言葉を受け、指揮官も段々と頭が火照ってきてしまう。

 こんな場所だから、というのが極上のスパイスとなって効いているのか、普段、45とする時

以上に高ぶってしまう指揮官。

 相手を求め蠢く45の舌に応えようと、自分からもようやく舌を絡めはじめたたところで・・・

 

「ふはぁ。指揮官・・・」

 

 何の前触れも無く45は口を離すと、そのまま指揮官の胸元へ頭をスライドさせ、猫のように

ゴロゴロと甘えだした。

 

(い、いきなり離れるんだもんな。気まぐれなお姫様だこと)

 

 せっかくノッてきたところだったのに、水を差されてしまった気分だったが、そこをツッコむのもカッコ悪い気がするので、グッと飲み込んで我慢する指揮官である。

 

「ぅ、ぐす・・・う、うぅぅっ」

 

 胸元から聞こえる、嗚咽の声。

 それに気づき、指揮官の手は自然と45の頭へ。

 45が9にしてあげたように柔らかく撫でてあげる。

 

「私、もう、指揮官に会えないと思ってた」

 

「そっか」

 

「すっごく悲しかった」

 

「うん」

 

 下手な言葉は逆効果だと知っている。だから、指揮官は只45の言葉をちゃんと受け止め、相槌を打って返してあげるだけ。

 

「また、会えて嬉しい」

 

「俺も、45を助けられて嬉しいよ」

 

 会話が途切れ、45は指揮官の胸に顔を埋めたまま、静かに咽び泣く。

 普段、どんな状況でも飄々とした様子で乗り切る彼女が、こうして泣きつくことは稀、というか初めてといってもいいくらいの事である。

 鉄血に捕まった彼女が、一体どれほどの仕打ちを受けたのか? 考えれば考えるほど、指揮官の胸に黒い感情が沸々と湧き上がってくる。

 

(いや・・・いい。45を助けられたんだ。このまま、3人で無事に帰れればそれでいい)

 

 そんな感情は、この状況では足枷にしかならない。

 心の奥底に強引に押し込め、見なかったことにして、今は45の介抱に意識を向ける。

 

「・・・・・・はぁ~、ちょっとみっともないところ見せちゃった」

 

「いいんじゃないか。たまにはそんな弱さを見せてもさ」

 

「イヤよ。私は副官なの。基地にいる戦術人形の中で一番偉いんだから」

 

「左様ですか」

 

「と、まぁ、そんな事は置いといて」

 

 途端に45の目つきが変わる。

 さっきまでの熱に浮かされたような瞳から一転、指揮官を責め立てる時に使うお怒りのツリ目である。

 

「何で指揮官がここに来てんの?」

 

「へ? 何でって・・・45を助ける為に」

 

「だからって、なんで指揮官の、人間のアナタがここに来てんだって言ってんの。私を助けたかったなら、他の娘を寄こせばいいじゃないの。バカなんじゃない?」

 

「だって、グリフィンの上の連中がそんなの許可するわけないし。他の娘達を巻き込んで無断

で助けに来るわけにもいかないし」

 

「じゃあ、9だったら巻き込んでもいいわけ?」

 

「付いてきちゃったんだもの。本当は一人で来るつもりだったんだ」

 

「ったくも~~! 揃いも揃ってホント馬鹿ばっか! 大体、私達は壊れても替えが効くんだから、このまま放っておいたって」

 

「シャラップ!」

 

 45の言葉を遮り、指揮官のデコピンが炸裂する。

 

「いったぁあ!!?」

 

 ペチーン、とキレのいい音が室内に木霊する。

 指揮官が溜めに溜めた渾身の一撃を受け、さしもの45もおでこを押さえたまま言葉を失っている。

 結構痛かったのだろう、目を潤ませている表情が少し可愛らしい。

 

「お説教は帰ってから気のすむまで聞いてやる。今は3人で無事にここから出る事が先決。

そうだろ?」

 

「む~~~~」

 

 おでこをスリスリしながら膨れっ面を向けてくる45。

 反論したい事はあれど、指揮官の言う事も尤もだと理解はできているご様子。

 強引に押し切った指揮官の勝ちである。

 

「9もいつまでも出てくるタイミング計ってないで、こっちに出てきなさい」

 

 指揮官が手招きしながら言うと、バツの悪そうな表情の9がひょっこりと姿を現す。

 

「ちょっと、9。アナタ、今のやりとりどこから聞いてたのよ?」

 

「え、え~~と・・・その~~」

 

「だから、そういうのは後! 45を運び出せるモノは見つかった?」

 

「はい、こんなのがあったよ」

 

 9が差し出したオリーブ色の生地を受け取り、広げてみる。

 大きさは子供がすっぽりと入る程度。入り口の裾に紐が通してあり、それを引っ張ることで入り口が窄まる巾着型の袋だ。

 生地は固めで、触った感触は防弾繊維に近い。数発くらいは貫通せずにもちこたえてくれそうである。

 袋の中に45の身体を入れ。

 紐を引っ張って入り口をキュっと締め。

 それを筒状のバッグ、ボンサックよろしく指揮官が背中に担いで。

 

「・・・よし!」

 

「良かぁないわよ! こんな間抜けな恰好させて!」

 

「45姉、か~わ~い~い~」

 

「それ、絶対に馬鹿にしてるわよね! ねぇ!?」

 

「ほ~らほら、このサブマシンガンあげるから機嫌直しましょうね~」

 

「子ども扱いすんなぁ~~!」

 

 実際、バッグから頭と片腕だけ覗かせた45の姿は可愛らしく、つい9に便乗してからかってしまった。

 しかし、指揮官が持ってきていた銃を渡したのは本気で考えての事だ。

 

「このUMP45は・・・」

 

「プレゼントしてくれたやつだよ。片腕でも扱うのはわけないだろう?」

 

「当然、私を誰だと思ってんのよ」

 

 ご本人様には聞くまでも無い事だったか、と苦笑してみせる指揮官。

 

「でも、アナタはどうすのよ?」

 

「俺はこれがあるから、戦闘になったらメインは2人に頼む」

 

 指揮官がホルスターから取り出したのは、愛銃のM1911カスタム。

 嫉妬深いお姫様は、指揮官がこの銃を大事そうにしているのを見ていつも顔を顰めるのである。

 

「そういう風になるかな、って思ったからこれも見つけてきたんだ」

 

 言って、9は背後に背負っていた一丁の銃を差し出した。

 

「ベネリのセミオートか。・・・ほったらかしにされていた割には状態が良いな」

 

 銃全体と各部機構の状態をチェック。この施設がまだ人間に使われていたころ、駐在していた

セキュリティに支給された装備品だろう。

 発砲の形跡がないバージン状態なところをみると、当時は平和な施設だったらしい。

 

「弾は?」

 

「はいどうぞ」

 

 赤い外包が特徴的な12ゲージバックショットをケースごと受け取る。

 

「随分慣れた様子ね」

 

「ん、使った事ある銃だから」

 

「ふ~~ん、そう」

 

 訝し気な表情の45は放っておいて、テキパキと手を進める指揮官。

 ローディングポートから適当な数の弾薬を装填し、残りの弾はコート内側のスロットへと差し

込んでいく。

 チャンバーに弾丸を送り込み、セーフティーを解除していよいよ帰宅準備完了だ。

 

「私が前を受け持つよ」

 

「分かった。俺の背後は任せたぞ、45」

 

「まさか、戦場で指揮官のお守をするとは思わなかったわよ。まったく」

 

 この見た目でどっちがお守り役なのか、とツッコミたい気持ちはあれど、ここから先はおふざけ御法度のデンジャーゾーンだ。心にとどめておく方向でひとつ。

 部屋を出て、9を先頭に廊下を進む。

 角を左に折れ、今度は付き合たりの角で一時停止。

 ストップ。階段。敵影アリ。3。

 9が送ってくるサインを読み解いて、先の様子を把握する。

 敵兵の足音は淡々としている。おそらく、指揮官たちの侵入に気づいて来たのではく、巡回のルーティンなのだろう。

 この先まで見回られてしまえば、倒した警備兵を見つけられてしまう。

 倒す以外の選択肢は無い。

 9にサインを送って指示を出し、すぐ傍の空き部屋へと身を潜める。

 同時に9も手近な部屋に潜み、敵兵が目の前を通過するまで待機。

 そうして、敵が気づかずに通り過ぎたところで、一息の内に廊下へ飛び出す。

 振り返る隙も与えない、45と9の精密射撃が敵のコアを撃ち抜く。

 完全に無力化したことを確認するや、踵を返して階段を目指す。

 

「この調子なら、敵に見つからないで帰れるんじゃないかな?」

 

「調子に乗るんじゃないの。そういう事を口に出して言っちゃうと」

 

 9を戒めている45の言葉を遮り、突如としてけたたましい警報音が施設内に響き渡った。

 明らかに、指揮官達が見つかっちゃった感じのそれである。

 

「ほら、言わんこっちゃない」

 

「ご、ごめんなさい。私、また余計な事しちゃった」

 

「いやいや、9の言葉が現実になったってわけじゃあないんだからさ」

 

 しょんぼりとしてしまった9を慰めつつ、腕時計を一瞥。

 外の警備兵をダウンさせてからここまでの時間を鑑みれば、もうバレてもおかしくない時間だ。むしろ、ここまでもってくれれば上出来というものである。

 階段を上がり切った先には、まだ部隊は展開されていない。

 しかし、数秒の後には津波のような勢いの敵が押し寄せてくることだろう。

 

「9、この先、西ウィングから回って中央エリアを抜けよう。脱出は東ウィングの搬入路からだ」

 

「中央を抜けるの? 敵勢力の集中エリアだから危険じゃあ・・・・・・ううん、指揮官の言う事に従うよ!」

 

 まっすぐに見つめる指揮官の眼に気づき、意思を決めると9が駆け出す。

 荷物が雑多に積まれた、薄暗い通路を駆ける2人。どこまでも長く続く廊下の先に幾つもの光の点が揺れている。

 鉄血人形が放つその光源から推測すると、10体以上はいるだろう。

 真っ向勝負で負けはしないだろうが、わざわざ戦ってやる必要はない。

 敵部隊の最前線は数十メートル以上先、というところで指揮官たちは横に伸びる通路へと

カーブ。

 今しがた走ってきた場所よりも狭いこの通路は、施設の左右ウィングを繋ぐ連絡通路である。

 緊急時の避難用として設けられているだろう通路なのに、小型のコンテナや資材が置きっぱなしにされているのはいただけない。

 しかし、今は追っ手の足止めに役立ってくれるので、野暮なことは言いっこナシである。

 

「っと、ロックされてるのか」

 

 榴弾程度ではビクともしなさそうな、堅牢な扉が指揮官たちの行く手を阻む。

 

「解錠するから、ちょっと待ってて」

 

 9が扉にブレイカーを設置する。

 その間に、通路の背後から複数の足音が近づいてくる。

 

「どれくらいかかる?」

 

「2~3・・・いや、4~5分くらい・・・?」

 

 見た目にも古く、ロック機構部が痛んでいそうな扉だ。解錠にも相応の時間が掛かってしまう。

 戦わずして逃げおおせようとは、さすがにムシの良い話だ。

 

「解錠が終わるまで応戦するしかないな」

 

「私もやる。そこに降ろして」

 

 背負っていた45が指す場所、腰ほどの高さに積み上げられた資材の裏にバッグを降ろす。

 45にはここでターレット(自動銃座)として活躍してもらい、指揮官はその真横、9は扉の傍に身を潜める。

 資材の淵から銃口と共に目を覗かせる。

 乱雑に置かれる遮蔽物を縫うように進んできた敵部隊の最前線が姿を見せたところで、まずトリガーを引いたのは好戦的なターレット。

 その銃声を皮切りに指揮官と9も攻撃を開始する。

 45と9の敵兵を的確に貫く精密射撃とは反対に、指揮官のショットガンは敵兵ごと遮蔽物を

乱暴に抉り飛ばす。

 元来、大型の動物を狩る用の弾は戦術人形に対しても効果バツグンだ。

 

「いった!? ちょっと、指揮官! 飛んできた空薬莢が当たったんですけど!」

 

「わるいわるい、次から気を付けるからさ」

 

「言うだけで全然反省の色ないじゃん! このバカ!」

 

 45には悪いが、今の指揮官のポジションは最善だ。どうせ、空薬莢の雨が降ってきたって平然と射撃できるような腕前な彼女なので、気にする必要も無いのである。

 通路の狭さもあり、敵部隊は一度に多くの兵を進められない。

 指揮官たちの攻勢を超えられない、と判断したのだろう、敵の進行が一時停止する。

 その隙に指揮官は身体を引っ込めてリロード。

 

「45、弾は?」

 

「ちょうど空」

 

「リロードする?」

 

「もち」

 

 45がマガジンをリリースする。

 すかさず、指揮官が新しいマガジンを差し直す。

 指揮官の手にリリースレバーを当て、ボルトロックを解除してリロード完了。

 片腕を失った45の為の、息の合った共同リロードである。

 

「それいいな~。私もやりたい」

 

「まずは片腕を切り落とされてから出直しなさい」

 

 とかいうやり取りを交わしている間に解錠完了の機械音が耳に入る。

 敵の勢いが収まっているというのも丁度いい。

 45が入っているバッグを担ぎ、身を屈めながら後退する。

 9が威嚇射撃を行ってくれている隙に扉を開け、反対側へ。

 後に続き、9も扉の隙間をすり抜けたところで扉を閉める。

 

「これで、時間稼ぎだ」

 

 傍に転がっていた鉄パイプを閂代わりに扉に差し込む。

 戦術人形なら強引にでも開けて追ってくるだろうが、少しでも逃げる時間を貰えるのなら貰っておこう。

 扉をこじ開けようとする轟音を背後に、指揮官たちは再び通路を駆ける。




なにはともあれ、45を救出できた指揮官。本当に良かったですね(他人事)
鉄血部隊に追われつつの脱出となりますが、当然、このまますんなりとお帰りいただけよう筈も
なく・・・

来週も定期更新となりますので、お暇なときに遊びに来てやって下さいな。
以上、弱音御前でした~
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