ドールズフロントライン ~Night Blade~   作:弱音御前

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寒いながらも日差しの気持ちい今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか?
どうも、弱音御前です。

脱出に成功しての今回が第7話になります。
本作も残すところあと2話となりました。ほぼエピローグだけの残り物ですが、どうかお楽しみいただけたら幸いに思います。
それでは、今週もごゆっくりとどうぞ~


Night Blade 7話

 グリフィン基地 指揮官自室

 

 

「はぁ~~~・・・」

 

 湯船に体を静め、息を深く吐き出す。

 一人静かに落ち着けるなど、実に三日ぶりの事だ。医療スタッフや治療機器に囲まれた喧騒から離れたこの静けさは実に心地よく感じる。

 密かに45救出に向かい、重傷を負って帰ってきた指揮官は、そのままペルシカを経由して治療施設へと搬送されることとなった。

 肋骨骨折及び骨折に起因する内臓損傷、出血多量に左肩の軽度火傷等々。一時は死にかけた指揮官だったが、ペルシカ特製の蘇生薬(本人はそう名付けているが、どんな中身なのかは不明)と、グリフィンが誇る最先端の医療技術によって治療はたったの二日で終了。

 ほぼ完治状態の指揮官は、こうしてお風呂に入っている次第である。

 

(自分の事ながら、あんな無茶するんだもんな。たいしたペナルティも受けないで済んだし、運も味方してくれたのかな)

 

 こっそりと外出したとはいえ、指揮官は大ケガしているし、45は手足を失い戻ってきているし、夜中に装甲車が持ち出された記録は残っているし、ということでグリフィン上層部にこの事がバレるまでにはそれほど時間はかからなかった。

 医療施設のベッドで身体を横たえながら、指揮官は懲戒解雇という最悪の展開も覚悟はしていた。

 しかし、そんな指揮官に告げられたのは、一週間の謹慎という罰なのか褒美なのかよくわからない処分であった。

 考えによっては、それは単なる休暇と思えなくもない。

 グリフィンの規則を破った指揮官に、けれどもこれほど軽い罰則が与えられる事となった大きな理由は、指揮官が潜入したことで敵拠点の機能が弱体化、後に派遣された部隊への負担が減った事。加えて、新兵装の開発に指揮官が協力してくれた、ということでペルシカがグリフィン上層に働きかけてくれたことの二点が挙げられる。

 こうして無事でいられる自分の運の良さに、あらためて感謝の言葉も無い指揮官である。

 

「明日はペルシカさんにお礼を言いに行かないと。それから、45が上手く代理を出来てるかどうかも探りを入れて・・・結構やる事あるんだよな」

 

 湯船のお湯を手で汲み上げ、顔にかけてやる。

 薄く湯気が立ち上っていく天井をぼんやりと見上げていた・・・その時だった。

 

「っ!」

 

 完全に緩み切っていた指揮官の神経が一気に張り詰める。

 バスルームの外、リビングから繋がる脱衣場に何者かの気配を感じ取ったのである。

 脱衣場の照明は落とされたままで、物音も聞こえない。

 しかし、扉の向こうには誰かが間違いなく居る。

 指揮官にバレないようコソコソとしているのは、その何者かが悪意を持っているということの何よりの証拠だ。

 よって、指揮官は迎撃態勢を取らざるを得ない。

 気が付いたことを悟られないよう、大きな動きはとらない。体を沈めたまま湯船の淵に置いてある護身用の銃を手に取り、扉に銃口を向ける。

 小さく、浅く呼吸を繰り返しながらじっと身を潜め待つ。

 待って、待って・・・開かれたドア、その隙間から見えた何者かを狙って引き金を引く。

 ぴゅ~っ、と可愛らしい音をたて、銃口から緩い放物線を描いて噴射されるキンキンに冷えた水。これは、浴室への侵入者対策として指揮官が置いている水鉄砲だ。

 

「ぴゃあぁぁぁ!!?」

 

 そして、まんまと指揮官にアンブッシュを食らい、水鉄砲の直撃を受けた襲撃者、もとい副官

45は奇声を発しながら暗がりの中へと撤退を余儀なくされる。

 

「甘いな。基地の中だからって油断してるからいけないんだ」

 

 言いつつ、蛇口からお水をリロードする指揮官。来るなら来い、と立てこもる気満々である。

 しばしの静寂が辺りを包む。

 45のあの性格だ、やられっぱなしのまま引き下がることはしないだろう。

 必ずリベンジにやってくる。そう確信を持ち、指揮官は再び扉へと狙いを定める。

 ひたひた、という裸足の足音が微かに聞こえる。

 45は副官であると同時に、指揮官の部下の中でも指折りのエースだ。先ほどの失敗を活かし、今度は理に基づいた戦闘戦術を以て仕掛けてくることだろう。

 果たして、鉄壁の立てこもり態勢の指揮官を相手にどのような作戦で攻めてくるものか。ちょっと怖くも楽しくて仕方ない指揮官。そんな矢先だった。

 微かに開かれた扉の隙間から、黒い筒状のモノが転がり込んできた。

 

「? ・・・ちょっ!」

 

 浴槽から顔を覗かせ、その物体を視認、理解した瞬間に指揮官に戦慄が奔る。

 筒状のモノは見紛うことなく閃光手榴弾。それも、明らかに本物でセーフティーピンもしっかりと抜けている。

 

「フラッシュバーン!」

 

 仲間に注意を促すお約束のアレをつい叫びつつ、水中に頭を沈める。

 ぼんっ! と水を伝わって爆発音が聞こえる。

 どうやら、指揮官の見立て通り本物の閃光手榴弾だったようである。

 非殺傷の武装とはいえ、浴室に本物を投げ込むなど、どういう神経をしているのか。

 

(・・・いや、45ってそういうヤツだったよな、うん)

 

 自己完結したところで、恐る恐ると水面から頭を覗かせる。

 

「ホールドアップ? それとも、浴槽に脳みそぶちまけてやろうかしら?」

 

 指揮官が水中に逃げ込んでいる隙に浴室に押し入った45が、全裸のまま指揮官の頭に銃口を

突き付ける。もちろん、彼女が持っているのは水鉄砲などではなく本物のUMP45だ。

 

「そんな怒る事ないじゃんか。ちょっとしたイタズラなんだし」

 

 両手をあげながらも、抗議の声をあげる指揮官。

 

「久しぶりに背中でも流してあげようかな~、って来てみたらいきなり水ひっかけられるんだもの。そりゃあ、私だって少しくらい怒るわよ」

 

「それでなんでコソコソと入ってくる必要があるんだよ?」

 

「こういうのは、サプライズだからこそ良いものなの」

 

 45なりに指揮官を思ってやろうとしていたことだ。てっきり嫌がらせでもしにきたと思って

反撃に打って出てしまったのは、指揮官の早とちりだったともいえる。

 指揮官もちょっとだけ悪かったということで、基地内の自室で本物の榴弾を使用したというのは目を瞑っておく方向でひとつ。

 

「ほら、早く出てきて。背中流してあげるから」

 

 ひとしきり会話を交わして、浴室での攻防の件は終わり。

 銃を脱衣場に放ってくれた45の言葉に従い、指揮官が浴槽からあがり、45に背を向けるようにして腰を降ろす。

 

「あんなケガしてたのに、もう塞がってるのね。グリフィンの医療技術ってすごい」

 

「まだ塞がって間もないから、あまり触らないでくれよ。こんなところで傷が開いたら大惨事だぞ」

 

「これだけしっかり塞がってれば平気よ。ホント、ビビりな指揮官ね」

 

 指揮官の身体をいたわって、やさしく背中を流してくれている45だ。もちろん、そんなことをしないというのは分かっている。

 ただ、治ったばかりの傷跡というのは感覚が敏感になっていて、過剰に反応してしまいそうなので45の手は遠ざけておきたいのである。

 と、そんなことを言っている矢先に。

 

「っ・・・な、なにしてんの?」

 

「ん~? 指揮官の傷跡、ペロペロしてるの~」

 

 スポンジとは明らかに違う感触だなと不思議に思ってみれば、45が指揮官の肩、スケアクロウの攻撃でついた火傷の痕を舌で舐めていた。

 イタズラにしてはやたらと可愛らしい45の行動に、つい心拍数が上がってしまう指揮官。

 

「舐めたって傷が治るわけでもないぞ?」

 

「そういうんじゃないし。この傷、私を助ける時についた傷でしょ? だから・・・なんか、イイな~って思って」

 

 言いつつ、指揮官の傷を舐め続ける45。

 いつの間にか洗う手は止まっているし、舌が身体を這う音は段々と執拗になってきているし、

彼女がこの行為に夢中になっているのが分かる。

 

「・・・45の手足も、ちゃんと治ってるみたいで良かったよ」

 

 この空気を変えようと、指揮官が敢えて別の話題を振ってみる。

 

「うん、身体はもうすっかり元通り。指揮官が命がけで守ってくれた私の身体だよ。指揮官の好きなように、いっぱいいっぱい可愛がってほしい」

 

 甘い声で囁きながら、口は傷なんて関係なしに指揮官の首元にむしゃぶりつき、両手はスポンジをほっぽり出して指揮官を逃がすまいとしっかり抱きついている。

 完全にスイッチが入っている45は雰囲気を変える気などさらさら無いようだ。

 

「気の無いフリしちゃって。指揮官だって・・・ほら、ヤル気十分じゃん」

 

「っ~~! お前、いきなりそういうことを!」

 

 45のしなやかな指先で撫でられ、背中を震わせてしまう指揮官。

 普段よりも、全身の感覚が鋭敏になっていることがいやがおうにもわかってしまう。

 

「ふふ、そんなに良かったの? ってか、なんかいつもよりもスゴくなってない? 指揮官、こういうシチュエーション好きだったんだ?」

 

「そういうわけでは・・・いや、嫌いって事でもないんだけどさ」

 

 このまま言わないでおくのは無理な状況になってしまったので、指揮官は自分の状況を素直に

白状することに。

 

「ペルシカさんの蘇生薬あっただろ? あれに興奮作用が極度に強い成分が含まれていたみたいで。体外に抜けるまで数日かかるんだって」

 

 その間は自制しようと決心した指揮官だったが、結果、耐えられた日数は僅か三日。あまりにも脆い決心もあったものである。

 

「じゃあじゃあ、今、私に襲いかかりたい? 滅茶苦茶にしたくてたまらない? ねぇねぇ?」

 

 やたらと嬉しそうな様子で、さっきまで以上に指揮官へと絡みついてくる45。

 普段から、こういう事にはオープンな性格の彼女であるが、今日は輪をかけて積極的である。

 その理由は、今の指揮官には与り知らぬことである。

 

「う・・・ん。でも、いつもみたいにしてあげられないかもしれないのが、少し怖い」

 

「何言ってんのよ、この意気地なし。ちょっとくらい乱暴にされたくらいで音を上げる私だとでも思ってんの?」

 

「それに、一回じゃ収まらない可能性高い」

 

「私は何回でもできるよ、っていつも言ってんじゃん。気の済むまでど~ぞ」

 

 そこまで言われては、指揮官ももう我慢する必要はない。

 一旦45の身体を離すと、身体を反転、45の身体を抱き寄せ、優しく寝かせる。

 覆いかぶさるようにした指揮官を見上げる45の眼は、期待するように潤んでいて、そんな仕草のいちいちが指揮官の気分を余計に昂らせる。

 

「もうお互いに我慢できないみたいだから、まずはここで。続きはお部屋で、ね?」

 

「本当に死にかけた三日後にはもうこんな事してるんだもの。元気なもんだよ、まったく」

 

「いいじゃん。欲望に忠実なのは、ちゃんと生きている証拠よ?」

 

「違いない」

 

 言って、顔を寄せていく・・・その途中で45に手で顔を抑えられて待ったをかけられる。

 

「あのさ、照明、いつもくらいにおとさない?」

 

 やや顔を赤らめながら言う45は、暗い中がお好みの恥ずかしがりさんなのである。

 

「ここでも暗くするの? それだと、45の顔が見えなくなっちゃうんだよなぁ」

 

「何よ、私の恥ずかしい顔見ながらしたいの? この変態」

 

「それ、変態とは違うと思うんだけど」

 

 そうやって言い合って笑い合って、普段通りの日常へ帰ってこれた事を指揮官はようやく実感する。

 今は、愛する人と過ごす、蜜の中のような甘い時間をゆっくりと味わうのが良いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えへへ、お腹あったか~~」

 

「言わんでいい、言わんで」

 

「いいじゃん。幸せで一杯なんだもん」

 

 ベッドの上、すぐ横で寝転がる45が下腹部をさすりながら嬉しそうに言う。

 そんな彼女につられて指揮官も幸せなのは山々だが、今はそれと同じくらいに疲労感で一杯だ。

 精根尽き果てる、とはまさにこのことである。

 

「寝落ちしちゃう前にシャワー浴びてくる?」

 

「ん~? いいよ、もうしばらくこのままでいたい」

 

 指揮官の腕にコアラよろしくしがみつき、45は甘え放題である。

 

「・・・何か気にしてることでもあるの?」

 

 完全にトロけきっていた45の表情が、一瞬だけ動いたのを指揮官は見逃さなかった。

 この基地で出会い、誓約を交わして、指揮官は45とそれなりの時間を一緒に過ごしてきた。

 すべてを理解しているなんて大それたことを言うつもりはないが、その振る舞いから相手の内心を何となく察する事くらいはできるつもりでいる。

 普段にも増して甘えてきていたり、そんな最中に僅か垣間見せる寂しげな表情だったり。45が何か思う事があるのは、確信をもっていえる事だった。

 

「・・・・・・怒らないって約束してくれる?」

 

 顔を埋めたまま言うその様子は、まるで悪い事でもした子供のよう。

 45がこんな風になってしまうほどだ、どうやら、相当な事をしでかしたという自覚があるらしい。

 

「絶対とは言えないけど、俺が45を叱るなんて余程の事だぞ。それよりも、言わないでいると、いつまでも辛いままだろうし。辛そうにしてる45を見てるのは嫌だ」

 

 だから、話してほしいと、そう伝える指揮官を前にして観念したのか、45は依然として指揮官の方は見ずに口を開く。

 

「・・・指輪・・・ハンターにとられた」

 

 拗ねたような口調の言葉を聞いて、指揮官は内心で胸を撫でおろした。

 彼女がこれほど思い詰めるような事だ、一体、どれほどのものかと実は緊張しまくっていた

指揮官である。

 

「あぁ・・・なんだ、そんな事だったのか」

 

 そして、極度の安心感から、つい心の声が口をついて出てしまった。

 それが、今のこの状況では失言だったと気づくも時は遅く。

 

「そんな事って何よ!」

 

 声を荒げて45が顔を上げる。

 指揮官への怒りか自分への情けなさか、真っすぐに見据えるその眼には今にも零れそうなくらいに涙を湛えて。

 

「指揮官にとってはそんなものかもしれないけど、私はそうじゃないの! 指揮官から貰った、

唯一の大事な指輪だったの。それを目の前でとられたっていうのに、そんな言い方するなんて・・・」

 

「ごめんごめん! そういうつもりで言ったんじゃないんだ。だから、落ち着いて」

 

 詰め寄ってくる45を宥め、一旦、身体を離す。

 ベッドの上を横にゴロリと転がり、ベッド脇に置かれている小物置きの引き出しを探る。

 そこから取り出したものを手に、再びゴロリと転がって45の傍へと戻る。

 

「あなたが落としたのは、この銀の指輪ですか? ってね」

 

「え? これ、なんで・・・?」

 

 指揮官の手に乗せられた指輪を見て、目を丸くして驚く45。

 ここ数日の45は感情がコロコロと目まぐるしく変わって、なんか新鮮で見ていて楽しい。

 

「私が指輪無くしたの知ってて、新しく用意してくれたもの・・・じゃないよね?」

 

「それは、持ち主だった45が一番よく分かる事でしょ?」

 

「うん。括ってる紐のそのままだし。ここのキズ、間違いなく私の指輪。でも、どうしてこれを?」

 

「45達がドアロックを解除してる間に、ハンター達に遭遇したって話しただろ? アイツ、これを首からぶら下げてやがったから、ひったくってきたんだ」

 

「ひったくったって、指揮官、隠れてやり過ごしたって言ってなかった?」

 

「隠れてたよ。だから、隙をみてこっそりと盗んだっていうこと」

 

「そ、そう・・・なんだ?」

 

 なんとなく釈然としていなそうだが、とりあえずは納得してくれた様子の45。

 平然と言ってのけた指揮官ではあるが、隠れながらこっそり、というのは明らかな嘘である。

 鉄血エリートと交戦した事実は同行していた9も45にも伝えてはいない。

 人間の身で戦術人形と戦ったという事を、指揮官は戦術人形達、特に45には知ってほしくはないと思っている。

 

「はい、今度は無くさないようにね」

 

 45の首に指輪を括っている紐をかけてあげる。

 白い肌の上で輝きを放つ銀の指輪は、いつ見ても息を呑んでしまいそうなくらい美しい。

 

「指揮官、大好き」

 

 もう少し眺めていたいな、とか思っていた矢先に45が指揮官の胸に飛び込んできてしまう。

 まぁ、こういう風に思い通りに動いてくれないのが、このお姫様の良いところなのである。

 

「好き好き好き好き好き大好き~~~」

 

「分かったよ。一度言ってくれれば十分だから」

 

 胸に顔をグリグリと押し付けて幸せそうな45の頭を撫でてやる。

 と、安心しきった反動からか、ここで急激な眠気を覚えてつい大あくび。

 

「指揮官、おねむなの?」

 

「ん・・・もうこんな時間だし、まだ病み上がりだから疲れたみたい」

 

「少し寝なさい。シャワーは目が覚めてからにしましょう」

 

 45は指揮官の胸から顔を離すと、今度は指揮官の顔を抱いて、自分の胸へと導く。

 

「たまにはこういうのもいいでしょ?」

 

「確かに、悪くない・・・」

 

 ついさっきとは逆の立場。45の柔らかい感触に包まれながら頭を優しく撫でられて、えもいわれぬ心地良さに身を委ねた指揮官は、襲い掛かる睡魔のかっこうの餌食だ。

 それこそ、数分と経たずに静かな寝息が寝室に流れ始める。

 

「あれ、もう寝ちゃった? 私としたことが、少し張り切りすぎちゃったかしら」

 

 指揮官を起こしてしまわぬよう、頭を撫でていた手を止める。

 寝顔のあまりの愛しさに、腕をギュッとしたくなってしまうが、そこは我慢する方向でひとつ。

 ・・・そう、今はこんなカワイイ顔をしているが、この指揮官が普通の人間でないことは45も薄々勘付いている。

 結局は9や後続の戦術人形達に助けられたとはいえ、単身で鉄血の拠点に潜入し、傷ついて動けなかった45を担いで見事に逃げおおせてみせたのだ。

 軍歴のある人間だったとしても、そう上手くはいかない。

 例え運が味方してくれたとしても、現実には限度というものがある。

 

「指揮官、アナタは何者なの?」

 

 誓約こそ交わしたが、45は指揮官の過去をあまりよく知らない。聞いても、当たり障りない答えでいつもはぐらかされてしまうのだ。

 敵拠点から脱出する際の立ち振る舞いから察するに、軍かその他の部隊で戦闘、指揮の経験があるのは確実。それも、相当な練度だと見ていいだろう。

 

「いつか、話してくれたら嬉しいな」

 

 話してくれないというのは、指揮官なりに理由があっての事なのだろう。45も無理に問いただそうという気は無い。

 しかし、好きな相手の事は何でも知りたいという欲があるのも事実である。

 

「もう、絶対にアナタを傷つけさせたりしない。私、もっともっと強くなるから、見守っててね、指揮官」

 

 囁き声でそう言って、指揮官のおでこに軽くキス。

 指揮官の寝顔を愛おし気に眺めているうちに、寝息に誘われていつの間にか45も寝落ちしちゃっていたのだった。




がんばって仄めかしましたが、それでもちょっとエッチぃ感じの回になりましたね。
当方のこれまでのドルフロ小説ではこういうシーンは無かったので、今回はチャレンジということで盛り込ませていただきました。
いちおう18禁の小説ではありますが、もうちょっとギリギリのラインを攻めてもよかった
かな~・・・

ともあれ、指揮官と45揃って無事に帰還できましたところでめでたしめでたし。
来週は本作の最終回、エピローグとなりますので気が向いたら遊びに来てやって下さいな。
以上、弱音御前でした~
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