「やっばーい!遅刻だぁ!行ってきまーす!」そう言って私は逃げるように家を出て駅へと向かう。
私の名前は誠(まこと)美咲、ごくごくフツーの大学1年生。
この時は、こんな私が世界を救うヒロインになるとは思いもしなかったのでした...
今日もまた、あの満員電車に...そう憂鬱な思いで駅に入ると、
「あれれ〜?美咲先輩じゃないですかー?」と少し小馬鹿にしたような馴染みのある声。きっとアイツだ。
「柚葉、いい加減その呼び方止めて。敬意の欠片もないくせに。」と少し真剣な声で言うと、
「まあまぁ、そう怒らないの、美咲せ〜んぱい♪」相変わらずノリが軽すぎる。
この子の名前は湊(みなと)柚葉。私より1つ下の高3。昔から家が近く、家族ぐるみの付き合いだ。そして彼女の最もうざったい所。それはー
「先輩!昨日やっとプレバンのキメラドライバー届きました!あぁーキマイラもダイモンも、ジュウガもビジュ大優勝!」
そう、根っからの特撮オタク。誰彼構わず特撮を布教するイタ女。おかげさまで私もいろいろ余計な知識を付けてしまった。
「あぁ、ダイモンね。確か、演じたのはケリー..」
「違います!ケインコスギさんです!三大特撮を制覇した偉大なお方の名前を間違えるなんて!」いつもこんな調子だ。
しかし、そんな『いつも』は一瞬で崩れ去った。色んな意味で。
突如、駅構内に放送が流れる。『お客様は直ちに避難を...ガァッ!』しかし放送の音声は突然途切れ、その一瞬で私の目の前の景色は大きく様変わりしていた。
クネクネとした動きの、人型の怪物が大量に現れて、駅にいた人達を襲っている。その怪物は私のもとへ近づいている。
せめて柚葉だけでも守らなくちゃ。私は柚葉に覆い被さった。怪物が剣を振り上げる。ああ、こんなわけもわからん状況で死ぬなんて。お父さん、お母さん、お兄ちゃん、今までありがとうー
その時だった。私を襲おうとした怪物の断末魔が聞こえた。恐る恐る顔を上げ、横を見るとー いかにも正義の組織といった隊服を着たイケメンが小型銃を持って立っていた。
「お姉さん、ダイジョウブですか?」イケメンは私にそう話しかけた。
見ると、彼と同じ隊服を着た10数人の人たちが駅の客を守りながら怪物と戦っている。その中でも一際イケメンの彼はー
いや、待って?この人もしかして変身しちゃうんじゃない?柚葉、頼むから落ち着いとけ。そう思った矢先、
「何してるんですか柚葉さん! 出番ですよ!」とイケメン。
えっ?まさか柚葉が本物のヒーロー?いやいや、そんなわけないよね。
しかし、柚葉は、
「ごめんなさい!巻島さん!」と言って立ち上がり、カバンから巻島が持っているのより大きく、奇抜な銃を取り出した。そして、
[CHANGE No.2]『ガルガルチェンジ!!』そう言って柚葉が銃を正面に撃つと、水色の光が柚葉を包み、彼女は忍者がモチーフと思われる近未来的なスーツとメットの姿になっていた。そう、彼女に嫌と言うほど見せられた『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』のような姿にー
『闇に向かいて暴れるぜ!刃の心、ガルガルスカイブルー!』柚葉はそう名乗り、怪物に颯爽と向かっていく。
忍者っぽいスーツだけあって、柚葉は素早く、しかし的確に攻撃を命中させていく。そして、あっという間に殆どの怪物を倒してしまった。
「さぁ、これでフィナーレだよ!」ガルガルスカイブルーはそういうと、また銃に付いたボタンを押し、[02 FINISH ATTACK]
『ガルガルミラクルタイフーンフィニッシュ‼︎』
ガルガルスカイブルーが発射した巨大な弾丸は、残っていた怪物を全滅させた。
柚葉はおもむろに変身を解除し、「美咲先輩!怪我はない?」と巻島に避難させられていた私の前に来た。いやいや、色んなこと起きすぎて怪我どころの騒ぎじゃないんだけど。
「うん、まぁダイジョウブだよ。柚葉、ありがとう。」私がそう言うと、柚葉はいきなり、
「じゃあ私と一緒に放課後本部に来てくれます?美咲せ〜んぱい♪」
一体何処に行くのだろうか...私は大学の講義が全く頭に入ってこなくなるほど1日中混乱していた。