フェイス   作:おもちぴん様

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第4話

 司教に会うチャンスは城に来たその日に訪れた。

仕事を終えて宛がわれた部屋で先輩と話をしていると、司教からの使いが来たからだ。

使いと先輩は話のために部屋の外に出て、しばらくすると戻ってきた。自分をお呼びの様だ。

先輩は嬉しさと悲しさが入り混じった複雑な表情だ。

 

「じゃあ行ってきますね。」

「え、ええ、頑張りなさい。」

 

 使者と2人廊下を進む。司教の部屋は城の最上階の様だ。

道中、他愛もない話を使者としていると到着した。

扉の前には朝に会話した司祭が2人居る。

これから騒ぎが起こるのに厄介だ。どうにか遠ざけられないものか。

逡巡していると司祭の一人が自分に気づき話し掛けてきた。

 

「君は……何かあったらすぐに叫ぶんだよ。」

「何かとは?」

「良いから躊躇したら駄目だからね。」

 

 司祭は本当に自分を心配している様だった。巻き込んでしまうのは申し訳無い。

恨んでくれても良い。頼むから気付かないでいてくれ。そう思いながら私は司教の部屋に入る。

寝台に机、戸棚にタンスとシンプルな部屋だ。

意外にも清貧な暮らしを送っているらしい。

ついでに好色さも捨てて生きれば良いものの。

そこが捨てられないから人間なのか。考え事をしていると話し掛けられる。

 

「よく来たのお。仕事は辛くないか?」

「はい司教様。先輩も優しくて問題ありません。」

「くくく、優しいか。まあ良い、そこの寝台に座れい。」

「はあ、分かりました。」

 

 寝台に腰掛け司教の方を見る。丁度自分を押し倒そうとしたので避けた。

寝台に倒れ込んだ司教を見下ろし、審問を開始する。実際のところ、するまでもないが。

 

「我は審問官のアリオス也。レンス司教に問う。」

「し、審問官じゃと?!そんななぜワシが?!」

「汝、司教でありながら姦淫を行った。違いないか?」

「ち、違う……ワシはやっておらん!」

「それは神の識ること。ajwmjtj。」

「ひいいいいい!助けてくれえ!」

「─判決……神の槌により圧殺刑に処す。」

 

 アリオスが聖典の一節を唱え始めた時、乱入者が現れる。

部屋の前で待機していた司祭達だ。

顔は怒りに満ちていたが、やがて困惑の表情に変わった。

司祭の一人が口を開く。

 

「……君を助けようとしたのだが、余計だったかな?」

「はい。出来るならば入ってこないで頂きたかった。」

「見た者を生かす訳にはいかないということか……。」

「ええ、すみませんが暫くお待ちを。」

「ああ、只では殺されないように準備させてもらうよ。」

「な、何を言っておるのじゃ!助けろ!」

「死は救済。今からあなたを助けます。」

「やめ、やめ、やめ……。」

 

 不可視の槌が司教の体を押し潰した。

部屋には血が散乱し、同じ部屋にいた司祭二人も返り血を浴びている。

唯一アリオスだけが血を浴びずに佇んでいた。

司祭二人はそれを見て肝を冷やす。引き返す方法は既にない。

怪物に、この信仰心の怪物に勝たねば命は明日は来ない。

自然と剣を握る手にも力が入る。先に口を開いたのはアリオスだった。

 

「さて、心苦しいですが始めましょうか。」

「ああ、もう言葉はいらないだろう。」

「うむ、審問官と戦うは武門の誉れよ。」

 

 それは戦いと呼ぶには一方的過ぎた。

不可視の剣、槍、槌……あらゆる武器が司祭達の体を貫き、叩き、切り裂いた。

5分も経たずに司祭達は血の海に倒れ、命を落とした。

部屋に立つのは唯一人、審問官の少年。その頬は涙で濡れていた。

彼は審問官で在る前に一人の少年である。悲しい時は泣き、嬉しい時は笑う。

心のバランスは信仰心だけで保たれていた。

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