体を包む炎から繋がる道を辿り男へと駆ける。
男が杖を振り火球が飛び出してくる。ダークリングを通してソレを見れば男との繋がり。そしてこちらへと向かってくる道筋が見える。
そして見えているのであればその軌道上に剣を添えれば当然斬れる。
此方に向かう火球は3つ、ならば振るわれる剣も3度。瞬きの間に自分の頭、胴、腰を狙うその全てに着弾のタイミングに合わせて振るい、その全てを叩き斬る。
一瞬の空白の後に斬られた魔力は無産し現象は掻き消える。そして男の勢いは止まる事無く頭髪の寂しい男の首を切り落とさんと振るわれる。
コルベールは迷いなく振るわれる剣を見た。
自分の放つ炎を男の剣は「するり」となぞるように振るった途端、自分の魔力は霧散し炎という現象が掻き消えた。
ブリミルの残した奇跡の技が、男の剣の前に負けた。魔法使いとして認められない事が目の前で起こりコルベールの優秀な頭脳は有り得ない現象に機能を停止してしまう。
大きな隙を男が見逃すはずもなく剣は首を捉え……刃が首に少しめり込んだ時点でその動きを止めた。
目が、目の奥に蠢くダークリングが訴える。お前の火は「ソレではない」と。
火の気配がする。
微かに。
しかし確実に。
とても小さなその火種を男のダークリングは感じ取っている。
流れ出る風と火の粉の匂い。
疼くリングの指し示す先に目を向ければピンクブロンドの少女。
男は見た。とても小さな、今にも消えそうな種火。
だが此処から、この少女から来る火の気配は間違いなく自分の知る場所へと繋がっている。
おぉ、道がある。道があるなら「例えどれだけの時を重ねようと」必ず辿り着ける。
この少女を使い、道を開くのだ。導く為の道筋はダークリングが、そしてこの「視線」が知っている。
顔を上げ空を見上げれば二つの「瞳」が此方を見ている。
あぁ、神は居た。汚れた神が覗いてる。
ならば私は見せつけよう! 神に見せつけるのだ!
薪は有る! 火を継き不死を終わらせる歩く薪は此処に居ると!
「あは、あはははははははは!!!!」
◆◆◆◆◆
ルイズは見た。コルベール先生の炎に包まれて尚、冷静に相手を観察し敵を惨殺する為に動く男の目を。
男の行動と攻撃は余りにも早く、消えた様に見えたが男の目だけは、どれだけ早く動いても何故か捉える事が出来た。
目の奥に輝くナニカ、闇色の瞳の奥から鈍い光が男の目を通してルイズを貫く。
今まで出口を知らなかったルイズの中で蠢いていたモノが出口を見つけたかの様に身体を駆け巡る。
男はコルベールを殺そうとした、普通なら、平民なら即刻死刑だ。
だがルイズはこの時確信した。コレが自分の使い魔でありパートナーであると。
そして目があう。
いや、男の目を通して何かが覗き見ている。
得体の知れないモノが私を見ている。
とても大きな、例えエルフでさえ、いえ、神ブリミルでさえもソレはきっと戯れに殺してしまうであろうナニか。
その強大さに震えると同時に心は高揚していく。脳が甘美な痺れに染まり体の奥が疼く。
男の笑い声に連鎖する様に口から声が漏れる。
きっと私はこの瞬間の為に生まれて来たのだと確信した。
全てを終わらせる旅を始めるのだと。
「あはっ♡ あははははははは!!!!」
◆◆◆◆◆
その光景は異様だった。
魔法が使えない事で有名なゼロのルイズ。トリステインでは有名なヴァリエール侯爵の三女。
そんな彼女が何時もの様に魔法を失敗させ爆破を繰り返した末に成功させたゲートから出て来た男。男は騎士鎧に身を包み、盾と剣を持っていた。
異様さを感じ取った引率のコルベール先生が男を火達磨にして終わったと思えば男はコルベール先生へ斬りかかり、追撃の魔法を放てば何時の間にか男は先生の首に剣を当て立ち止まっていた。
徐に男が剣を引いたと思えば急に空を見上げ、ゆっくりと顔を下ろし召喚主のルイズを見た途端に大声で笑い始めた。
その声はまるで水を求める亡者が吐く様に小さな声なのに、地獄から響くように重く、耳を塞ぎたくなるような声だった。
そんな声を聴きながらルイズは笑っていた。顔を恍惚とさせながら、見たことの無い顔で。
ぞっとした、アレは私が知っているルイズではない。
きっと良くない物を呼んだ。
これから先、私はアレにどう対応したら良いのか分からない。
隣に居るタバサと手をつなぎ足元に居るサラマンダーを触る。暖かいはずのサラマンダーの炎がとても頼りなく感じられる。
いざという時、私の炎はアレを焼けるだろうか。
「「あはははははははは!!!!!」」
UAが1000超えたし
お気に入りが2桁行って
感想まで貰えたのでちょっとだけ続き描いてみました
※両方が瞳を得ましたよ