ローズ・ポッターはライオン系   作: チョビ

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10幸せな世界_if

 

 

 

 

薄く開いた窓から、チュンチュンという雀の鳴き声が入ってくる。

それと同時に流れるクラシック。ベッドの中心で足と腕を目一杯広げて未だ目を瞑る少女の名は、レオーネ。

その名のように、まるで獅子の様に獰猛…というか明るくポジティブで何処までも獅子な少女だ。可愛らしい見た目に反して、まるで小悪魔のような性格なのは__きっと、少女の育ての母親に似たのだろう。

 

 

「グッドモーニング!起きて、私のチビライオンちゃん!」

 

ドアがバーンッ!と勢いよく開け放たれると同時に、長い黒髪を元気に揺らした女性が入ってきた。笑顔の彼女は、大声で挨拶したにもかかわらずいつまでも起きない愛娘に対し、頬を膨らませる。

 

しかしその表情も次の瞬間には学生時代の若々しい悪戯っ子のような笑みになっていた。

 

 

「こらこらぁ!!おっきなさーい!!!」

「うぎゃぁぁ!?!?」

 

思いっきりジャンプし、スヤスヤと眠るレオーネに飛びついた女性。

 

空中に、美しい金褐色と黒髪が広がった。

 

「ま、ママ!?もう!ビックリさせないでよー!」

「起きないあなたが悪いわ!今日が何の日か忘れたの?」

「勿論覚えてるよ!私の誕生日でしょ?ゆっくり寝させてよー」

 

目を擦りながら体を倒そうとしたレオーネを、慌てて揺さぶる女性。頑なに寝かせようとしない。

 

「ダメよ!誕生日とは言っても、11歳よ!特別なの!」

「トクベツぅ?」

「そう、特別!何と言ったって、ホグワーツからの手紙がくるんですから」

 

 

レオーネはがバリと起き上がった。その瞳は、女性と同じような灰色で満ちている。まさしく嵐のように荒々しく、まるで獅子のように爛々と輝いていた。

 

「そうだった!私、今日で11歳なんだ!」

 

慌ててベッドから降りて、寝巻きのままで部屋を出ようとするレオーネ。彼女は焦りながらも「起こしてくれてありがとうママ!今日も相変わらず世界一綺麗だよ!」と言う。毎朝恒例となっているこの挨拶。

 

 

「ふふ、貴方は宇宙一可愛いわ、レオーネ」

 

 

女性__フィリパ・ブラックは、美しく微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「誕生日おめでとう!レオーネにハリー!!!」」」

 

 

大きい声と共に、クラッカーがパンッと鳴った。

ハリー、と呼ばれた少年は、照れ臭そうに笑いながら隣の幼馴染に視線を移す。誕生日パーティが始まる以前から既に豪華なディナーを頬張っていたレオーネの事が、心配でたまらないのだ。

 

 

「レオーネ、気を付けてね。ポテトサラダはよく噛んで飲み込んで」

「うん、わかって__むごッ!?ウッ、く、苦しいぃぃぃ」

「れ、レオーネ!?」

「キャァ!?レオーネ!?み、水!水飲んで!早く!」

 

案の定、粘り気のあるポテトサラダを大きく口に含んで詰まらせる。

焦ったようなハリーに、顔を青くするリリー・ポッター。少年の母親である。

 

それを見て、フィリパはケラケラと笑いつつ「気を付けなさいねー」とのんびりと言った。その隣でシリウス・ブラックはリリーよりも顔を青くさせている。

2人が結婚した当初、友人の間では「シリウスが子育て出来るはずがない」と誰もが思っていた。しかし、実際はダメダメなのはフィリパの方だった。

 

彼女は彼女の兄同様、甘やかされて育った為(※シリウスも同じである)、普通の価値観と若干ズレている(※シリウスだって同じである)。その為「うちの子可愛い」「マジ天使」と褒めそやし、しかもお小遣いを好きなだけ与え、そのくせ危険な事をやろうとしても一切止めようとしなかった。危険極まりないダメ親堂々の第一位である。

 

今朝のジャンピングモーニング(?)だって、下手すれば頭を強打していたかもしれない(バカ母娘は気にしていない)。

その為、シリウスは学生時代の悪戯大好きスリル愛してる系青年とは程遠い、いつでも落ち着き妻と娘のストッパーとなれるように努力せざるを得なかった。

 

1日早いハリーと、本日バースデーガールなレオーネの誕生日会でも、常にハラハラドキドキしているのである。最近はハリーもその役割を担う羽目になっていた。

 

 

「あ!あのケーキ食べていい?」

「アレはバースデーケーキ!夕飯のあとよ」

「えー……今食べたいぃぃ!」

 

下唇を突き出し、瞳をウルウルさせ、地団駄を踏むレオーネ。もうすぐホグワーツに通う予定の11歳には、とてもじゃないが見えなかった。

 

「いいじゃないリリー。ケーキくらい」

「貴方はそうやってレオーネを甘やかす!」

「だって、11歳の特別な誕生日なのよ?」

「その言葉、今日何回聞いたと思ってるの?我儘も大概にしなさいよ」

「ほら、あのバースデーケーキ三段積みになってるのよ?苺と葡萄とチョコレート!中にはふわっふわのスポンジと生クリーム。そして甘ーい汁をギュッと濃縮させたマンゴーがたっぷりと詰まっていて、一切れ口に入れるだけでその中はフルーツとクリームのハーモニーに包まれ___」

「それもう貴方が食べたいだけよね!?」

「あはっバレちゃった?」

「もう!!」

 

 

リリーは諦めたように包丁を取り出して、杖で動かしながらケーキを切り分けていった。ブラック家が純血間で有名なケーキ専門のパティシエに依頼して、レオーネのご要望通りに作らせたものだ。

言うまでもないがこのパーティ、一応ハリーのものでもあるのだが、全て、レオーネの仰せのままのセッティングである。

 

しかしハリーの好みは大体レオーネと一致していて、文句なんて一言も言わなかった。よくできた子供である。ジェームズと血のつながりがあるとは思えない程に。

 

 

「うっわぁ、シリウス、これあの有名なパティシエのだろう?キラキラして見えるんだけど」

「多分、食用の金粉じゃないかなぁ……ゴクリ」

「リーマス、自分でオノマトペ付けちゃってるよ」

 

 

カットされたケーキに喜んで喰いつくレオーネを眺める大人が3人。

娘にここまですることにドン引きしているジェームズ、金粉に興味津々なリーマス。

 

そして、そんなリーマスをドウドウ、と抑えるピーター・ペテグリュー。

 

 

 

ピーターは、レオーネが大好きな人だった。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!ピーター!ねぇねぇこれみて!キラッキラ!」

「うん、凄いねレオーネ。可愛いよ。だけどちょっとハリーの視線が痛いかな」


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