書き溜めは有りません。投稿も不定期ですが、まぁ頑張ります。よろしくお願いします。
楽しく読んでくだされば光栄です‼︎
「おい!! 今週のワンピース! 滅茶苦茶面白いところで終わったぞ!! オメエもいい加減読めよ!」
月曜日の深夜。仕事終わり。
共通の『趣味』のおかげで、かれこれ3年仲良くしている、『菅原』が声を荒げた。
「いーや、俺の『推し』が出てこないなら、みなくていいや」
今更だが、菅原は変わった奴だ。社内では「先輩」呼びしてくれるのに、社外では「お前」、「アンタ」呼び……。何故?
「パンクハザード編で出てきた『モネ』だろ? ……あきらめろ。そして読め」
菅原はコンビニで買ったジャ●プを差し出してきたが断った。
「ワノ国? あたりまでは読んだよ~。でもよ~、僕の『推し』が出てくるたびに居なくなるじゃん……」
そう言って僕はスマホを見る。
ジ●ンプ+。無料で面白い漫画がたくさん読める、とても良いアプリ。
最近はこの、第2部が始まった『チェンソー……
「お前さ……。自ら地獄に進んどるやん……。この前も『幸せな家庭が崩れた』って一週間も病んでたろ……」
「うるせえ! ほら見てみろ!! 手掴みでケーキを頬張る幸せそうなこの顔! これが見れれば十分なんだよ!!」
僕はそのシーンを菅原に見せつけた。
「……でもさあ。『
「面白かった……」
「なら、あの時みたいに……逆に俺がお前に進めてやるよ。読めよ、ワンピース」
何で格好つけているんだ……コイツは……。
「あとほら、お前好みのキャラが出てきたぞ……ちょっと待って」
神原はスマホと取り出しスクロールする。
ほれ、と画面をこちらに向ける。
「ナミさん……? 誰……?」
「Dr.ベガパンク」
「良し。読もう」
即決断。
明日は菅原と共に有給をとった。ならゆっくり解説を貰いながら読むとしようか。
「コンビニに行って飲み物買ってくる」
「おう。行ってこい、行ってこい。あ、ホットコーヒーな」
「死ね」
公園、そのベンチに座る菅原を置いて、少し離れたコンビニに向かう。
夜は夜だが、店舗の光、街灯と道行く車のお陰で多少の闇の中でも安心して歩ける。
だが路地裏。そこはやはり気味が悪く、何やら叫び声だの、物が転がる音が絶えなかった。
一気に背中が冷える感触に襲われ、急いでコンビニに向かおうとした。が──
「おい、そこのお兄ちゃん。金持っていねえか?」
ヤバい薬でも服用したのだろうか。
服は乱れ、顔には痣が目立ち、活舌は悪く、しまいには一本のナイフを突き出していた。
えええええええええええええええええ!! こんなことあるの? マジか!?
「い、い……いやー、いま僕お金無いんですよ……」
手提げ鞄でも投げ、逃げようとしたが生憎それは菅原の座るベンチにおきっぱだ。
財布をポケットから取り出し、中の札をすべて取り出し、地面に捨てる。
手が震え、スムーズにできなかったからか、ナイフを持った男はいら立ち、何やらブツブツつぶやいていた。
「k、こ、これだけなんだ……。もう、許してくれねえかな……」
男は地面に散らばった金を拾う。
ご丁寧なことに、視線は地面に向けず僕に向いていた。
「8千円……。たったこれっぽちかよ!!!」
男はナイフを握りしめ、僕に飛びかかってきた。
急いで逃げようとしたが、足が絡まり転倒した。
男は馬乗りになり僕の頭を、強い力で押し付けた。
そして僕の脇腹にナイフが深々と刺さる。
冷たい感触、そして激しい痛みが僕を襲った。
「知ってるか兄ちゃん……。このまま『回して』『引き抜く』と、きれいな花が咲くんだぜ……へへッ」
その男はそう言い、その後、赤い花ができた。
臓物と血でできた1輪の花。
「……ッツウ!!」
痛みで意識が飛びそうだ。
今の僕の顔は真っ青なんだろうな。
なんだか眠くなってきた。
もういっそのこと眠ってしまおうか……。
「なにやってるんですか……?」
震えた声。よく聞いた菅原の声だ──
顔を上げる。
ああ、間違えなくアイツだ。
「……。お前も『そう』なりたいのか……。なら話は早い……」
男は立ち上がると、菅原にめがけナイフを突き刺そうと体勢を整える。
僕は痛みに負け、顔を埋め歯を食いしばる。
いや、ダメだろ……。
お前は僕よりも非力だから……刺されるだろ……。
逃げろよ? なんで逃げないんだ……。
飛びそうな意識の中、再び顔を上げる。
「……先輩ッ……」
アイツの泣き顔初めて見た。
何故かは知らないが、身体が勝手に動いた。
両脚に力を込めて立ち上がり、男の服を掴み全身全霊、力を込めて後ろに引っ張る。
菅原と男との距離を引き離したかった。
それが見事に成功した。
しかし成功の裏腹に、1点だけ失敗した。
自分のことを考慮していなかった。
自分の腹に深々とナイフが刺さり、男は音を立て後ろに大きく転んだ。
男はよろよろと立ち上がり、足を引きずりながら路地裏の闇の中に消えていった。
この騒ぎを聞きつけたのか、コンビニの店員が顔色を変え走ってきた。
「警察と救急車は呼んだ」だの「止血が必要だ」だの朧げな声が聞こえる。
菅原は僕の手を握り、先輩先輩と嘆いていた。
おいおい、せっかくの整った顔が台無しじゃねーか。
「……い、いーや、……白髭のようには、いかない……ものだな……」
「なにこの期に及んで冗談言ってるんですか! 先輩!!」
あはは、と僕は笑う。
遠くからサイレン音が聞こえる。
「先輩!! もう少し我慢しててください!!」
よく見ると、菅原は僕の傷口をハンカチ越しに抑えていた。
しかし血は止まらず、ただ虚しく流れゆくだけだった。
重たい沈黙が走る。お互い、今の状態を察したのだ。
「菅原……お願いしたい、ことが……」
「……なんですか……先輩……」
「僕の……パソコンを……頼む……。……家族には……見せられない……」
それを聞いた菅原は笑う。
「どうせ『そういう』ゲームしか入っていないんでしょ……」
「、そうゆう、こと……。宜しく……頼んだぞ……」
「先輩!!」
そして僕は息を引き取った……はずなのだが……。
◇◇◇◇
「ヨシヨシ……。良い子だ」
大きな腕の中、目の見えない僕はそこで揺られている。
妙にいい声。渋い大人の声。めっちゃいい声。耳が妊娠する。何処かで聞いたことある様な……。
……。で、誰?
「お義父さまの様な紫髪ですよね」
紫髪? 僕が? 僕は日本人で黒髪で、一度も髪を染めた覚えは無いのだけど……。
それよりも『おとうさま』って女の人が言ったよな。どう言う関係? どう言う状況?
「で、名前は決まってるのか? ツァーベル」
「あぁ、勿論! 父さん。妻と考えたが、コレしか見つからなかった……」
若い男の声。ツァーベルと言うらしい。うん、誰?
「まだ小さい俺を『命を懸けて』守ってくれた母さんと、大将まで昇り詰めた父さんの名を借りた」
「ほぅ。で、何にした?」
「ゼファーとアセロラ……。最初と最後を借りた。この子の名前は──
ゼラ──
「そうか、いい名だ」
状況を理解した。大事な事だからもう一度繰り返す。『理解』した。
これが『転生』っうモノですか……。
僕の小さな身体はゼファーからツァーベルに移られる。
そしてゼファーの硬い掌で、頭を撫でられる。
この瞬間、僕の将来が確定した──。
海兵となり、子供の頃に憧れた『ヒーロー』になる事を──。
しかし当時の僕は知る由もなかった。
『黒腕のゼファー』により鍛えられた今の『海軍将校』。
その猛者達が集いに集い『恩返し』と言う名目に駆られ、三大将は勿論、中将、少将、准将に至るまでボコボコに特訓させられるのは、また別のお話で……。
お疲れ様でした。
感想等お待ちしています。
誤字脱字が有りましたら、報告して頂ければ嬉しいです。
では、今回はこれで終わりにしたいと思います。
ではまた〜