『黒腕』の孫として転生したんだけど……   作:赤い靴

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11話目です。

ポケモンやりながら、サッカー見ながら書いてました。

そんな程度の話です。読んで頂ければ嬉しいです。


第11話 救済の技法 ②

 彼は嗚咽を漏らしながら語った。

 

 この3年間──

 

 自分を『そう』教育した父と世界政府に対する憎悪。

 何度語りかけても『理解』出来ない愚か者達。

 自ら、所有している『人間』の目。

 

「私は何度も!何度も逃げるように伝えた!……しかし……この言葉を信じてはくれなかった!!」

 

 ミョスガルド聖は首を横に振り続ける。

 

「私が計画してマリージョアから逃がそうとしたが……『脱走者』として全て撃ち殺された!!」

 

「もし……次、生まれ変わるのならば……君のような人間になりたい……。君のような誰かを助ける人間に……」

 

「なら、なればいいじゃないですか?」

 

 僕は間髪入れずそう言った。

 

「天竜人としての『地位』を最大限使って、困っている人を助ければイイんです。僕は、その地位が無いので、地道にやるしか無いですが……ミョスガルド聖、貴方は『なんでも出来る』じゃ無いですか?」

 

 彼の表情はハッと、切り替わったが次第に元の辛そうな顔に戻っていく。

 

「『なんでも出来る』と『信用』は違うのだ……。私は亡きオトヒメ王妃のように、温かみのある人間になりたいのだ……。だから私は……魚人島に向かい、謝罪しなければならないのだ!!!!」

 

 

 めんどくせぇ!コイツ!!

 言いたいことは、なんとなく分かった。で?僕に何ができるとでも???

 

 このままでは魚人島にレッツゴー状態だ……。やはりまだ3年しか経っていない所為なのか……脳内に天竜人が居ますよ?

 ええい、もう!ぶん殴って気絶させてしまおうか?…………。だめだよな……。

 なんかいい案ねぇのか……。

 元居た世界……なんか似たような話は…………。

 

 流行……?あ、いいかも!!

 

「ミョスガルド聖……。やはり魚人島はやめましょう……。そこは何度も言いますが白ひげの縄張りです。このままでは、我々……貴方が貴む命が確実に亡くなります。それは理解できていますか?」

 

「も、勿論だ!」

 

「今現在。聖地では一人、また一人と奴隷の命が亡くなっています。そのことは知っていますか?」

 

「あ、当たり前だ!それで地獄を見てきたのだからな……」

 

「では、魚人島には行けませんが、我々の命が確実に助かり、聖地での奴隷の状況を少し改善できうる、としましたら……どうでしょう?」

 

 ここまできたらトコトン話し合おう!

 この船には可愛い部下が居る、飯を分けてくれる威勢のいい野郎も居る、妻子を待たせている男も居る。ここで誰一人死なせるわけには行けないのだ!!

 

 これは最早商談だ。魚人島に行けない代わりに、それ以上の価値あるものを提示する……。

 しかし、その内容は博打だ……。9割うまくいく未来が見えない。

 

 さぁいくぜ!仕事だ仕事だ!!元営業マンとしての意地を見せつける時だ!!!

 

 手に汗握る商談。やらかしたら地獄行き。

 何とかするしかないよな……。

 

 僕はある種、詐欺師の様に淡々と語り始めた。

 

 青キジが提示した時間まで、あと45分を切りはじめた──

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 10分間。僕はパッと頭に浮かぶ出来事や文字を繋ぎ話した。

 目に映る情報も大切だ。彼の服の縫い目や靴の生地。テーブルにある紅茶やカップに至るまで。

 

 完璧……とは言えない……。

 だが、『これ』が叶うのならば天竜人、世界政府は今まで以上の信頼を得られるだろう。

 

「それを私に……『私がやれば』いいのだな……?」

 

「はい、そうです。9割失敗しますが、やらぬよりマシかと……」

 

「いや、良い!もし失敗しても、私の熱意は魚人島に届くはずだ!!……もう1回……説明くれないか?」

 

 理解できてねぇじゃん……。その『良い』は僕のパッション効果なの?

 僕は冷めた高価な紅茶を1口含み、仕切り直す。

 

「ミョスガルド聖。もう一度言いますが、貴方の奴隷を使って『ミョスガルド主演のパーティー』を開くのです」

 

「ああ、それは理解している」

 

「招くのは、貴方の思想が似ているお方。大勢ではなく、少数を。いいですか?少数ですよ?」

 

「ま、まかせろ!」

 

「……。で、その招いた方とパーティーの前に散歩してください。必ず歩かせてくださいね???」

 

「うむ、勿論!!」

 

「パーティーは日が沈む頃に行います。ここで貴方が頑張る番です。招いた方と雑談します。お酒を窘めばなお良いです」

 

「ん?……もちろんだ!」

 

「そして、奴隷を一回馬鹿にしてください。その後、天竜人のルーツを語って下さい。最後に、『だからこそ、我々が哀れな人間を救うのだ!!』だの熱弁してください」

 

「なぜ、奴隷を馬鹿にしないといけないのだ!!」

 

 ドン!とミョスガルド聖は机に拳を打ち付けた。

 

 そうしねぇと意味ねぇんだよ馬鹿!!

 

「一般的に人間は、自分がかなり優位な位置につきますと、弱者に対し哀れみの視線を送ります(多分)。天竜人に地位を再確認させることで、それをより引き出せると思います」

 

「ん?では……私以外……。政府の役人でもできるのでは……?」

 

「いいえ。『同じ地位』の貴方でなければなりません。政府の役人がいくら言ったところで、ただただ天竜人としてのプライドを傷つけるだけです」

 

 僕は淡々と言った。

 

「だから貴方しかできないのです。ゆっくり、時間をかけて貴方の『味方』を増やすのです」

 

 成功率は1割。もしかするとソレ以下かもしれない。

 だがそれでいい。

 

 僕の今の役割は『天竜人から民を救うこと』ではなく、『白ひげとの対立を避けること』。

 天秤に掛ければ、圧倒的に後者が重い。

 

 ミョスガルドにソレっぽい言葉で惑わし、たとえ失敗しても犠牲者は少ないはず。

 

 これなら僕は割り切れる……。割り切れる……?

 

 

「わかった、そうしよう。先にコレを成功させ、世界会議でネプチューン国王に頭を下げよう」

 

「……。ありがとうございます。不明な点は連絡下さい。吉報、待っています」

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 シャボンディ諸島にさえ寄ることなく、そのまま聖地に航路を変えた。

 これにて天竜人。ミョスガルド聖の航海は終わった。

 

 僕は彼に箇条書きで、パーティーの注意点を書いた紙を渡した。

 

 奴隷はすべて露出がやや多い服であること。(鞭打ちの傷、刻印が無い事を見てもらうため)

 奴隷はすべて健康体であること。

 子供の奴隷に教育を受けさせること。

 パーティーの前、軽く汗をかくぐらいの運動をさせること。

 パーティーは必ず夕方頃から始めること。

 などなど……。

 

 悪いことをした気持ちがあるが、公開はしていない。

 まだまし。まだましだ、と気持ちを飲み込んだ。

 

 

 

 

 それから1か月後──

 

 稽古と実戦に熱中していた所為もあり、このことを忘れていた……。

 

 ……。忘れていたのではなく、『失敗するから』と、分かっていたので、考えないようにしていただけかもしれない。

 

 彼から手紙が届いた。

 

 世界政府か海軍かは不明だが、検閲され封は開いていた。

 中身を取り出す──

 

 1枚の紙には、こう書かれてあった。

 

『お友達が2人、増えました!!!!』

 

 写真が奥から出てきた。

 そこには、ミョスガルド聖と2人の宇宙服を着たような天竜人が…………。

 

 

「まじかい……」

 

 な ぜ か 成功してしまった……。

 

 

 もう一月(ひとつき)ちょっとで今年も終わる。

 ガープ中将から聞いたが、年終わりと年始めに鐘を鳴らす『16点鐘』を任された。いやだけど、やるしか無い。断ったら殺される。

 

 

 僕は写真を見つめ、良かったと小言を吐く。

 ビュウと後方から強い風が吹いた。

 

「なにやってる、ゼラ!?休憩は終わりだ!新しい義手を造った!やるぞ!!」

 

 鉄の塊に機関銃を取り付けたような義手をつけたゼファーが僕を催促する。

 

 うわっ……またゴツくなってるじゃん!!!

 

「うっ……ういっす……」

 

 手紙と写真をソッと封筒に戻しジジィの元に駆けた。

 

 

 

 




お疲れ様でした。

ミョスガルド聖にお友達が出来た話でした。
よかったね!

補足などは有りません。

ではまた~
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