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「ほら!早く吐くんだよ!!」
僕は海賊に対し、首に腕を巻くように捕縛する。
本部にて海賊が暴れている、との報告を受け参上した。
「誰が言うかよ!クソ海軍がぁ!!……俺は口が堅いんだ……仲間の情報なんて言うわけねぇ!!」
「OK〜。君がそのつもりなら、『そうしよう』」
右手でホールドしているので、僕は左手を使い顔面を3発殴る。
バキ!!グシャり!
痛々しい音が鳴るが、その発生元は僕では無いので躊躇なく続ける。
「ごめん……!!ゔぅ……ゆるして……吐く!!吐くから!!!!」
「当たり前だろ!人間が痛みに勝てるワケねぇんだよ!!手間取らせやがって……」
固く締めた腕を解き床に座らせる。
「ゼラ少佐!コッチ、制圧終わりました!!」
酒場の奥からアルター大尉とエレナ曹長が現れた。
「他部隊と連絡取りまして、これで島の北部は制圧しました。まだ南部の情報が……あぁ、可哀想に……」
アルターは僕に報告をし、そこに居る海賊に哀れみの目を向けた。
『またか』って表情すんじゃねーよ。まぁ、またやってるんですが……。
「あ!お姉ちゃん!!」
カウンターの裏、そこから1人の男の子が走ってきた。
そこからゾロゾロと酒場の店主、その家族、客人と姿を現した。
「怖かったね。もう大丈夫だよ!」
エレナが子供の目の高さに合うように屈み、頭を撫ではじめた。
おい、そこどけよガキ。
月日が経ちエレナに対して分かったことがチラホラ……。
お姉ちゃん体質もあるのか、子供に対して『特に』優しい。
ほらほら!僕、身長が無いので、そのストライクゾーンにワンチャン入りませんかね?????
……虚しい。
自虐したせいかイライラしてきた……。
「おい!表出るぞ!!!」
海賊の襟を持ち、引きずる様に外に出る。
幼い子供に、こんな残酷な事を見せられないからね。
あぁ、僕はなんて優しいんだろうか!!
店外に出るや否や、悲鳴が轟いた。
◇◇◇◇
島南部の制圧も終わった。
懸賞金すら出されていない程度の海賊だった。
規模は大きいものの、幸いにも現在死人は出ていないのだが、島民の4割が傷を負った。
たまたま僕らは近場の海域に居た。その幸運も相まって、制圧に半日も掛からなかった。
「は~い。お薬塗りますからね~。沁みますが頑張ってください~」
「イデッ!!」
腕を斬りつけられたオッサンに消毒を施し、包帯を巻く。
「次!」
僕は今、島民の応急処置をしている。
腕のある船医は皆、重症者の処置に回っているからだ。
話によると、その重症者達は1か月間寝ていれば治るモノらしい。
だが、『今』が正念場だそうで、油断は出来ぬそうだ。
広場みたいなところに即席の病院を立て診ている。
軽症者は10の列に並び、そのうちの1つ……僕が担当しているのだ。
「お願いします」
民家から拝借した椅子に1人の女の子が座る。えらい美人だぁ。
年齢は僕と同じぐらい……髪色や身長は違うのだが、エレナを見ているようだ……。
所々よれよれの服。その所為で首元の痣が良く見える。
紫色のソレはハッキリした人の手形だ。
「……少佐。いつもの『アレ』でフォローしたらどうですか?」
薬品は入っている木箱をあさっているアルターが僕に言う。
お?やっていいのか?
「い……いつものアレ……?」
少女はポカンと不思議そうに見つめてくる。
ゴホンと息を整えて、まじまじ彼女を見つめて、大変真面目に僕は口を開く。
「ちょっと痣が見えないからさ。上の服、脱いでみよっか」
にこやかに言った僕の頬、その真横に細い剣がヌッと出てきた。
後ろを振り向かなくても分かる。
エレナの得物。
「一回首跳ねないと学びませんか?少佐??」
冷ややかな声が聞こえる。
「すみません調子乗りました。でも、仕方ないんです。これは仕事なんです」
苦し紛れに言う僕に、あぁもう!と、エレナは声を上げた。
鞘にそれを仕舞うと、彼女と一緒に近くの民家に入っていった。
「大成功ですね、少佐。あの子、笑ってくれましたよ……」
「ならいいけど……。はぁ……」
彼女のケアは僕では出来ない。またエレナに苦労させてしまった…。
「次!」
椅子に座るは逞しい男性だ。
両腕に広がる痣。棍棒により受けたものらしい。
……。コレ骨にヒビはいってますね。骨折っす。
「薬塗って、添木しつつ包帯巻き巻き……。両手、治るまで使えないのは不便ですね……」
「あぁ、いいんだ!嫁が居るからな!!」
「へぇー。それは良いですね……」
添木の位置を調整しながら包帯を巻いていく。
ところで、そのマウント辞めてくれませんか?
「そうそう!新聞で知ってるぜ!兄ちゃん『ゼラ少佐』だろ!?カッコいいねぇー!!応援してるよ!!頑張んな!」
処置が終わり、その男性は早々と行ってしまった。
「少佐。薬が少なくなったので、取りに行ってきますね」
リスト表にチェックをするアルターは僕に言う。
「いいよ。5分で戻ってこいよ。もう交代……。いろいろ疲れた……」
「サボるのは……まぁ、良いですけど……大将赤イヌさんに見つからない様にして下さいよ〜」
「……頑張るわ」
アルターは空箱を持って、停泊する海軍の船に向かって走っていった。
「次!」
もう時期、手当待ちの列が無くなりそうだ。
お腹が空いた。変装して飯屋にでも行こうか。
◇◇◇◇
この島の北部に負傷者を集めて治療をしている。
南部に捕らえた海賊を集めて居る。
赤イヌが居るのは南側だ。
この島はそこまで大きく無い。つまり、サボりが案外バレてしまうのだ!(累計6敗)
さぁ、考えろ!どこで飯をたらふく食べるか!!
北部は何度も言うが、負傷者が居る。そんな中、飯屋で爆食いするのはやや目立つ。
南部は赤イヌが居るが、絶賛復興の最中だ。腹を空かせた人々が多い。
木を隠すなら森の中。
そう僕は、南部の飯屋に向かった!!
そして今、変装を終えカウンター席に座り、メニュー表をじっくりと見ているワケだ!!
この島特有の牛肉をふんだんに使った炒飯……。
付近で海流がぶつかる事により、豊満に育った魚。その刺身……。
デザートはどうしようか?ココナッツプリン?美味しそう!!
あと1時間迷わせてくれ!!!
「そこの君……決めかねて居るのだね?」
僕の隣に座るオジサンが言った。
内心かなり焦った。変装がバレた!?と思ったが……どうも違うらしい。
「この店の、魚の素揚げはとても美味い。何度もこの島に来て食べるぐらいだ」
柑橘系の香り。どうもその素揚げに、レモンの皮でも添えたのだそうか?
メニューを見る限り、柑橘系はデザートしか無い。
それはそうと、その素揚げめっちゃ美味そう。
「あぁ、コレコレ……みかんじゃ。君もどうかね?このみかんはワシが作ったものなんだ……。ほら」
袋からみかんを1つ、小さな摺り下ろし金も取り出した。
「えへへ……あ、じゃあ……。頂きますね」
僕は、炒飯、刺身、魚の素揚げ、デザートにプリンを頼んだ。
1番先に来たのが炒飯だ。
ゴロゴロした牛肉と共に頬張る。
いい焼け具合の四角の肉。噛めば噛むほど、肉の旨みが溢れて出る。
米も卵もホロホロと崩れ、香辛料のパンチの効いた香りがたまらない!
「美味い!!」
確かに美味い。だけど、少し重い。
この身体は若いから胃が元気なのだけど、元の僕の胃にとってはかなり重い炒飯だろう……。
だからこそ噛み締める!食に対する幸福に!!
半分ほど食べ進めると、そのオジサンが誘惑をかけた。
「海の航海をする者は良く『果物不足』になりやすい……。果実は痛みやすいからなぁ……。このみかんも同様。甘いと直ぐに悪くなる……。だから酸っぱい品種のモノを持参しているのだ……」
僕はハッとする。
「えっ!つまり……。この少し重い炒飯に、酸っぱいみかんの果汁を垂らすと……より美味しくなる……ってことですか!?先生!!」
「いかにも」
いざ実践。みかんを1/4に分け、それを搾りかける。
手についた果汁を舐める。
酸っぱい。だけど香りは甘いみかんだ……。
米が果汁を吸いこむ前に食べなければ……!!
スプーンを口に運ぶ。
美味すぎる……。
まてまて、炒飯でこの美味さ。魚の素揚げにかければ、どんだけ美味くなるんだ!?
想像するだけで唾液が止まらない。
「どうやら口に合ったようだ……。ワシにとって……みかんは特別な存在でな……。そんな顔されたら、『人の心が解らない』と言われているワシでも、嬉しくなるな」
「へーそれは辛い人生で……。あ、コレ……刺身にも合いますよね?」
「へッ……。ジジィの過去には興味無し……か。…………。気に入った。このジジィに飯の感想を聞かせてくれ。もう胃が終わってるんだ」
じゃあ何故素揚げなんて重いもの食ってるんだ、と疑問に思った。
「ヘイ!刺身と素揚げ!!お待ち!」
ゴトンと2皿やってきた。
そんな些細な疑問など、飯の前では消えてしまった。
刺身、素揚げを堪能し、デザートのプリンを頬張った。
満腹満腹。みかんの香りのおかげで、より食事を楽しめた。
味変ならぬ香変。いい勉強になった。
「とても美味しかったです!このみかん……賞を余裕で取れますよ!」
オッサンは笑いながら返した。
「そうかそうか。だが、このみかんはマリンフォードにも稀にだが送られている。カーキと言うクッキー屋があるのだが、そこはこの皮を使ったモノなんだ。いつ死ぬ運命かわからなんだ。買って食っても損は無い筈だ」
「あー、あそこか……。プレーンの……普通の奴しか買ってないです……。是非買ってみますね!」
「あ──。キミ、やっぱり海兵だったのか……。残念だよ」
「ん?は?えっ??」
赤イヌの部下の人か?
なら終わりじゃ無いか!?
逃げないとやばく無いか?でも、顔見られてる……。オワタ
「あのー、何処の何方ですか……?」
「ワシは……」
オッサンはポケットから数枚、紙幣を取り出した。
1人ではこの金額の飯は到底到達出来そうに無いが……。
「アウコレー・ダリウス。最も有名な呼び名は『環形のダリウス』」
「少しワシと話さんか?」
お疲れ様でした!
どうでしたか?
ゼラのサボりで6敗とありますが、色んな中将に怒られた(見つかった)回数です。
変装は、その辺に干したある服を拝借しました。
軍服は変装したのち隠しました。
飯のお金は海軍のお金です。息をするかの如く横領してます。
ですがおじさんが奢ってくれるそうですね。良かったな!!
今回はここまでです。
毎度読んで頂いてありがとうございます。
ではまたー