よろしくお願いします!!
最後まで読んでいただければ嬉しいです!!
知らぬ誰かに飯代を支払われてしまった。
まぁ確かに、人の金で食う飯は美味いのだが……今回は状況が違う。
環形のダリウス……?第一『顔』が違う。
だが、マリンフォードの菓子屋を詳しく知っていた。
しかし、今の彼にとっては海軍は敵だ。
何故こんなところに居る?大将赤イヌも居るんだぞ?
「まぁ、そんな険しい顔をするなさいな……。……観光。飯を食いに来ただけだ。たまたま海賊に巻き込まれたのだよ」
所々穴の開いたマントを羽織るダリウス。風によりパタパタと音を立てている。
僕たちは、島の西部に向かって歩く。
先頭はダリウス。僕はその後ろで彼を凝視している。
この並びで僕の顔なんざ見えないはずだ。見聞色の覇気持ちか、それともただの当てずっぽうか……。
変装したので武器や銃なんてものは持っていない。
いまだ抜けぬ刀は大尉に預けたまんまだ。
生憎、電伝虫は持っている。連絡すれば早々に援軍が来るだろう。
もし僕が『赤イヌ』なら間違いなく、微塵の後悔なく、目の前の老人を殺すだろう。
マグマという高温ならば、ダリウスが計画しているウィルスもろとも始末できる。
だが、今の僕はどうだろうか?
そんな大それた能力は持っていないし、武器もない。
相手は老人だが侮ってはいけない。
この世界の老人はとても強いから……。
だからこそ、今の僕がやるべきことは『情報収集』。
ポケットに潜ませた小型電伝虫を器用に操作し、アルターの電伝虫につなぐ。ポケットから向こうの音声が聞こえては、元も子もないので消音にする。
僕からアルターへの一方的な通信だ。あとは、気づいてもらうために『ワード』を言う。
ダリウスのことは極秘情報だ。なので大尉は勿論知らない。
そしてターゲット……ダリウスにバレてはいけない。
お願いだぁ大尉ぃ!!!気づいてくれぇぇぇぇ!!!!!!
「観光……偶然……。本当に『運が悪い』ですね。この島に『大将赤イヌ』がいるなんて」
「確かに……それこそ1番の想定外だ。熱に強い虫もいるが……それは環境に対してだ。マグマの熱など論外だ……」
「へぇ環境……。あ、そういえば沸騰する程のお湯の中に居る生物も居るどか……」
唐突にテレビの内容を思い出した。
アメリカのイエローストーン。そこの間欠泉は虹色だと、よくやっていた。熱を好む細菌?の所為だというが……。
思わず口に出してしまった……。
「ワシは虫の話をしているのだが……。まぁ微生物の話もよかろう。キミの言う環境で生きているものは好熱菌の分類……その中の超高熱性と言われとる……。……よく知っているな……」
「えッ……ま、まあ……昔、興味があって……。他にも塩分濃度が高いところを好む奴どか……なんとか……」
「そう。他には高圧の環境で生きるもの。酸素がない環境で生きるもの。強酸、強アルカリの環境で生きるもの。それらはすべて極限環境微生物と言う」
「極限……環境微生物……」
メタ●ギアでしか聞いた事ねぇよその単語……。
…………。こ、好奇心が抑えられねぇ……。キイテミヨウゼ……。
「あの~……金属を食べて生きる細菌っていますか……?」
「!?」
ダリウスは驚いた顔で振り返った。
が、直ぐに表情を変え前を向き歩き始めた。
「言いたくはないが……キミの問いだ。答えよう……。……存在する。しかし……うむ……。奴らにそんな脳は無いか……」
存在した!!なんかカッコイイな!!名前つけてぇ!!命名してぇ!!
「あの名前は……」
「軍を去った後見つけた。まだ名は無い」
うぉ──!いけるぞ!いけるぞ!!
「あの……もしよろしければ……メタリックアーキアなんて……どうですか?」
ダリウスは立ち止まると、復唱した。
「採用だ。…………。キミは過程を知らず、結果だけ知っている……不思議な人間だ……」
ゔっ……。痛いところを突かれた。路線変更。蛇足してしまった。
ごめんよ大尉……どうしても聞きたかったんだ……。
「そんな事はどうでも良い(強引)!!ダリウス……お前は何が目的なんだ?『生物兵器』を使用して、『多くの人を殺そうとしている』。お前は数多くの人々を救ってきた!どうして!?」
ビュウと強い風が吹く。
「……。愚かな人間を進化させる為……だ」
また意味の分からぬ事を……。
「そんな事……しなくても……お前の頭が有れば出来るだろうが!?」
「理解できぬ者が居る……。その人間がいる限り前進出来ないのだよ。だからワシは、君たち海軍と同じことをするのだ。人を殺してはいけない、強姦しては行けない、金品を奪ってはいけない……そんな『簡単な事』を理解出来ぬ海賊が居る。だから君たちは、海賊を抑えるべく、正義を行使し、捕まえ、殺している。ソレと同じ事だ」
「違う。海賊は悪だ!だが、民間人は何も罪は犯していない!」
「無知は大罪だ。無知は偏見による差別、格差、暴力を生む。
「…………」
「病魔は格差を打ち壊し、暴力を無くす。人々はより手を取り合って団結するのだ。いずれ病魔を打ち負かす……。この事で差別は無くなる……。そして……人間、魚人、巨人、小人に至るまで『痛い目を受け学ぶ』だろう!!これこそワシが夢見た素晴らしき新世界!!……キミの様に名でもつけようか……平和……いいな」
ダリウスは振り返り、硬く握り拳を作りこう言った。
「
◇◇◇◇
最早分かり合えないと理解した。
なんなら、僕がダリウスの方に流れて行きそうだ……。
「ふっ……。流石だな赤イヌは。仕事が早い……」
何かを察したようで、ダリウスはポツリと呟いた。
赤イヌが動いた……?てかしたぞ大尉!!
「まぁ、当たり前か……。キミのポケット……ワシの虫達が囁くのだ。指摘したら楽しい会話が出来ないからな……。あえて乗ってやった」
まさかここで撒くつもりなのか?
だとしたらヤベェ!!!!
「剃!!」
ダリウスの前に移動してから再び剃を使用し、背後をとる。
首の骨を折る!!
今まで不殺だのなんだのやって来たが……スケールが違う!!
1発。渾身の力を込めてダリウスの首を目掛けて蹴り付ける。
ドッと鈍い音が鳴る。首はマントに隠れているが、確実に当たったはず!
しかし……折れない……。
まるで大木を蹴った様な感覚だ。
「軽いな……少年!」
目にも止まらぬ程のパンチが僕の腹に命中した。
後ろに飛ばされ地に落ちる。それと同時に、さっき食べたものが逆流した。
口の中が酸っぱい……。立ち上がるなり、唾を口の中で回しペッと吐く。
「吐いたのが食ったもので良かったな。今度は虫を吐いてみるか?」
「悪趣味なジジイだ……。だから嫌われるんだ!」
「子供の頃に痛いぐらいに理解している……。さぁ、もう少し遊ぼうか……。このままではワシが消化不良になってしまう」
異様に肥大化した腕を僕の方に出し、クイクイと挑発される。
さっき蹴った首も同様に太くなっている。飯屋に居た棒のようなオッサンは何処かに消えたようだ。
「なめんなよ!!」
右手に砂を隠し持ち、地面をえぐるようにダリウスの元に走った。
剃を使い再び背後に回り、煙幕のように砂を撒く。
ダリウスの重い一撃を紙絵で抜け、拳に鉄塊をかけ胸を強く張る。
歯を食いしばり腹を目掛け放つ──!!
深々と刺さる腕。
側から見れば僕の勝ちと思うことだろう。
ゾワゾワゾワゾワ……
僕の腕にナニカが大量に蠢く感触がした。
コイツの腹の中……或いは身体中に『虫』でも居るのか……!?
ダリウスは軽く笑い「半分正解だ」と言った。
戦慄する僕の腹に彼は手を押し付け放った。
「
ダリウスの手が一瞬膨張し、次の瞬間爆発した。
いや、爆発では無い。
白く巨大な蛇のような虫が複数湧き、押し出された。
虫が出現する前に、腹を僅かに反らせたのでダメージを激減出来た筈だ。
だが僕が軽々と飛ばられる程の威力だ。モロに受けたらたまったものじゃ無い。
立ち上がる。その際に腹から出血していることに気づいた。
距離をあけ服を上げて確認した。
丸いギザギザの跡が何十も……。
しかも血がサラサラと流れ落ちていく感じ……ヒルか?
腹回りの服は赤で染まりつつあるが、たいした出血では無い。ならば……
「うおおおおおおお!!!」
僕は走り出す。両手を広げ笑うヤツの元に!!
「やはり男児はこうでなければ!!では次だ!刃蟲!!」
ダリウスが手を大きく払うと10個の手裏剣のようなモノが飛んできた。
手の甲に鉄塊を張り巡らせ弾くが、右肩、左腿に1個刺さる。
深々刺さったそれを引き抜く。
まじまじ見れていないが「ギィギィ」と鳴いていた。感触から甲虫のようだ。
引き抜く際に掌を切ってしまった。
痛みを怒りに変え拳を固く握ると、指の間から血が滴った。
飛んでくる攻撃を受けつつ進む。
ただひたすら血が流れる。
人間に対して絶大な効果を持つ薬を作った男だ。
どこを斬ればより血が流れるのかを理解しているのだろうか……。
「刃蟲」
次は足を狙って放ってきた。
「月歩!!」
何度も体勢を変えながらダリウスに近寄る。
至近距離……さっきの
「
トトッス……
腹に指ぐらいの大きさの黒色の針、それが2本刺さった──
なんの!!これしき……
「ゔぇっ……!!??」
突然の眩暈と吐き気、耳鳴りに襲われ地面に向かって落下する。
呼吸も何故か苦しくなった。
ゼェゼェと水を求める魚の様に呼吸する。
「鉄、亜鉛、ニッケル、銅……。人間の体には様々な金属が必要だ……。どれも欠けてはいけない大切なものだ……。だがどうだ?充分過ぎる以上の量を摂取すると直ぐに狂う……」
足跡を立ててダリウスは近寄ってくる。
「薬と毒は紙一重だ……。その関係は実に興味深かったよ。毒=量の関係。今のキミはその身を持って体験している……」
「人間は痛い目を受けない限り学ばないのだ……。幾ら我々科学者が安全と言っていても、毒だなんだだの
「聞かぬのなら死ねば良い……。この世は正しい知識をより啓蒙し、拝領した者たちが繁栄し、謳歌するべきなのだ……」
仰向けになる僕の視線にダリウスが写る。
「キミはワシにとって面白い生徒だ……。直接殺しはしない……が……。そうだな……脇腹でも抉ろうか……」
彼の右手が開かれる。
「運があれば生き残るだろうが……この虫は特殊でな……血の凝固作用を喪失させるのだ……。死ぬとしたら血の流れ過ぎによるショック死……。まぁよいか……」
「1つ教えてあげよう……。例のウイルスは2年後あたりで完成予定だ……。中々、継代と改良が上手くいかなくてな……。さて……」
「
左の脇腹にナニカが通り過ぎた。
とても熱い。
とても痛い。
とても寒い。
だけどまだ身体は動く!!
「でりぇぇぇああぁぁぁ!!!!」
刺さる針を一つ抜き僕はダリウスの喉元を目掛け、最後の力を振り絞り、立ち上がって刺した。
キン!!
金属音が響く。
目をやると、ヤツの首元は鉄の鱗のような物に覆われていた。
終わった。完璧に負けた──
左脚は腹の夥しい出血により染まり、その脇腹からはコンニチワと言わんばかりに、内臓が顔を出していた。
「キミの負けだ。再び会える事を願っているよ……」
◇◇◇◇
「血液が足りねぇぞ!!輸血パックはこれで終わりなんだな!?」
「はい!!今、X型の血を集めています!」
「なんとしてでも生かせ!!ここで死んでしもうたら1からやり直しじゃけ!!」
「ですが大将!!脇腹の傷が……凝固剤を打っていますが……出血が抑えられないのです!」
意識がハッキリしないが目覚めた。
病棟……?違う。床は地面丸出しだ。
ではココは……野戦病棟……。
つくづく運がいい……。僕が死ぬ前に見つけてくれたのか……。
「あ……あか……さん」
僕は必死に声を出す。
痛くて痛くて肺が満足に膨らまない。
だけど声を出す。
「!?ゼラ!!意識あるようじゃな!!お前は此処で死ぬわけにはイカン!!死ぬ気で生きろ!」
「焼いて……くれ……。……血が止まら……ない……んだ……」
カチャカチャと金属の音や、外で一際目立つ鳴き声が聞こえる。
エレナ……??
よく響くな……あの娘の声……。
破けた横腹に手が当たる。
僕の四肢が重い腕により固定される。
そして──
血と肉の焼ける匂いが部屋に充満した。
お疲れ様でした。
ゼラ君の敗北回でした!!
サブタイトルですが、使い方があやふやなので…こう…そう……。違和感あっても無視してくれれば嬉しいです。
この回はパクスハンバーガーナ!!!を聴きながら書いてました。
ダリウスの元ネタは言わずもがな…です。
以上です。蛇足でした
ではまた〜