『黒腕』の孫として転生したんだけど……   作:赤い靴

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14話目です。

最後まで読んでいただければ嬉しいです。


第14話 仕切り直し

『キミの負けだ。再び会える事を願っているよ……』

 

 深い闇の中、その言葉が何度も繰り返させる。

 まるで押し寄せる海の波のように。

 

 何度も何度も繰り返し、何度も何度もあの老人の顔が浮かぶ。

 

 気が狂いそうになるほど繰り返し、僕は理解した。

 

 

 あ、そうか。アイツは……

 

 

 

 

 僕に殺されたがっているんだ──

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 目が覚める。といっても、瞼は重く、意識が戻っただけなのだけど……。

 鼻に入るは病院の香り──

 

 真っ白な視界に。そろもうじき慣れてきた。そろ目を開けてもいいかな?

 ガサゴソと布団から脱した両手を顔に持っていき、目を撫でるように触る。

 

 一体何日間寝ていたのか分からない。

 砂煙に潜ったので目ヤニが凄いだろうな、と思っていたが付いていない。

 誰かが拭いてくれていたかもしれない……。感謝しなければ……。

 

 ゆっくり目を開ける。

 白い光にだんだん色がつき始め、視界が安定してきた。

 

 昼。

 

 窓から太陽光が入り壁に当たっている。丁度いい角度なのか虹色に見える。両目は大丈夫そうだ。

 

 周りを見る。うん。病室。

 複数人が寝る大部屋ではなく、僕専用の個室らしい。

 そしてさっきからスースーと寝息を立てている娘が1人。

 僕が寝るベットの横に椅子掛け、壁に背を当てている。

 

 腕を伸ばせば届く範囲なので、ゆっくり、音を消して左腕を伸ばす。

 人差し指でエレナの頬をつつく。

 

 やっこい……可愛い……。

 

 ガチャとドアが開いた。

 普段の僕ならば足音を聞き逃す訳ないのだけど……夢中になりすぎた。

 

 こうして僕は寝ているエレナの頬で遊ぶ『やべぇ奴』としてアルターに見られた。

 

「元気いいですね……。調子だと病院食もいらなそうですね……」

 

「待ちたまえ大尉。これはだな、僕の心臓がはっきり動いているのが調べるために行った訳で……後ろめたい気持ちは微塵もないんだ。あと、病院食は要らないとは『ぶっつけ本番、固形食』の話か、『食わせる飯など無い』の2通りの解釈ができるのだけど、どっち???」

 

 早口で僕は言った。よく噛まずに言えたなと少し感心した。

 

「後者です。…………。まぁ、それはさておき……」

 

 大尉は僕のベット、脚の方に座った。

 

「おかえりなさい、少佐。信じてましたよ」

 

 拳を突き出してきた。あぁ、そゆことね。

 

「お待たせ。さぁ、明日からビシバシ働くぜ」

 

 カツンと合わせる。

 

 アルターと少し話をした後、「ダリウスについての報告をしたいから」と言うことで、彼の事を話した。

 

 悪魔の実の能力者なのだろうけど『体から様々な虫を出す』、『体の一部を鉄のように硬質化させる』などなど……。

 例えばムシムシの実の能力ならば、カテゴリーが固定されるはずだ。なんともイレギュラーな存在……。

 それとウイルスの完成は2年後完成の目安……。

 

 一貫して『高温』に弱いのだけど……対策するだろう……。

 

 奴に勝つとしたら僕には何のカードがあるのだろうか……。

 今の六式もより極めないといけないし、そもそもあの刀すら抜けていない……。

 

 

 エレナが起きないように小言で伝え、大尉に報告書を作ってもらった。

 

 大尉に僕が何日寝ていたのかを聞いたら、13日と返って来た。

 カレンダーで確認すると現在、年終わりの数日前。鐘は鳴らせなさそうだ……。ガープ中将、ごめんね。

 

「……よし。これで私は行きますね。……少佐、貴方が倒れ血が足りなくなった時ですが……エレナが貴方に貧血で倒れるほどに……ゥッッ……。いえ、なんでもありません。ではまた……」

 

 アルターは立ち上がり、軽く頭を下げるとこの部屋を後にした。

 

 なんだアイツ……言葉を濁すように言って……。まぁいいか……。さて続きだ続きだぁ!!

 

「だぁ!!!お、起きていらしゃいましたか……」

 

 振り向いたらエレナの目が開いていた。これは一種のホラーだよ……心臓が痛い……。

 

「大尉とお話している途中で……。……お元気そうでよかったです」

 

「あははは……何とか生きてるわ……ぼく。……なんか悪かったね……、血をくれたんだってね。ありがとう」

 

 僕はエレナに頭を下げる。

 遠のく意識の中、『血が足りない』と誰かが言っていた。

 彼女は無理をしてでも僕の命を紡いでくれた……感謝しかない……。

 

「あ……あたし、キミのこんな姿なんて見たくないよ……。ねぇ……海軍やめない……?……そう、いっその事転職してさ、ゆっくり生きるのも……いいのかな……って……」

 

 悲痛──

 

 今のエレナにはその言葉が嫌になるほど似合っていた。

 だけどダメなんだ……。僕には……『やるべきことが1つ増えてしまったから』。

 

「ごめん、それは出来ない」

 

 断言した。軟弱なエレナの言葉を、刀で二分するかのように。

 そして僕は笑ってこう続けた。

 

「なに弱気になってるんだ、未来の大将!!僕はエレナが大将に行くまで僕は決して死なねぇぜ!!!!」

 

 

 

 海軍本部、とある病棟の1室。

 背を丸め嗚咽する少女と、その背を摩る少年。

 窓から入る眩しい光は、少年の宝物のピアスを煌びやかさせた。

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 リハビリと味の薄い病院食に愚痴を吐き、4日が経った。

 赤イヌが焼いてくれた横腹は、力を込めるたび激痛が走る。

 そこは未だ赤黒く、当然だけど包帯が取れずにいる。

 

 そんな中、僕ができる仕事といえば……

 

「はいどうぞー資料ですー」

 

 資料配り。医者からは『内臓が癒着するから痛くても動け』と言われ、この仕事をしている。

 臨時会議。将校を集い、とある男についての議論がなされているのだ。

 

 配り終わり、僕は後列の席に座る。

 相変わらず横腹は痛ぇが、何とかなっている、が……冷や汗が尋常じゃねぇ程かいている。

 

 視線を上座に移す。

 そこには3大将と元帥が座り、大きいホワイトボードの前にブランニュー大佐がこの件について説明している。

 

 その議題は『環形のダリウス』──

 

 資料を見る。

 彼の経歴が初めにあり、古新の顔(新しい顔は僕の証言で、似顔絵捜査官が書いてくれた。メッチャ似とる)。

 目的とウィルスについて……。

 

 この資料のほとんどが僕によるもの。結構いい働きをしたのでは??????

 

 ブランニュー大佐の大きな、そして聞き取りやすい声で会議は進行する。

 ……まぁ案外、ガヤガヤしている。抜け出してもバレなそうだ……。

 

 ふと、隣の開いている席に誰かが座り込んだ。

 匂いでわかる。アインさんだ!!!

 

「お、おひさしぶりです……アインさん」

 

「うん、そうだね。ゼファー先生と海賊狩りに出ていたから……半月ぶり?」

 

 ニコりと笑みを浮かべて返してくれた。うれしい

 

「海賊狩りですか……どうでしたか?」

 

「えーっと……3億が5人……8億が1人……。1億以下が38人。って感じ」

 

 可愛く言っても惨いんですけど……。

 ……まぁアレか……。ほとんどジジィの成果なのか……。

 あの義手もまだ未完成なのによくやるわ……。

 

「それはそうとゼラ君……よく生きて帰ったね……。知らせを受けたときは……もう……」

 

「なんとか生きてます……ジジィはどんな感じでしたか……?」

 

 カープ中将の隣に座るゼファーを見る。

 資料をただ見つめ、腕を組んでいる。

 

「ゼファー先生は『そんな事でくたばる男じゃねぇよ』だって……。ビブルカードを持っていないのに断言するなんて……よっぽどキミを信頼しているんだろうね」

 

「そうか……」

 

 何故か涙があふれてきた。

 ポロポロと落ちる雫を手のひらで受け止める。

 何故か苦しくなって、背を丸める。

 いくら拭っても拭っても涙が溢れて止まらない。

 

 声を必死になって殺すが息が詰まる。

 

 ガサゴソと音を立て、前の将校たちが僕を隠すように詰めて座り直した。

 

「おい!!ブランニュー!!こっちまで声が届かねぇぞ!!!」

 

「元帥!!指名手配書を作成した方がいいのでは!?!?」

 

「否!!この件はもっと慎重にあるべきだ!!!」

 

 僕の鳴き声を掻き消す様に、前方から声が響く。

 

「……皆んなキミが大切なんだよ……。今はゼラ君の部下も居ない……。気が済むまで泣きな……」

 

 口に手を当て、嗚咽を漏らし机に伏せる。

 そんな僕をアインさんは抱き寄せた。

 

 言葉無く、ただそっと。力強く。

 

 




お疲れ様でした。

後書きで書くことは特に有りませんので、これで終わります。

ここまで読んでくださってありがとうございます!!

ではまたー
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