『黒腕』の孫として転生したんだけど……   作:赤い靴

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楽しく読んで頂ければ嬉しいです!!!


第18話 決勝戦 延長戦

 一戦目、僕はマイマードと戦い勝利した。

 武武の優勝まであと三回。シードが無く、総当たりなので休憩時間は沢山あった。

 痛む横腹に目をやりながら僕は闘技場で偵察をする。

 いずれ戦うのだ。一つでも多く突破口を導き出したい。

 

 武武の中には九蛇海賊の乗組員(クルー)も居り、場は盛大に盛り上がった。

 流石に戦士との力量は明白で、終始圧倒していた。

 

 はて。ニョン婆にカッコつけましたが、僕はその人に勝てるのでしょうか?不安になってきたぞ……。

 

 三回戦目。準決勝から闘技場の玉座にハンコックが現れた。

 まるで『今までの勝負は興味が無い』とでも言わんばかりに。

 

 そんな彼女に一矢向けるように、僕は勝利し決勝戦の挑戦状を手中にした。

 そして運が良いことに、準決勝を勝ち上がった僕に勝利の女神は微笑んだ。

 

 僕と対をなすブロック。そこで起こった。

 蛇姫により武器の使用が許されている事が裏目に回ったのだ。

 

 一方はハンマー使い。もう一方は鞭使い。その準決勝。

 振り上げたハンマーに絡ませるかのように鞭を打ち込む戦士。そのハンマーを奪取するように上にまくり上げた。

 

 その瞬間だった。絶世の美女ことボア・ハンコックがくしゃみをした。

 たった一つのくしゃみ。それが闘技場の全ての人間を魅了した。

 勿論、闘技場の戦士たちも例外では無く、抱き合って蛇姫への美を称賛した。

 

 だが落下するハンマーは魅力に掛かる訳なく、二人の戦士の頭に目掛けて自由落下したのだ。

 タライ落としのように。いや、それよりも何十倍も重い鉄の塊が──

 

 ガツン!!!

 

 とんでもない音が闘技場に響いた。

 遠目から見て出血は無く、気を失っているだけのようだ。

 何という強靭度。これがアマゾンリリーの戦士、その故なのだろうか……

 

 こうして僕は呆気なく優勝した。

 そして僕は、ボア・ハンコックの自室に居た──

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

「あの……優勝したので…ね?……どうですかね…?」

「何がじゃ?」

「環形の……」

 

 僕は恐る恐る言った。どうして????

 

 最早太陽も落ち月が煌々と輝いていた。

 眼前の蛇姫は機嫌が良くなかった。

 そんな彼女に何か言えるほど肝が据わっていない僕は、泣いていた。

 

 実際に泣いて無いんだけど、心がね……。

 どうすればいいんだ、この我が儘女帝は……。

 

「では姉様、この者の『延長戦』はいかがでしょう?」

 

 サンダーソニアはハンコックに言う。

 その妹、三女のマリーゴールドも同様に首を縦にふる。

 

「はて、延長戦とは」

「はい。決勝戦が無くなり姉様も不完全燃焼でしょう。そこで延長戦。真の決勝戦を開くのです」

「ほぉ面白そうだな。……こう言う物語も良いな。『我が城の宝物殿に忍び込み捕まった。その処刑は九蛇が行った』と」

「そんな!?それじゃあ海軍の……人質の意味がまるで無いのでは!!??」

 

 僕はハンコックに更に言う。最悪の場合、王下七武海の称号を剥奪される可能性も有る、と──

 だが彼女は靡かなかった。それどころか開き直り微笑した。

 

「それはそれで面白いではないか…!!我ら九蛇海賊団、再び旗を揚げる時が来たようだな……」

 

 ハンコックへの交友ルートは崩れ、見事に敵対ルートに移行した。

 そして僕は妹達に拘束され闘技場に連れていかれた。

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 夜も深くなっているのに、闘技場は満杯だった。

 女帝の妹たちが目玉だからだろう。

 

 玉座にはハンコック。

 僕の眼前には悪魔の実の能力によって蛇の姿に変身した、サンダーソニアとマリーゴールド。

 

「いけーやっつけろー!!」「サンダーソニア様──!!」「マリーゴールドさま!素敵!!」「月光に照らされた蛇姫様…美しすぎますー!!」

 

 僕が出場した武武よりも盛大な歓声が覆う。

 それも当たり前だろう。

 かの蛇の怪物であるゴルゴンを退治した姉妹と言われている。

 

 その熱狂的で狂信的で、壮絶な支持は僕の心を打ち砕かんとした。

 勝率は絶望的だ。

 今の僕は、彼女たちを打ち負かしたルフィよりも弱い。

 

 体調も万全では無いし、妹達を圧倒する程の火力も無い。

 まず第一、優勝しか考えていなかったので体力も同様に無いのだ。

 

 こうもドクドクと少量だが流れる血が、服を染めている。

 

「なにどうしたの?あらら、血が出ているじゃないの?……。道理で、姉様の能力が効かなかったのも判るわ」

「満身創痍のネズミ。後は飲み込むだけね」

 

 あらら、うふふと笑うサンダーソニアとマリーゴールド。

 それに僕は一言告げる。

 

「手負いの獣ほど恐ろしいモノは無いぞ……」

「そうね。なら……短期決戦ね!!」

 

「さあ行けサンダーソニア!マリーゴールド!宝物殿に忍び込み、盗みを働こうとした罪!極刑の武武にて知らしめよ!!」

 

 ハンコックの命が下った。

 僕の処刑は逃れられないものとなった。

 

 なら…戦うしかない……。

 

 一か八か、綻び刀に手を置き抜刀する──

 しかし抜けず、僕の右手は空を切っていた。

 

「何?茶番?もう終わりでいいわよね!?」

 

 マリーゴールドの長い斧槍が素早く振るわれる。

 その一撃一撃が致命傷を与えるほどの威力と悟り、紙絵で避けつつ後退する。

 

「背後ががら空きねアナタ?」

「!?」

 

 僕の背中に強い衝撃が走る。

 サンダーソニア。蛇に変化させたその尻尾で叩きつかれた。

 闘技場の石畳が割れる程の威力。不意の攻撃とあってガードは取れなかった。

 だが間一髪、気を失わずにすんだ。幸運だ。

 

 これもジジィや三大将との稽古のお陰だろうか?お礼は言いたくないが、心の中で感謝をした。

 

 砂埃が落ち着く。

 僕を中心に、二匹の巨大な蛇が舌を出し、回っている。

 隙の無い布陣。死角と隙をコチラに与えてくれない。

 

 さぁどうする?ジジィならどうする?大将ならば……僕ならば……!!!

 

「あ……そういうことなのか……」

「もう勝てる未来が浮かばなくなったのね?一瞬で終わらせてあげる…。蛇髪憑き──八岐大蛇!!」

 

 サンダーソニアは緑の長髪を蛇に変化させ、一気に迫った。

 

 どうして気づかなかったんだろうか?

 覇気が足らぬのならば……その代償を差し出せば良い。

 こんな簡単な事……なぜ今まで浮かばなかったんだろうか?

 

「僕の寿命でも、内臓でも、目ん玉でも……好きなモノ持っていけ!!その代わりに、一時でいいから……」

 

 僕に力を貸してくれ──

 

 そう願い、刀に手を置く。

 迫る攻撃を差し置いて、僕は集中した。

 ただこの刀を服従させることだけを。

 

 そして──

 

 紫の閃光が闘技場を駆け抜けた。

 それは遠い日に恐れられた海兵『紫電』。その雷光。無き祖母、アセロラと同等のモノだった。

 

「ッウ……!?」

 

 その放たれた一線は、鋼鉄の強度を誇る八岐大蛇を切り伏せた。

 

 ボロボロの刀身。ソレを覆う紫と黒のオーラ。

 

「グフェ…ゴホッ…!!」

 

 思わず咳をする。受け止めた手には血がベッタリと付着していた。

 口元と袖でふき取ると、一つ深呼吸を入れる。

 戦慄する妹達に刃先を向け、僕は言った。

 

「さぁ……第二ラウンドの始まりだ!!」

 

 

 




いかがでしたか?
ついに綻び刀を抜きました!
その代償はどのぐらいなんでしょうねー?

次回も読んで頂ければ嬉しいです!!

では、また~
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