読んで頂ければ嬉しいです。
「テメェ!!この…ブフッ…!?」
勿論知ってはいたが、新世界の海賊は手ごわい。
前半の相手ならば一撃で撃破出来るが、ココはそうもいかなかった。
すかさず二撃目を腹に入れ、ようやく膝を折った。
倒れ込んだ海賊は、懸賞金も掛かっていない船員の一人。
あまりにもタフだ。しかも統率も取れており、中々に攻めにくい。
ズドンと少し遠くで爆発が起こった。
味方。海軍の砲撃だ。
よく狙ってくれよ……?最悪死んじまう……
「ダアァアアア!!」
両手に湾刀を携えた海賊が、唸る様に声を上げ近づいて来る。
その男の一刀を避けるが、即座に二刀目、三刀目と連撃した。
相手も見聞色が使える様で、的確に僕の弱点。首や関節、腹、眼球を狙って来た。
僕は見聞色が得意では無いと自覚している。だから、大将黄ザルとの稽古で習得した、予測を
だからだろうか。相手の動き──
息遣い、視線の動き、足先の向き、体幹の移り変わり。
それが予想できるのだ。
しかしその予想はあくまでも予想で、見聞色の様に安牌では無いのだ。
だが──
「首を狙った上段からの振り下げ……振り上げからの突き……脚への二刀回転斬り……」
「……!!!クソォ…!!何故当たらんッ……!!!!」
その一撃一撃。自分の予測との答え合わせをする様に呟く。その全てが的中したのだ。
「ジジィが言ってた事が、何となく分かったような気がする……」
「さっきから…!!何を……!!!ブツブツとォォォ!!!!」
「フィジカルと技術あってこその覇気……。そういう事だよな…!」
迫りくる湾刀に向かって殴りつける。
ピシッ……と音を立てヒビが入り、崩れ落ちた。
「!?お…オレの剣を……!!よくも砕いてくれたな!!」
左手に持つ湾刀を右手に持ち替えた男は、勢いをつけ大きく振りかかってきた。
パニックに陥った人間のよくある行動だ。
その動きに技や美も無く、容易に受け流し、腹に目掛けて拳を沈めた。
甲板に伏した海賊を一目見て、僕は走り出した。
向かうは敵の長の下。その者は能力者だ。
まだ練度は低いが覇気と体力は温存している。
先程まで快晴だったのに、いきなり海は荒れ、横殴りの雨が降る。
雨で体温が下がり切る前に倒し切りたい……
僕は目先の海賊を打ち倒しながら進んだ。
◇◇◇◇
「おいおい……とんだ雑魚ばかりだ。歩く地獄も衰えたな……」
甲板から階段を上った先。船首にて、海兵の頭を鷲掴みにし、頭上高く持ち上げる男が居た。
その海兵の顔は手で覆われて見えなかったが、その金髪には見覚えがあった。
「先輩ッ!?」
イグアスだった。単身で船長に戦いを挑んだのか…
「野良犬…後ろだ……!!」
「!?」
イグアスの一言あって、後ろの存在の気配を察知した僕は、大きく距離を取った。
すかさずにベキッと音を立て、今さっきまで居た場所の床が飛び散った。
「兄者ぁ~。外しちまった~」
「しょうねぇさ。次当てればいい」
乗り込む前に敵船を確認していたので、その顔は知っている。
リチャード海賊団船長。双子が指揮するこの海賊は、タフで有名だ。
兄、リチャード・オーラン。弟、トーマス・オーラン。
この兄弟は対象的で、兄は細身だが弟はガッチリした体型だ。
悪魔の実の情報も手中に居れており、兄は『キリキリの実』。弟は『タメタメの実』。
リチャードはロギア系で、トーマスはパラミシア系。
特にタメタメの実の能力は手強く、貯めた力を一点に放出したり、ガードにも使える。
兄弟各々に三億五千万の懸賞金がかかっている。
流石に分が悪い……。
一対一ならまだあるが…双子。息の合った連撃は受け止める自信は無い……
ここはイグアス先輩を回収して、ミシガン中将のところに…………!!!!
僕の後方。つまり、ミシガン中将乗る軍艦付近から大きな水音が響いた。
水しぶきを盛大に上げ、海面から三隻の海賊船が現れた。
「……船をコーティングして…待ち伏せしてたのか……」
僕がそう呟くと、リチャードはイグアスをコチラに投げ捨て言った。
「この海域はミシガンにとって庭のようなモノだ……とても厄介で邪魔なのさ。……その為に商売敵と手を組んだのさ」
「流石兄者!!オイラより頭いいぜ!!」
「最低でもコールサインを与えられた海兵を潰す。そうすれば…幾らミシガンでも心が折れるだろうと。そういやお前…」
黒腕の孫だな?
そう彼は言った。そして続けた。
「新世界に出たばっかの俺は……黒腕によって壊滅一歩手前まで崩された。なんとかトーマスと逃げ出して……再編するまで三年掛かった」
「んんだ、んんだ!」
「その恨みを晴らすべく、黒腕の息子を殺そうと思っていたが……どうやら勝手にくたばったようだ……。だが、俺の仇。その血族が目の前に居る──」
「おぉお!!兄者ァ!!コイツぶん嬲って殺しちまおう!!!」
「ミシガンはお前を助けに来ない。その他の海兵も、お前を助けに来ない。運命は決まった」
「左腕を引きちぎって……脚を握り潰す!!!」
「誰がぁ……助けに来ないって……???」
ポンと僕の肩に手が置かれた。
僕はその声を知っている。
「先輩……」
イグアスは顔中血まみれで、既に息が上がっていた。
「この野良犬がどう死のうと…知ったこっちゃ無いが……ミシガンに文句言われるのは…癪に障るんでな」
「助け?足の引っ張りでは無いのか?G5イグアス?」
リチャードは嘲笑う感の様に言う。それに続きトーマスも笑った。
「おい野良犬…武装色は使えるか……?」
「一応…長時間の持続は出来ませんが……」
「なら良い……。オマエはリチャードを叩け。アイツはオマエを目の敵にしてる…いつか隙が現れるはずだ……」
「……
「トーマスは死にかけを殺してこい。俺は少佐を殺す」
「兄者ぁ殺さんといてくだせいよぉ。オイラも殺してぇ!!」
「なら……早いもん勝ちだ!!」
リチャードは腰の剣を抜き、その身を霧と化す。その後──
「ッ!?」
綻び刀を抜刀し、リチャードの一撃に対応する。
「よく反応したな…。にしても……その刀」
「うるせえ!!」
リチャードの腹を目掛け、嵐脚をしたが当たる前に消えてしまった。
「うおおおおおおおおぉおお!!!!」
その濃霧の向こう。トーマスが勢いよく、その巨躯で突進してきた。
避けられる余裕が無いと理解し、刀で受け止める事にした……が。
バン!!!とい銃声と共に、左側の腿に痛みが走る。
一瞬、痛みの大元を見た。一つの銃創。そこから血がじんわりと滲んでいた。
「どりゃあぁ!!!」
「クッソ…!!??」
下半身の体勢が崩れた所為で、トーマスの突撃をモロに食らった。
勢いを消せず、海賊船のハンドレールに背中を強打した。
肺の空気を全て吐きだし、呼吸が一瞬止まる。
「野良犬!!……グハァ…!!!」
イグアスもトーマスのラリアットで甲板に伏した。
「兄者ぁ~。コイツ等…そんなでもないぞ」
「そうだな。だが…油断はするな……。相手は海兵だ」
数回咳をして立ち上がる。
「ガープさんの拳骨と比べれば……まっっっったく効かん!!」
「オレもただ……空が見たくて寝そべっただけだ…!」
二人の海兵は敵を睨み言った。
「じゃあ先輩!仕切り直し…さっきの作戦で!」
「あぁ」
再度刀を構え、僕はリチャードに向かった。
勝機はあると思っている。
ならば、その可能性に懸けるだけだ――
お疲れさまでした。
いかがでしょうか?
特に書くこと無いので少し蛇足を……
オーラン兄弟ですが、元はある海賊のクルーとして搭乗していました。
しかし、ゼファーによりその海賊は崩壊。その後に、兄弟を船長としたリチャード海賊団を結成しました。
現在の年齢は30手前です。
以上蛇足でした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
では、また~