『黒腕』の孫として転生したんだけど……   作:赤い靴

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22話目です。

読んで頂ければ嬉しいです。



第22話 遠足②

「テメェ!!この…ブフッ…!?」

 

 勿論知ってはいたが、新世界の海賊は手ごわい。

 前半の相手ならば一撃で撃破出来るが、ココはそうもいかなかった。

 すかさず二撃目を腹に入れ、ようやく膝を折った。

 

 倒れ込んだ海賊は、懸賞金も掛かっていない船員の一人。

 あまりにもタフだ。しかも統率も取れており、中々に攻めにくい。

 

 ズドンと少し遠くで爆発が起こった。

 味方。海軍の砲撃だ。

 よく狙ってくれよ……?最悪死んじまう……

 

「ダアァアアア!!」

 

 両手に湾刀を携えた海賊が、唸る様に声を上げ近づいて来る。

 その男の一刀を避けるが、即座に二刀目、三刀目と連撃した。

 相手も見聞色が使える様で、的確に僕の弱点。首や関節、腹、眼球を狙って来た。

 

 僕は見聞色が得意では無いと自覚している。だから、大将黄ザルとの稽古で習得した、予測を常日頃(つねひごろ)取り入れている。

 だからだろうか。相手の動き──

 息遣い、視線の動き、足先の向き、体幹の移り変わり。

 それが予想できるのだ。

 

 しかしその予想はあくまでも予想で、見聞色の様に安牌では無いのだ。

 だが──

 

「首を狙った上段からの振り下げ……振り上げからの突き……脚への二刀回転斬り……」

「……!!!クソォ…!!何故当たらんッ……!!!!」

 

 その一撃一撃。自分の予測との答え合わせをする様に呟く。その全てが的中したのだ。

 

「ジジィが言ってた事が、何となく分かったような気がする……」

「さっきから…!!何を……!!!ブツブツとォォォ!!!!」

「フィジカルと技術あってこその覇気……。そういう事だよな…!」

 

 迫りくる湾刀に向かって殴りつける。

 ピシッ……と音を立てヒビが入り、崩れ落ちた。

 

「!?お…オレの剣を……!!よくも砕いてくれたな!!」

 

 左手に持つ湾刀を右手に持ち替えた男は、勢いをつけ大きく振りかかってきた。

 パニックに陥った人間のよくある行動だ。

 その動きに技や美も無く、容易に受け流し、腹に目掛けて拳を沈めた。

 

 甲板に伏した海賊を一目見て、僕は走り出した。

 向かうは敵の長の下。その者は能力者だ。

 まだ練度は低いが覇気と体力は温存している。

 

 先程まで快晴だったのに、いきなり海は荒れ、横殴りの雨が降る。

 雨で体温が下がり切る前に倒し切りたい……

 

 僕は目先の海賊を打ち倒しながら進んだ。

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

「おいおい……とんだ雑魚ばかりだ。歩く地獄も衰えたな……」

 

 甲板から階段を上った先。船首にて、海兵の頭を鷲掴みにし、頭上高く持ち上げる男が居た。

 その海兵の顔は手で覆われて見えなかったが、その金髪には見覚えがあった。

 

「先輩ッ!?」

 

 イグアスだった。単身で船長に戦いを挑んだのか…

 

「野良犬…後ろだ……!!」

「!?」

 

 イグアスの一言あって、後ろの存在の気配を察知した僕は、大きく距離を取った。

 すかさずにベキッと音を立て、今さっきまで居た場所の床が飛び散った。

 

「兄者ぁ~。外しちまった~」

「しょうねぇさ。次当てればいい」

 

 乗り込む前に敵船を確認していたので、その顔は知っている。

 

 リチャード海賊団船長。双子が指揮するこの海賊は、タフで有名だ。

 兄、リチャード・オーラン。弟、トーマス・オーラン。

 この兄弟は対象的で、兄は細身だが弟はガッチリした体型だ。

 

 悪魔の実の情報も手中に居れており、兄は『キリキリの実』。弟は『タメタメの実』。

 リチャードはロギア系で、トーマスはパラミシア系。

 特にタメタメの実の能力は手強く、貯めた力を一点に放出したり、ガードにも使える。

 

 兄弟各々に三億五千万の懸賞金がかかっている。

 

 流石に分が悪い……。

 一対一ならまだあるが…双子。息の合った連撃は受け止める自信は無い……

 

 ここはイグアス先輩を回収して、ミシガン中将のところに…………!!!!

 

 僕の後方。つまり、ミシガン中将乗る軍艦付近から大きな水音が響いた。

 水しぶきを盛大に上げ、海面から三隻の海賊船が現れた。

 

「……船をコーティングして…待ち伏せしてたのか……」

 

 僕がそう呟くと、リチャードはイグアスをコチラに投げ捨て言った。

 

「この海域はミシガンにとって庭のようなモノだ……とても厄介で邪魔なのさ。……その為に商売敵と手を組んだのさ」

「流石兄者!!オイラより頭いいぜ!!」

「最低でもコールサインを与えられた海兵を潰す。そうすれば…幾らミシガンでも心が折れるだろうと。そういやお前…」

 

 黒腕の孫だな?

 

 そう彼は言った。そして続けた。

 

「新世界に出たばっかの俺は……黒腕によって壊滅一歩手前まで崩された。なんとかトーマスと逃げ出して……再編するまで三年掛かった」

「んんだ、んんだ!」

「その恨みを晴らすべく、黒腕の息子を殺そうと思っていたが……どうやら勝手にくたばったようだ……。だが、俺の仇。その血族が目の前に居る──」

「おぉお!!兄者ァ!!コイツぶん嬲って殺しちまおう!!!」

「ミシガンはお前を助けに来ない。その他の海兵も、お前を助けに来ない。運命は決まった」

「左腕を引きちぎって……脚を握り潰す!!!」

 

「誰がぁ……助けに来ないって……???」

 

 ポンと僕の肩に手が置かれた。

 僕はその声を知っている。

 

「先輩……」

 

 イグアスは顔中血まみれで、既に息が上がっていた。

 

「この野良犬がどう死のうと…知ったこっちゃ無いが……ミシガンに文句言われるのは…癪に障るんでな」

「助け?足の引っ張りでは無いのか?G5イグアス?」

 

 リチャードは嘲笑う感の様に言う。それに続きトーマスも笑った。

 

「おい野良犬…武装色は使えるか……?」

「一応…長時間の持続は出来ませんが……」

「なら良い……。オマエはリチャードを叩け。アイツはオマエを目の敵にしてる…いつか隙が現れるはずだ……」

「……了解(ヤー)

 

「トーマスは死にかけを殺してこい。俺は少佐を殺す」

「兄者ぁ殺さんといてくだせいよぉ。オイラも殺してぇ!!」

「なら……早いもん勝ちだ!!」

 

 リチャードは腰の剣を抜き、その身を霧と化す。その後──

 

「ッ!?」

 

 綻び刀を抜刀し、リチャードの一撃に対応する。

 

「よく反応したな…。にしても……その刀」

「うるせえ!!」

 

 リチャードの腹を目掛け、嵐脚をしたが当たる前に消えてしまった。

 

「うおおおおおおおおぉおお!!!!」

 

 その濃霧の向こう。トーマスが勢いよく、その巨躯で突進してきた。

 避けられる余裕が無いと理解し、刀で受け止める事にした……が。

 

 バン!!!とい銃声と共に、左側の腿に痛みが走る。

 一瞬、痛みの大元を見た。一つの銃創。そこから血がじんわりと滲んでいた。

 

「どりゃあぁ!!!」

「クッソ…!!??」

 

 下半身の体勢が崩れた所為で、トーマスの突撃をモロに食らった。

 勢いを消せず、海賊船のハンドレールに背中を強打した。

 肺の空気を全て吐きだし、呼吸が一瞬止まる。

 

「野良犬!!……グハァ…!!!」

 

 イグアスもトーマスのラリアットで甲板に伏した。

 

「兄者ぁ~。コイツ等…そんなでもないぞ」

「そうだな。だが…油断はするな……。相手は海兵だ」

 

 数回咳をして立ち上がる。

 

「ガープさんの拳骨と比べれば……まっっっったく効かん!!」

「オレもただ……空が見たくて寝そべっただけだ…!」

 

 二人の海兵は敵を睨み言った。

 

「じゃあ先輩!仕切り直し…さっきの作戦で!」

「あぁ」

 

 再度刀を構え、僕はリチャードに向かった。

 勝機はあると思っている。

 ならば、その可能性に懸けるだけだ――

 

 

 




お疲れさまでした。
いかがでしょうか?

特に書くこと無いので少し蛇足を……

オーラン兄弟ですが、元はある海賊のクルーとして搭乗していました。
しかし、ゼファーによりその海賊は崩壊。その後に、兄弟を船長としたリチャード海賊団を結成しました。
現在の年齢は30手前です。

以上蛇足でした。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

では、また~
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