誤字脱字など有りましたら連絡頂けると嬉しいです!!
降り止まぬ雨は
僕の後方では大砲や銃声、叫ぶ声が絶えず聞こえた。
体勢を立て直した僕らは、オーラン兄弟に対し構える。
そして──
「GO!!」
イグアスの一声で一斉に駆け出し、リチャードに拳を振るう。
武装色はまだ甘いが、ロギア系の実体は捉えられる。
多少なりとも圧を掛けたいのだ。
僕の心はまだ…折れていないと…!!
「来い俺の仇…!!」
そう言ってリチャードは霧に変化した。
僕の内ポケットに隠す海楼石を用いた小銃は使えない。
その身体を現した時ではないと効果が薄い。
なんなら、より警戒されてしまう。
濃霧と横殴りの雨の中、立ち止まり集中する。
霧をむやみやたらに殴っても埒が明かない。
本体を狙わなければ意味が無い。
ロギア系に言える事だが、凡その能力者は
それは似たような悪魔の実。モクモクの実のスモーカーさんを原作で履修済みだからなぁ!!!
故に彼らロギア系は、覇気によるカウンターに弱い。
だから僕は立ち止まる。リチャードに攻撃してもらえる様に──
「半歩下がれ!!!野良犬!!!」
無意識にその言葉通り動いた。
鼻の先をブンと、風を切った。
弟、トーマスの一撃だろう。イグアスの声が無ければ当たっていた。
肝が冷えると同時に、自身の見聞色の無さを痛感した。
危うく死んでいたかもしれない……。
「テメェの相手は…この俺だ!!!」
視界が悪いので音による憶測だが、先輩はトーマスに一発重いのを入れられたらしい。
その後、バギィッと大きな木音と共に食器が床に落ちる音。
どうやら船内に誘導?ようだ。
カチャ…!!
後方から銃の構える動作が耳に入る。
一発、脚に喰らってはいるが……撃たれると分かっていれば避けるのは容易い。
放たれる銃弾を紙絵で避け、最速で拳を元凶に叩きつける。
銃が損壊する気持ちの良い音と共に、辛酸をなめたようなリチャードの声が上がる。
クリーンヒット!!良し!!!
「良い…反応速度だな……。思わず面食らったよ……。しかし、コレはどうかな……?」
濃霧が薄くなる。
流石に大技を打つには、濃霧のアドバンテージを捨てなければ出来ないのか…?
視覚が確保できるので、僕としては嬉しいが……
霧が完全に消えた。
僕の目の前のリチャードは両手に剣を持っていた。右手に針剣、左手は……見えない!?
右手をコチラに構え睨む海賊に対し、僕は口を開ける。
「おいおい……。さっきの霧が有った方が良かったんじゃないか??」
「アレは弟と組む際の…一時のモノだ。トーマスが居ない以上…自身の能力を制限するのはアホがやることだ」
「へー。ロギアも大変そうですね……ッッ!?」
イヤな殺気を感じ、横に大きく逃げた。
ボォッ!と空を割く音の後、リチャードから一直線に炎の道が出来た。
キリキリの実の能力に炎!?
カラクリが全く分からない…!!
「行くぞ!海兵ぃ!!」
続いて左手を振るった。
アドリブで避けるが、頬に浅い切り傷が出来た。
見えない武器とでも言うべきか……。リーチを把握できないのは、かなり厄介だ。
炎を放つ針剣と、見えない武器。
これも悪魔の実の能力なのか…!!
リチャードは身を屈み針剣を構える。
それに応じ、僕は腰に下げる綻び刀に手をやった。
数秒の沈黙。その後、一つの轟雷によって破られた。
迫る針剣の鋭い一撃を抜刀した刀で弾いた。
吹けぬけた猛烈な熱波。
直撃を避けれたが、直に当たっていれば焼け焦げていたかも知れない……。
「その刀を抜いた時だけ……覇気が何十倍も増加している…。妖刀?…その代償は…寿命か?」
「うるせぇ!!」
そのまま押しのけ、刀を仕舞う。
月歩と指銃を組み合わせリチャードに追撃するが、見えぬ武器で弾かれてしまう。
「このままゆっくり殺しても良いが……あちらは劣勢の様だ……。地獄はまだ健在のようだ……」
ミシガン中将の事だろう。
あの人は、かってジジィと共にしたと聞いている。
なら問題ない。こんな程度で負けるわけがないからな。
「おりゃあ!!」と足元から声がした。
それと同時に床板を突き破ってトーマスが現れた。
「すまねぇ兄者ぁ……オイラ、ダメだった……」
「やっとくたばったかゴミが…!!!」
血で頭部が染まったイグリスが、穴から甲板に飛び移るなり、ダルそうに言った。
「まだ死んで無かったのか……野良犬……」
「ええ……お陰さまで……」
袖で顔に血を拭うイグリスに僕は言う。
「右手の針剣は、直線状に熱波を繰り出します。溜め…構えの姿勢が合図です。…左手は、能力で武器を隠しています。恐らく大剣の類かと……」
「……分かった」
僕らは再び構え直した。
「……。トーマスの雪辱、貴様らの首をもって晴らしてくれよう……!!」
「行くぞ!!」
「はい!!」
再びイグアスの声と共に駆けだした。
いつの間にか、空は青空をチラつかせていた。
◇◇◇◇
二対一だからだろうか。
リチャードの攻撃は、武装色と鉄塊を混ぜれば耐えれる程度になった。
しかし、構えからの熱線?の攻撃はやはり致命的で、的確に避けていく。
「クソッ……!!」
腹を目掛けて拳を振るう。イグアスがヘイトを買っていた為、マトモなダメージを与えられた。
「畳みかけるぞ!」
イグアスの息に合わせ、攻め続ける。
リチャードは、器用に武器で応戦している。
しかし確実にコチラが押している…!!
素早く柄に手をやり、抜刀する。
「抜刀、一文字!!」
横一線の紫の美しい残光と共に、リチャードの血が宙を舞う。
分かってはいたが……急速な疲れに襲われる。
だた刀を抜きガードする。覇気を纏い攻撃する。
この二つの覇気の消耗具合は、天と地ほどに乖離している。
綻び刀により攻撃は、次でラストになるだろう……。
「浅ぇぞ!!もっと踏み込め!!」
と、イグアスの激励を右耳から左耳に移し、コートの裏に手を回した。
対能力者用小銃。ジジィのお古、それを僕が改造したモノだ。
リチャードの肩を狙い一発打ち込んだ。
その弾は僕の目論見通り、半分霧と化した身体によって擦り抜けていった。
「
新世界の戦いのイロハは、青キジから教わった。
悪魔の実を食べた海賊。特にロギア系の能力者は、熟練の覇気使いを忌み嫌う。
特に自身にダメージを与える武装色使いが恨まれやすい。
同時に、自身よりも覇気が弱い相手を完膚なきまで叩き潰す。
それは、彼らは新世界をある種、神聖視しているからだ。
新世界はワンピースを求める海賊の憧れの海であり、ルーキー時代に苦汁を飲み込んだ思い入れの海でもある……と言っていた……。
先程リチャードが霧と化して銃弾を避けたのは、覇気の程度や海楼石の有無を確かめる生存戦略である。
だが今回の場合、その行為が仇となった。
「野良犬!避けろ!!」
リチャードは再度、針剣を構え屈む。渾身の一振りを繰り出す為、より大きく力を溜めている。
それに対し僕は、銃口を下げずにいた。そして、二発目を撃ち放った。
海楼石製の銃弾は確かにリチャードの脚に命中した。
しかし、突き刺すレイピアは止められず僕の左肩を貫いた。
「熱ッッ!!??」
あの熱線は防げたものの、高温にさらされた針剣はジュゥウと音を立て血を焼いていた。
急いで距離を取り、無理やり剣を引き抜く。
「お前……俺を……誘ったな……!!」
「弱者なりの……工夫だバカ…!」
特殊な弾丸が効いている為、左手の大剣が露わになる。
完全に能力を封じ込めた。あとは──
「海賊リチャード。今すぐ武器を置き、その場で伏せろ……。抵抗した場合、弟を殺す…!」
イグアスは、その場に転がっていたサーベルを拾い上げると、未だ眠るトーマスの首元に刃を向けた。
それを一
それは、僕らの勝利を意味した──
◇◇◇◇
ミシガン中将が乗る軍艦は、確かに多数の海賊に襲われた。
しかし、海兵に負傷者は多数いるが、終始圧倒していたらしい。
その後、甲板上で海兵たちは、適当に声を上げ、武器を鳴らし、空砲を撃っていた。
リチャードを僕とイグアスで捕らえる為に、一芝居うっていた……とのことだ。
助けに来てくれよ……。
「それで……いい勉強になっただろう?」
「痛い思いしましたが……。…僕は覇気以前に、技術やフィジカルを磨かなければいけない…と分かりました」
僕はそう言うと、後方支援を行っていたアルターとエレナも続いた。
二人とも、僕と同じように明確な弱点・不足している事を述べた。
僕ら三人にとって新世界の海は、自分を見つめ直すいい機会になった。
それと同時に、「まだ強くなれる」と確信もした。
「いいことだ。この反省は今後に活かせ!ガープも喜ぶぞ。さて、これで楽しい遠足の時間は終わりだ!!貴様らを海軍本部まで送る!!それまで、甲板でも磨いていろ!!」
こうして、人生初の新世界の海は幕を閉じた。
アインさんと肩を並べるのは数年先だな、と思った。
◇◇◇◇
五日後──
今は稽古先の大将や中将が不在の為、一人で軍艦を殴っていた。
分厚い装甲は、ほんの少しだけ歪み始めた。
しかし、相変わらず手が痛い。
百回殴った後は走り込みや、懸垂など基礎トレを行う。痛みと腫れが引いたら、軍艦バッグ。
この繰り返し。
「おー……やってんなー。相変わらず……忙しいヤツだな」
この声は……。
「青キジ…さん……。会議は終わったんですね??」
「なんだ?その…あたかも『抜け出してきましたね』と、言わんばかりの顔はよ」
「あぁ、終わったのならダイジョブです。僕忙しいので」
「まったく…会議に出席しなかった、オマエの為に資料を持って来たのによ…」
「え”え”っ!!??聞いてませんが!!??」
どういう事だ???僕には何一つアナウンスはされなかったぞ…!!!!
「ま、嘘だがな」
「……。死んどけ」
良かった。変な汗が出た。
肝も冷えた。最悪の気分だ…まったくもお……。
「で、本題よ」
青キジが数枚の紙を差し出した。
「
「環形のダリウス……。ソイツを知る人物が居る所だ……。なんでも、その海域の海兵には一切口を開けんらしくてな……。ゼラ、オマエよ…会いに行って来いさ」
「???
「……はぁ。オマエに最近、良い『脚』が出来たじゃないの…?女帝ボア・ハンコック。その船で
「良くない良くない。僕、石化。OK?」
「センゴク元帥の命令だ…。やってこい」
「青キジさん……。ソレ、パワハラって言うんですよ????」
「世界の危機にパワハラは関係ねぇよ……。一応、モモンガ中将が着くようだが……前回同様、
ポンポンと木箱の汚れを払い、青キジは座った。
「ダリウスと関係を持った海兵は、今はオマエしかいねェ……。あの婆さんも語らざる負えないだろうな。いざと成ったら、その傷を見せてやれ…。使えるものは全て使え……いいな?」
「……。アルターとエレナとは…今回も別ですか……?」
「好きにしろ……。だが、その二人の同行を九蛇が許すかどうかは……知らん」
「じゃあ……連れていきます。僕がこうして生きているのは……あの二人が居たお陰ですので」
「そうだな。ガープさんには……オレから言っておこう…」
「お願いします」
その後、短い会話をし再び軍艦バッグに移った。
明日の早朝に出航とのことで、九蛇には連絡済みだと言う。
『キミの負けだ。再び会える事を願っているよ……』
ふとダリウスの言葉が脳裏によぎる。
「お前は今、何処で……何を考えているんだ……?」
その疑問を晴らす様に、鉄の装甲を殴る。
次は負けない。
そう思いながら。
これで「ちょっと新世界編」は終わりまして、再び本線へと……。
ダリウスを知る婆さんは、何を語ってくれるのでしょうか?
次回も読んで頂ければ嬉しいです!!!
蛇足は有りません。
では、また~