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「やはりここも……奴ら徹底的に殺してやがる……」
ボロボロの一軒家から出てきたアルター大尉は、外で待つ僕にそう言った。
「そうですか……。次で最後です……。行きましょう……」
僕と10人、合わせて11名は次の民家に向かう。
不思議なことに、未だ海賊と会っていない。
モモンガ中将は戦闘を始めているようだ。
全勢力をモモンガ中将に向かわせているのか?
いや、それはあり得ない……。何が目当てだ……?
脳内に疑問が渦巻く。
食料目当てなら、強奪して終わるはず。
こうも皆殺しにする理由が分からない。
「ゼラ少佐。ここが最後です……。学校……?にして小さいですね」
「そもそも人口が少ない島だ。そこまで大規模な物は要らんだろうが」
海兵の言葉にアルター大尉は呟く。
学校の前には壊れた椅子と黒板らしきもの。天気がいい日には、外で学習していたのだろうか……。
窓は血で濡れ、ここも生存者はいないと直感が告げている。
「ドア開けます。援護願います」
何回この言葉を言っただろう。もはや忘れた。
今、僕を襲うのは激しい憎悪だ。自分自らの信念が砕けそうだ……。
ガチャ……!!
一瞬、一瞬だが地獄を見た。その後、僕の目は何かに覆われ、視界を奪われた。
「これはさすがにひど過ぎます……!!貴方は……まだお若い……。見ないほうが……」
アルター大尉は悲愴を込め言い、僕の両目を、その大きな両手で塞いだ。
「いいんです。アルター大尉。上官命令です。解いてください」
「くゥ!?……分かりました。少佐……ッ」
遮るモノが無くなった。
目に映るものは赤、赤、赤、赤。
手や足など『やはり』バラバラにされた死体の山。
これまで民家を辿ってきたが、家の大きさに対し死体が少なかった。
ここに集めたとでもいうのか……!!!
これまで発見した遺体『全てが』バラバラに……。
何故??ここまで残虐なことをする??何か理由があるはずだ……理由が……!!!!
「生存者の確認……は……もうしなくていい。おいお前!報告しろ!『生存者はいなかった』と……!」
アルター大尉は声を荒げ部下に命令した。
無理もない話だ。彼は正義に燃える男だ。彼の心境を察するのは難しくはない。だって僕も同じように『揺らいで』いるから。
しかし。しかし何か引っかかる……。
食料や金品は奪われた跡がある。しかし、『強奪』をメインで行うとしても、こうも徹底して遺体をバラバラにしないだろう……。
愉快犯の線は?確かに一理あり得る。しかしバラバラの遺体は『屋内』にある。イレギュラーとして、頭部『だけ』は数個、茂みに有った。
数人のグループならばそれはあり得る。同じ思想、性癖、価値観ならばこのように、『ある種、ルールに乗っ取って行動』できるだろう。
だが彼らは海賊で、50名程度の『集団』だ。船長などから『命令』されているはず……。
最早、直接違和感を聞き出したほうが早い。
「報告終わりました、大尉!モモンガ中将から、一旦帰還し装備を整えてから戦闘。現在戦闘は優勢。不意な敵に備え帰還しろ、とのことです」
モモンガ中将からの命令。割り切れぬ箇所が有るが……素直に聴かなければならない……。
「じゃ、戻ろうか。」
そして僕ら一行は来た道を辿るように歩く。そう歩いている。僕がそうさせている。
地面には血痕と沢山の大小の足跡。
「老人、女、子供まで……。あいつらインペルダウン行きですよ……!!こんな事……」
ある海兵がポツリと呟く。
「しかし、奴ら何故ここまで『やる』んでしょうね……。前例を見ません」
「奴ら……人間の心までも失ったか!!頭に虫でも湧いているんじゃないのか!?」
「……落ち着けよ。俺たちは為すべきことをした……。あとは海賊どもが牢に入るだけだ……」
「けどよッ……
「うるさいぞ!!お前ら!!……すみません。元は私の部下とはいい、今は少佐の……
「ん?あぁ、別に気にしてないです。大丈夫ですよ。……むしろ『して』貰ったほうが良いといいますか……。僕自身、引っかかっているんですよね……」
海兵の声を遮ったように、僕もそうした。
この引っかかり……。僕一つの脳みそじゃあ、とても思いつかない。
海兵の会話を第三者目線で聞いていたというのに……。このヤロウめ。
「そうでしたか。失礼しました」
「アルター大尉。君もこの惨劇を見て、何か思ったかい?なんでもいいんだ……。なんか一言欲しい……」
もしこれが『計画的な犯行』ならば、こういう一般的な『感想』はとても重要になる。
相手の思惑はその裏側にある……はず!!!
「そ、そうですね……。何度も言っていますが『徹底的に殺している』。ですかね……。部下も言っているように、このような前例はまず見ません……」
バラバラの遺体。隠された数個の頭部。一体彼らは何を隠している?まずはこの秘匿を暴かなければ……。
「こうもバラバラで、しかも頭部もまだ隠されているとしたら、ご遺体の確認が難しいですよね……」
確かに……。こうもなれば身元の確認は時間がかかる……。…………ん?
バラバラの遺体。頭部を隠す。
遺体の中に隠す……?遺体の中に『存在』を隠す……?
遺体を『偽装』する……?
『その概念』を遺体に『偽装』させる…………。
「なぁ、アルター大尉。『子供の遺体』、見なかったか?」
僕のこの一言。徐々に皆、僕の言葉を『理解』していき、みるみるうちに青ざめた。
無理もない。あんだけ執拗にバラバラにされてしまっては、『誰が誰のモノ』なのかわからない……。
そう、僕らはまんまと引っかかってしまった。
自らの『余計な思考』にーー
人さらい。『子供』を対象としたもの……。
大人は不要。だから『偽装』に使用した。隠された頭部は、より惑わせる為だろうか。
この考えならば、筋が一本通ってしまうーー
「モモンガ中将に報告!!今戦闘している海賊は『デコイ』……時間稼ぎの捨て駒だ!!!彼らの目的は『子供攫い』!!!これから『捜索』に移る、と伝えろ!!!!」
僕は声を荒げ命令した。
◇◇◇◇
「嬢ちゃん……本当に頭がきれるんだな…………。おかげで目的のガキ共が逃げちまったじゃねえか……」
身長3メートルはあるだろうか。大男は木にトントンとナイフを突き刺しながら言う。
「収穫は0。金で雇った『ゴミ共』はもう海兵にやられて終わり……。まぁ、良い。金はいくらでも貰える!!それよりも……」
男はその場で痛みによってうずくまる少女に顔を近づけた。
「俺の仲間にならねえか!?お前の頭脳!銭稼ぎするには持って来いだ!!!ガハハハハハ!!!」
「何が……何がお前なんかとッ……ゥッ……!!」
少女は腹の傷口を押さえる。鮮血が指の間から流れ出る。
無理もない。深々とナイフが刺さったのだ。
「その威勢がいつまでもつのか、興味があるが……今は時間がない。仲間になるなら『老人』からもらった『虫』を植えてやる。その程度の傷なら簡単に治るぞぉ??ほら、何とか言ったらどうだ」
男は懐から小瓶を取り出す。
その中にはウジャウジャと小さい虫が蠢いている。
「……断る……」
「そうか……なら死ね」
男は少女の傷口を目掛け蹴り飛ばす。
少女は苦痛の声を上げ、後方にある木にぶつかった。
「逃げた子供も一人残さず殺してやる……が、その前にお前を犯してやるよ。まだ未体験だろ?屈辱の中で死ね!!ガハハハハハ!!!!!」
「で?誰が何をするって?」
男はその声の元に顔を向ける。
「海兵ッ!?……。ふふふ……ガハハハハハハ!!!!!何かと思ったらただの若造じゃねえか!!そこの女と対して変わらねぇ年頃だぁ!!そんなお前に何ができる!?」
紫髪の若い海兵はピストルを取り出し、おもむろに天に銃口を向けた。
ダンッッッ!!
銃口から分厚く、赤い煙が空に飛ぶ。
「信号弾ッ!!テメェ!?」
「逃がさねぇよ、クソ悪党が……!!」
お疲れ様でした!!
ゼラの元についた部下ですが、アルター大尉以外はモブです。
ではまた~