『黒腕』の孫として転生したんだけど……   作:赤い靴

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5話目です。

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第5話 DEAD OR ALIVE ①

 

「やはりここも……奴ら徹底的に殺してやがる……」

 

ボロボロの一軒家から出てきたアルター大尉は、外で待つ僕にそう言った。

 

「そうですか……。次で最後です……。行きましょう……」

 

僕と10人、合わせて11名は次の民家に向かう。

不思議なことに、未だ海賊と会っていない。

モモンガ中将は戦闘を始めているようだ。

 

全勢力をモモンガ中将に向かわせているのか?

 

いや、それはあり得ない……。何が目当てだ……?

 

脳内に疑問が渦巻く。

食料目当てなら、強奪して終わるはず。

こうも皆殺しにする理由が分からない。

 

「ゼラ少佐。ここが最後です……。学校……?にして小さいですね」

 

「そもそも人口が少ない島だ。そこまで大規模な物は要らんだろうが」

 

海兵の言葉にアルター大尉は呟く。

 

学校の前には壊れた椅子と黒板らしきもの。天気がいい日には、外で学習していたのだろうか……。

窓は血で濡れ、ここも生存者はいないと直感が告げている。

 

「ドア開けます。援護願います」

何回この言葉を言っただろう。もはや忘れた。

今、僕を襲うのは激しい憎悪だ。自分自らの信念が砕けそうだ……。

 

ガチャ……!!

 

一瞬、一瞬だが地獄を見た。その後、僕の目は何かに覆われ、視界を奪われた。

 

「これはさすがにひど過ぎます……!!貴方は……まだお若い……。見ないほうが……」

 

アルター大尉は悲愴を込め言い、僕の両目を、その大きな両手で塞いだ。

 

「いいんです。アルター大尉。上官命令です。解いてください」

 

「くゥ!?……分かりました。少佐……ッ」

 

遮るモノが無くなった。

目に映るものは赤、赤、赤、赤。

 

手や足など『やはり』バラバラにされた死体の山。

これまで民家を辿ってきたが、家の大きさに対し死体が少なかった。

 

ここに集めたとでもいうのか……!!!

 

これまで発見した遺体『全てが』バラバラに……。

 

何故??ここまで残虐なことをする??何か理由があるはずだ……理由が……!!!!

 

「生存者の確認……は……もうしなくていい。おいお前!報告しろ!『生存者はいなかった』と……!」

 

アルター大尉は声を荒げ部下に命令した。

無理もない話だ。彼は正義に燃える男だ。彼の心境を察するのは難しくはない。だって僕も同じように『揺らいで』いるから。

 

 

しかし。しかし何か引っかかる……。

 

食料や金品は奪われた跡がある。しかし、『強奪』をメインで行うとしても、こうも徹底して遺体をバラバラにしないだろう……。

 

愉快犯の線は?確かに一理あり得る。しかしバラバラの遺体は『屋内』にある。イレギュラーとして、頭部『だけ』は数個、茂みに有った。

 

数人のグループならばそれはあり得る。同じ思想、性癖、価値観ならばこのように、『ある種、ルールに乗っ取って行動』できるだろう。

だが彼らは海賊で、50名程度の『集団』だ。船長などから『命令』されているはず……。

最早、直接違和感を聞き出したほうが早い。

 

「報告終わりました、大尉!モモンガ中将から、一旦帰還し装備を整えてから戦闘。現在戦闘は優勢。不意な敵に備え帰還しろ、とのことです」

 

モモンガ中将からの命令。割り切れぬ箇所が有るが……素直に聴かなければならない……。

 

「じゃ、戻ろうか。」

 

そして僕ら一行は来た道を辿るように歩く。そう歩いている。僕がそうさせている。

 

地面には血痕と沢山の大小の足跡。

 

「老人、女、子供まで……。あいつらインペルダウン行きですよ……!!こんな事……」

 

ある海兵がポツリと呟く。

 

「しかし、奴ら何故ここまで『やる』んでしょうね……。前例を見ません」

 

「奴ら……人間の心までも失ったか!!頭に虫でも湧いているんじゃないのか!?」

 

「……落ち着けよ。俺たちは為すべきことをした……。あとは海賊どもが牢に入るだけだ……」

 

「けどよッ……

 

「うるさいぞ!!お前ら!!……すみません。元は私の部下とはいい、今は少佐の……

 

「ん?あぁ、別に気にしてないです。大丈夫ですよ。……むしろ『して』貰ったほうが良いといいますか……。僕自身、引っかかっているんですよね……」

 

海兵の声を遮ったように、僕もそうした。

この引っかかり……。僕一つの脳みそじゃあ、とても思いつかない。

海兵の会話を第三者目線で聞いていたというのに……。このヤロウめ。

 

「そうでしたか。失礼しました」

 

「アルター大尉。君もこの惨劇を見て、何か思ったかい?なんでもいいんだ……。なんか一言欲しい……」

 

もしこれが『計画的な犯行』ならば、こういう一般的な『感想』はとても重要になる。

相手の思惑はその裏側にある……はず!!!

 

「そ、そうですね……。何度も言っていますが『徹底的に殺している』。ですかね……。部下も言っているように、このような前例はまず見ません……」

 

バラバラの遺体。隠された数個の頭部。一体彼らは何を隠している?まずはこの秘匿を暴かなければ……。

 

「こうもバラバラで、しかも頭部もまだ隠されているとしたら、ご遺体の確認が難しいですよね……」

 

 

確かに……。こうもなれば身元の確認は時間がかかる……。…………ん?

 

バラバラの遺体。頭部を隠す。

 

遺体の中に隠す……?遺体の中に『存在』を隠す……?

遺体を『偽装』する……?

 

『その概念』を遺体に『偽装』させる…………。

 

 

 

 

「なぁ、アルター大尉。『子供の遺体』、見なかったか?」

 

僕のこの一言。徐々に皆、僕の言葉を『理解』していき、みるみるうちに青ざめた。

 

無理もない。あんだけ執拗にバラバラにされてしまっては、『誰が誰のモノ』なのかわからない……。

そう、僕らはまんまと引っかかってしまった。

 

自らの『余計な思考』にーー

 

 

人さらい。『子供』を対象としたもの……。

大人は不要。だから『偽装』に使用した。隠された頭部は、より惑わせる為だろうか。

 

 

この考えならば、筋が一本通ってしまうーー

 

 

「モモンガ中将に報告!!今戦闘している海賊は『デコイ』……時間稼ぎの捨て駒だ!!!彼らの目的は『子供攫い』!!!これから『捜索』に移る、と伝えろ!!!!」

 

 

僕は声を荒げ命令した。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「嬢ちゃん……本当に頭がきれるんだな…………。おかげで目的のガキ共が逃げちまったじゃねえか……」

 

身長3メートルはあるだろうか。大男は木にトントンとナイフを突き刺しながら言う。

 

「収穫は0。金で雇った『ゴミ共』はもう海兵にやられて終わり……。まぁ、良い。金はいくらでも貰える!!それよりも……」

 

男はその場で痛みによってうずくまる少女に顔を近づけた。

 

「俺の仲間にならねえか!?お前の頭脳!銭稼ぎするには持って来いだ!!!ガハハハハハ!!!」

 

 

「何が……何がお前なんかとッ……ゥッ……!!」

 

少女は腹の傷口を押さえる。鮮血が指の間から流れ出る。

無理もない。深々とナイフが刺さったのだ。

 

「その威勢がいつまでもつのか、興味があるが……今は時間がない。仲間になるなら『老人』からもらった『虫』を植えてやる。その程度の傷なら簡単に治るぞぉ??ほら、何とか言ったらどうだ」

 

男は懐から小瓶を取り出す。

その中にはウジャウジャと小さい虫が蠢いている。

 

「……断る……」

 

「そうか……なら死ね」

 

男は少女の傷口を目掛け蹴り飛ばす。

少女は苦痛の声を上げ、後方にある木にぶつかった。

 

「逃げた子供も一人残さず殺してやる……が、その前にお前を犯してやるよ。まだ未体験だろ?屈辱の中で死ね!!ガハハハハハ!!!!!」

 

 

 

 

 

「で?誰が何をするって?」

 

男はその声の元に顔を向ける。

 

「海兵ッ!?……。ふふふ……ガハハハハハハ!!!!!何かと思ったらただの若造じゃねえか!!そこの女と対して変わらねぇ年頃だぁ!!そんなお前に何ができる!?」

 

紫髪の若い海兵はピストルを取り出し、おもむろに天に銃口を向けた。

 

ダンッッッ!!

 

銃口から分厚く、赤い煙が空に飛ぶ。

 

「信号弾ッ!!テメェ!?」

 

「逃がさねぇよ、クソ悪党が……!!」

 

 

 

 




お疲れ様でした!!

ゼラの元についた部下ですが、アルター大尉以外はモブです。

ではまた~
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