『黒腕』の孫として転生したんだけど……   作:赤い靴

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7話目です。
よろしくお願いします。

あ、あと。聞きなれない単語が出てきますが、検索注意です。
ネタバレになりますが、虫が出てきます。
ご了承ください。


第7話 小瓶の中の環形

「ま、海賊なんてそんなもんよ……。だがまァ、上出来じゃねぇの?」

 

本当(ホント)適当ですね……大将の癖に……」

 

 マリンフォード。海軍本部がある裏手、その住宅地に僕らは居る。

 住宅地と言っても海兵の家族たちの比較的大きな町だ。

 

 一言でこの町を言い表すと『平和そのもの』で、午後のさんさんと降り注ぐ暖かい光の元、子供たちが遊具で遊んでいる。

 そう僕らは公園のベンチに仲良く座り、すぐそばで買ったアイスクリームを食べている。

 

 なんで……????? 

 

「しかし、ゼファー先生も容赦しねぇな……。お前、いつもボロボロだな?」

 

「……新型の義手が出来たから、1戦付き合えって…………。そんでこれですよ……。クザンさん、分かりますか? 義手って爆発するんですよ……」

 

「いや、わかんねぇよ……」

 

 映画のスマッシャー程ではないが……だんだん近づいてきた……。まだドデカいモノじゃなくて安心している。じゃなきゃ僕死んでますもん……。

 しかし……爆発、したな、アレ……。杭打機……パイルバンカーやん、アレ……。なぜ生きてる……僕……? 

 

 あの事件から15日経った。

 15日も経てばある程度の傷は消える。しかし…………

 

 僕はアイスクリームを口に運ぶ。

 まろやかなで甘いミルクと酸っぱいイチゴのアイス。とても美味だった。

 

「ホレ……これやるよ」

 

 クザンは胸ポケットをガサガサ漁り、数枚折りたたまれた紙と紙幣を取り出した。

 1秒程フリーズしたが我に返る。

 

 あのクザンが僕にお金を?? 明日は大雪や!? 

 

 取りあえず会釈して受け取り、紙を開く。

 そこには数十名の名簿……印の付いた地図が有った──

 

「いまやお前は『名が知れた海兵』に成った……。過程はどうあれお前は確かに、首謀者を倒し、子供(ガキ)共を救った……。だからこそ、最後の仕事だ……」

 

 クザンは立ち上がり言った。

 

「その印は孤児院の場所だ……。ここから案外近いが……まぁ一応な……。その金は適当に使え」

 

 ……。お見舞い。いま食っているアイスを持っていけ、ってことか……。

 

「そうですね。このお金は『適当に』使わせてもらいます……。けど……あの、3枚目……。これ見る限り、極秘の会議資料ですよね……?」

 

 そう、3枚目。上の見出しにでかでかと『極秘』の文字が……。その会議はどうも今日、夕方に行われるようだ……。

 参加者は……うぇ……。3大将、元帥、ガープ中将、とジジィ……。なんですか? その地獄……行きたくねぇ……。

 

「元帥からお前に声が掛かった……。まぁ、茶菓子でも持って来るんだな……」

 

 そういってクザン……3大将の内の1人は行ってしまった。

 

 

 

 

 

「…………いくか……」

 

 決意を固め僕は立ち、アイス屋に向かうため公園を出る。

 街ゆく人からは、「新聞で見ました。頑張ってください」だの、「未来の大将」だの、「お若いのに……」だの言われ放題だった。

 そりゃあそうだ。新聞の1面。『不屈の麒麟児‼15の海兵が子を救う‼』とデカデカ載っていた。……と言っても、全てガープ中将の所為なのだけど……。

 

 流れるように買い物を済ませ、地図を見ながら進む。

 おおよそ10分ぐらい歩いただろうか、『カモメのゆりかご』と言う名の孤児院に着いた。

 まるで小学校みたいに大きく、運動できるグラウンドも有り、敷地の外だが子どもたちの元気な声が溢れている。

 

「ゼラ少佐ぁ~」

 

 僕を呼ぶ声が聞こえる。門前で手を振るシルエットが……。

 近づくにつれ、その陰が晴れる。

 

 アルター大尉だ……何故ここに……。

 

「今日は非番でして……風の噂でここに」

 

 青キジ……クザンが原因だろう、と思い適当に納得した。

 

「あの、左手の大きい紙袋は……??」

 

「子供たちへのお土産。ほら、行くならさっさと行くぞ。この後用事があるんだ」

 

 

 僕らは門を開け、施設の警備員に自らの証明書を出し敷地に入る。

 

 孤児院のドアの前で一呼吸し、開けた──

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 山ほど買ったアイスは、ものの10分で消滅した。

 今やあの事件で保護されたこのクラスは笑顔が絶えない……そんな素敵な空間だった。

 

 しかし、僕が助けたあの少女は傷がまだ完治せず、2階で安静にしているそうだ。

 ふと見渡すと皆年齢はバラバラで、中学生ぐらいの子が2名で、後は小学生ぐらいの子だ。

 

「ほら、みんな。集まって」

 

 そんな中、1人の男の子が声をかけた。

 すると、子供たちが3段ほどの列になりこう言った──

 

『お兄(姉)さん。ありがとう!!』

 

 わぉ……。こんな感謝のされ方、初めてだ……。

 でもさ、数人僕のことを『お姉さん』って言ったよね?? 僕はこう見えても男だからな!? 髪切るか……。

 

 その列の中央。幼い女の子が小さな紙袋を差し出してきた。僕はその子と同じ目線になるべく屈み、紙袋を受け取った。

 

「ほら、開けてみて下さいよ。少佐」

 

「ありがと~。何が入っているのかな~。……ん!?」

 

「僕たちで、新聞配達などして買ったモノです。本当は『指輪』が良かったらしいんですが……。この子が言うことを聞かなくて……すみません」

 

 年長の男の子が渋い顔をしていった。

 

 紙袋、そこから取り出したものは指輪ではなく、ピアス──

 ピアスと言っても、生前僕の後輩がしていた『イヤーカフ』と言う本当に指輪みたいなピアス。

 耳に穴あけろってこと……?? まぁ、いいけどさ。

 

「ありがとう。嬉しいよ」

 

 僕は男の子の頭を撫で、立ち上がる。

 

「じゃあ僕はこれで。もう一人にアイス(これ)届けないといけないし、なんせ夕方にもう一仕事あるんでね」

 

 この場で耳に穴をあけるだなんて勿論できるわけない。ピアスをハンカチに包みポケットにしまった。

 少年から2階にいる少女の情報を貰い、施設員の方に案内してもらった。

 階段を一歩、一歩と上がるたび軋む。室内はとてもキレイで新築か? と思っていたが所々、本来の一面を表に出していた。

 

「この建物も、もう30年経っているんですよ。子供たちが危なくならないように工夫はしているんですが……ペンキが十分じゃないところは潮風で……」

 

「へー。じゃあその都度、ペンキを塗ったり、建て直したりしているんですね」

 

 職員の話にアルター大尉は反応した。

 そんなような話を2度3度し、目的地に着いた。

 ドアに掛かるプレートには『休養中 お静かに』と書いてある。

 

 僕は3回ドアをノックし開く──

 

 ベットの上、上半身を起こし窓の外を見ている1人の女の子が。

 

 ロスとの戦闘とケガの容態から詳しく見ることができなかったが──

 

 少し癖のある長い髪。その色は薄い緑色……。

 

 

 間違いない!! モネだ! モネしかないだろ!? モネだろ! どうみてもモネだ!!!! 

 いや、でも待て……確かモネはロビンと同じ年に生まれたような……。だとしたらこんな小柄じゃない……。

 でもさ……でもさ、落ち着けオレ!! どう見ても『そう』でしょ!! そうに決まってる! そうだモネだ! モネだ!? 

 

 そして僕は決意を固め、少女にこう言ってやったのだ!! 

 

「お初にお目にかかります。私、ゼラと申します。モネさんですよね……?」

 

 彼女はコチラに振り返り一言

 

「えっ……キモ……」

 

 うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!! 

 

 後ろから2人の冷ややかな視線を感じるのは何故だろう?? この場合は哀れみの視線か? 

 ここまで作った地位が音を立てて崩れ落ちそうだ……。

 

 でも一つ分かった事がある。それはこの子はモネじゃない事。はい終了~。

 僕の目的の内、1つは消えました~。はい、モネさんとは敵対ルートです。残念でした…………。

 というか、よく見たら目が全然違うわ。早とちりした。チクショウ! 

 

 

「ねぇ……ゼラさん?」

 

 まだ名すら聞いていない少女から声が掛かる。

 

「あたし、うまくやった?」

 

「ん?」

 

『うまくやった』。一瞬固まってしまったが、その言葉の意味を理解した。

 

「上出来すぎだよ……。君みたいな英雄(ヒト)、初めて見たよ。この結果も君のおかげだよ……」

 

「うへへへ……そうか……。そうか」

 

 少女は嬉しそうに、頬を少し赤らめさせて言った。まだまだ病人……、頬が赤いのは完全に調子が戻っていないからだろうか……。

 と、言っても彼女はひとまず大丈夫そうだ。下の階に居る子供たちと同じように、何やら強い意志を感じる。きっとこの事件のことも乗り越えていくだろう。

 

「じゃあ、改めて。あたしは、エレナ。未来の大将よ!! よろしくな! 少佐(しょーさ)!!」

 

 聞き捨てならないセリフを言ったぞ……この娘……。『よろしく』? 何が?? 

 きっと僕は、不可解な表情をしているのだろうか。エレナはそんな僕を数秒見、ベットの隣に有る木製の引き出し。そこに寄り、一通の手紙を取り出した。

 

「まさか……まだ知らないの……? ほら、見てみてよ」

 

 僕はエレナから『MARINE』と青文字で書かれた海軍公式の封筒を開け、中身を見る。

 内容は以下の通りだ……

 

『今回の事件。君の勇気ある行動により、悲惨な状況は免れた。心から感謝する。

 君の望みを審議した結果、承認された。

 先の傷等、治り次第 ゼラ少佐の元に任命する。

 1日も早い回復をお祈りし、お待ちしている。

 海軍本部 中将モモンガ 大将青キジ』

 

 なんと達筆なことか……。だが『大将青キジ』の文字だけきたねぇ……。と、いうよりもだ……。

 初見なんですけど、ソレ!? 聴いていないし、知らないし……。何故こうなった……。

 おい、まてまてまて……さっき自己紹介、事故ったばっかじゃん!? どうすんのコレ?? 

 ギスギスした空間は嫌いなんですが!!! ……ヴゥ……想像しただけで胃が、キリキリする……。

 

「あの……少佐……。ソレ、私も似たような内容で貰っています……。てっきり『分かって』居ると思い込んでいました……」

 

 後ろでアルターが言った。

 

「……そういうことは早く言いたまえ……大尉……」

 

 なんか凄く精神にダメージが来た。だけど、この後の方がもっとヤバいのかもしれない……。

 

 大丈夫か……? 僕……。死なないか……?? 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 

「どうぞーー、茶菓子でーーす(白目)」

 

「……ン? この羊羹、中にモチ入ってるんだな……栗が良かったな……」

 

 青キジは羊羹の断面を見て言った。

 喉に餅詰まらせて死ね!!!!!!!! 死ね!!!!!!!! 

 

「なら、わっしが買いに行こうか~~? クザン……」

 

 両手を組み、椅子に深く腰掛けた黄ザルは言った。

 怖えええええ!!! ヤバ!! マジでヤクザやん!? 帰りたい……

 

「待てボルサリーノ……。ようやくメンツが揃ったんじゃ……。今更羊羹の1つや2つ……。もういいじゃろうが」

 

 顔をしかめ、両腕を組む赤イヌは黄ザルに言う。

 あぁん? 羊羹の1つや2つだぁ!? こちとらこの羊羹探すのにどんだけ時間を割いた事か!! 

 テメェ! ぶっ殺して……いや無理!! 無理無理無理無理無理!!! 帰りたい……、そうだ!! もう帰ってしまおうか!!?? 天才か? 僕は!? 

 

「まぁ待て待て。せっかくゼラが用意したんじゃ。さっさと食ってやれ」

 

 バリバリとせんべいを貪り食うガープが言った。

 

「……喧嘩は終わったらやりな……。そこの可愛いヒヨコちゃん、こっちに座りなさい」

 

 つる中将が3大将の間に入る。そして僕を『可愛いヒヨコちゃん』扱い……。しかも思った以上にこの人、身長がある……。はたして僕は順調に背が伸びるのでしょうか……。

 

「あ、はい‼︎」

 

 羊羹の配膳とお茶汲みを終え、僕はつる中将の隣の席に座る。

 そこまで大きく無い部屋。そこの長方形のテーブルを囲むように僕らは座る。

 ドアの付近……つまり下座に僕は居る。まぁ当たり前だが……。しかし席がここで良かったと安堵している。

 上座はヤバイ。元帥センゴク、大将赤イヌ、黒腕のゼファー、英雄ガープ。あそこには混ざってはいけない。死ぬ。死ぬ。空気が重すぎる‼︎

 

「で、なんだ? センゴク。極秘ならサイファーポールを使えばいいじゃねぇか? 何故こんな『面倒臭い』事をする?」

 

 ゼファー。つまり僕のクソジジィがお茶を啜り、言う。

 あの日に日に大きくなる『義手』は、今は着けていないようだ。残された左腕で器用に羊羹を切り、口に運ぶ。

 数回噛み、飲み込む。そして「フッ」と鼻で笑った。

 僕の用意した羊羹の文句でも言いたいのか? 売られた喧嘩は買うぞ? だが、勝てる未来は1ミリも見えないが……。

 

「あぁ。今回は先日の事件……ゼラ少佐が少々関わっているからだ」

 

 センゴクはゴソゴソと内ポケットを漁り1つの小瓶を取り出す。

 そこには何かの液体に浸かった虫──

 白く、長細い。まるでネットのグロ画像で見るような『寄生虫』。それが何十も漂っている。

 

「あっ!」

 

 思い出した。それはアイツが持っていた……。

 

「そうだ。先の主犯者、ダイエウ・ロスが所持していた物。生物・化学班に詳しく調べさせた。この虫は『キメラ種』だと言う」

 

「ん〜? キメラですかい……? ……この世には、いろんな形状を持った生物を見てきやしたが……それとはまた違うんですかい……?」

 

 黄猿がセンゴクに問いかけた。

 

「そうだ。この虫は宿主を『生かす』事に特化した虫だと言う……が。あまりにも『人間に都合が良いように作り替えられている』と、分析が来た」

 

 生き物のデザリング……。そんな事できるのか……凄いな……。あ、でもクローン人間を作っていた話を読んだことあるぞ‼︎その前日譚か? 

 

「……。1年ほど昔の話だが、ある学者が海軍を離れた。ソイツは『生物兵器の父』と異名が付いていた……」

 

「あぁ、あの子だね? センゴク……。『環形(かんけい)のダリウス』……。だが私の知る限りでは『死んだ』事になってるけどね?」

 

 つる中将が名を出した。

 かんけい? 聞いたことない単語だ……。どういう意味だ? 

 

「そうだ。退職後、故郷にて死亡届が出ている。しかし洗い出してみると不可解な点が多い。まだ調べて2日……これから新たな事実が見えてくるだろう?」

 

「まだ結論が出ていない状況で……わっし等に何が出来るのかい〜?」

 

 黄猿の愚痴にゼファーは口を挟んだ。

 

「ダリウスは俺と同じ老人だが、脳みそは若い時のままだ……。ウイルス、カビ、寄生虫……それがヤツの専攻だ。アイツは正しく鬼才‼︎この世に出回っている『抗生物質』。それがヤツの功績だ……。しかし裏腹に思想が強い男でもある……」

 

 ソレ、ブーメランですよ。ジジィ? 

 しかし抗生物質……。いつもボロボロの僕が服用してるモノだ。その人凄いな……‼︎

 

「……まぁ、なんとなくだが、その話は理解した……。ダリウスはかなりの知能犯で、潜伏している可能性が高い……。だから俺等に『極秘』として知らせた……。少数精鋭で調査しろ……ってか?」

 

「そうだ、青キジ。この事は知られてはならない……秘密裏に動かねばならん‼︎時間をかけ、確実にトドメを刺す……‼︎でなければヤツは実行してしまうだろう‼︎」

 

 センゴクは机をドンと叩いた。

 

「世界中を巻き込んだパンデミックがッ‼︎‼︎」

 

 

 パンデミック……? ヴッ‼︎頭が‼︎

 

 緊迫する空気の中、ゼラはかつての世界、自分が勤めていた会社を思い出し1人自爆していた。

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 それから話は進み、3大将及び、ガープ、つる、ゼファーからの6チーム。少数精鋭で捜索の命令が下された。

 かく言う僕は、青キジの下として『いつも通りやれ』と命令された。

 それはそれで嬉しい。下手に痛い目を合わなくて済む。

 

 しかし。しかしだ‼︎稽古のメニューが更新された‼︎

『赤犬』と『黄猿』の項目が増えてしまった……‼︎なぜ承諾したんだ‼︎今度こそ死んでしまうわ‼︎

 僕がやっているのは恋愛ゲームなのか? なんだこの項目‼︎オッサンしかいねぇじゃねぇか⁉︎

 即GE●行きだわ‼︎こんなクソゲー⁉︎

 

「あぁ、言い忘れた……。青キジ。『天竜人』の護衛の仕事が入った。ゼラとこなして行け……」

 

 最後の最後。センゴクが部屋を出る間際に言い放った。

 

 もう無理や、こんなゴミゲー。

 

 




お疲れ様でした。

いかがでしたか?

前書きにもありましたが『環形』は検索注意です。しかし、この言葉じゃなければ、この先の展開が出来ないと思っているので、メチャクチャ嫌だったのですが付けました。

ダリウス……。イケオジだといいですね…

ではまた〜
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