自分を悪役令息と勘違いしたままロマサガ3で駆け抜ける   作:オリーブ冷麺

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異国の褐色枠とインテリ眼鏡枠は乙女ゲーに必要

「モニカ様!! 神王教団がいうところの、第三の宿命の子がこの場にいるのです!!

彼女はこの世界の命運を担う存在なのです」

 

 ミカエル様の元へ、ゴドウィン反逆のタイミングを伝えに行こうとしたら、思わぬ所でヒロイン(ラスボス)と出会ってしまった。

 他の事なら可能性として記憶だけしておき、後で部下に把握させる話だが、乙女ゲー関連の事は別だ。

 姉さんの為にも、事態を放置する訳にはいかない。

 

「神王教団…ウェフエルが警戒している例の宗教ですか?」

 

「はい。怪しげな壺や祭壇を売り付けては、多額の金銭を巻き上げておりまして、ロアーヌの民にも苦しめられている者はいます。

また批判する者へは暴力で黙らせており、ナジュ王国は彼等の宗教一揆によって滅ぼされました」

 

 宗教など全て滅ぼして良い。

 宗教に縋らねば生きていけぬ者は生きなくて良い。

 弱い者は国益にならないから、好きに滅びろ。

 優秀でないロアーヌの民はいなくなって良い。

 そうすれば、全てのロアーヌの民が優秀だと胸を張って言えるようになる。

 信じるものが欲しければ、国家を信じろ、国王を信じろ。

 そして縋ることなく、只々尽くせ。

 それが全ての国民のあるべき姿なのだから。

 ロアーヌと姉さんと主君の血筋が私にとっての全てであり、それ以外の全ては大切なものにとっての利益になる者か、損害になる者でしかない。

 

 この場の意思決定者であるモニカ様を丸め込もうとに説明していると、薄く殺気を感じた。

 丁度ナジュが滅びた話をしていた辺りで。

 その視線の方へと睨み返すと、浅黒い肌の男がいた。

 もしや、ナジュ王国に縁がある者だろうか?

 流石に王族等では無いだろうが、逃げ延びた兵士だったりはするのかも知れない。

 

 これは、使えるか?

 煽れば此方側に回せるだろう。

 リアリスト気取りの感情派が、結局は一番動かしやすい。

 

「宿命の子は此処にいる。

そして、それは神王教団が血眼になって探している教義の象徴だ。

宗教そのものを目的としている者には、宿命の子が見つかる事は、真なる王への戴冠への喜びに繋がり、宗教の力そのものを目的としている者には、自らの戴冠の希望を排する者として消される可能性もある」

 

 明確に神王教団の危険性を述べると、今度は何故か聖女の後ろにいる小動物っぽい少女がブルブルと震え出した。

 

 

「ちょっと。あんたが一体何を言ってるのか分からないけど、サラがこれだけ怖がっているのは異常よ。

嵐が止んだら帰ってもらうから」

 

 どうやら聖女の後ろで震えているのは、サラという名前らしい。

 

 だが、神王教団の目的である宿命の子とは聖女の事だし、宿命の子でも何でもないサラが怖がるのは不自然だ。

 自然な考えとしては、サラは保護者ポジの女が聖女である事が発覚して、己の大切な人が去っていくのが嫌なのだろう。

 

「神王教団は何れ潰す。

君達は安心してくれて良い」

 

 モニカ様も何だか怒気が収まって来た様だし、ツンツンヘッドなミスター主人公君も怒気は最早出ていない。

 聖女の事実から、神王教団の悪行の話にシフトしたのが正解だったのだろう。

 ここはこのまま、それっぽく熱弁して押し切ろう。

 神王教団が全て悪い事にして、共通の敵を批判して仲良くなろう。

 人は大勢の側に立って、敵を批判する時に最も社会的快楽を得る。

 反国家主義者や、君主の上に架空の至高概念を設定する者共を追い詰める為に、民衆を扇動してきた私には、それがよく理解出来ている。

 

 ついでにミカエル様の軍に使えそうな者を引き抜こう。

 乙女ゲー的婚約破棄断罪フルコンボ阻止の為に、IQ下がり気味で暴走している自覚はあるが、結果さえ出せば何の問題もない。

 ミカエル様が目指す新たなロアーヌでは、頑張った者が無条件に報われる国ではないが、成果を出した者は報われる国になるのだから。

 

「私は愛するロアーヌの民の為、滅ぼされた熱き国の誇りを守る為にも、神王教団を倒さなくてはならないのだ。

今この瞬間にも神王教団により、愛する者と分かたれ、尊きものを失い、輝きを隠して生きている者達がいるのだ!!

私にはそれが我慢ならない!!

同じ思いを持つ我が主君ミカエル様は、今窮地にいる。

それを救うためにミカエル様の妹君と共に、我が主君の元へと向かわねばならないのだ!!

どうか、どうか私達に力を貸してくれる者がいれば、是非、お願いしたい…!!」

 

 

 決まった。

 完全に決まった。

 もしかして、聖女が未だ力に目覚めていなくて、誰も彼女が宿命の子で聖女だと知らなくて、本人すらも聖女との自覚が無く、そのせいで「聖女、聖女」と言っている私に、「コイツ何言ってるの? 頭おかしいの?」と思われていた可能性が、微粒子レベルで存在したが、何かそれっぽい熱い熱弁で、場の空気が変わりつつある。

 

 私が深々と頭を下げ、再び顔を上げると、何やら褐色肌の男性が熱い視線を此方に向けている。

 もしかしてホモなのか? それとも神王教団にお金巻き上げられたのか? 若しくは普通にナジュの民で神王教団憎しで敵の敵は味方な理屈なのか?

 それは分からないが、一番最初の可能性でさえ無ければ良い。

 

「悪い奴で無い事は分かった。この曲刀(カムシーン)にかけて協力しよう」

 

「良いのか…?」

 

 何か凄く好感度上がってる褐色おじさん。

 ある程度は狙ったが、ここまで上手くいくとは意外だった。

 まさか違うとは思うけれど、ホモルートとか勘弁してほしい。

 サブキャラ同士でBLやる乙女ゲー展開は、お呼びではないんだ。

 それにしても、カムシーンといえば、思い当たる人物がいる。

 ナジュの王族と、トルネードだ。

 店長(風味の男)も「カムシーンですか。もしやトルネード」と呟いているし、後者なのだろう。

 …これ程の重要人物。

 乙女ゲー世界だと、確実に攻略キャラだな。

 褐色キャラは、戦闘力特化の戦士キャラか、好色な大商人の攻略キャラだと相場は決まっている。

 ワンチャン幼馴染ではなく、コイツに聖女(ヒロイン)を押し付ける策もあるかもしれない。

 

 

「…神王教団には貸しがあってな。

取り立てる機会は探していた」

 

 表情こそ冷静だが、眼の奥には炎が宿っている。

 ロアーヌの暗部となる第零特殊部隊(存在しない集団)でも、水面下では神王教徒を人知れず事故死(・・・)させているが、やはり神王教団は恨まれているのだと、目の前の男を見て改めて実感した。

 

 

 後は他の男達をどう動かすか、だ。

 緑色の髪の男は、聖女の幼馴染の様だし、姉さんの為にも、何とかして学園に行くのを引き留めて欲しいものだ。

 

「そこの貴方は、迫りくる神王教団の目と手から、聖女を護って欲しい。

これは暗部としての経験(個人的な意見)だが、手が伸びてくる前には、当然目は補足している」

 

 神王教団に怯える聖女を幼馴染が護って、聖女と幼馴染はひっそりと森の中で暮らしましたとさ、って展開を希望している。

 

「そんな言葉が“個人的な意見”とは、もしかして…。

いや、やめておこう。

噂を本気にして命を落としたくは無いからね」

 

 

 口を挟んで来た店長、相当の情報通だ。

 ここで消すのは露骨が過ぎて下策だから、後々雇い入れる事としよう。

 有能には有能にしか務められない職務と、有能にのみ与えられる対価を授けるべきだ。

 もし無能なら…その時は、事故死するだけだ。

 

 

 後は、年長者…といっても店長や褐色男よりは若い、インテリらしき男だ。

 私の感が告げている。

 この男は()り手の鬼畜眼鏡だ。

 ソシャゲならホスト系のスーツ着たりする奴だ。

 エロゲなら、スタート時点で既に気弱そうな女の子を調教済で、その子を使って聖女を落としに掛かる。

 BLゲーなら、グイグイ押して押して押して、THE・主人公君を攻めて攻めて攻めるのだろう。

 鬼畜ゲーの曲は名曲、BLゲーの曲は名曲。

 即ち鬼畜で眼鏡でBLなら名曲なのだと、前世で聞いたことがあったが、流石に此処が乙女ゲーの世界だと識っている私でも、現在画面の向こうで流れているBGMなんて知らないし、分からない。

 でも、名曲であることだけはわかる。

 …余談だったか。

 

 この手のインテリタイプは、此方が説得しようとすればするほど警戒するが、事実だけを流していれば勝手に自分の中で論理を組み立てて(勘違いして)此方につく。

 

 

 

「神王教団は様々な所に手を伸ばしている。知らないだろうがメッサーナという王国が滅びた理由は、宗教勢力による暗殺だった」

 

 実際には崩御した王が、後継者を指名しなかった、又は指名が隠匿された事による後継者争いが大元の原因だが、最終的な結末としては神王教団が大いに影響していた。

 

 

「大商人でもあった後継者筆頭には、王の急な崩御には暗殺の可能性があったが、近衛軍団長としての任務失敗の責任が叫ばれた話は聞いていない。

他の軍団長からすれば、最も責めやすい理由であるにも関わらず、その様な噂が広まった形跡は無かった」

 

 王が亡くなったと同時に、其々の軍団長が一斉に次代の王を主張するあたり、メッサーナの内情は既に詰んでいたとは思いますが、それは敢えて口には出しはしない。

 

 

「亡くなった王がもし彼を後継者にしていたとすれば、彼は王の遺言書を隠匿出来る立ち位置の近衛兵(部下)に裏切られた事になるだろうし、その様な無能では、序列筆頭にもならなかった。

故に、本当に王が死ぬ兆候もないのに、突如亡くなったと考えるのが自然だろう」

 

 逆に別の後継者が指名されていたものを、当時の近衛団長(クレメンス)が握り潰した可能性だって大きいが、それを言うとクレメンスを倒す為に、神王教団を利用したルートヴィッヒにお墨付きを与えてしまう。

 さて、此処からが掴みだ。

 

 

「さて、最もこの騒動で利益を得たのは誰だ?

見事新王となったルートヴィッヒ? それともルートヴィッヒから毎年大量の資金提供を受けている神王教団?

正しき権利者から土地や財産が奪われても、それが常態化すれば、それらも秩序の一部として組み込まれて、不可逆なものとなる。

再び変化が起こる事に順応する能力の無い国民には、大規模な抵抗を受ける事となり、正しき権利の復古であっても頓挫するに違いない。

…私は、ナジュやメッサーナの悲劇をロアーヌにも再現させたくないのです」

 

 ナジュとメッサーナが神王教団のものでなくなれば、もっと言えばロアーヌに仇なす勢力のものでなければ、誰のラベルが付いていても構わないが、それを言うと聖王戦争以来の血筋であるロアーヌ侯爵家の正当性も崩れてしまう。

 だから庶民向けの広報としては、王を目指す者達の争いで、何度も秩序が変わる事の不利益が大きい事への理解を示しつつ、そこに利益を見せるしかない。

 この類の男は、理屈を付けて挑戦しない自分を賢しいと思いつつも、何時か挑戦する自分に憬れている。

 今のピドナの投資環境は、元の世界でいう所の、シンガポールと中国が混じったような環境だ。

 著しく成長と変化を伴う魅惑的な投資先だが、のめり込むとそのまま食われて逃げられずに囚われる。

 そしてその環境の起点は、ルートヴィッヒの政敵であったクラウディウス家から没収した財産のバラ撒きだ。

 だとすれば、こちらの制御下でピドナの投資環境を征するには、クラウディウス家の正当性を主張して、財産を奪い返して起点をこちらが制御するのが一番だ。

 これ程分かりやすい投資タイミングはない。

 円安が過熱し過ぎた際の、政府の介入アナウンスの後には、一時的には確実に円高方向に進むし、大規模の疫病流行には航空や宿泊などの産業の株を空売りして、ECやSNSの株を買えば良い事と同じ位明白だ。

 ロアーヌの国力を持って、再新興するピドナに武力をもって経済に介入する。

 私はそう伝える訳だ。

 インテリメガネの者は、ここまで分かりやすい投資であれば、嬉々として乗ってくるだろう。

 ロアーヌ高官である者としての本音は、旧メッサーナ地方の財源を一時停止させて意図的に通貨安を作り、相対的に通貨高なロアーヌが安く買収して使い潰してやろうという所なのだが…。

 

「ナジュやメッサーナも、今であれば正しき権利者の元に取り戻す事が出来る。

不正な勝者が秩序の一部と定まる前の今が、最後の機会です。

正しき力は正しき流れの中にあるべきであり、私はその為に戦う者を支援している。

勝ち馬に乗れば、復興した国で発言権を持つことも出来る」

 

 支援とは言ったが、実際には実働でなく指示をしているし、宗教勢力へ反対する者への資金提供や、情報操作を命じているヘッドクォーターサポートをしている。

 サポート(支援)には、変わりない。

 

 ここでそろそろ、対庶民向けの好印象な面をアピールするべきか。

 別に私は自身が善良だとは思ってはいない。

 例えば私が優秀な医者ならば、人の命を左右する緊急救命医よりも、高額の医療費を動かす美容外科になるべきだと考える利益至上主義肯定者だ。

 しかし、美容外科を選んだ上でSNS上で人格者を振る舞う事で、フォロワーと指名患者を増やすついでに、金にならない仕事をしない事を批判するアンチをフォロワーに叩かせて、自身の悪評が立たない様な処置くらいはしておく。

 要は利益を出して、それっぽい理由を用意し、印象操作もやるのは当然だと言うことだ。

 善良である必要は無いが、善良に見せるメリットは理解しなければならない。

 

 今回の件に当てはめるとこうなる。

 権力者同士の争いは、乱れた国を(よこしま)なりに立て直した所を、正義を主張する者が再び戦乱へと引き戻す行為としか、庶民には理解されない。

 庶民とはそういった生き物で、高貴な人々の正義よりも、己達の生活の継続を優先する。

 故に、ここからは生活の安寧に影響する要素の中から、都合の良い事実だけを抜け出して説明しよう。

 ここからが事実上の本番だ。

 

「…しかし別に貴方達にとっては無関係だ。

王を名乗る者による国の奪い合いで泣かされるのは──────」

「悪いが無関係じゃない」

 

 …あれ?

 関係者…?

 何方側の関係者かで、話は変わるが恐らく大丈夫なはずだ。

 何やらギラギラした目で此方を見ている。

 大丈夫じゃないとしたら、私の貞操だが、生憎私は魔力でも武力でも負ける気は無いから、自衛は出来るだろう。

 相手の発言に虚を突かれた所が見えれば、BLゲーのタチキャラは其処から攻めてくる。

 故に、あくまで余裕綽々で、ワザとらしく驚いたフリを見せる事が、私の貞操自衛の第一歩となる。

 

 

「それを知っている相手に隠すつもりは無かったが、私はクラウディウス家の関係者だ。

良く出来た偶然…というには余りにも偶然だが、そういうことにしておこう。

先程といい、ロアーヌの闇は恐ろしいな」

 

 どうやら彼の中では、私が彼等がナジュやメッサーナの関係者と知りつつ、偶然を装って契約を持ち掛けたと映っているらしい。

 それならそれで合わせておこう。

 

「私は貴方方にどのような過去があるかは知らない。

私にとって重要なのは、現在の貴方方の意志だけだ」

 

 知っていないと言いながらも、明らかに分かっていた風に装いながら、有能な味方を演出する。

 嘘で騙すよりも、勘違いで思い込ませる方が、時として強力に脳に作用する事を利用する。

 

 

「…知らない、か。

こちら側からそういうことにすると言った以上は、聞かないでおこう」

 

 

 

 

 戦力となりそうな男共は抱き込めた。

 後は、ミカエル様の所へ向かうだけだ。

 とはいえ、嵐が去ってからの話だ。

 取り敢えずはモニカ様の為に風呂とベッドは用意させるべきだろう。

 会話の嵐は去ったのだから、残りは自然現象の嵐が去れば良い。

 その後はゴドウィンと、彼に与した者共に戦争の嵐を与えてやろう。

 

「あの、私もついて行ってはいけませんか?」

 

「サラッ!! 危ないわ」

 

 小心者な妹枠な娘も同行を希望してきた。

 可能性としては三つ。

 ①今の閑静な村で一生を過ごす閉塞感から逃げ出したい。

 ②若しくは、今私に同行を名乗り出た男の中に想い人がいる。

 ③最後の可能性としては、村娘の立場で身分不相応にも、ミカエル様に覚えられる事を望んでいる。

 

 …最後の可能性以外ならどれでも良いが、仮に最後の可能性であってもミカエル様なら上手く処理できる。

 可能性として一番高いのは選択肢②で、一番低いのは選択肢①だろう。

 

 

 問題は聖女(ヒロイン)が妹分を唆したと、私を逆恨みして睨んでいる事だ。

 ここはヒロインに賛同して、臆病な戦力外は置いておくべきだろう。

 勝ち気なヒロインが、妹分が行くのに自分だけ残るわけには行かないと、同行することになれば、必然的にミカエル様の所へと引き合わせる事となる。

 

 ヒロイン様をメイン攻略キャラ(ミカエル様)に引き合わすなど、絶対にやってはいけない。

 

 

「そちらの方の言う通りだ。

道中も目的地も、女性には危険過ぎる。

…私としてはモニカ様であっても控えて頂きたいが、モニカ様には使命がある」

 

 ミカエル様の親戚であるゴドウィンを反逆の罪で告発するには、ミカエル様自身か、他の親族で無ければ告発対象の格に、告発者の格が負けて向こうとなる。

 極端な話、平民がミカエル様を告発しても、何も変えられないのと同じだ。

 …ミカエル様が被告発者の場合、そもそも私がその告発者を社会的か生物的に消す事になる。

 

 

「それでも私は、変わりたい」

 

 …この妹枠ちゃん、まさかの選択肢①だったか。

 控え目な性格で、それでも芯は強いとか、男性が主人公のゲームなら、メインヒロインやってそうだな。

 しかし、この世界は乙女ゲー。

 ヒロインは気が強くて、貴族()にもズケズケと文句を言う平民ガールな姉貴分の方だ。

 それをミカエル様に合わせてはならない。

 

 

「護りたい者が進んで危険に身を晒す。

それに心を痛める側の立場を想像するべきだ」

 

 

 私は(ミカエル様とヒロインを合わせないという)断固たる意志を見せた。

 恐らく、先程の演説よりも熱が入っていたはずだ。

 

 これで良いのだろう?

 そうヒロインの方を向くと、私を見た後、モニカ様の方に視線を逃して、「ふ〜ん、そういうこと」とか言っていた。

 反応が、薄い!?

 

 そこは、私に便乗して妹分と一緒にお留守番宣言する所だろう。

 何が何でもヒロインは、妹分に便乗して、ミカエル様に会いに行くシナリオなのか?

 ヒロインめ、ミカエル様とは会わせないぞ。

 

 しかし、芯が強い系少女は、私に押され気味ながらも、意志は曲げない。

 どうすれば良いんだ。

 どんな駆け引き技を使えば良い。

 『正義を説く』は褐色枠に、『時代の風』は先程インテリドSに使ったばかりだ。

 

 

「何故分からない…。

いや、分かる必要もないのかも知れないな。

そもそも此処に面倒事を持ち込んだ立場の私が悪いのだから。

しかし、私達に着いてこさせる訳にはいかない」

 

「…貴方には近しい定めを感じる。だからこそ私はそれを確かめたい」

 

 …あれ?

 私的には、何となくヒロインが鬼畜眼鏡ルートに入った時に、ライバルになりそうな雰囲気を妹分キャラに感じていたのだが、もしかして私が狙われている?

 いや、私は普通に貴族だけれども、平民に逆ナンされるとかどうすれば良いんだ。

 誰か助けて欲しい。

 

 咄嗟に横のモニカ様の方を向くと、何とも言えない顔をしていた。

 あっ、コレは話しかけては駄目なヤツだ。

 理由までは分からないが、それだけは本能的に悟った。

 

 

 私は、話を打ち切る為に、モニカ様の為に、ヒロインに風呂と着替えとベッドの用意を頼んだ。

 モニカ様の着替えは、どうせモニカ様は準備もせずに飛び出すと予測して私が持って来たが、流石に私が着替えの手伝いをする訳にはいかない。

 本来のモニカ様の着替え手伝い役である姉さんに殺されるし、ミカエル様にも殺される。

 風呂の手伝い? もっと駄目だ。

 やって良いのは、ベッドメイクくらいだろう。

 

 仕える者として当然の配慮として、自分の身支度を最短で終わらせて、君主達の準備の補完をしたのだが、私がモニカ様の下着を含めた着替えを男性陣に見えぬように取り出すと、ヒロインは少し引いていた。

 どちらかと言えば、私にアプローチをかけている様な気がする妹分の方にドン引きして欲しかったが、そちらは大きな反応はせず真顔だった。

 

 

 私は男共が万が一覗きに行かない様に、フロアに残る事にした。

 さて、緑髪の少年漫画主人公的な彼へと工作を図るか。

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