ハイスクールDxD わたしへいきだもん! 作:膝に矢うけたった
プロローグ 前篇
上も下もない空間の中、無数の機械ののような、生物のようなそんな存在が無数の軍勢となって押し寄せてくる。それを迎え撃つのは一人の少女だった。少女は巨大な砲塔を両肩に構えている。
『高圧縮ジンキバレル展開』
その言葉と同時に、彼女の前方に半透明の板が数枚円形を描くように、大砲の砲身のような配置で出現した。
『バレル回転、放出エネルギーの調整を開始』
砲身が回転を始める。彼女の背中から、半透明の巨大な翼のような機械が現れる。
『
彼女の周囲に複数の浮遊物体が出現する。浮遊物体は先端にエネルギーのような球体を貯めこんでいる。
『バレル発射可能。Dig Me No Grave、発射』
無数の光が砲塔と浮遊物体から照射される。光は空間全て覆い隠しながら軍勢を飲み込み、触れると同時に全てを消滅させていく。存在も空間も色も、何もかもが元から存在しなかったかのように消えていく。
消滅した空間を塗り替えて、数体の存在が姿を現す。それまでの軍勢とは明らかに違う存在、おそらく上位者なのだろう。その存在に対し、少女が再び砲塔を構える。
「あー、くっそー、また負けたぁ」
茶色の髪の少年が声を上げた。テレビ画面の中で、赤いヘルメットを被った男性が落下していく。それによって男性に対応するアイコンには残機がないことを示すマークが付いていた。他にも画面では、ピンクの球体のキャラや赤い帽子にヒゲを生やした男性、狐の頭部を持つキャラなどが戦っていた。
「先輩、相変わらず弱いですね」
男性のキャラを操り、先ほど敗北した少年に向けて、近くに座っていた短い白い髪の小柄な少女が話しかけた。
「にぃに、弱い、もっと練習する」
「にぃに、弱いのです。ヘルメットおじさんがかわいそうなの」
長く真っ黒な、どこまでも深い黒色の髪を少女と、その少女以上に長い見る角度によって僅かに色が変化する不思議な銀髪の少女が、彼を兄と呼びつつ心を抉る言葉を投げかける。二人とも、よくわからない言葉の書かれたぶかぶかのTシャツを着ていた。余談だが、その内容は『一日三十時間』『寝るまでが今日』だったりする。
「というわけで、罰ゲームの買い出し、お願いしますね。先輩」
「にぃに、我、グレープ系炭酸を希望する」
「にぃに、わたしはぽてちー」
どうやらテレビゲームの勝敗で買い出しに誰が行くかを決めていたようだ。敗北した少年は腰を上げて、シャツの上に上着を羽織った。
「えっと、ディカはポテチといつも通りコーラで、フィーはフ●ンタグレープ、小猫ちゃんもいつも通りのジャスミン茶でいいのか?」
三人とも画面から視線を逸らすことなく、首肯だけで返事をする。どうやら、三人の戦いが佳境に入ったようだ。少年、兵藤一誠、今は高校一年から二年へと向かう春休みの真っ最中であった。
彼は家を出て空に輝く太陽に目を向けた。こうして見上げる太陽は数年前から何一つ変わっていない。自分に二人の妹ができて、後輩の友人ができて、それでも太陽が変わることはなかった。
(こうしてると、なんか『裏』のことなんか、忘れちゃうよな。まぁ、お前がいる以上無理なんだけどな)
(はっ、そういうな相棒。だが、何もない日々と言うのも貴重だぞ。何より、相棒が大好きな女に囲まれる生活だ。もっと喜んだらどうだ?)
心の中で呟いた言葉に、同じく心の中で答えを返す声があった。彼を相棒と呼ぶその声はからかうような声で彼に話しかけている。
(そこはまぁ、嬉しいけどさ。二人は妹だし、小猫ちゃんは友人だし……。三人ともめっちゃかわいいんだけどさ)
(また、胸がどうこうと言うつもりか? そりゃ、相棒が胸のでかい女の本ばっか持ってるのは知ってるが、そうじゃないのもあるだろ)
「ぶふっぅ!」
公道を歩いているのにも関わらず、自分の『お宝』のことを言われて、思わず吹き出してしまう。すぐに周囲を見渡して、誰もいないことを確認すると胸を撫で下ろす。
(お前なぁ。いつの間にそんなこと知ったんだよ。あと言っとくけど、俺はちっぱいも大好きだ! おっぱいに貴賤などない!)
(お、おう、そうか……。あとな、知ってるのは『アイツ』に相談されたからであって、俺は盗み見とかはしてないぞ)
(え、アイツってもしかして、フィー? え、え、え、フィーに俺のエロ本見られてたの?)
(おう、ちなみに、ディカとかいう娘も一緒に見たそうだぞ。二人とも何なのかよくわかってなかったがな)
道の真ん中でへたり込んでしまう。妹に自分のエロ本を見られていたと知ったら、普通はこうなる。他の人がこの道を歩いていないのが唯一の救いだろう。
幼い頃、おっぱい紙芝居のおじさんと出会ったことで、この少年は今おっぱいの魅力に取りつかれていると言ってもいい。そして、ディカやフィーとの生活の中でちっぱいの魅力も理解した。全ての女の子のおっぱいは素晴らしいものだと、彼は変態の道を突き進んでいる。
ただ、さすがに妹二人のような子どもや、身長140にも満たない小猫をそういう対象に見るのは罪悪感がある。
(だけど、三人ともめっちゃかわいいんだよ。それに何だかんだで年齢的には問題ないしさ。でも、兄として、友人として越えちゃいけない一線ってのがさ……)
変態でも悩むときは悩むのだ。というか、妙なところでこの少年は奥手だったりする。年齢に関しても、三人とも春休みが明ければ高校の後輩になる。フィーに限って言えば、実際の年齢は年上ですらある。
(それに、三人のこと知っちゃうとな。今のまま、ただのガキじゃダメなんだよ。ドライグ、俺は強くなれてるか?)
彼の内側にいる存在、ウェールズの赤い竜、ア・ドライグ・ゴッホ。アーサー王とも関りがあると言われる、かのドラゴンである。一誠は心の中で彼に語り掛けながら、真面目な顔をしている。
(目覚めた時は、あまりの軟弱さには驚いたが、相棒なら強くなれるだろうさ。現に今の状態でも相当なものだぞ。その原因が『アイツ』なのは納得いかないが……)
(ありがとな……)
「そんじゃ、まぁ、どこの誰かは知らねーけど、お帰り願うとしますか」
そう言いながら、彼は公道を外れて細い裏道を歩いていく。歩を進めていくと、鼻に腐ったような嫌な臭いが舞い込んできた。臭いの元へとたどり着くと、そこにいたのは異形の姿の化け物だ。
(はんっ、はぐれ悪魔だな。相棒、さっさと片づけてしまえ。大事な女どもが相棒の買い物を待ってるんだろ?)
「だな、って、うぇ、こいつ食ってんの人間じゃねぇか、ふざけやがって」
彼がそうして、目の前の化け物を眺めていると、相手も気付いたのか視線を彼へ向ける。その目は正気など一切宿しておらず、ただ欲望に従って動くだけのケダモノのものだった。
「――――っ!」
その言葉に意味などなく、もはや声ではなく音と表現するのが正しい。その動きもとても理性のある生物とは思えないものだった。狂ったような動きで、一誠に向けて駆け出す化け物、だが彼はそれに動じることなく右腕を掲げて開戦の叫びをあげる。
「『
狭い裏路地を赤い光が照らす。
「ただいまー。買い出し行ってきたぜ」
一誠がそうして、自分の部屋のドアを開けると、そこには二人であやとりをする妹たちと、仁王立ちする小猫の姿があった。心なしか表情に怒りの色が見える。それに加えて、頭部には猫の耳、臀部には尻尾が生えている。彼女が本気である証だ。
「イッセー先輩、二人にこれは何をしているのか聞かれました。これ、なんですか?」
そう言って、小猫が指さす床には、彼の大事な宝物が積まれている。その瞬間、何が起こったのか彼は理解した。そして、流れる動作で土下座の姿勢に移行しようとして……。
「ぶべらっ!」
殴られた。加減はされているのだが、見事な拳だった。
「まったく、先輩は……。こういうえっちなのは、まだダメです……」
遠のく意識の中、彼女のそんな声が聞こえた気がした。尚、倒れる際に下着がしっかり見えていたのは彼だけの秘密である。
彼が目を覚ました時、その場にはしっかり別の本で挟んでカモフラージュした上で縛られたお宝本があった。
(さらば、我が宝物たちよ……)
別の方向に視線を向ければ、三人が仲良くお菓子を食べている姿が見えた。
「にぃに起きたー? お菓子なくなっちゃうよ?」
ディカに言われて、彼は身体を起こして軽く首をストレッチする。そうして、立ち上がった後、彼女たちの所まで歩いて行きお菓子を摘まむ。
「行きに何があった?」
コンビニに行く途中に起きた出来事について、フィーに聞かれて正直に事実を伝える。この場にいる三人は『裏』の関係者であるため、別に話すことに戸惑いはない。
「さすがにフィーは気付いてるか。行く途中にちょっと、はぐれ悪魔がいたから二度と悪さできないようにしただけさ」
その言葉を聞いて一番大きな反応をするのは小猫だ。彼女は携帯電話を取り出してその場を離れる。
(グレモリー先輩に電話かな? あっちの仕事奪っちゃったわけだし、仕方ないか)
少しして、小猫が部屋に戻って来た。
「すいません、先輩。その話、詳しく聞かせてもらっていいですか」
一誠は嫌がることなく、経緯から戦闘の内容まで、事細かく説明した。その話が終わると、彼女はすぐに立ち上がって持ってきていた小さなカバンを持ち上げた。
「私は報告に行かなきゃいけないので、ここで失礼させてもらいます。また休みに遊びにきますね」
そのまま部屋を出ていく。彼女はこの町、駒王町の『裏』側の管理者の部下のような立場だ。それ故に、人食いをしたはぐれ悪魔の件をその上司にしっかりと話しにいかなくてはいけないのだ。ちなみに、一誠の戦力については小猫経由でその人物にも伝わっている。と、言ってもフィーの正体など、隠してもらっていることはあるが、それは向こうも承知の上だ。
「それじゃ、俺達も夕飯の準備すっか。二人とも片づけるぞー」
今、兵藤家の両親は二人で温泉旅行に行っている。ディカが福引で当てたのだが、入学の準備のあるフィーとディカが行けないので、二人にプレゼントした。なので、現在兵藤家の食事は全て一誠が作っている。二人のためにと磨いた技術なのだが、思った以上に性に合っていたらしく結構な腕前に育った。
「あーい、今日はなに?」
「我、カレーがいい」
片づけを終えて、妹達を連れてリビングへと向かう。彼も二人と出会った頃、こんな関係になるとは思っていなかった。
――空から!? え? なんで、空から女の子が!?
――なま、なまえ……、あえいでか……。
――妹……? にぃに?
――お前、我と■■■■■■■■倒しに行く。
――まぁまとぱぁぱが一人で遠く行っちゃダメって……。
――我、ここに住む。ここ好き。
(空からディカが降ってきて、妹になって、しばらくしてフィーがディカと友達になって、うちに住むようになって、また妹になって……。まぁ、楽しい毎日ではあるよな)
作った夕食を食べながら、二人の顔を見る。揺れる虹色の混じる銀髪と漆黒の髪、本当の姉妹のように仲良く食事をする二人の姿。彼にとってのかけがえのない日常、彼が強くなる理由。
(この二人が、世界をどうこうできるレベルの強さって言われても、普通誰も信じないよな)
最強の妹と最強に至れる妹、彼が守りたくて、でも、彼が守られる側になってしまう。『赤龍帝の運命』、自分の引き寄せる運命の中で二人に守られるのが嫌で、彼は強くなろうと決めたのだ。まぁ、あと強くなったら女性にもてるかもという打算もかなりの割合を占めるが。
「にぃにー、お風呂入ろー」
「にぃに、お風呂入る」
食事を終えた二人が同時に声を上げる。この二人、一人で風呂に入ることができない。彼の悩みの一つである。結局、一誠が一緒に入って二人の髪を洗ってあげるのだが、これも二人を女性として見ることができない理由かもしれない。それでも、愛らしい肢体を目の前にさせられる彼の理性は常時アラートが鳴っている。
「にぃにー、寝よー」
「にぃに、寝る」
睡眠時は三人一緒で寝ている。これも彼の悩みの一つである。しかも、この二人、下着も付けずぶかぶかのTシャツだけ着て、彼に引っ付いて眠るので大変だ。両親も付けるように言うのだが、窮屈なのが嫌だとかなんとかで付けようとしない。
今夜も彼の煩悩と戦う夜が始まる。尚、発散先のお宝は紐に括られているので、二人がいない時に使えないことに彼はまだ気付いていない。
(これも未来のハーレムのため、これも未来のおっぱいのため、これも……)
今はただ、いつかあるかもしれない輝かしい未来のために、この天国のような地獄のような瞬間を耐えていた。
モバゲでオーフィスのカードもっと増やしてほしい。そんな願望がだだ漏れな作品です。
最近ロリっ娘書いてなかったので、禁断症状が……