ハイスクールDxD わたしへいきだもん!   作:膝に矢うけたった

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原作本編に入ります




 無事入学式も終わり、数日が過ぎた。駒王学園に登校してきた一誠と妹二人と小猫、丁度下駄箱に着いたところだった。その四人に凄い勢いで走ってくる人物が二名存在した。

 

「イッセー確保っ!」

 

「裏切者を吊るせぇ!」

 

 眼鏡をかけた少年元浜が一誠を捕まえ、坊主頭の少年松田が一誠を縛り上げる。二年に進級してから定番となった光景が、そこには繰り広げられていた。一緒に登校していた、ディカ、フィー、小猫はいつも通り置いて行かれる形になる。

 

「先輩たちはいつも、本当騒々しいですね」

 

 呆れた様子で小猫がそう告げる。最初は何事かと驚いて全力追いかけたりしたものだが、今ではその光景にも慣れてしまった。最初に追いかけた時には、一誠に大丈夫と言われ、友人二人だと聞いたので一応納得はできた。後から、変態三人組と呼ばれているのを知った時には少し頭が痛くなったが。

 

 

 

 

 

「だから、いつも言ってるだろ。ディカとフィーは俺の妹、小猫ちゃんは友人だって。そういう関係にはなってないって……」

 

 こうして二人に関係を説明するまでがいつもの出来事だ。今、一誠は縛られたまま正座をして友人二人に詰問されていた。中学校からの友人でもあり、元々女子高だったこの駒王学園が共学になった際、共におっぱいを求めて入学した同士でもある。

 

「それは聞いたけど、お前、あんなかわいい妹いるなら教えろよ」

 

「しかも、あの塔城小猫ちゃんとまでお近づきになってやがるし。マスコット独り占めか!」

 

 あの三人は小さい身体と、その愛らしさから男女問わずに人気がある。ある種のマスコット的存在であり、その内二人があの変態の妹だと知られた日には学園が驚愕に包まれた。新聞部などは、一誠の誘拐疑惑のゴシップ記事まで書く始末だ。日頃の行いが悪い、その一言に尽きる。

 余談だが、彼は一部の腐っている女子には人気があったりする。その性格から想像もできないような、傷だらけの鍛えられた身体が原因だ。学園の王子様と呼ばれる生徒と掛け算して日々楽しんでいる。一時期どっちがどっちかで論争が起きたが、『リバ』で決着がついている。

 

「そういう反応する奴に妹を紹介する兄がいると思うか? いいや、いないね」

 

 そんな変態の同士に家族を紹介したい人間はいないだろう。残念でもなく当然である。彼も世の兄の例に漏れず、友人(へんたい)二人に妹達と友人を紹介する気はなかった。なかったのだが、入学して一緒にいれば知られるのは必然である。というわけで、毎朝彼は友人(へんたい)にこうして縛られることになった。

 

「クソォ、お前一人だけハーレムの道を突き進みやがって」

 

 松田が拳を握って涙を流していて……。

 

「血の繋がっていない美少女の妹とかギャルゲー以外に存在するはずがないのに……」

 

 元浜が机に伏して悔しがっていた。中学から共にハーレムを目指そうと誓い合った友人(へんたい)同士、一人抜け出ればこうなるのも無理もないだろう。こんな友人(へんたい)だが、それを邪魔しようとは考えていない。彼らなりの応援の仕方なのかもしれない。一誠もそんな不器用な友人たちの想いはわかっている。

 

(それでも、まだ、まだまだ足りねーんだけどな……)

 

 一誠の内心に彼らが気付くことはない。内心に抱える彼の問題、それは『表』に生きる者では気付くことができない。小猫の顔を思い浮かべて、彼は自分の右腕に視線を向ける。

 

 

 

 

 

「にぃにー、ご飯の時間だよー」

 

 昼になるといつも三人が迎えに来る。フィーの言った通り、三人は同じクラスになった。普通兄弟姉妹は別のクラスにすることが多いと聞くが、その例に漏れたのは何故なのかは聞かない方がいいだろう。

 今までの昼休みは変態三人組で集まって昼食件猥談会を催していたが、入学式からずっとその会には参加していない。こうして昼に迎えに来た三人に引きずられていくからである。尚、友人(へんたい)はその姿を親の仇でも見るような目で見送っている。

 

「イッセー先輩、無駄に料理うまいですよね。なんか、納得いきません……」

 

 旧校舎に近い庭で昼食を食べながら、小猫がそんなことを言う。彼女にも女性としてのプライドがあるのか、一誠の弁当を口に入れながら悔しそうな表情をしている。黒い方の妹はやたら大きい弁当箱で、銀色の方の妹は昼食とスナック菓子の割合が3:7くらいの内容だった。四人分の弁当を朝から作るのももう慣れたものだ。気付けば、母と二人でキッチンに並ぶことが多くなった。

 そうやって、のんびりと四人で昼食を取っていると、視線を感じた一誠が上を見上げた。見上げた先には旧校舎の一室から赤い髪の少女がこちらを見ていた。彼の習性としてその大きな胸に視線がいく。

 

(グレモリー先輩、小猫ちゃんに用事かな? それにしても、実にいいおっぱい、ありがとうごうざいます!)

 

 鼻の下を伸ばしてそんなことをしていれば、当然近くにいる人間には気付かれるわけで。

 

「イッセー先輩、何リアス様見て鼻の下伸ばしてるんですか」

 

 呆れた顔で見てくる小猫の視線に気付いて、慌てて言い訳しようと足りない頭を働かせる。当然、妙案など浮かぶわけもないので流れる動作で土下座していた。彼のそんな姿に、さすがの妹達も食べる手を止めている。尚、この時一誠は顔を地面に向けていたため気付かなかったが、小猫が自分の胸を触って何かを確かめるようにしていた。

 小猫に小言を言われた後、彼がもう一度先ほどと同じ場所に視線を向けると、そこにはもうリアス・グレモリーの姿はいなかった。残念ではあったが、僅かでもあの『駒王学園二大お姉さま』の一人である美少女と、服越しだがその胸を見れたので十分な収穫と言えた。

 

 

 

 

 

「赤龍帝ね。何度見ても、どこにでもいる年頃の男の子にしか見えないわね」

 

 リアスがソファーに腰かけながら呟いた。先ほど彼女が観察していた少年はとてもではないが、冥界を揺るがすかもしれない力を持っているとは到底思えなかった。

 

「そうですね。でも、リアス、あの小猫ちゃんがあそこまで心を許している以上、はぐれ悪魔の件を除いてもただの少年ではないのでしょうね」

 

 黒髪ポニーテールの少女が彼女の横からティーカップを差し出しながら、そう口にした。リアスはカップを受け取りながら、その少女に視線を向ける。少女は小さな笑みを浮かべていた。

 

「ええ、わかってるわ、朱乃。小猫の話では身体も相当鍛えられてるってことだし、目に映るものだけが全てではないのは確かね」

 

 少女、姫島朱乃から受け取ったカップに口を付けながら、窓の外へと視線を向ける。距離があるため、見ることはできないが、外からは僅かに楽しそうに昼食を食べる四人の声が聞こえてくる。

 

「兵藤一誠……、ね。これ以上借りは作りたくないわね」

 

 外から『俺はハーレム王になる!』と大きな声が聞こえてきて、二人は苦笑いすることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 放課後、一誠は一人で歩道橋に立っていた。今は遅れてくる妹達を待っているところだ。小猫は悪魔の仕事があるので、帰りは一緒ではない。特にすることもなく、夕陽を眺めながら考え事をしている。

 

(悪魔、天使、堕天使の聖書の三大勢力、それに他地域の神話の神々か……。上を見ればキリがないよな。あと、白龍皇のこともあるんだっけか)

 

(お前さんなら超えられるさ。個人の才能でいえば、間違いなく歴代最弱だが、相棒は間違いなく歴代最高になれる素質がある。わずかな期間で『アイツ』にあのディカという娘、二つも特大の運命を手繰り寄せたんだ。そんな奴見たことないぞ)

 

 彼の不安に答えるのは相棒のドライグだった。歴代の赤龍帝を見ても、オーフィスとアエーディカ、二人のような存在に立て続けに出会った者はいなかった。それ故に、ドライグは一誠に期待を寄せてしまう。

 

(白いののことはそんなに気にしなくていいぞ。今はそれよりも面白いものを見つけたからな)

 

(それって、俺のことかよ。相棒が楽しそうで何よりだよ、ったく)

 

 こうやってドライグと会話するのも、もう慣れたものだ。周りからはただ少年が一人、夕陽の下で黄昏ているようにしか見えないだろう。二天龍と呼ばれ恐れられた存在、赤き龍と白き龍、歴代の辿ったその運命は一誠も知っている。だからこそ思うこともある。

 

(足りないよな。全然、足りてない)

 

 彼は両親、そして大切な少女達の顔を思い浮かべた。そして、自分の中にある燻っているものに意識を向ける。それははっきりとした形にならず、未だ曖昧な姿しか見せてはくれない。それを掴もうと、必死に手を伸ばしてみてもすり抜けるばかりだ。

 

(ホント、相棒は面白い奴だよ。俺の力を得て願うのが『ソレ』ってのが、ますます面白い)

 

 ドライグが笑う。共にあるからこそわかるものがある。それが天とまで呼ばれた赤き龍を惹きつけてやまない。

 

「兵藤一誠君ですか?」

 

 考え事をしていると、横から彼に声をかける者がいた。声に反応して顔を向けると、そこにいたのは黒いロングヘアーの少女だった。見たことのない制服を身に纏っていることから、他校の生徒であることがわかる。

 

「えっと、兵藤一誠は俺だけど、君は?」

 

 いきなり美少女に話しかけられたため、返答はしどろもどろと言った感じになってしまう。美少女は恥ずかしそうに視線を動かしながら、彼の返事に耳を傾けていた。

 

「あ、私は天野夕麻っていいます。いつも、この帰り道で一誠君のこと見かけてて、それで……」

 

 夕麻はそう言って、何度も一誠の表情を伺っている。彼の目に映るそんな少女は他校の美少女で、そして……。

 

(相棒、こいつ堕天使だ)

 

(あぁ、わかってる)

 

 彼女が人間でないことには気付いている。普段から『裏』に触れている彼なら、それに気付くこともできる。

 

「あの、一誠君、私と付き合ってください!」

 

 彼女が本題を口にする。彼にとってはこうして正面から告白されるのは初めてのことだ。相手が堕天使であっても、それは大した問題にはならない。告白してきた相手を疑うような真似は彼にはできなかった。だから……。

 

「ごめん。俺、君とは付き合えないよ」

 




ディカに出会わなかった場合=原作ってのが本作の認識だと思ってください。
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