艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP8  黒野家の選択

鎮守府に帰投した深海を時雨が出迎えた。

「提督、おかえり!」

「ああ。今戻った…すまなかったな、本当は昨日帰る予定だったんだが…」

「大丈夫だよ提督。それだけ、大切な話だったんじゃないの?」

そう詰め寄られた深海は、まあな。と艤装を取り外しながら呟いた。そして海軍本部から戻った深海は早々に家族全員を集めた。幸い、秋雨たちの学校は土曜日という事もあって休みだったこともあり、全員に自由時間があった。朝食を全員で済ませると、そのまま家族会議が始まった。深海は早々に昨日の会議の内容を家族全員に伝えた。そして深海が話し終わったのと同時に、長門は右こぶしを机にドンッ!と叩きつけ怒りの表情で口を開いた。

「あの戦争をもう1度起こそうとしているだと!ふざけるなっ!」

「長門…」

「あの戦争で、一体どれほどの者たちが苦しみ、傷つき、死んでいったかも知らずにっ…旧上層部の連中は、一体何を考えているんだッ!!」

長門はもう1度机に拳を振り下ろした。長門はあの戦争で妹である陸奥を失っている。だが、長門の怒りを突き動かしているものはもう1つ別にもあった。

「何故時代は変わっても、力を持つ者の考えは変わらないのだッ!!」

そう、彼の大戦の記憶である。彼の大戦を生き延び、当時の苦労と末期の軍内部を知る長門は怒りを抑えられなかったのだ。だが深海は、そんな長門を宥めた。

「気持ちはわかるが、落ち着け長門。まだ奴らが本格的に動き出しているわけじゃない」

「だが提督!」

「彼の大戦の時の様に、止められないわけじゃない。その為に、俺が昨日話を聞きに行ったんだろ」

「…そ、そうだったな。すまないみんな、大声で叫んだりしてしまって」

「大丈夫だよ長門。ここにいる僕たちみんな、その気持ちは痛い程わかってるから」

「そうですね。私も長門さんと同じ、彼の大戦を生き延びた艦。お気持ち、凄くわかります」

「時雨…プリンツ……すまない。感謝する」

時雨とプリンツの仲裁も入り長門はようやく落ち着きを取り戻した。そして今度はビスマルクが深海に尋ねてきた。

「それでどうするのよアドミラル。日本中の軍事施設を抜き打ち査察すると言ってたけど…」

ビスマルクの言葉に深海は真剣な表情で答えた。

「勿論俺1人で行く。こんなくだらない事に、お前たちを巻き込むつもりはないからな」

「……また秋雨たちを置いて行く気なの…お父さん」

「っ!」

深海は秋雨が発したその言葉に思わず身体をビクつかせた。秋雨は続ける。

「お父さんはいつもそう。何か面倒ごとがあると、いつも秋雨たちを置いて行っちゃう…」

「うん。いつも、そうだよね」

「うんうんうん。雨葉たち、寂しいよぉ」

「お、おいおい…それはお前たちを危険にさらさない為に―――」

「アドミラル」

その時、ビスマルクが2人の会話を遮った。深海はそのことに驚きつつビスマルクに、なんだよ?と問うた。ビスマルクは両腕を胸の前で組んだまま、顔を深海に真っ直ぐ向け真剣な表情で語り始めた。

「確かに秋雨たちは子供だわ、危険な場所へ連れて行けるわけない。でもねアドミラル、それと同じくらいにこの子たち(秋雨たち)には、貴方が必要なのよ」

「どういう意味だ」

「要するに一緒にいてやりなさいってことよ。大切な家族なら、尚のことだわ。これは後に聞いた話だけど、私の妹は彼の大戦中ずっと1人ぼっちだったそうよ……姉として…たった1人の家族として…妹を1人ぼっちにさせてしまった事、私は今も悔やんでいるわ」

「ビスマルク……お前」

「わかったのなら返事くらいしなさいよ!」

「あ、ああ。すまなかったな」

「謝る相手が違うわ」

ビスマルクに諭された深海は、慌てて下を向いて落ち込んでいた秋雨たちに謝罪をした。

「すまなかったなお前たち。なら今回は、一緒に行くとするか」

「――うん!ありがとうお父さん!」

「ありがとう、お父さん」

「おとーさん、ありがとありがとありがと!」

「………!!」

(あ、こりゃ白も連れていく感じになったな)

と、何故か白も喜んでいたのを見た深海は内心で、やれやれ。と呟くのだった。

「時雨、お前は――」

「僕を置いて行くことなんて許さないよ、提督」

「それは勿論だ。よろしく頼む」

「うん!」

結果、日本中の軍事施設を抜き打ちで査察する旅は深海、時雨、秋雨、梅雨葉、雨葉、白の全員で行くことになった。そして今度は大鳳が尋ねてきた。

「提督、鎮守府に残る私たちはどうすれば良いでしょうか?」

「いや、特に変わることはないと思う。いつも通り、農作業と哨戒任務をやっていてくれ」

「わかりました」

こうして黒野一家の方針は決まった。

 

そしてその夜

 

深海と時雨はいつも通り寝室で、就寝前の談笑を楽しんでいた。談笑と言っても、秋雨たちの学校をどうするかの話ではあったが、結果的には「親の都合で転校」が良いのでは言う話で纏まった。すると、寝室の扉がコンコンとノックされた。深海が扉を開けると、そこにはグレーの長袖と、薄緑のショートパンツを履いた寝間着姿の大鳳が立っていた。

「あ、提督。夜分遅くにすみません」

「大鳳か。どうしたこんな時間に?」

「すみません。ちょっと寝付けなくって…今日は提督とご一緒に寝させてもらっていいですか?」

大鳳の何処か物欲しそうな、寂しそうな表情を見た深海は半開きになっていた扉を全開にし、大鳳を室内へと誘った。

「時雨もいるが、それでいいなら入ってくれ」

「あ、はい!大丈夫です。失礼します」

大鳳はそう言って深海と時雨の寝室へと入って行った。深海は大鳳が入室したのを確認すると部屋の扉を閉めた。

 

続く

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